2026年2月12日木曜日

マイケル・ハドソン:ワシントンの北極圏パワーゲーム

https://michael-hudson.com/2026/02/washingtons-arctic-power-play/

ダボスと新世界秩序

2026年2月11日 水曜日

ニマ:皆さん、こんにちは。今日は2026年1月22日木曜日。親愛なる友人であるリチャード・ウルフとマイケル・ハドソンが来てくれた。リチャード、マイケル、おかえり。

ハドソン:また戻ってこれて嬉しいわ。

ニマ:マイケル、あんたから始めようか。うちらはずっとこういう地政学的な問題を話してきたけど、このダボス会議、世界経済フォーラムを見てると、ここが経済フォーラムから「新しい世界的なパワーオーダー(支配秩序)」の打ち上げ台に変わっとるように見えるんや。誰がそんなもんを承認したんや? それにドナルド・トランプが平和について語る時、俺には彼が本当に戦争を終わらせる話をしとるようには見えへん。世界をライバル同士の軍事ブロックに再編しようとしとるように見えるんや。マイケル、あんたの理解を教えてや。

ハドソン:せやな、彼の言う「平和を作る」っちゅうアイデアは、あらゆる敵に対して戦争を仕掛けることなんや。で、そいつらを叩きのめした時、戦争が終わって敵が敗北するから、そこに平和が訪れるっちゅう理屈や。これがダボスで関連しとる理由は、結局のところすべてが経済やからや。つまり、それが戦争全体の引き金になっとるんや。もしアメリカの戦略の全体像が、世界経済を乗っ取って、ドルを世界の中心に留めて、この新しい「ルールに基づく秩序」を作ることやとしたら、これ以上に経済的な話はないわな。 問題は、ヨーロッパがそれに対してどないするかっちゅうことや。中国はある意味で反応した。ロシアもどう動くか待たれとる。イランも待機中や。あんたの番組に最近出た二人のゲスト、ジョン・ヘルマーと俺の友人のクレイグ・ロバーツが、これらすべてにおいてグリーンランドがどれだけ重要な鍵を握っとるか、実に見事に説明しとったな。彼らは、これはレアアースとか鉱物資源の話やないと言うとる。だってそんな鉱物は1キロの氷と氷河の下に埋まってて、当分は手が出せへんからな。これは軍事の話であり、海の支配の話なんや。 トランプはグリーンランドを51番目の州にしようとしとるだけやない。指名されたアイスランド駐米大使が指摘したように、アイスランドを52番目の州にしようとしとる。アイスランドも支配せんと、グリーンランドを軍事的に乗っ取る意味がないからな。そうすれば、一種の「海上のマジノ線」ができるわけや。カナダからグリーンランド、アイスランド、ノルウェーまでが一直線に並んで、北大西洋から北極海へのアクセスを完全にブロックできる。もちろん、北極海の氷が溶けて輸送路ができるっちゅう話が前提や。そうすればヨーロッパは南アフリカを回ったり南米のパタゴニアの端っこを通ったりせんで済む。大西洋から北極海を通って太平洋へ、ごくシンプルに行けるようになる。トランプはそれを阻止したいんや。中国がパナマ運河の港に投資するんを阻止しようとしたのと同じやな。彼は「海洋法」を支配したいんや。 ただ問題は、これが公海自由の原則というあらゆる国際法に反しとることや。それが国際法の基礎であり、国連憲章にも書き込まれとる。だからトランプがやっとるんは、グリーンランドの話に加えて、あんたが言及した「平和の委員会(Board of Peace)」や。その通り、平和の委員会っちゅうのは、「アメリカが定義する新冷戦秩序の平和に同意せん奴ら全員に宣戦布告する」っちゅうことや。マーク・カーニーが昨日、ルールに基づく秩序なんてのは全部フィクションやっちゅう素晴らしいスピーチをしとったな。あいつらはうちらの心を操ろうとしとる。この秩序が、実は1945年の国連憲章に含まれとる国際法の体系だけでなく、1648年のウェストファリア条約の国家主権まで遡る歴史を全部ひっくり返して、アメリカだけに奉仕しとるっちゅう事実に向き合わせんようにしとるんや。 トランプの演説やベセント(次期財務長官候補)らの言葉を見れば、彼らが国家主権に関するあらゆる言及を無効にしたいことがわかる。さあ、ヨーロッパはどうする? 物事をややこしくしとるんは、トランプがNATOやデンマークが望んどるような「ロシアと戦うためにグリーンランドを軍事化する」ことだけを望んどるんやない点や。デンマークはドイツやイギリスと同じくらい反ロシアやからな。トランプは、グリーンランドを実際に「所有」したいんや。そうすれば、1844年に「明白な天命(マニフェスト・デスティニー)」でメキシコの大部分を強奪したジェームズ・ポーク以来、アメリカを最大に拡大させた大統領になれるからな。アメリカの「明白な天命」は、すでに米西戦争の時にアジアまで拡大されとった。「海の支配というアメリカの運命の一部としてフィリピンが必要や、太平洋を支配するためにハワイが必要や」っちゅうてな。 だから、この海の支配はすべて、ユーラシアを中国と統合しようとする「一帯一路」に対するアメリカの戦争を補完する試みなんや。すべてはジオエコノミクス(地経学)であり、ここでの地政学は地経学なんや。グリーンランドを巡る戦いは、アイスランドを乗っ取るための第一歩や。トランプの主要な支持者であるシリコンバレーの連中は、アイスランドを軍事面だけでなく、火山による熱水エネルギー、巨大なエネルギー供給源として見とる。アイスランドは10年ほど前、アルミニウムは電気で作られるからっちゅうて、北部の火山エネルギーをアルミニウム会社にリースしたんや。でもその見返りとして何も得られへんかった。アルミニウム会社は「数人のアイスランド人を雇うわ」と言うて、雇われたんは7、8人やったと思う。俺はこの件についてアイスランドの3人の首相と話したけど、みんな「どうしようもない、アイスランドの有力な一族はみんなめちゃくちゃ親米やから」って言うとったわ。 これがすべてを複雑にしとるんや。アイスランドはどうする? もしヨーロッパがグリーンランドを見捨てたら、アイスランドも見捨てることになる。ロシアの海へのアクセスをブロックするっちゅうことや。北極海へのアクセスだけやなくて、キューバやベネズエラ、大西洋との貿易、すでに彼らがタンカーを拿捕しとるバルト海へのアクセスもな。タンカーの拿捕は、厳密に言えば戦争行為や。民間企業が拿捕すれば海賊やし、政府がやれば戦争や。 ヨーロッパが国際刑事裁判所に行ってトランプを戦犯として告発するような対応をしとるようには見えへんな。フィナンシャル・タイムズなんかが繰り返し強調しとるのは、「ヨーロッパがアメリカを阻止するためにできることはこれだけある」っちゅうリストや。ワイルドカードの一つは、フォン・デア・ライエンが結んだあの合意やな。アメリカがヨーロッパに課した関税に対して、完全な従属と引き換えに降伏したあの合意やけど、まだ各国の議会で承認されてへん。ヨーロッパ各国の議会がトランプの要求に屈するのを阻止しとるはずや。 だから今、ヨーロッパで「トランプへの対応として、うちらが脅してたことをやり始めるべきちゃうか」っちゅう認識が芽生えとる。GoogleやFacebookみたいなアメリカのインターネット企業に、他の企業と同じように課税すべきちゃうか。アメリカに特別な免除を与えるのをやめるべきちゃうか。ヨーロッパにできることはいくらでもある。 でも、そんなことが始まる前に、NATOのトップのルッテがトランプに擦り寄る驚くべきメモを書いたな。「俺はあんたの味方や、グリーンランドでやっとることは素晴らしい、ダボスに着いたらすぐに話そう」ってな。「ヨーロッパの政治家がそれを望んでへん事実は、俺がブロックしたるわ」っちゅうわけや。ヨーロッパの政治家のほとんどは沈黙しとる。フィナンシャル・タイムズとかは「裏でどないするか話しとるんやろ」と言うてるけど、今がまさに正念場や。 さっきあんたが指摘した通り、トランプの「平和の委員会」がすべてや。彼はそれをG7や国連の代わりにするつもりや。国連は古い国際法の組織や、これからは平和の委員会による「ルールに基づく秩序」が新しい国際法になり、世界の残りの国は衛星国になるっちゅうわけや。アメリカ、ロシア、中国が実質的な3大勢力や。国家安全保障戦略にはインドや日本も認識せなあかんと書いてあるけどな。 まあ、日本はただのアメリカの衛星国や。今起きとることは、11世紀にカトリック教会がヨーロッパを乗っ取った時とそっくりや。当時は軍閥だらけやった。教会はドイツを制圧したかったし、コンスタンティノープルの東方キリスト教を征服したかったけど、軍隊を持ってへんかった。だからまずシチリアのロベール・ギスカールや、征服王ウィリアムと取引したんや。 教会はそれぞれのリーダーと契約書を交わした。「あんたをシチリアの王、イングランドの王として教会が認めて正当化してやる。その代わり契約書にサインしろ。教会の土地の財務権はこっちに渡せ」とな。当時、教会は最大の地主であり、経済的・社会的センターやったからな。「ピーターズ・ペンス(聖ペテロの免税)で集めた金も、地元の貧しい人を救うための社会支出に使うんやなくて、全部ローマに送れ」っちゅうわけや。 ウィリアムもギスカールもサインした。それが他の国々をまずローマの、そして十字軍が失敗して教会の力が衰えた後は国際的な銀行家クラスの衛星国に変えるフォーマットになったんや。銀行家たちは政府に「自分らに払う軍事債務を優先しろ、外国の債権者を第一に考えろ、うちらの力を第一にしろ」と迫った。それが、負債を払うために全国民に課税するプロテスタントの議会制国家を支持することに繋がったんや。 こんなことは歴史上、何度も起きてきた。そしてその度に、ヨーロッパの政府は屈服してきたんや。でも今回は、相手は抽象的な国際金融グループやない。アメリカという国そのものが、国際金融システム、貿易システム、投資、そして海の法律をすべてコントロールしようとしとる。トランプがやろうとしとるのは巨大な権力奪取や。もし他の国々が戦わなければ、彼らは結局一極集中社会に飲み込まれ、ロシアや中国を解体してアメリカ中心のシステムに引きずり込むために、自分らの社会支出を軍事費に回させられることになる。それが1ヶ月前に発表されたアメリカの国家安全保障戦略や。それが今、ダボスで問われとるんや。

ニマ:リチャード、入ってくれ。

ウルフ:ニマ、俺もいつものように、マイケルが今言うたことに少し違う解釈を添えて補完してみよう。 まず、俺もルッテの発言には衝撃を受けたわ。あれはヨーロッパ中のどの首都のリーダーも、「今、どっちの風が吹いとるか」を必死で見極めようとしとる典型やな。アメリカから離れても安全なんか、それともあかんのか。統一されたヨーロッパがアメリカと違う立場を取れると思うか? それとも、またフランスがドイツやイタリアを裏切るんか? 彼らはウェストファリア条約の結果を乗り越えられてへん。ナショナリズムはヨーロッパが封建主義から資本主義に移行する際の助産師やった。だから、経済発展が進んでナショナルな枠組みで考える意味がなくなってからも、資本主義はナショナルなメンタリティに執着し続けてきた。それが今、露呈しとるんや。 二つ目に、俺の理解では、グリーンランドの強奪はすべてヨーロッパとの闘争や。アメリカはとてつもないギャンブルを仕掛けとる。同盟国を屈服させて、奴隷に変えられるかどうかっちゅう賭けや。ソ連に対するフロントラインとして交渉が必要やった「同盟国としてのヨーロッパ」を、中米の国々が長年やってきたような「言いなりになるヨーロッパ」に変質させようとしとるんや。 ただ、これは妄想や。12月4日のあの国家安全保障の声明は妄想や。トランプの支離滅裂な記者会見を、綺麗に書き直しただけの代物や。グリーンランドとアイスランドを混同しとるんも、彼らにとって問題の本質が「ヨーロッパ」という一つの塊やからや。アメリカがグリーンランドを欲しがるんは、ヨーロッパを従わせるための手段や。ニューヨークの連中は、ロシアや中国がグリーンランドを欲しがっとるなんて微塵も思てへん。過去20年間、そんな証拠は一言も、一欠片も出てへん。 何が問題か? それは、俺のヨーロッパの友人たちが聞いてくれとることを願うけど、アメリカにとっての問題は「ヨーロッパがようやくグリーンランドに対して何か行動を起こすこと」なんや。「あそこのエネルギーを確保しよう、氷が溶けた後に出てくるレアアースとかを手に入れよう」とヨーロッパが動き出すこと。アメリカは、それを他の国(ヨーロッパ)にやらせたくないんや。 アメリカ政府が税金を使ってグリーンランドで脅威を煽れば煽るほど、コバルト社(Kobald)みたいな会社にとっては好都合や。この会社はもう何年もグリーンランドに投資しとるし、AmazonやApple、ピーター・ティールといったシリコンバレーの連中が主要株主や。これは古いゲームや。彼らはグリーンランドに大金を払いたくない。 彼らはアメリカ政府に公金を使わせて、そこで騒ぎを起こさせ、もっと有利な取引を強制させたいんや。軍事基地を増やし、投資を拡大させ、手数料を安くし、現地のグリーンランド人を雇わなくて済むようにしたいんや。公金を使って民間企業の利益を補助する、非常に古いやり口やな。さらにヨーロッパを関わらせんようにすれば、競合がいなくなってさらに安上がりや。でもトランプは「軍事力は使わん」と言わされた。 これは彼にとって誤算や。そんなこと言いたくなかったはずや。でも言わざるを得んかった。なぜか? もしそう言わんかったら、ヨーロッパが自分たちに何が起きとるか気づいて、団結して抵抗し始めるリスクがあったからや。ヨーロッパにはまだその力がある。でも、彼らには団結力もないし、それをやる勇気もない。トランプは、それが自分の手中にないことに腹を立てとるんや。 大国政治のプレイができるんは、世界が15世紀、18世紀、あるいは20世紀の状態やった時だけや。今はもう無理や。俺らは植民地時代に生きてへん。反植民地時代に生きとるんや。世界の大多数の人々は反植民地的な考え方にコミットしとる。もちろん例外はあるし、その言葉を自分の利益のために使う奴もおるけどな。 でも、反植民地感情が渦巻く時代に植民地活動をやろうとすれば、必ず失敗する。失敗するだけやない、自分の失敗をさらに深めるようなことをする羽目になる。イスラエルはパレスチナに植民地入植体制を築こうとしとる。昔ならできたやろ。パレスチナの過去はそうやって作られた。でも今は無理や。それを強行すればジェノサイドに行き着き、イスラエルが二度と克服できへんほどの孤立を世界で招くだけや。 アメリカは大国政治をプレイしとるけど、もう手遅れや。金がかかりすぎるし、遅すぎたんや。もうそれをやるほど強くない。世界を変えとるのはトランプが作った亀裂やない。マーク・カーニーには悪いけど、彼が「過去50年はペテンやった」と今さら気づいたっちゅうことは、マルクス主義者が50年かけてネオリベラリズムを分析してきた成果をようやく理解したっちゅうことや。 カーニー、あんたも気づくのが遅すぎたんや。世界を混乱させとるんはトランプやない。資本主義の進化や。西側のプライベートな資本主義から、中国の「プライベート+国家」のハイブリッド型、つまり彼らが言うところの「社会主義」への進化や。中国こそが問題なんや。中国は他のどこよりも速く成長できることを証明し、その政治的、思想的な果実を収穫しとる。 これが核心や。あのトランプっちゅうピエロに惑わされたらあかん。あいつは中国という挑戦に対処できへんから、端っこで踊っとるだけや。タンカーを拿捕したりして、どこまでやれるか試しとる。彼らはウクライナで学んだはずや、「大して遠くまでは行かれへん」とな。だから次は別のことを試そうとしとる。 彼らが海に関心を持つのも、陸の上で負け続けてるからや。アメリカはベトナムで負け、イラクで負け、ウクライナでも負けた。ものすごい敗北の数や。何十万のアメリカ兵を送り込んでも解決できへんかった。問題は地上に兵士をおるかどうかやない。中国であり、それが象徴するものすべてや。経済成長の核心は西から東に移った。これが根本的な問題なんや。それに対処するプランを考え出さん限り、彼らはただ外側で遊び回っとるだけや。 もちろん、世界大戦を誘発する可能性はあるから、この番組でも真剣に受け止めとる。でも、彼らの感動的な劇場に騙されたらあかん。ダボスの連中はマーク・カーニーにスタンディングオベーションを送ったらしいけど、それは彼が少しばかり「勇気」があるようなことを言うたからやろ。50年も遅れてな。銀行家は自分らが優位にあると思とるから、関連する文献を読まへん。だから50年も経ってようやく気づくんや。

ハドソン:リチャード、あんたが言うたことは、うちらがこの1年以上ずっと話し合ってきたことやな。それがダボスで、もしうちらが予測しとったら「大げさすぎる」って言われるような形で爆発しとる。でも、これがトレンドの行き着く先や。経済が二極化すれば、当然極端な方向へ向かう。世界中の富をアメリカに集中させて、他国、特にロシアや中国みたいな強い国には何も残さんっちゅう不均衡な経済を目指せば、今起きとることは必然の帰結や。皮肉なのは、ダボスで明らかになった通り、ロシアや中国に対する「冷戦」っちゅうのは、世界がアメリカ経済を支えなあかんっちゅう主張を通すための「便利なフィクション」やっちゅうことや。トランプは、中国やロシアの侵略から守るためにグリーンランドを奪わなあかんって言うてる。でもグリーンランドの連中は「中国にエビをぎょうさん輸出してるけど、中国の漁船なんて見たことないわ」と言うとる。中国もロシアもグリーンランド自体はいらんのや。北極海へ抜けるために横を通りたいだけで、自分らで十分な土地を持っとるからな。アメリカは自分らの物語を作るために、このフィクションを利用しとる。1960年代に「アンクル・サッカー(お人好しのサムおじさん)」と呼ばれた物語の再来や。「ヨーロッパはうちらを搾取しとる、軍事産業を支えるためにどれだけ金払ったと思てんねん、ヨーロッパはうちらに返すべきや」とな。トランプは予算で軍事費を1兆ドルから1.5兆ドルに増やした。彼は「これがヨーロッパや世界に搾取されとる証拠や、中露から守ってやるためのコストや」と言うてる。でも実際には、ヨーロッパや西側諸国が、世界で最も急速に成長しとる経済圏、つまりロシアや中国がいるユーラシア大陸に目を向けるのを阻止するためのコストなんや。軍事的にブロックして、それを「平和」と呼んどる。トランプの作った「平和のギャング(平和委員会)」やな。この物語の中で、侵略者はロシアでも中国でもない。彼らはただ自分らの主権が欲しいだけや。貿易やドル、国際金融、SWIFTのシステムを武器化するアメリカの能力から独立したいだけなんや。ヨーロッパの一部の人らも「うちら、つく側を間違えたんちゃうか」って気づき始めとる。ロシアの石油やガスを拒絶してドイツの重工業を破産させ、アメリカに従属するんやなくて、互恵的な関係を築けたはずやってな。トランプの「アメリカ・ファースト」は、あらゆる取引において一方が勝者で他方が敗者になるっちゅう意味や。アメリカが常に勝つっちゅうことは、相手は常に負けるっちゅうことや。演説を読めばすぐわかることやのに、連中はみんな買収されとる。この番組に出るゲストで、はっきり物言う連中は、みんな以前アメリカ政府で働いとった人らや。そこで見たもんに衝撃を受けた人らやな。ポール・クレイグ・ロバーツが財務省におった時、アメリカが外国の政治家を白い封筒に入れた金で買収しとるのを何度も見たと言うとる。あるいは直接やなくて、ジャーマン・マーシャル・ファンドやアトランティック・カウンシルみたいなNGOを作って、トニー・ブレアやマクロンのような「どっち側にバターが塗ってあるか(どっちが自分に利益か)」を知っとる連中のキャリアをバックアップして権力に就かせる。これがアメリカの作ったシステムや。これに反対するヨーロッパの政治家はどこにおる? ナショナリストの右翼政党はおるけど、彼らはリチャードが正しく指摘した通り、基本的にはこの金融プランに同意しとる。彼らは自分らの取り分が欲しいだけや。「トランプ、あんたに同意するわ、うちらも反労働者やし、経済的余剰は社会支出やなくて自分らの富にしたいわ」っちゅうわけや。でもトランプは何も与えたくない。「グラビタイゼーション(強奪化)」や。90年代にアメリカのネオリベがロシアでやったことと同じや。ジョン・ヘルマーがロシアで見て驚いたこと、内側におったからこそ分かる衝撃が今また起きとる。同意せんかった連中はCIAや国務省、NGOのネットワークに残って、知的な国際戦争を仕掛けとる。ロシア人はこれを「知的戦争」と呼んどるけど、これは世界が今の状況をどう考えるか、そのコンテキスト(文脈)を作り変える戦争や。「アメリカは独裁から民主主義を守っとる」と思わせる。でも実際には、公共サービスを民営化して利益を貪る独裁的なやり方はアメリカの方や。本当の独裁はアメリカの民主主義の中にあり、国民全体の生活水準や産業成長を引き上げようとしとるんはロシアや中国の方や。二つのモデルがあるけど、オーウェル的なレトリックを使って、人々の心を操って理解させんようにしとる。ヨーロッパもアメリカの政治も、今やそういう「心の支配」のための政治になってもうた。

ウルフ:少し口を挟ませてや。マイケルが雄弁に語ってくれたし、俺も同意する。でも、このプロジェクトが成功しとるとは思えへん。むしろ失敗しとるんや。みんなに「もう終わりや、負けた」と思ってほしくないから、そこをはっきりさせたい。例えば、もしこれが上手くいっとるんなら、ミネアポリスの街で明日1月23日にゼネスト(総労働者ストライキ)が起きるなんてことはないはずや。ミネアポリスの労働組合(AFL-CIO)が1月16日に声明を出して、アメリカの新しい特殊部隊ICE(移民関税捜査局)が街全体に使われることに抗議してゼネストをやると言うとる。それも市長や知事と協力してな。ミネアポリスは中西部の主要都市や。この国で何十年もまともなゼネストの呼びかけなんてなかった。過去にやったのはアメリカの歴史の中でも急進的で英雄的な瞬間だけや。今またそれが起きようとしとる。これは強さの象徴やない、恐ろしいほどの社会的分断の象徴や。「内戦」っちゅう言葉すら聞こえてくる。フランスの国民議会でも、最大のブロックを率いとるのはジャン=リュック・メランションや。彼は元共産党員で、今は左翼連合のリーダーや。何十年もいがみ合っとった左翼が、今は新しい段階に入ったと認識して団結しとる。もちろん右翼も出てきとるけど、歴史はいつもそうやって複雑に動くもんや。トランプはグリーンランドをただ奪うことはできへんかった。ラテンアメリカの人らもマドゥロ(ベネズエラ大統領)の誘拐未遂事件を経験して理解し始めとる。あれはアメリカの軍事力がすごかったわけやない。政権の中枢に金を掴ませて買収しただけや。そんなやり方がいつまでも通用すると思うのは間違いや。数隻の砲艦でどうにかなる時代やない。ベトナム、イラク、ウクライナ……アメリカは負け続けてる。資本主義の競争でもそうや。アメリカ人は中国の電気自動車(EV)を買えへんようにされとる。BYDが一番安くて良いEVを作る競争に勝った。テスラでもGMでもなく、彼らが勝ったんや。アメリカの大国としての力で何ができた? 何もできへんかった。競争に負けたから、自分らを守るために100%の関税をかけた。これは「負け犬のゲーム」や。トランプは最初27%やったけど、バイデンが100%に上げ、トランプもそれを維持しとる。カナダも追随したけど、先週マーク・カーニーが帽子を手に持って中国へ行き、「アメリカへの依存から抜け出すのを助けてくれ」と頼みよった。習近平は「ええよ。あんたらのカノーラ油を買って農家を助けてやるから、EVの関税を下げろ」と言うた。カーニーは関税を100%から6.1%に下げた。爆下げやな。これで年に4万9000台のBYDがカナダに入る。テキサスやアリゾナ、ニューメキシコの高速道路でBYDが走っとるんは、連中が100%の関税を払ったからやない。メキシコに渡って買ってきたんや。メキシコはカナダより先に中国と契約しとったからな。今度はニューヨークの連中がモントリオールへ旅行に行ってBYDを買って帰るようになるわ。これが歴史のプロセスや。「地殻変動」やな。ダボスはその上で踊っとるだけで、下で起きてる巨大な動きをコントロールすることなんてできへん。結局、最後は労働運動がみんなを驚かせることになるやろ。中国やロシアは製造能力の中核を握っとるけど、西側の資本家はアジアでの利権を自分らの国民と分かち合いたくない。だから国民の生活水準が脅かされとる。今の欧米の仕事はフィットネスセンターや個人サービスばっかりや。200年前のイギリスの「召使の軍隊」と同じや。経済の中核は消え失せた。アメリカは、自分らの資本家が製造業を外に追い出したせいで失ったもんを、必死で繋ぎ止めようとしとるけど、もう無理や。

ハドソン:リチャードがミネアポリスの話で俺にパスをくれたから、少し俺のルーツの話をさせてや。俺はミネアポリス生まれや。俺の親父は1934年から35年にかけてのミネアポリス・ゼネストのリーダーの一人やった。あのストライキがCIO(産別会議)やトラック運転手組合を作る基盤になったんや。親父はウォルグリーン(ドラッグストア)みたいな大企業が用心棒の集団を雇ってストライキを潰そうとするのを見てきた。ミネアポリスの歴史の中で、あれは民主党の歴史でもあったけど、民主党は労働運動をコントロールしたかったんや。二つの大きな支持層、つまり「マフィア」と「右翼のAFL(労働総同盟)」のために。ルーズベルトは労働長官のトビンに耳を貸して、スミス法っちゅう「武力による政府転覆を煽るんは罪や」っちゅう法律を使って、ゼネストの支持者17人を起訴した。トロツキストや組合員は、企業の用心棒の暴力から街を守っとっただけやのに、今の政府がやっとるのと同じように弾圧されたんや。真珠湾攻撃の前日、親父たちは投獄された。共産党もこの弾圧を支持した。ミネアポリスの組合がスターリン主義の共産党を排除しとったからやな。ルーズベルトはスターリンと「労働組合を叩く代わりに、第二次大戦中にストライキを起こさんと約束しろ」っちゅう裏取引をした。ミネアポリスの今の市長もマーク・カーニーみたいに綺麗なことを言うけど、実際には社会主義者の市長候補と戦っとった右寄りや。40年代のその役割はヒューバート・ハンフリーやった。彼は労働者の味方のふりをして、実際には活動家や改革派を裏切り続けた。その「国民を裏切って味方のふりをする能力」を買われて、ジョンソンの副大統領になり、ミネアポリスでやったのと同じことをベトナムでやった。「リベラルよ目覚めろ、アジアを共産主義から守るんや」っちゅうてな。ミネアポリスはもともとスカンジナビアやアイルランド系の急進的な連中が多かったけど、戦後の70年でミドルクラス化して今のようになった。リチャードがこの話を振ってくれたんんは、ダボスで起きてることと繋がっとるからや。ミネアポリスで起きた「急進的な運動を破壊し、民主党や社会民主主義者が偽物の労働運動を植え付ける」っちゅうやり方は、今のヨーロッパそのものや。フランスからドイツの社民党まで、みんなロシア嫌いの右寄りになって、労働者の心をキャッチして、金融資本主義の仕組みを理解させんようにしとる。「知的精神戦争」や。ヨーロッパの左翼がこれほど社会民主主義の右派に乗っ取られとるから、ナショナリストの右翼政党だけが「ロシアや中国に目を向けるべきや、アメリカ中心の覇権争いにうちらの金を使うのはやめよう」って言い出すっちゅう、おかしな状況になっとるんや。

ウルフ:最後に一つだけ。フランスのマクロンはもともと社会党の教育大臣やった。彼がいかに中身が空っぽで、自国でトランプ並みに支持されてへんかを見れば、今の「社会主義」がいかに形骸化しとるかわかるやろ。イギリスのスターマーもそうや。労働党の党首やけど、彼は本物の社会主義者であるジェレミー・コービンを、反ユダヤ主義っちゅう捏造されたスキャンダルで追い出した。今のトランプ政権が全く別の意図を隠すためにそのレトリックを使っとるのと同じやな。でも、彼らのやり方はもう上手くいってへん。ヨーロッパの労働者階級は、自分らのリーダーたちが(左翼や労働党を名乗りながら)自分らを裏切ってきたことに気づき始めとる。急進的な変化の土壌ができつつある。フォン・デア・ライエンたちが恐れとるんはそれや。彼らは賭ける馬を間違えた。長年その賭けで勝ってきたけど、もう後には引けへん。それが彼らの政治的な終焉になるやろな。ダボスで見たんは、まさにその終わりの始まりや。

ハドソン:大きな絵は網羅したな。これ以上は細部の話や。

ニマ:その通り、今日はそれをやりたかったんや。ありがとう、リチャード、マイケル。

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