2026年1月15日木曜日

マイケル・ハドソン:ワシントンはどないしてエネルギーを武器にしとるんか

https://michael-hudson.com/2026/01/how-washington-uses-energy-as-a-weapon/

2026年1月12日(月)

世界の石油貿易を武器にすることは、アメリカの「ルールに基づく秩序」の土台やねん

イラン(1953)、イラク(2003)、リビア(2011)、ロシア(2022)、シリア(2024)、そして今のベネズエラ(2026)。これら全部の国に対するアメリカの攻撃や経済制裁の根っこにある共通点は、アメリカが世界の石油貿易を「武器」にしとるっちゅうことや。石油を支配することは、世界の幅広い貿易とドル化した金融の仕組みを、自分らだけで牛耳るための主要な方法の一つなんや。上に書いたような国々が、自分らの利益や外交のために石油を使おうとするんは、アメリカにとっては、石油貿易を使って自分らの外交目的を押し通す能力への、最も深刻な脅威になるんや。

近代的な経済は、工場を動かすのも、家の暖房や照明、ガスからの肥料、石油からのプラスチック、そして輸送の燃料、全部に石油が必要やねん。アメリカやそのイキり隊(イギリスのBP、オランダのシェル、今のOPEC)の支配下にある石油は、長いことアメリカの役人が使える「チョークポイント(急所)」やった。アメリカの意図に反する政策をとる国に対して、アメリカはその国への石油の供給を断つことで、その経済を大混乱に叩き落とすことができるんや。

今の世界戦略家たちが「中国、ロシア、そしてBRICSのイキり隊に対する文明の戦争」と呼んどる中での、アメリカ外交の最優先の目的は、諸国がアメリカ支配下の世界経済から抜けるんを阻止して、ユーラシア中心の経済グループが出てくるんを邪魔することや。けど、アメリカが世界を圧倒しとった第二次大戦直後と違って、今は外国をアメリカ中心の経済に惹きつけるようなプラスの材料がほとんどない。トランプ大統領が言うたように、今は「アメリカがどんな貿易や投資でも得をして、他の国は損をせなあかん」という世界やからな。

ロシアを孤立させて、その背後におる中国やイランもセットで追い詰めるために、トランプ大統領は2025年4月2日の「解放記念日関税」を使って、ドイツやEUのリーダーらに圧力をかけた。ノルドストリーム2のパイプラインの一部がまだ動いとったのに、ロシアからのエネルギー輸入を自分らでやめるように仕向けたんや。ドイツやEUが、2022年2月のノルドストリーム破壊を黙って受け入れたんは、アメリカの外交官が他所の国を(その国が損をしても)冷戦時代の軍事同盟に強制的に入れさせて、アメリカが敷いた方針に従わせる能力があるっちゅう証拠や。ロシアと中国の経済を孤立させてダメージを与える(ついでに、アメリカ産の液化天然ガスを売って儲ける)ために、ドイツは工業化を捨てて競争力を失うっちゅう犠牲を強引に求められたわけや。

アメリカの国家安全保障政策の大きな特徴は、他の国が自分らの安全や経済利益を守るために行動するんを邪魔する力にある。この非対称な構造は、第二次大戦後、アメリカが戦火でボロボロになった欧州に莫大な支援をできた時から作られたもんや。けど、今のアメリカの強制力は、急所を突いて損害や混乱を引き起こすと脅すか、最後の手段として弱い国を爆撃して言うこと聞かせるか、そんな破壊的なやり方に頼っとる。この「壊す力」こそが、工業化を失って、ドルの支配的な地位すら危うくするほどの対外債務を抱えたアメリカ経済に残された、唯一の道具なんや。

第二次大戦の終わりには、金(マネー)が西洋経済の主要な急所やった。アメリカ財務省は世界の80%の金をかき集めて、1971年まで続いた「ドル・金本位制」で世界を支配した。ほとんどの国が金を持たず、借金せなあかん状況で、アメリカの外交官はIMFや世界銀行を使って、アメリカに有利な民営化や増税を条件に金を貸した。これら全部が、今も続くドル化された国際貿易と金融システムの仕組みに組み込まれとる。

金(マネー)に加えて、石油も国際的に欠かせんもんなった。せやから、これも急所になる。1974年にOPECが石油価格を4倍にした時、アメリカは「輸出で儲けた金はアメリカの国債や銀行に投資せえ。さもなきゃ戦争や」と脅して約束させた。これが今のドルの強さを支える「ペトロダラー」の始まりや。

1974年以来、アメリカの役人は、石油や原材料の価格をドルに固定させるだけやなくて、その儲けをアメリカに貸し出させる(投資させる)ように動いてきた。これこそが、トランプが「アメリカ市場を使いたければ、見返りを出せ」と外国に迫っとる「ギブバック(お返し)」の正体や。

最近の例では、1月6日のエネルギー省の発表がある。トランプ政権は、ベネズエラに最大20億ドル分の石油輸出を許可するけど、その条件は「売上金はアメリカが管理する銀行口座に入れ、アメリカとベネズエラの国民にどない配分するかはトランプ政権の裁量で決める」というもんや。

重要資源の世界貿易における、アメリカの優先権の要求

1973年9月、OPECの価格革命の前年、アメリカはチリのアジェンデ大統領を失脚させた。問題は銅産業の国有化それ自体やなかった。実はアメリカの会社も、自分らの利益のために銅の価格を上げるんには賛成しとったんや。石油会社が1974年のOPECによる価格上昇を受け入れたんと同じ理屈やな。

問題は条件やった。アメリカは「チリの銅を、価格がどないであれ、アメリカ企業に最優先で売れ」という保証を求めた。チリの主権を守るためにアジェンデがこの要求を拒んだ結果、彼は追い出されたんや。

ベネズエラの場合、アメリカが一番イラついとるんは、ベネズエラが中国の石油需要の5%を供給しとるからや。イランやキューバにも売っとる。ロシアやベネズエラが自由に石油を売れるようになると、アメリカが「石油」という武器を使って他所の経済を締め上げる力が弱まってまう。アメリカの支配下にない石油の供給は、アメリカの「ルールに基づく秩序」への侵害や、と見なされとるわけや。

さらに悪いことに、ベネズエラは2017年に、石油の価格をドル以外の通貨で決めると言い出した。中国が投資し、マドゥロ大統領が「人民元」で価格をつけるなんて話まで出た。「アメリカの帝国主義システムを終わらせる」なんてマドゥロが言うたもんやから、アメリカは黙っとらんかった。

今の世界を支配しとるんは、国連憲章やなくて、書かれざるアメリカのルールや

アメリカ外交は、他所の国を不安にさせんと自分らの安全を感じられへんし、他所の国が自由に貿易相手や貯金の使い道を決めるんを「脅威」やと見なす。他所の国をアメリカ支配下の石油に依存させて不安にさせるんは、アメリカの主要な手段やけど、これまでは公の文書には書かれてこんかった。けど、この1週間のトランプたちの露骨な発言で、ようやくその本音が隠せんようなってきた。

なんでこれまで隠してきたか。それは、これらの原則が国際法(それと、アメリカが口先だけで言うてきた「自由市場」の原則)と真っ向からぶつかるからや。ベネズエラへの攻撃やマドゥロの拘束は、その最たる例や。アメリカのリーダーらは、これを「ルールに基づく秩序」として許されることやと思とるけど、実際には国連憲章(主権国家への武力行使の禁止)に対する明白な違反や。

驚くべきことに、アメリカは自分らの侵略を「自衛」やと言う。フィナンシャル・タイムズのラフマンは「台湾の半導体が中国に渡ったり、南シナ海を北京が支配したりすれば、アメリカの安全保障が危うくなる」と書いとる。アメリカは世界で一番脅かされとる、かよわい国みたいやな。トランプにいたっては、グリーンランドの場所すら「安全保障の脅威」やと言い出し、この2ヶ月で何とかすると約束しとる。

スティーブン・ミラー(トランプの補佐官)は「グリーンランドはアメリカの一部であるべきや。これが政府の正式な立場や」と断言しとる。他所はアメリカと軍事でやり合う気はないやろうから、力ずくで奪えると思とるんやな。

一番不気味なんは、2026年初頭のこの脅しが、ロシアや中国の船が北大西洋に入るためのルートを遮断しようとしとる点や。NATOもこれを支持しとる。NATO事務総長のルッテも「北極海を安全に保つ」=「中国やロシアの船を入れんようにする」という考えで一致しとる。

ウォール・ストリート・ジャーナルの社説も、アメリカの支配から独立しとる国から「身を守る」必要があると主張しとる。パナマのノリエガを捕まえた時のように、軍事的な打倒こそが「ならず者に対する唯一の防御や」と言うとる。国際法なんていうもんは、邪魔になれば踏みつけるもんで、「暴君の親友」でしかないと鼻で笑うとるんや。

「力こそが正義」っちゅうのが、結局のところ奴らの本音やな。スティーブン・ミラーは「我々は、強さと、力と、権力が支配する現実の世界におるんや。それが太古の昔からの鉄の掟や」とまで言うとる。

アメリカの外交官は「国連に軍隊なんかおるんか?」と開き直る。国連の決議なんてアメリカが拒否権を使えばええし、気に食わんければ無視すればええ。ベネズエラの大統領をさらったみたいにな。アメリカの貿易や金融の輪におる国にとっては、アメリカのルールこそが「法律」なんや。

トランプは隠しもしない。「ベネズエラの石油が欲しいんや」。既に石油タンカーを差し押さえとるし、言うこと聞かんのやったら軍隊を出して、アメリカ企業に石油を渡して、自分らの手下を新しい指導者に据えると言うとる。

1974年にOPECをドル経済に引き込んだ時は、アメリカはまだ世界最高の経済大国やった。今もドル金融システムは支配しとるけど、工業力は落ちて、対外援助も減らしとる。他所の経済成長を助ける力はもうなくて、今は「他所の貿易を邪魔して成長を止める力」こそが外交の強みになっとる。ベネズエラへの攻撃も、石油を強奪するだけでなく、諸国が「脱ドル化」してアメリカの一極支配から抜け出そうとするのを阻止するための「見せしめ」なんや。

資源の強奪もある。スティーブン・ミラーは「アメリカが資源を欲しがっとるなら、その国に主権なんてない」とまで言い放った。ウォルツ国連大使も「世界最大のエネルギー資源を、アメリカの敵に握らせとくわけにはいかん」と言うた。

アメリカの法理は「持っとるもんが勝ち(占有は法の10分の9)」や。ベネズエラの攻撃の口実には「コカインの密輸」とか適当な話を持ち出しとるけど、結局は「俺の言うことを聞かん奴から石油を取り上げる」という一点に尽きる。

マドゥロが裁かれとる「本当の罪」は、石油の価格を人民元でつけようとしたことや、中国に石油で借金を返そうとしたことや。これは、2003年にイラクに攻め込んだ時の「大量破壊兵器」と同じ嘘の口実や。アメリカの「スタンド・ユア・グラウンド(自分の居場所を守る権利)」原則によれば、アメリカの敵である中国やロシアと貿易するんは「アメリカへの脅威」であり、それに対する侵略は「正当防衛」になるんや。警察官が「脅威を感じたから殺した」と言うんと同じ主観的な言い訳やな。

トランプによる石油貿易の武器化は、海法を含む国際法の根本を捨て去るもんや。ベネズエラ沖で漁船を爆撃して船員を殺したり、タンカーを奪ったりするんは、まさに無法地帯や。

さらに、この石油支配への執着は、地球環境まで犠牲にしとる。アメリカは他所の国が「脱炭素」するんを全力で邪魔しとる。風力や太陽光が普及したら、石油という武器が使えんようなるからや。パリ協定に反対するんも、環境のためやなくて、支配権のためや。

皮肉なことに、中国が再生可能エネルギーでリードしとる。アメリカは「自分の支配下にある石油」に固執するあまり、国内の太陽光や風力への投資まで止めてしもた。トランプは「風力発電は国家安全保障の脅威や」と言い出して、建設を止めさせとる。

今、AIの普及で電気がめちゃくちゃ必要になっとるのに、アメリカのエネルギー生産は横ばいや。一方で中国は、太陽光や風力を使って電気をガンガン増やして、技術でも先行しとる。アメリカは、世界の石油依存を維持するために、自分らの新しいエネルギー源すら潰しとるわけや。

まとめ:石油に関するアメリカのルールの要点

石油貿易の支配はアメリカの特権や。 ロシアやイラン、ベネズエラから石油を買うんは禁止。敵の石油は軍事力で奪う。イラクやシリアの石油は今も盗まれとる。

決済は必ず「ドル」でやれ。 西側の銀行やSWIFTシステムを使え。

ペトロダラーのルール。 石油で儲けた金はアメリカに投資して、ドルを支えろ。

「緑のエネルギー」は邪魔しろ。 石油への依存を減らすような代替エネルギーは、アメリカの支配力を弱めるから許さん。

アメリカに法律は適用されん。 国連も国際法院も無視や。軍事力を持たん組織にアメリカを止める力はない。

0 件のコメント:

コメントを投稿

登録 コメントの投稿 [Atom]

<< ホーム