グレン・ディーセン × ニコライ・ペトロ対話:ウクライナ崩壊とその後の地獄
https://www.youtube.com/watch?v=Hx9M56qURIA
ディーセン: 教授、よう戻ってきてくれました。ニコライ・ペトロ教授はロードアイランド大学の政治学教授で、元米国務省のソ連政策特別補佐官も務められた重鎮です。 今日は、どうしても伺いたい。もし、ウクライナが今まさに崩壊しつつあり、戦争が終焉に向かっているとしたら、その先に何が待ち受けているのか。 何十万人もの兵士が戦場から帰還すれば、社会問題は避けられません。ロシアは勝利者として戻るでしょうが、ウクライナは開戦前から激しく分断されていました。この体制がバラバラになった時、一体何が起きるのか。そもそも、ウクライナは今まさに崩壊しているのか、それとも終焉が近いのか。そこから始めましょうか。
ペトロ: 多くの分析家はな、交渉が始まったこと自体が「軍事的な局面の終わり」の兆しやと見ています。ワシは最近、イタリアの古典学者ルチアーノ・カンフォラの講義を熱心に聴いとるんです。彼はペロポネソス戦争と、その後のアテネの内戦の専門家やが、彼の指摘は今の紛争に驚くほど当てはまる。
ロシアとウクライナを、大まかにスパルタとアテネに例えるなら、27年続いたあの戦争の間、人々は何度も平和を期待したが、結局決着には至らんかった。一時的な停戦はあっても、当時の人々には「戦争こそが日常(ノーマル)」になってしもたんや。ヘラクレイトスが「戦争は万物の父であり、王である。ある者を奴隷にし、ある者を自由にする」と言うた通り、すべては流動的で、平和な時期があってもすぐにまた武力衝突に逆戻りしてまう。
交渉担当者が何を言おうが、彼らは自分の「政治的な寿命」のことしか考えとらん。真の長期的な平和には、指導者同士の交渉やなくて、敵(他者)に対する社会全体の認識を変える「変容」が必要なんや。
ウクライナについて言えばな、敵(他者)は歴史的にはロシアやポーランドでしたが、常に「もう一方のウクライナ人」でもあった。ガリツィア(西部)のハートランドの連中は、東部の同胞を「ウクライナ人として不十分や」と見なし、忠誠心を疑ってきた。1991年以来のこの火種を、政府は最も過激なナショナリストの解釈を丸呑みすることで煽ってしもた。
ロシア語を話す者、伝統的な(カノン派)正教会やなくて、パロシェンコ前大統領が強引に作った「国家教会」に通う者、そしてロシアと平和な関係を望む者……。彼らは最初から「潜在的な裏切り者」とされ、シンスキー(Sinsky)もその抑圧的な政策をさらに強化して、国内に決定的な敵意を固定化してしもたんや(-ω-)
だから最初から、ウクライナ政府の唯一の希望は「自分たちだけで戦う」ことやなくて、「欧州を直接この紛争に引き摺り込む」ことやった。その努力は実を結び、2022年4月のイスタンブール和平案は、ボリス・ジョンソン(と米国の支持)によって蹴られた。「欧州は譲歩する準備はできてへん。戦い続けろ、何でも支援したる」とな。
でも現実はどや? 欧州は約束を守っとらん。最近の例でも、欧州委員会が合意した150億ドル程度の支援は2年間分や。これではウクライナの「現行の予算赤字」すら埋められん。戦費どころか、ただ国を維持するための赤字すら補填できん額なんや。西側はウクライナを「生命維持装置」に繋いどるが、決して「治療(癒やし)」はさせん。
戦いが終わった後、政府が「潜在的な裏切り者」と呼び続けてきた自国民(東部の人々やロシア語話者)に対して、一体どんな態度を取るんか。パロシェンコは彼らを「第5列(内通者)」と呼び、シンスキー(Sinsky)もその制限的な立法を継続しとる。この内なる敵意は、まだ解決されとらんのや。
ディーセン: 物事がバラバラになった時、彼らは必ず「犯人探し」をします。ロシアへの憎しみは数十年続くでしょうが、同時に「西側に売られた」という怒りも爆発するはずです。イスタンブール和平交渉を蹴らせておきながら見捨てた西側への怒り。 ウクライナ国内でも「なぜ俺たちが、欧州が準備を整えるまでの時間稼ぎのために戦わなあかんねん」という声がある。さらに汚職スキャンダル。元顧問のアレストビッチは、シンスキー(Sinsky)は戦争が終わればケージ(檻)に入れられてキエフに連れ戻されるやろうと言うてます。 徴兵を逃れて隠れとる人、海外に逃げた人の市民権を奪えと言う国会議員……共通しとるんは「憎しみ(Hate)」ですね。
ペトロ: その通り。憎しみの上に「慈悲深い社会」は築けません。ワシは冷戦時代の移民コミュニティで育ったから、親世代の憎しみが子供たちをいかに蝕むかを見てきた。親たちはドイツや他国への憎しみを捨てられんかったが、次世代のワシらはその経験を共有できん。 憎しみを維持するんは、それを捨てて「慈悲(Compassion)」を持つことよりずっとしんどいんです。聖書が言う「愛」……他者への同情こそが本来の姿やと信じたい。人生の最後に、国家や愛国心といった「神話的な構築物」にしがみつくことが本当に重要やったんか。偉大な歴史家バターフィールドが言うように、ワシらは皆、歴史のドラマを演じた自分たちに少し「恥じ入る(Embarrassment)」べきなんや。
ディーセン: 西側の役者たちも責任転嫁の準備をしとる。トランプは「自分は武器を売る約束をしたのに、シンスキー(Sinsky)が和平を拒み、欧州がサボったせいだ」と言い、欧州は「トランプが俺らを見捨てたんや」と言う。 EUは今回、指導部に権力を集中させて「良い危機を無駄にせん」やり方をしてきたが、戦争が終わってロシアがパリまで来んと分かった時、人々は「なんで外交をせんかったんや?」「なんで3万1000人なんていう大嘘の死者数を信じ込まされたんや?」と問い始めるでしょう。 指導者らは平和を恐れとる。フィンランドやドイツの諜報トップは「あと5年は戦わせろ」と言う。ウクライナを盾にして時間稼ぎをしとるんやないですか?
ペトロ: マーク・チャップマンっちゅうブロガーが「クレムリンの回し者」っちゅう名で書いてる記事に、「我々の視点から見れば、数百万のスラヴ人が死んどる。最高やないか」っちゅう冷酷な本音がありました。 西側の戦略家にとって、ウクライナは長期的にはロシアと同じくらい厄介な存在なんです。正教会の国をどない統合するか。1970年代、NATOがイタリアの共産党員を警戒して軍事機密を教えんかったのと同じ問題が、ウクライナではもっと巨大な形で現れる。 EU加盟にしても、「2027年までに特例で入れる」なんてのは現実離れした妄想や。手続きも前例もない。交渉官たちがここまで現実から切り離されとる(Detached from reality)のを見ると、恐ろしくなりますな。
ディーセン: 「スラヴ人同士を殺し合わせる」……冷戦時代の妄想ですな。NATO拡大で戦争を誘発し、外交を停止して最後の一人まで戦わせる。 今の欧州は「善玉と悪玉」の二元論に囚われとる。メキシコを中国のミサイルで埋め尽くして「これでアメリカから安全や」と言うような狂った理屈です。教授、この「抑止」への異常な依存をどない見ます?
ペトロ: 結局な、軍備増強は紛争を防ぐんやなくて、低いレベルで持続させるだけなんや。それはな、コンロの火を消さんと、一番の弱火にしてずっと鍋をかけとるような「とろ火(Low flame)」の地獄や。冷戦がまさにそうやった。 本来、デタント(緊張緩和)は商業的なネットワークを強めて抑止への依存を減らす試みやった。トランプが言う「新しいネットワーク」もその路線の延長かもしれん。 問題は欧州や。欧州は自らの首を絞める「スポイラー(台無しにする者)」になっとる。彼らは「ロシアは弱い」「すぐに屈服する」という間違った予測に全賭けした。ロシアが譲らんと分かった今、欧州は「戦略的に空っぽなビジョン」を抱えたまま、出口を失うた。
財政的には、「社会福祉国家」と「戦争国家」を同時に維持することなんて不可能や。外交的にも、4年の間、一度も独自の平和案を出せなかった「どうでもええ存在」になってもた。彼らは「ウクライナ人の命」というコストで勝利を欲しがりながら、納税者が困るほどの金は出さんかった。
イギリスの役割も冷酷や。EU外からフランスやドイツを煽って弱体化させ、自分たちが「グローバル・ブリテン」として漁夫の利を得ようとしとる。ペロポネソス戦争の時の小国と同じや。 そんな中で、最近のブダノフ(情報局長)のインタビューは興味深い。彼は「地政学」と「リアリズム」という言葉を使い、ロシアと直接交渉すべきやと示唆しとる。彼はシンスキー(Sinsky)政権の公式レトリックを守る気などなく、ウクライナの生存のために冷徹な計算を始めとる。
平和のためには、ロシアにも安全保障の保証が必要。でも欧州は「悪に保証はいらん」と外交を全否定しとる。 でもな、ドイツでAfDが台頭しとるように、政治王朝は永遠には続かん。欧州全体で今の政策への懐疑論が爆発し、政治的な「雪崩(カスケード)」が起きるんは時間の問題や。その時、ウクライナ問題は二の次になる。かつての「ウクライナ疲れ」が最悪の形で再燃し、欧州はウクライナを放棄する。それがこの1、2年の間に起きるとワシは見とります。
ディーセン: 戦争が終わってもカオスは終わらんということですね。教授、そしてリスナーの皆さんも、良いお年を。


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