2026年1月1日木曜日

ヤニス・バルファキス:YouTubeを徘徊する『偽物の自分』との戦い

https://www.youtube.com/watch?v=-4tjjGrUrVw

動画が始まって2分経った時や、そこに映っとるんが「自分やない」って確信したのはな。自分が一度も言うたことのない、でも「いかにも自分が言いそうなこと」を喋っとるのを聞き続ける2分間っちゅうんは、永遠に等しいほど長い時間やったわ。

一つのチャンネルを潰しても、数秒後には別の名前のチャンネルで同じ動画が湧いてくる。ウチらはもう、自分の「声」や「顔」といったアイデンティティに対して、所有権も支配権も持ってへんのや。これは「テクノ封建主義(Techno-feudalism)」が狂い出した姿そのものやな。

1. 偽物に騙されかけた2分間

最初、信頼しとる同僚から「ヤニス、この動画の分析は完璧やな!」ってWhatsAppでメッセージが来たんや。それでリンクをクリックして、自分が何て言うたんか思い出そうとしたんやけど……。 決め手は、俺が着とるこの「青いシャツ」やった。今も着とるけどな、このシャツは俺の島の家(アイランド・ホーム)にしかなくて、一度も外に出したことがない。動画の舞台はアテネの事務所やったのに、このシャツを着とる……その矛盾に気づくまでは、自分でも騙されとったんや。

2. 偽物のほうが「賢くて人気」という皮肉

もっと恐ろしいのはな、そのAIが作った「俺」が喋っとる中身や。「アメリカが石油戦争に負けた」とか「ベネズエラが中国と組んでドルを殺す」とか、俺が言いそうな論理を完璧にトレースしとる。 ある動画なんて12時間で100万回以上再生されとるんや。俺の「ドッペルゲンガー」の方が、本物の俺より雄弁で、説得力があって、人気があるんちゃうかって、夜も眠れんほど不安になるわ。

3. 「毒」を混ぜ込む手口

一番卑劣なのは、9割は俺の分析をなぞっておきながら、突然「ウラジーミル・プーチンを支持する」みたいな、俺が絶対口にせんような言葉を一行滑り込ませることや。俺はNATOもEUも批判するけど、同時に反プーチンや。でも、このディープフェイクは、俺を「親プーチン派」に仕立て上げて、俺の読者からの信頼をボロボロにしようとしとるんやな。

4. 巨大テック企業の「不都合な家賃収入」

俺はGoogle(YouTube)やMetaに何度も抗議した。でも返信はAIの自動回答ばかり。人間にたどり着くのに何日もかかったわ。 YouTubeはな、テレビ番組を無断転載したら数秒で検知して消すくせに、俺のディープフェイクは野放しや。これは「怠慢」やない。「不労所得利益(レント)」の問題や。奴らは偽動画で視聴者の注目を集めて、広告料を稼いどる。奴らにとって俺のアイデンティティなんて、金を生むための「クラウド資本」に過ぎんのや。

5. 「イシゴリア」という希望

絶望的な状況やけど、一つだけポジティブな考え方がある。古代アテネには「イシゴリア(Isigoria)」という原則があった。 これは単なる「言論の自由」やない。**「誰が言うたか、どれだけ雄弁かに関わらず、その主張の中身(メリット・デメリット)だけで判断される権利」**のことや。 もし、もう誰も動画の「顔」や「声」を信じられん時代になるんやとしたら、ウチらは「有名人の誰それが言うたから正しい」っていう思考停止をやめて、もう一度「その理屈は通っとるか?」という中身を吟味する、失われた技術を取り戻せるかもしれん。

6. 結論:闘いはこれからや

俺は65歳や。残りの人生をテック企業との裁判に費やす気はない。でも、この「テクノ封建領主」たちに俺の魂( audiovisisual identity )を明け渡したままにするのも真っ平や。 昔のインターネットは、みんなでプログラムを共有して作り上げる「コモンズ(共有財産)」やった。今のこの「クラウド資本の私有化」と、アイデンティティの「兵器化」を、かつての封建制を打ち倒したように、ウチらは戦っていかなあかんのや。

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