ジョン・ミアシャイマー:ロシアが米タンカーを一斉拿捕
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えか、ロシアが冷戦後で最も大胆な『米系資産の強奪』に踏み切った。 黒海、バルト海、北極海……複数の海域で、ロシアの海軍と沿岸警備隊が、アメリカのエネルギー企業が運行するタンカー12隻を包囲して連行したんや。船体だけで30億ドル以上、積んどるエネルギー資源を合わせれば8億ドル近い価値がある。 40隻以上の艦艇に航空支援、さらには潜水艦まで動員したっちゅうんやから、これは単なる臨検やない。計算し尽くされた『軍事作戦』や。
拿捕が起きてからわずか数時間のうちに、ホワイトハウスは緊急声明を矢継ぎ早に出した。NATOもすぐさま緊急事態として危機管理会議を招集して、場内は騒然となったわ。 エネルギー市場はこのニュースに激しく反応して、さらなる混乱への恐怖から、原油もガスも価格が「暴力的なまで」に急騰しよったんや。
世間は『ロシアがトチ狂って暴走した』と思うかもしれん。けど、現実はもっと深い。これは何年も積み重なってきた挑発と、西側の圧力に対するロシアの『積極的な反撃』へのシフトなんや。
そもそも、なんでこんなことになったか。 2022年のウクライナ侵攻後、西側はロシアを世界経済から追い出そうとした。SWIFTからの排除、中銀資産の凍結、そして極めつけは2022年末の『石油価格上限設定(プライスキャップ)』や。 西側は『ロシアの喉元を締めつつ、世界のエネルギー価格は上げさせん』っちゅう、ええとこ取りの高度な経済戦を仕掛けたんやな。
西側がやったんは、ロシア産の石油に「価格の上限(プライスキャップ)」を設けるっちゅうやり方や。西側が握っとる「保険」と「海運」のネットワークを武器にして、ロシアの石油を無理やり安く売らせる。 これなら、世界への供給を止めんで済むし、モスクワの稼ぎだけをうまいこと干上がらせることができる……。 政策の立案者から見れば、それは「洗練された、緻密な計算」に基づく完璧な作戦に見えたわけやな。
けどな、モスクワから見れば、それは単なる嫌がらせやない。ロシアという国家の土台を根底からぶち壊しに来た「経済戦争」そのものやったんや。 ロシアの連邦予算の大部分は、石油とガスの稼ぎで持っとるからな。ロシアにとって、これは国家の土台を壊しにくる『宣戦布告』やった。
ただ、ロシアも当時はすぐに反撃はできんかった。 直接やり返したら、さらに孤立して、制裁に適応しようとしとる経済に追い打ちをかけることになる。 せやから、ロシアはあえてその場はグッとこらえて、牙を研ぎながら「長いゲーム」を戦う準備を始めたっちゅうわけや。
ロシアは2年かけて準備したんや。輸出先をアジアに変え、中国へのパイプラインを広げ、北極航路を整備し、西側に頼らん金融メカニズムを作った。これは単なる適応やない。西側のルールに従わん世界を作るための『戦略的準備』やったんや。
この間、西側のエネルギー企業は「これまでの常識(規範)が自分らを守ってくれる」っちゅう甘い前提で、ロシア近海での操業を続けとったんや。 ええか、あの冷戦の真っ只中ですら、商用船っちゅうんは「アンタッチャブル(手出し無用)」として扱われてきたんやで。
「航行の自由」はまさに神聖にして侵すべからざる原則やった。これがあったからこそ、どんだけ激しい地政学的な対立があっても、世界の貿易は止まらんと回っとったんや。 主要な大国はどこも、「このルールを破ったら、自分らも取り返しのつかんリスクを背負うことになる」って、百も承知やったからな。この暗黙の了解が、何十年もの間、世界を支えてきた。
ところがや。2024年の後半、この何十年も守られてきた「不文律」がついにボロボロと崩れ始めたんや。
一方、アメリカと同盟国は、ロシアが制裁をかいくぐるのに業を煮やして、2024年末から臨検を強化し始めた。公海上でも『制裁逃れやろ』言うてロシア関連の船を止めて調べ始めたんやな。 ロシアから見れば、これは『経済制裁を海上の脅迫に変えた』っちゅうレッドライン越えやった。
最初にその「臨検」が起きたんは、2024年の11月や。ロシア産の原油をアジアへ運んどったタンカーが、書類と積み荷の検査っちゅう名目で数日間も拘束されたんや。 最終的には解放されたけど、そこに含まれたメッセージは誰の目にも明らかやった。ワシントンは、自分らの「一方的な経済措置」を無理やり守らせるために、自国から遠く離れた場所でも軍事力を使う気満々やっちゅうことや。
ロシアはもちろん外交ルートで「これは違法やし、挑発や!」って猛抗議したけど、そんなもんは鼻であしらわれただけ。 12月に入る頃には、同じような臨検が何回も繰り返されるようになって、ロシア当局が言うところの「組織的な嫌がらせ」のパターンが出来上がってしもたんや。
モスクワの視点から見れば、アメリカは「経済制裁」を「海上での脅迫」へと変質させたことで、完全に一線を越えよった。 「アメリカが好きな時にロシア関連の船を止めて遅らせることができるなら、次は没収か、永久拘束やないか」……。 このリスクはな、もう頭の中のシミュレーションやなくて、目の前の現実になったんや。
そして、この煮えくり返るような緊張が、ついに「真っ向からの衝突」へと姿を変える事件が起きた。
2024年12月半ば、北の海域で米系のタンカーとロシアの調査船がドカンとぶつかって、ロシア人の乗組員が数名死んでしもた。これが、くすぶっとった火種を一気に爆発させる引き金になったんや。
ワシントンは「視界が悪かったし、操船ミスや。ただの事故やで」と釈明したけど、モスクワはそんなん速攻で蹴っ飛ばした。「これは責任問題やし、わざとやったんちゃうか」ってな。 ここから、ロシアが今回の拿捕を正当化するための、周到なロジック作りが始まったんや。
ロシアの言い分はこうや。「あの事故はただの不注意やない。そもそもあの米系タンカー、ただの商売船のツラしとるけど、中身は潜水艦の動きや沿岸防衛を盗み見るための、最新鋭の電子・ソナーシステムを積んだ『二刀流のスパイ船』やったんや」とな。 国際法のグレーゾーンでこういうことが行われとるんは珍しい話やないけど、ロシアは「うちの軍事機密の近くでそんなんすんのは、もう我慢ならん」っちゅうシグナルを出しとったわけや。
ロシア側の主張によれば、調査船が怪しい電波を検知して、正体を確かめようと近づいたところ、タンカーがいきなり進路を変えて逃げようとした。そのせいで衝突が起きて、ロシアの船乗りが犠牲になった……っちゅうストーリーや。 これがホンマかどうかは、ぶっちゃけ二の次なんや。大事なんは、ロシアがこれを「公式見解」として、外交、法律、メディアの全ルートで喚き散らしたっちゅうことやな。
モスクワは「これは単なる海の事故やない。過失致死の刑事事件やから、タンカーをロシアの港に戻して取り調べさせろ」と要求した。 でもアメリカは「船の管轄は旗国(船が登録されとる国)にあるんや」っちゅう国際法を盾にして拒否。 タンカーがそのまま航行を続けたから、ロシアは「指名手配の容疑船や」と断定した。
この「刑事事件」として扱うやり方が、めちゃくちゃ計算高いんや。 「軍事紛争」やなくて「警察の取り締まり」っちゅう形にすれば、実力行使しても「法に基づいた正当な手続きや」って言い張れるからな。
あの衝突事故はな、単なる原因やない。ロシアにとって、反撃を開始するための「起爆剤」であり、自分らの正当性を主張するための「物語の錨(アンカー)」やったんや。
実はな、ロシアの治安・情報機関は何ヶ月も前から「アメリカが海上での制裁執行を強めてきとるのに、どない落とし前つけさせよか」って、ずっと議論を重ねてきとったんやな。 出した結論はこうや。「これ以上我慢(自制)を続けても、アメリカの圧力が強まるだけや。今後の臨検や検査を抑止したかったら、相手に『本物の代償』を払わせなあかん」。
その決断が、2026年の1月早々に固まったわけや。ロシアの海軍と沿岸警備隊は、複数の海域で、一寸の狂いもない同時並行の作戦をぶちかましたっちゅうわけやな。
黒海ではな、中央アジアからの原油を運んどったタンカーがことごとく捕まって、ロシアの港まで連行された。 北の海では、北極航路を通っとる船が「環境検査や」とか「安全確認や」っちゅう建前で臨検を受けた。 さらにバルト海の入り口、つまり欧州貿易の喉元(チョークポイント)でも、次々と船が拘束されたんや。
これらの作戦はな、完全に同期しとった。圧倒的な規模で、誰が見ても「前から準備しとったやろ」っちゅう計画性の塊や。
ロシア政府の声明も、それはもう慎重に言葉を選んどる。 「沿岸国には、国家安全保障を脅かしたり、環境規制を破ったり、無許可で監視活動(スパイ)したりする船に対して行動する権利が国際法で認められとるんや」っちゅう理屈を並べ立てたんやな。
例の12月の衝突事故を起こしたタンカーを名指しして、「ほら見ろ、商船のフリして敵対行為をしとる証拠や」と断定。 捕まえた乗組員についても、「人質」やなんて口が裂けても言わん。「現在進行中の捜査における『証人』や」と呼び変えよった。
あえて軍事的な言葉を避け、法律用語を並べることで、「これは戦争やなくて法執行や」っちゅう曖昧な状況を作り出し、アメリカが即座に軍事反撃しにくいように仕向けたんやな。
ロシアの狙いは3つある。
『もう黙って殴られっぱなしやないぞ』というデモンストレーション。 2年間耐えてきたけど、これ以上黙ってたら弱みを見せることになるからな。
西側主導の物流インフラの脆弱性を晒すこと。『欧米の船や保険を使っとると、いつでもロシアに捕まるぞ』とアジアの買い手に思わせれば、脱西側の流れは加速する。
国内向けのパフォーマンス。 選挙を前に、強いリーダー像を植え付けるには最高や。
中国やインドといった主要な非西側諸国が、この件に対して沈黙を守っとるんも不気味やな。沈黙は『黙認』と同じや。
一番恐ろしいんはな、これが『新しい前例』になってしまうことや。 ロシアが『安全保障や環境保護』を理屈に船を奪えるなら、南シナ海でもペルシャ湾でも同じことが起きる。現代の船はどれも高度な電子機器を積んどるから、難癖つけようと思えばどこでも『スパイ船』に仕立て上げられるんや。
モスクワの視点に立てば、起きたことは明白や。 この2年間、ロシアは西側による「経済的強制」の境界線がどんどん広がっていくんを、ただ見とるしかなかった。 制裁は一時的なもんやなくて、長期的な「構造的圧力」に変わった。中央銀行の資産は凍結され、エネルギー収入には上限(キャップ)をはめられた。
さらには、世界の多くが認めてへん「一方的なルール」を勝手に掲げて、公海上での臨検や検査まで始めた。 ロシアがなんぼ抗議しても無視され、一歩進むごとに逃げ場を失っていったんやな。モスクワが受け取ったメッセージはただ一つ、「我慢(自制)しとったら、もっとナメられるだけや」っちゅうことや。
ロシアには、アメリカみたいに相手の中銀資産を凍結したり、グローバル金融を牛耳ったりするような「対称的な」経済的レバレッジ(対抗手段)はない。 けどな、自国の近くの海域における「地域的な軍事力」なら持っとる。 この力を使って、西側の商業的利益に「直接コストを突きつける」んは、リアリズムの観点から見れば「非合理な暴走」やない。相手に「これ以上制裁を続けたら、お前らもタダじゃ済まへんぞ」と再考させるための、教科書通りの「バランシング(均衡)」の動きなんや。
だからこそ、あえてド派手な武力衝突やなくて、「法的な枠組み」を使って拿捕を実行したんや。 ロシアはNATOと戦争したいわけやない。ワシントンや同盟国のリーダーたちの頭の中にある「コストとベネフィットの計算式」を、無理やり書き換えさせたいだけなんや。
リアリズムの視点で見れば、国際社会に警察はおらん。あるのは『力』だけや。ロシアはアメリカと戦争したいわけやない。アメリカに『これ以上制裁を強めたら、お前らの商売もタダじゃ済まへんぞ』とコストを突きつけて、計算を変えさせようとしとるんや。
保険料は跳ね上がり、航路は変わり、エネルギー市場はパニックや。 アメリカの海軍がどれだけ強くても、世界中の海でタンカーを一隻ずつ守るなんて不可能や。 制裁っちゅう『紙の上での攻撃』が、ついに『海の上での実力行使』っちゅう、取り返しのつかへん段階に入ってしもたんやな。
この戦略の影響はな、すぐに出た。 エネルギー市場は激しく揺れ、ロシア近海の保険料は爆上がりや。一晩で「保険対象外」になった航路もある。このコストはな、巡り巡って関係ないはずの生産者や消費者の家計を直撃するんや。この「痛みの拡散」こそがロシアの狙いや。「アメリカの喧嘩に付き合うと、自分らまで大損するぞ」と第三国に圧力をかけとるわけやな。
特に欧州のショックはえぐいで。 欧州企業は今もロシア周辺のルートに依存しとる。中継業者を通じて買った荷物が奪われたことで、サプライチェーンの脆さが露呈した。保険も全額は下りひん。数百万ドル単位の損害を自腹で被る企業が出てくる。こうなると、企業は「もうロシア周辺から手を引く」か、あるいは「ロシアの条件を飲む」しかなくなる。どっちに転んでもロシアの勝ちや。
人間ドラマとしても最悪や。 何の罪もない数百人の乗組員が、国家間の喧嘩の道具にされてしもた。彼らの自由は、対立しとる政府同士の交渉次第。歴史が教える通り、こういう交渉は長引くし、人の命が「レバレッジ(交渉材料)」として扱われる。経済戦争が必ず個人の悲劇に繋がるっちゅう冷酷な現実やな。
さらに深刻なんは「海上保安の変質」や。 商船が国家のターゲットになるのが当たり前になったら、海軍は貿易を守るために駆り出される。護衛、パトロール、武力の誇示……海上がどんどん軍事化していく。コストは上がるし、ちょっとした判断ミスが即、戦争に発展するリスクも跳ね上がる。
貿易の効率なんて二の次や。これからは「政治的な敵味方」で航路が分断される。西側の船は敵対国の近くを通れんようになり、ロシアや中国の企業がそこを独占する。無駄なコストが増え、最適化されたグローバルなシステムは、あちこちがトゲだらけの「監視通路」のパッチワークに変わってまうんや。
法律の面でも、世界はバラバラになるで。 中露側の国々は「沿岸国の権限」を拡大解釈し、西側は「航行の自由」を必死に守ろうとする。共通のルールがないから、結局は「どっちが強いか、どっちがリスクを負えるか」っちゅう力比べで物事が決まるようになる。
ロシアは宣言したんや。「西側が一方的に海を支配し、リスクを負わずに制裁を加える時代は終わった」とな。 もし西側がさらに締め付けを強めるなら、ロシアはもっと船を奪うやろう。逆にエスカレーションを避けるなら、西側は「経済戦争には物理的な限界がある」ことを認めなあかん。どっちの道も地獄や。
もっと深い意味を言えばな、国際システム全体が「露骨な取引(トランザクショナル)」と「強制力」が支配する秩序に滑り落ちとるっちゅうことや。 法律の議論も大事やけど、それが意味を持つんは「力」に裏打ちされとる時だけや。これから各国は、「どこまでやったら破滅的な報復を招かずに済むか」っちゅう境界線を探るために、どんどん仕掛けてくるで。
商売人らも、これまでの「効率と利益」だけの判断から、地政学リスクを最優先に考えなあかんようになる。 政治家にとっての教訓はもっと冷酷や。「経済戦争」は一つの場所には留まらん。制裁を軍事的な道具で守ろうとしたら、相手からも軍事的な反応が返ってくる。 「エスカレーション」はミサイルや軍隊が国境を越えるだけやない。乗船用の梯子、法的通知、そして奪われた積み荷……。こういう「グレーゾーン」の動きこそが、反撃の選択肢を奪い、世界をより不安定にさせるんや。
この危機が一回限りのショックで終わるか、あるいは「当たり前の風景」になるかは、これからの数ヶ月の選択次第や。 交渉で新しい境界線を引くか、あるいは資産の奪い合いを「日常の外交手段」として定着させてまうか。後者を選べば、貿易は「市場の論理」やなくて「武力の近さ」で決まるようになる。
はっきりしとるんは、「一線は越えられた」っちゅうことや。 西側の保護下で「航行の自由」が守られとった冷戦後の秩序は、もう公然と挑戦されとる。ロシアは「武力」と「法律」と「曖昧さ」を組み合わせて、敵に代償を払わせる準備ができとることを証明した。
他の国々も、じっとこれを見とるで。 船はもう単なる「荷物を運ぶ道具」やない。地政学的な圧力の「道具」であり「標的」や。 そんな世界では、安全を保証すんのはルールやない。それを「執行する力」があるかどうかや。 今回の拿捕は終わりやない。経済競争と軍事力が切り離せなくなった、より危険な競争の「第一章」に過ぎんのや。


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