2021年8月26日木曜日

地域の問題に外部が介入するとロクなことはない

 イラクに住んで働いていた1983年、農業省の官僚がたいていスンニ、現業労働者はシーアでその多くは文盲だった。商社の事務所の秘書のアリスさんはアルメニア人だった。

知識階級がスンニで労働者階級がシーア。イギリス統治時代にイギリス人がわざとそうしたのだという説明をどこかで聞いたことがあったが、より古い由来を知ったのは最近のことだ。

それは、オスマントルコの時代にいまイラクと呼ばれている地域を統治するために、トルコがスンニの太守を派遣したことにはじまる。だからバグダッドの西方の限られた地域だけがスンニなのだ。戦争で雇用がなくなったと文句を言っていたのはたいていスンニの若者で、いわば既得権益を失った怒りだったのだ。

アメリカが起こしたイラク戦争の帰結として、「民主主義」のルールにもとづいてシーアによる政権樹立を支援したら、不満を感じたスンニ地域がISISの温床となった。

地域の問題に第三者が介入するとロクなことはない。

スコット・ホートンの反戦ラジオでインタビューされたTrita Parslという人が興味深いことを言っていた。トランプがサウジ支援に消極的になったとき、サウジがイラクを舞台にしてイランとの対話を非公式に模索していた。その密書をもってバグダッドに降りたったスレイマニ将軍がアメリカにより爆殺されたので、せっかくのチャンスが消滅してしまったという。

https://tunein.com/podcasts/News--Politics-Podcasts/Scott-Horton-Show---Just-the-Interviews-p1229749/?topicId=165341560

地域の問題に外部が介入すると、やはりロクなことはない。

もしどうしても本当に課題解決のために介入したいのなら、スンニとシーア間の融和政策を助言し、実施のための財政援助をすべきだったと思う。

サダム・フセインの圧政下であったとはいえ、知的労働はスンニ、現業労働はシーアという棲み分け意識はいきわたっていた。読み書きもままならない人々がいきなり知的労働につくと社会が混乱するだけなので、知的労働ジョブを増やして派閥を問わず門戸を開放し、同時にシーア子弟への教育支援を手厚くする。それを30年間くらいやれば、宥和につながったのではないか。

アフガニスタンも同じことで、ムガール帝国がイギリスに滅ぼされてからずっとこの地域はごたごたしていた。グレートゲームと呼ばれていた時代から、ロシア、イギリス、中国が介入したあげく、ここにかかわったら本国が危なくなるということで「帝国の墓場」と呼ばれるようになった。20年間続いた直近のアフガン戦争で、カルザイを擁立したのはアメリカの勝手な都合だったし、爆撃や襲撃をするたびに民間人を殺傷し、タリバン志願者を増やしたのもアメリカだった。軍事産業・シンクタンク・好戦メディア複合体に駆動されるアメリカ帝国の最終形態であり、行動様式である。

そうではなくて、部族間の争いを宥和するような方法はなかったのだろうか。

いや、ない。と、盆地ごとにカルチャーが違う長野県に住んでいる我輩は思う。だから帝国の墓場なのだ。

水問題も同じことで、アムダリヤ川のことはタジキスタン、キルギスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、そしてアフガニスタンに任せておけばいい。スイスがアフガン以外の5カ国だけを調査してレポートを出すという恥ずかしい挙動に出たのは、スケベ—心の表出だと考えていい。

スイスは山国で、部外者が介入したら紛糾することはよくわかっているはずなのだから。

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