ジョン・ミアシャイマー:ワシントンで鳴り響いとる「静かな警報」
https://www.youtube.com/watch?v=3fSoUMMoPYM
今から話すことは、派手な記者会見やニュースのヘッドライン、あるいはSNSで流出した機密文書から出てきたもんやない。これは一つの「パターン」なんや。アメリカの情報機関(インテリジェンス)が公には滅多に口にせえへんけど、今ワシントンの作戦会議室を「完全な沈黙」に陥れとるパターンや。
今、アメリカの情報コミュニティの内部で、静かな、それでいて強烈な警報が鳴り響いとる。 何が一番恐ろしいかって? それはな、ロシアが何か派手で混沌とした、攻撃的なことをしたから鳴っとるんやない。その逆や。ロシアが「異常なほど抑制され、計算され、規律正しく動いとる」から警報が鳴っとるんや。 超大国がいきなり大声出すんをやめて、囁き始めた時……それは撤退のサインやない。戦略が変わったっちゅうサインや。ワイの分析では、アメリカはこの「次の一手」に対して全く準備ができてへん。
ここ数週間、ロシアから出てくるシグナルが変わった。核の威嚇も、外交的な大騒ぎも、ノイズがピタッと止まったんや。この「静寂」に、CIAやペンタゴンの分析官たちは呆然としとる。 ええか、情報の世界では、実は「ノイズ」がある方が安心なんや。敵が脅してきとるうちは、何を考えとるか分かるし、制裁や武器供与にいちいち反応しとるうちは、次の動きも読みやすい。 けどな、とてつもない圧力を受けとる大国が、急に「冷静」に、「計画的」になった時……それは往々にして、巨大な戦略的転換の前触れなんや。
アメリカの情報機関は今、認めたくない事実に直面しとる。 「ロシアはもう、西側の圧力に対してリアクション(反応)するのをやめた」ということや。あいつらはもう、ワイらのゲームには付き合わんことにしたんや。その代わりに、戦略環境そのものを根底から変えてまうような動きを見せ始めとる。しかも、ワシントンが全く予期してへんやり方でな。
勘違いせんといてほしいんやけど、明日いきなりNATO諸国に侵攻するとか、そういうハリウッド映画みたいな話をしとるんやない。もっと構造的で、深くて、根本的な話や。 ロシアの次の一手は、ウクライナだけを狙ったもんやない。NATOの東側諸国を叩くことでもない。 ロシアは「反応する立場」から「状況を形作る(シェイピング)立場」にシフトしたんや。 攻撃されたからやり返すんやなくて、バトルのルールそのものを変えて、アメリカとその同盟国に「どれを選んでも地獄」っていう不可能な選択を突きつけようとしとる。ワシントンが何をやっても、長期的には高いツケを払わされるような状況を作り出しとるんや。
リアリズムの視点から見れば、これは極めて合理的や。生き残りがかかった国家は、闇雲には動かん。適応し、進化する。 これまでのロシアは、西側が戦車を送れば脅し、制裁をすれば文句を言うとった。分かりやすかったんや。 けど今はどや? ロシアの動きは静かで、選択的で、間接的になった。これは「準備」のサインや。敵がデタラメにパンチを振り回すんをやめて、グッと足場を固め始めたら、それは別の種類の戦いに備えとるっちゅうことや。
ロシアは気づいたんや。「西側と同じ土俵(対称的)で戦っても、戦略目標は達成できへん」とな。西側の世論をショック療法で変えようとするんもやめた。 その代わりに、あいつらは「戦場」を変えたんや。 軍事的、経済的、政治的なパワーバランスを、複数の地域で同時に、じわじわと作り替えとる。これは単発の派手なエスカレーションよりずっと危険や。なぜなら、アメリカの注意を分散させ、リソースを枯渇させ、同盟の結束をバラバラにするからや。
ロシアはもう、ウクライナを唯一の重心とは見とらん。もちろん重要やけど、あいつらにとって今は「アメリカとの長期的な対決」が本番なんや。NATOなんてアメリカの力の延長に過ぎんと思っとる。 ワシントンはいまだに「ドンバスで戦車がどないした」「ミサイルの在庫がどないや」と、目先の戦場の話ばっかりしとるけど、ロシアが見とるんは「アメリカの世界的な支配構造(アーキテクチャ)」そのものや。
一番不気味なんは、ロシアが「何を言うとるか」やなくて「何を言わなくなったか」や。 一年前はあんなに頻繁やった核のシグナリングも、今や影を潜めた。軍事演習も派手に宣伝せえへん。外交的な口調は冷淡になったけど、中身はより鋭くなっとる。 これは弱さの兆候やない。「自信」の兆候や。大声で脅さんでも、次のフェーズに進めるという自信やな。
ロシアは、西側が「直接的な世界大戦(WWIII)だけは絶対に避けたい」と思っとることを熟知しとる。だから、真っ赤なレッドラインを派手に踏み越えるようなことはせえへん。ポーランドに軍を進めるような真似もしない。 あいつらが狙うんは、エスカレーションの定義が曖昧な「グレーゾーン」や。アメリカの反応が遅れ、官僚機構が停滞し、政治的な意志が割れる……そういう隙間を突いてくる。
ロシアは今、ウクライナの戦況がどないなろうと揺るがへんような「長期的な軍事的優位」を固定しようとしとる。一年やなくて、十年単位の産業動員。欧米以外のアジア、グローバルサウス、中東との同盟構築。 あいつらは「スプリント(短距離走)」やなくて「マラソン」の準備をしとるんや。これはギャンブルやない。長期にわたる「包囲戦」や。
「制裁でロシアは孤立する」っちゅう西側の思い込みも、もう通用せえへん。制裁は確かにコストを強いたけど、皮肉なことにロシアを非西側のネットワークに統合させるスピードを早めてしもた。 エネルギーの流れを変え、ドルを介さない金融システムを作り、欧州の外で安全保障の絆を深める。 CNNの速報にはならんような地味な動きやけど、これが時間をかけて戦略環境を塗り替えていくんや。
抑止力っちゅうのは、「これをしたらこうするぞ」というラインがはっきりしとるから機能するんや。けどロシアは今、軍事、経済、政治の境界線を意図的にぼかしとる。 そうなると、アメリカは常に「これは戦争行為か? それとも単なる競争か?」と議論せなあかん。反応が遅れる。ロシアはそのダイナミクスを無慈悲に利用しとるんや。
ええか、ワイは別にどっちが善玉でどっちが悪玉かなんて話はしとらん。これは大国としての振る舞いの話や。アメリカだって、もし中国がカナダやメキシコと軍事同盟を結んだら、猛烈に叩き潰しにいくやろ? それと同じや。 問題は、双方が「自分らは防衛的に動いとる」と信じ込んどる時に、誤算のリスクが跳ね上がるっちゅうことや。
ワシントンの政治家は、エスカレーションを自分らでコントロールできる「ツマミ」みたいに思っとるけど、現場のプロはそんなに楽観視してへん。敵が静かに戦略を変えたら、伝統的な警報システムは機能せえへん。対応は後手に回り、その場しのぎの即興(インプロヴィゼーション)になる。危機的な状況での即興は、破滅を招くんや。
NATOの結束も試されとる。ロシアはNATOを真っ向から攻撃して結束させるようなヘマはせえへん。それよりも、エネルギー供給やサイバー攻撃、政治工作を使って、同盟国ごとにバラバラのダメージを与える。ドイツとポーランド、フランスとイギリスで脅威の感じ方がズレていけば、集団的自制は弱まっていくんや。
さらに、アメリカには「時間」の問題がある。ロシアは独裁国家やから、長期的な利益のために短期的な苦痛に耐えて待つことができる。 けどワシントンはどや? 2年ごとの選挙、24時間のニュースサイクル。常に「目に見える成果」を求められる政治環境におる。この「非対称性」が脆弱性を生むんや。 ゆっくりと進む戦略的転換は、国民が気づかんうちに進行し、気づいた時にはもう手遅れ(逆転不可能)になっとる。
一番危険なんは、「自分らの方が正しい、自分らは抑制的に動いとる」とお互いが思い込んどることや。 アメリカは「圧力をかけ続ければ抑止できる」と信じ、ロシアは「戦略を変えれば安全を守れる」と信じとる。この「自称・抑制」のぶつかり合いこそが、意図せぬ大爆発を招くんや。
ワシントンの政治の壁も厚いな。CIAが「明日ロシアが攻めてくる」と言えば大統領は動くけど、「ロシアが10年かけて世界経済を作り替えようとしとる」と言われても、政治家はあくびするだけや。ロシアはそれを見抜いて、政治的に対処しにくい「静かな動き」に徹しとるんや。 警告が繰り返されても何も起きへん状況が続くと、政治家の注意は鈍る。これを「警告疲労」と言うんやけど、今のワシントンはまさにその状態やな。
最後にはっきり言うとく。ロシアが「非合理的」なことをしようとしとるんやない。その逆や。極めて戦略的に筋が通った、それでいて正当化しやすい、限定的な範囲の動きをしてくるやろう。 そうなった時、アメリカは究極の選択を迫られる。「この不利益を飲み込むか、それとも世界大戦のリスクを冒してエスカレーションさせるか」や。 これが大国間の競争のリアルや。派手な爆発やなくて、時間をかけて積み重なる「地味な変化」こそが、世界を変えるんや。
今の状況は、映画みたいな劇的なもんやない。静かで、曖昧で、じわじわ進んどるからこそ、最高に危険なんや。ロシアの「次の一手」は、即座の反撃を引き起こさんかもしれんけど、これから何年にもわたって戦略地図を書き換えてまうやろう。 気づいた時には手遅れ……国際政治における最も重大な転換は、いつもそうやって起きるもんや。


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