2026年1月5日月曜日

マイケル・ハドソン & リチャード・ウルフ:米国の安全保障がグローバル・リスクになった

https://michael-hudson.com/2025/12/how-u-s-security-became-a-global-risk/

対談:2025年12月27日

ニーマ: 今日は2025年12月11日木曜日。リチャード・ウルフとマイケル・ハドソンを迎えてます。マイケル、米国の新しい国家安全保障戦略(NSS)について。このドクトリンは中国を米国の主要な敵としてターゲットにしてます。米国の安全保障が他国の環境を支配することに依存しとるなら、新興勢力が主権を主張する世界で、米国は果たして安心できるんでしょうか?

マイケル・ハドソン: それこそが問題や、ニーマ。米国にとっての安全保障とは、世界の他の地域、環境、他国をコントロールできる能力を意味しとる。他国が独立して行動する主権を持つほど、米国は不安を感じるんや。 米国はその不安を解消するために、世界中に800もの軍事基地を作ってアジアや他の地域を包囲しとるけど、これが他国の安全を脅かしとる。Vladimir Putinは、この1年、ドナルド・トランプのチームに「安全保障はすべての国にとって相互的であるべきや」と説明し続けてきた。NATOのウクライナやロシア周辺への拡大は脅威や。米国の不安を解消するために他国を軍事的に不安にさせてええわけがない。

この経済的・軍事的制約の最大の要因は中国や。1955年のバンドン会議以来、非同盟諸国は植民地主義や金融帝国主義の遺産から脱却しようとしてきた。かつては世界銀行やIMFを通じて米国の利益に従わされ、米国の貿易や投資に依存するしかなかった。 ところがここ数十年の間に、中国は「中国の特色ある工業社会主義」によって自給自足へ大きく前進し、ロシアや中央アジアとの「一帯一路」を通じた繋がりを強めた。今や世界は互いに相互依存でき、米国市場に頼らんでも、デ・ダラリゼーション(脱ドル化)し、中露の製造業や原材料に頼ることで米国を代替できるようになったんや。

米国が中露を「敵」やなくて「競争相手」と呼ぶんは、そもそも同じ経済システムの中におらんからや。中国が19世紀の英国やドイツ、米国がやったような「混合経済(政府がインフラや医療を補助する実体経済)」を再発明しとる一方で、米国自身はデ・インダストリアリゼーション(産業空洞化)し、安価な労働力を求めて海外に依存し、自国の労働賃金を下げてしもた。 今の米国の金融資本主義は、利益を工場の建設や研究開発に回さんと、自社株買いや配当に使って、株価を上げることだけに執着しとる。「産業社会主義(19世紀の産業資本主義に近い)」と、自国の経済を蝕む「米国の金融資本主義」。この二つのシステムの対決なんや。

世界はドルの代わりに自国通貨で貿易を始め、中国はSWIFTに代わる電子決済システムを作った。米国がロシアや中国をSWIFTから切り離して脅そうとしても、「米国に依存する必要はない」と中国が言うとる。これが米国にとって最大の脅威なんや。1971年に金本位制を離脱して以来、米国は他国に財務省証券(TB)を持たせることで、自国の軍事費や貿易赤字を他国に肩代わりさせてきた「フリーランチ」を食うてきた。他国の貯蓄が、自分たちを包囲する米軍の資金源になっとるっちゅう自己破壊的な構造やな。

このドル・スタンダードが終わろうとしとる。中国はドルの保有量を一定に保ち、金(ゴールド)や貿易相手国の通貨にシフトしとる。日本の保有量がまだ多いけど、今注目なのはステーブルコインや。数年で2兆ドル規模になると言われとる。これは財務省証券に投資されるけど、同時に規制されとらんから、ゼレンスキーとその一味のような犯罪者や強奪者たちが、規制当局の目から金を隠すための乗り物になっとる。

米国が他国から搾取できる最後のグループは、今やNATO、つまり欧州連合(EU)や。欧州はドナルド・トランプのあらゆる要求に屈する「サレンダー・モンキー(降参する猿)」になってしもた。ロシアや中国との貿易を諦め、米国市場に完全に依存することに同意したんや。米国は少なくとも欧州だけは囲い込もうとしとる。

リチャード・ウルフ: 12月4日に発表されたNSSの文書は歴史的に重要や。ミアシャイマー教授が言うように、大国は本質的に不安を感じ、それを解消しようとして戦争を起こす。けど、なぜ不安なのか? それは「資本主義の競争モデル」そのものや。 3つの会社が同じ靴を作っとるとして、一方が改良すれば他方のシェアを奪う。他方の成功は、自分の成功の危機を意味する。これが資本主義の競争の正体や。競争が改善を生むというんはイデオロギーの嘘で、実際には手抜きや嘘の広告、破壊的な結果を生んどる。

このNSS文書は、欧州がいかに転落したかを示しとる。マクロン、フォンデアライエン、スターマー、メルツ、メローニ……彼らが気づいてへんのは、今や「欧州と米国のどっちが先にロシアや中国と取引をして、相手をハメるか(スクリューするか)」という新しい競争の中におることや。欧州の巨大企業は戦略的な選択を迫られとる。生産拠点を米国に移すかどうかも含めてな。

そして、この文書では中露を「敵」とは呼んでへん。米国は、もはや世界を支配できんことを認めたんや。ロシアや中国と戦って勝てるわけがない。だから、自分たちの力を誇示するために、カリブ海の小さなボートやベネズエラのような国に限定して攻撃を仕掛けとる。これは「死にゆく帝国」の断末魔や。 かつて第一次世界大戦の惨劇の後、多国間主義や国際連盟、国際連合が試みられたけど、資本主義の再編に失敗して冷戦がそれらを台無しにした。今、私たちは「個々の企業が競争するのが神の贈り物ではない」と理解し始める段階におる。

ニーマ: マイケル、もしデ・ダラリゼーションが成功すれば、米国は「フリーランチ」なしで軍事費を維持できるんでしょうか?

マイケル・ハドソン: それこそがNSSの本質や。彼らはドルの衰退を認めつつ、影響圏を固めようとしとる。米国が確保できるのは「捕虜となった欧州」とラテンアメリカや。 米国の戦略は1945年以来、世界のエネルギー供給(石油とガス)をコントロールすることやった。エネルギーを握れば、他国の電気や工場を止められる。今回のベネズエラの件も、この新モンロー主義の一環や。

昨日もロシアの石油タンカーが狙われ、米国はベネズエラから石油を積んだタンカーを拿捕した。トランプはベネズエラを「石油生産国」やなくて「ナルコ・テロリスト(麻薬テロ国家)」と呼んどる。自分らがCIAスポンサーの麻薬取引の中心やのに、他人のことを「ぷーぷーぱんつ(お漏らし野郎)」と呼んどるようなもんや。 拿捕した石油をどうするか聞かれたトランプは「うち(We)がキープする」と言うた。石油を強奪して、それを米国石油会社に渡し、ドルの価値と軍事費を支えるんや。同時に、クアッド(日本、フィリピン、台湾)にはもっと米国製武器を買わせ、中国に対して常に脅威を与えさせようとしとる。台湾人や日本人は、最後の一人まで死ぬ気があるんか? 独裁者が金をもらえば従うかもしれんけどな。

米国が提供できるんは、産業や金やなくて「殺さないでおいてやる(爆撃しない)」という合意だけや。チリのピノチェトや、今のマドゥロに対する脅しと同じや。 これに対して中露やイランはどうするか? もし米国が石油輸出を妨害し続けるなら、イランはペルシャ湾で船を沈めればええ。そうなれば石油価格は暴騰する。イランの論理は「うち(We)が貿易できんのなら、他の中東諸国も売らせへん」や。

リチャード・ウルフ: フォンデアライエンとトランプのディール(取引)が象徴的やな。トランプが欧州への関税を15?16%に下げる代わりに、欧州は7000億ドルの米国産LNG(ロシア産の3倍の価格)を買い、さらに7000億ドルを米国に投資することを約束した。 これは英語で「Tribute(貢ぎ物)」と言う。従属国が帝国に支払う金や。かつてのローマ帝国と同じやな。 これまで欧州のリーダーたちは「ウクライナ戦争に勝つためや」と正当化してきたけど、戦争はもう終わったし、NSS文書を見ればNATOが最後の航海に出とるんは明らかや。今後はフランスのマクロンがBRICSに参加したがったという噂のように、欧州内からも「別の選択肢」を探る動きが出てくるやろ。

ニーマ: もし米国債が買われなくなれば、軍事資金はどうなるんでしょう。

マイケル・ハドソン: トランプは「ドル安になれば輸出が有利になる」と能天気なことを言うてるけど、もう競争できる産業が残ってへんのや。今の戦略は全部ファンタジーや。 今日のWSJによれば、米国はベルギーにあるロシアの資産2400億ドルを奪おうとしとる。ブラックロックにウクライナのレアアースなどの投資調査を任せとるけど、ドイツの反露リーダーのメルツは元ブラックロックやから、政府を辞めた後に戻ってウクライナ投資でボロ儲けするつもりやろ。 彼らはザポリージャ原子力発電所を使って、AI(膨大な電力が必要)の情報処理センターを作ろうとしとる。米国にも欧州にもそんな余剰電力はないからな。中国は太陽光や風力で発電を伸ばしとるけど、米国はそれを阻止しようとしとる……。

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