原油:おそらく50ドル割れで安定ではなかろうか?
Why Sub $50 Oil Is More Likely Than $70 Oil
Feb 17, 2017 5:00 AM
OilPrice.comからアーサー・バーマンの投稿。
http://www.zerohedge.com/news/2017-02-17/why-sub-50-oil-more-likely-70-oil
以下要約:
生産者側は70ドルというが、おそらく50ドル割れで当面安定するのではないか。
先週時点でアメリカの原油在庫が過去最高の1380万バレルとなった。シェールオイルを汲み出すリグ数がは130基である。関係者は現行の53ドル/バレルではなく47ドルであっても不思議ではないという。問題は過剰生産ではなく過剰在庫なのだ。生産調整は価格に直接反映されにくい。国際エネルギー機関(IEA)の発表によると、供給が不足している。
しかるに先進国の在庫は過去5年平均で4億バレル。これから6週間で在庫が大幅減少してはじめて「供給不足」なのだが。
比較在庫インデックスというのは過去5年間の平均と比較するので信頼性が高い。下のグラフは比較在庫(Comparative Index)が過去のどの時期よりも3億バレル高い水準にあることを示している。(絶対在庫は31億バレル。)
過去実績では比較在庫がゼロになるのが80ドル超の時点である。3億バレルの差を解消するには油価が70ドルから80ドルでないといけない。
最初の需給バランスのグラフは、じつは「需産バランス」にすぎない。生産調整をしたところで在庫が減るだけなのだ。だから比較在庫インデックスが大切になる。
次のグラフは比較在庫とブレント価格のクロスプロットだ。これが示すのは、現行の55ドルという油価は10ドルほど高すぎるということ、そして2億バレルなくならないと70ドルにならないということだ。
OPECの生産調整が市場価格に影響するには時間が必要だ。おそらく4億バレル(過去5年平均との差)を消化するには1年が必要だろう。条件としてOPEC合意が6ヶ月継続し、非OPEC諸国も今のペースで減産を続けなければならない。
ところがアメリカの生産が一定じゃないのだ。
2014年の原油価格急落のきっかけとなったのが北米のシェールオイルだった。(下グラフ。)なんちゅうてもアメリカとカナダの2国で世界の原油とコンデンセート(ナフサみたいなもん)増加分の44パーセントを占めるのだ。
アメリカの産油量は価格が下落したら減り、上昇したら増える。(下グラフ)EIAの予想では2017年末には928万バレル、2018年末で1千万バレル増加する。
2016年9月のOPEC合意以来、アメリカのリグ数は130増えた。(下グラフ)シェール企業のイーグルフォードもバッケンもリグ数を増やしている。
シェール企業に資金が流入している。2016年にリグ拡張だけで100億ドル、土地買収に280億ドルの投資である。
70ドルはまず無理。
業界筋は楽観的だが、高値になるべき理由をぜんぶ集めたとしても6ドル程度の上乗せ(=53ドルの先物価格)がせいぜいじゃないのか。資金流入のあとにはかならず油価が下落している。下グラフでは2008年リーマンショック後の下落、2014年の急落、そして2015年の下落があった。
在庫を見れば現在の油価が高すぎるのは一目瞭然だ。
比較在庫も過去最高レベルだ。(下グラフ)
ほぼ同水準の2016年3月でWTIは39ドルだった。今よりちょっとましな2016年8月で47ドル。赤線のトレンドラインで考えると現行油価はあきらかに6〜7ドル高すぎる。
油価はファンダメンタル経済指標の反映であるとは限らない。市場価格の調整材料であるにすぎない。市場はOPEC減産を織り込み済みで6〜7ドル高値となっているのかもしれないが、そうであるならやはり70ドルというのはありえない。
OPEC合意はたしかに大きな材料だが過去2年間の軌跡はボラティリティーが大きな要因であることを物語る。アメリカの産油量が下振れワイルドカードといえる。WTIは50ドルを切ってもおかしくない、というのが筆者の予想だ。
Feb 17, 2017 5:00 AM
OilPrice.comからアーサー・バーマンの投稿。
http://www.zerohedge.com/news/2017-02-17/why-sub-50-oil-more-likely-70-oil
以下要約:
生産者側は70ドルというが、おそらく50ドル割れで当面安定するのではないか。
先週時点でアメリカの原油在庫が過去最高の1380万バレルとなった。シェールオイルを汲み出すリグ数がは130基である。関係者は現行の53ドル/バレルではなく47ドルであっても不思議ではないという。問題は過剰生産ではなく過剰在庫なのだ。生産調整は価格に直接反映されにくい。国際エネルギー機関(IEA)の発表によると、供給が不足している。
しかるに先進国の在庫は過去5年平均で4億バレル。これから6週間で在庫が大幅減少してはじめて「供給不足」なのだが。
比較在庫インデックスというのは過去5年間の平均と比較するので信頼性が高い。下のグラフは比較在庫(Comparative Index)が過去のどの時期よりも3億バレル高い水準にあることを示している。(絶対在庫は31億バレル。)
過去実績では比較在庫がゼロになるのが80ドル超の時点である。3億バレルの差を解消するには油価が70ドルから80ドルでないといけない。
次のグラフは比較在庫とブレント価格のクロスプロットだ。これが示すのは、現行の55ドルという油価は10ドルほど高すぎるということ、そして2億バレルなくならないと70ドルにならないということだ。
OPECの生産調整が市場価格に影響するには時間が必要だ。おそらく4億バレル(過去5年平均との差)を消化するには1年が必要だろう。条件としてOPEC合意が6ヶ月継続し、非OPEC諸国も今のペースで減産を続けなければならない。
ところがアメリカの生産が一定じゃないのだ。
2014年の原油価格急落のきっかけとなったのが北米のシェールオイルだった。(下グラフ。)なんちゅうてもアメリカとカナダの2国で世界の原油とコンデンセート(ナフサみたいなもん)増加分の44パーセントを占めるのだ。
アメリカの産油量は価格が下落したら減り、上昇したら増える。(下グラフ)EIAの予想では2017年末には928万バレル、2018年末で1千万バレル増加する。
2016年9月のOPEC合意以来、アメリカのリグ数は130増えた。(下グラフ)シェール企業のイーグルフォードもバッケンもリグ数を増やしている。
シェール企業に資金が流入している。2016年にリグ拡張だけで100億ドル、土地買収に280億ドルの投資である。
70ドルはまず無理。
業界筋は楽観的だが、高値になるべき理由をぜんぶ集めたとしても6ドル程度の上乗せ(=53ドルの先物価格)がせいぜいじゃないのか。資金流入のあとにはかならず油価が下落している。下グラフでは2008年リーマンショック後の下落、2014年の急落、そして2015年の下落があった。
在庫を見れば現在の油価が高すぎるのは一目瞭然だ。
比較在庫も過去最高レベルだ。(下グラフ)
ほぼ同水準の2016年3月でWTIは39ドルだった。今よりちょっとましな2016年8月で47ドル。赤線のトレンドラインで考えると現行油価はあきらかに6〜7ドル高すぎる。
油価はファンダメンタル経済指標の反映であるとは限らない。市場価格の調整材料であるにすぎない。市場はOPEC減産を織り込み済みで6〜7ドル高値となっているのかもしれないが、そうであるならやはり70ドルというのはありえない。
OPEC合意はたしかに大きな材料だが過去2年間の軌跡はボラティリティーが大きな要因であることを物語る。アメリカの産油量が下振れワイルドカードといえる。WTIは50ドルを切ってもおかしくない、というのが筆者の予想だ。
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