マイケル・ハドソン:世界の金融システムを崩壊させかねないオイルショック
https://michael-hudson.com/2026/03/the-oil-shock-that-could-break-the-global-financial-system/
The Oil Shock That Could Break the Global Financial System
(2026年3月31日)
2026年3月29日、イランとの戦争が世界経済を根底から変えようとしとる。経済学者のマイケル・ハドソンが、米イスラエルによる対イラン戦争がいかに地政学秩序を塗り替え、世界的な経済危機を引き起こす可能性があるかを解説する。ハドソン博士は、石油市場のショックと、米国の覇権に対するテヘランの挑戦について語った。
米イスラエルの対イラン戦争は、地政学のルールを変えるだけやなくて、世界規模の経済危機を解き放とうとしとる。この紛争は史上最大のオイルショックを引き起こし、世界の市場を混乱させ、燃料や食料の価格を爆上がりさせとるんや。
世界への影響を深く理解するために、「ジオポリティカル・エコノミー・レポート」のエディター、ベン・ノートンがマイケル・ハドソン博士にインタビューした。博士は、イランがいかに米ドルの支配に挑み、ワシントンによる世界石油市場のコントロール(米外交の柱やったもんやな)を突き崩しとるかを語った。
ベン・ノートン: 米国とイスラエルがイランに対して始めた戦争は、世界経済にえげつない影響を与えてます。地球上の全国家が影響を受けてるんは、この戦争が1973年や1979年をも凌ぐ、史上最大のオイルショックを引き起こしたからですよ。
特にアジアへの影響は深刻です。アジアは石油輸入の大部分をペルシャ湾に頼ってますからね。フィリピンは国家非常事態を宣言してエネルギー配給制を敷いとるし、日本も中東依存度が高いから、史上最大規模の備蓄放出を行いました。IEA(国際エネルギー機関)の32カ国も、緊急備蓄から4億バレルを放出することに一致した。
けど、これはただの「絆創膏」みたいなもんや。長期的な解決策にはならへん。だから備蓄放出のニュースが出ても原油価格はちょっとしか下がらんかったし、その後も上がり続けとる。戦争が続く限り、エネルギー市場の混乱は止まりません。
石油は地球上で最も重要な商品やし、食料の輸送から何から社会のあらゆる側面に使われてる。やから世界中のリーダーが「世界的な不況(リセッション)」を警告しとるわけです。IEAのトップも「世界経済への重大な脅威や」とはっきり言うてます。ガソリン代だけやなくて、肥料の原料もペルシャ湾から来とるから、食料価格も上がる。金利も上がって、一般市民の住宅ローンも苦しくなる。一番しわ寄せが来るんは貧困層ですよ。
今日はこの戦争がどう世界を形作り直すんか、『超帝国主義』の著者でもある高名な経済学者、マイケル・ハドソン博士に話を聞きます。博士は、この戦争によって「多極的な石油市場が現実のものになった」と主張してます。
イランは米ドルの支配、特に「ペトロダラー(石油ドル)」体制に真っ向から挑戦しとる。テヘランは地球上で最も重要な石油の要所、ホルムズ海峡を封鎖した。世界の石油貿易の20%が通る場所です。
今、イランは諸外国に対して「ホルムズ海峡を通りたければ、ドルやなくて中国の人民元(ペトロユアン)で決済せえ」と迫っとる。サウスチャイナ・モーニング・ポストなんかも「イラン戦争がペトロユアンを後押しし、ドルの支配を弱める」と報じてます。
マイケル・ハドソン: イランは「これはフェーズ(局面)の変化や」と言うてます。「うちらが永久にペルシャ湾のホルムズ海峡を支配し、石油貿易をコントロールするんや」とな。
これまでは米国が、石油を「首絞めの道具」として使って、他国にアメリカの外交政策に従わせようとしてきた。でも今はイランがその首を絞める権利を握っとる。米国やその同盟国、イスラエルや欧州に対して、イランが制裁を課せるようになったわけや。
米国が石油を支配の手段として使おうとしてきた試みは、完全にひっくり返された。米国が外交政策の基盤にしてきた「石油輸出からの国際収益のコントロール」を、いまやイランが達成しようとしとるんや。
…
アメリカの哲学っちゅうのは、まず民間人を爆撃して、国際法のルールを全部ぶっ壊す。民間人を爆撃して戦意を喪失させるんや。トランプやイスラエルが数週間前にやったように、学校や病院を狙い撃ちにする。これがアメリカの外交方針や。
ガザやヨルダン川西岸でのイスラエルのやり方を見れば一目瞭然やし、米国がイランに対してやっとるのも同じことや。彼らの考えでは、爆撃で人口を絶望させれば、イラン国民が「もう爆撃は嫌や。子供を救いたい。アメリカに都合のええリーダーを立てて、爆撃をやめてもらおう」と言うてアヤトラ(指導者層)を追い出すと思うとるんやな。
最初からデタラメな理屈やけど、これがアメリカ外交の精神的な支柱なんや。「爆撃すれば政権交代が起きて崩壊する」とな。
…
イランでのこの紛争は、「国際経済がどんな形になるんか?」を決める戦いなんや。アメリカが石油貿易の支配を取り戻して、世界経済の首を絞める権利を再び握るんか? それとも、うちらがアメリカから独立するんか? この戦争の正体は、まさにそこにあるんや。
ベン・ノートン: マイケル、今日はありがとう。あなたはドルの支配やペトロダラーの問題を1970年代から書いてきましたね。実際、米政府は何十年も対イラン戦争を計画してきた。トランプはそれを実際にやるほど「狂った」最初の親分やけど、ブッシュ政権の時もイラクの次はイランやという話がありました。この戦争の大きな絵図をどう見ますか?
マイケル・ハドソン: まあ、数十年どころか半世紀は遡るな。1970年代半ば、わしがハドソン研究所で財務省やホワイトハウス、国防総省の仕事をしてた時、会議に出とったんやけど、彼らは「最終的には中東の石油を全部コントロールせなあかん、それにはイランを征服せなあかん」とずっと議論しとったわ。
1970年代半ばの軍事会議で、ハーマン・カーンは「パキスタンとイランの間にあるバルチスタンを切り離して、イランを民族ごとにバラバラにするチャンスや」と説明しとった。軍事計画はすでにあったんや。
当時、わしの専門は石油と国際収支やった。チェース・マンハッタン銀行におった時は、わしだけがアメリカの大手石油会社の運営詳細や統計を見ることが許されとった。ドルの価値を支えるための石油の役割を計算するためにな。1971年にベトナム戦争のせいで金本位制から離脱(ニクソン・ショック)した直後の話や。
米国はずっと、今日起きてるような「中東石油の支配を固める最終局面」を見据えとったんや。過去1世紀のアメリカ外交で最強のレバーは「世界の石油貿易の支配」やったからな。
石油会社にとって莫大な利益になるんはもちろん、他国への石油供給を止めることで、その国の電力、化学、肥料生産をストップさせ、経済をコントロールできる。石油産業には天然ガスも含まれるしな。
毎年、軍は計画をアップデートしてきた。「もしOPEC諸国が自立しようとしたら、もし石油の利益をアメリカの国債や銀行に預けんと他に投資し始めたら、武力を使ってでも中東を支配せなあかん」と。そして「何があってもイランを乗っ取らなあかん。そこがアメリカの支配を完成させる最後のカギやから」とな。
2003年にウェスリー・クラーク将軍も「5年で7カ国を征服し、最後はイランや」とはっきり言うとった。これはトランプ一人の戦争やないんや。ただ、アメリカの経済力や軍事力が、ウクライナやイスラエルへの支援でボロボロになっとる今、彼らは「今やらんと、もう二度とチャンスはない」と焦って決断したんやろう。
ネオコンやCIAの連中は諦めへん。「今、中東の石油を征服せんと、アメリカ外交の最大のレバーを失うてまう」と思とる。トランプは「2週間から4週間でイランを征服できる」と本気で信じとった。それで中国に行った時に「おい、イランで政権交代させたぞ。アメリカの犬みたいな独裁者を立てたから、石油はうちらの自由や。中国への石油もカットできるんやぞ。嫌ならガリウムやタングステン、軍事に必要な原材料をよこせ」と脅すつもりやったんやな。
でもその計算は狂った。軍は、この壮大な計画が脅かされる代替案を考えられんかったんや。ベトナム、イラク、アフガン、シリア、ベネズエラ……これまでのアメリカの戦争は常に「やる気のある連中(イキり隊)」対「一国」の構図やった。でも、第二次世界大戦後初めて、アメリカは「互いに同盟を結んだ国々」と戦うことになった。
今はイラン一国やない。ロシアと中国がバックにおる。彼らはこれが「アメリカの独占支配を再編させるための最後の戦い」やと分かっとるんや。石油、IT、チップ、技術、そして食料(穀物)の独占。米国にとってはこれが最後のチャンスやから、捨て身の賭けに出たんや。
でもな、わしは上手くいかんと思う。将軍らも「無理や」と言うとったけど、悲観的な将軍は軍や国務省から追い出された。「チームに入らんのか? プーチンの人形か? 信念を持て!」とな。アメリカは「爆撃すれば勝てる」という宗教を信じとるんや。
民間人を殺せば戦意を喪失して、国民がアヤトラを追い出す? そんなん最初からナンセンスや。イランには1776年のアメリカ革命当時の「自由か、死か!」という精神がある。彼らにとってこれは生存に関わる戦いや。アメリカがイランをバラバラにして石油を奪い、ドルとアメリカ経済を支えるために自分らを利用しようとしとるんは百も承知やからな。
米国は「他国が独自の主権を持つ」という国連の原則を拒否しとる。それが他国を団結させて「これが最後の決戦や」と認識させてしもたんや。
ベン・ノートン: シリアの政権転換(2024年末に成功したやつな)やレバノンの抵抗勢力の指導者殺害も、イランを孤立させるためのステップやったわけですね。でも、ドルの支配システムがこの戦争の核心にある。1974年にニクソンがサウジと結んだ「石油はドルだけで取引する」というペトロダラー体制。イランはこれを直接狙って、ホルムズ海峡を通るなら人民元で払えと言うとる。さらにイラン軍は、米軍基地だけやなくて、UAEにAIデータセンターを作っとるアメリカのIT大手や金融機関のオフィスも標的にしとると報じられてます。経済的要素が極めて重要ですね。
マイケル・ハドソン: せやな。米国はベトナム戦争で疲れ果ててたから、中東で直接戦う代わりに二つの「代理軍(クライアント・アーミー)」を使ってきた。
一つはイスラエル。1970年代初めに「イスラエルをアメリカの代理軍として使う」というディールができた。バイデンも昔「イスラエルがなければ、アメリカの利益を守るために自分らでイスラエルを発明せなあかんかった」と言うとったやろ。
もう一つはワッハーブ派のテロ軍団(アルカイダやISIS)。シリアで首をはねとる連中やな。米国はこの二つの代理軍を使ってきた。
今、何が起きてるか。ガザでの虐殺、レバノンからの反撃、中東全体に広がる抵抗の火、そして国連や国際刑事裁判所からのジェノサイド批判。追い詰められた米国とイスラエルは「もう今やるしかない」と無理やり動いたんや。イスラエルはレバノンを乗っ取ろうとしとるけど、もしイランがイスラエルの経済基盤を破壊したら、彼らには逃げ場がなくなる。
ペトロダラーについても、1970年代にキッシンジャーらがサウジに「石油代は何ぼでも上げてええけど、余ったドルは全部アメリカに投資せなあかんぞ。アメリカの会社は買わせへんけど、国債を買ってアメリカの産業を支えろ」と命令したんや。それがペトロダラー。その金が銀行に流れ、南半球の国々に貸し付けられ、借金漬けにして支配するモデルができた。
でも今、サウジらは自分の国の経済(砂漠の巨大都市とかな)に金を使うようになり、ドルの資産を売り払い始めとる。これはドルにとっての大打撃や。
そこにイランが「ホルムズ海峡はうちらのもんや、石油貿易をコントロールする」と言うて出てきた。米国が他国を従わせるための「首絞めポイント」を、逆にイランが握ったんや。これでイランが、米国や欧州、イスラエルに対して「逆制裁」を課せるようになった。石油、ガス、ヘリウムの流れを止め、さらには食料の輸入ルートも押さえとる。
ベン・ノートン: 原油価格の爆騰は世界中にインフレを撒き散らします。肥料代も上がるから食料危機も起きる。特にグローバル・サウス(南半球の途上国)への打撃は深刻です。彼らの通貨はドルに対して暴落し、資本が逃げ出す。エネルギー、食料、経済……トランプとネタニヤフが始めたこの「選択された戦争」が、世界的な大恐慌を引き起こす可能性があるということですね。
マイケル・ハドソン: その通りや。ドイツの例を見れば分かる。ロシアのガスを止めたせいで、ドイツの産業は崩壊して大恐慌に陥っとる。石油はエネルギーだけやなくて、化学、ガラス、肥料の原料や。
今、イランがカタール(世界最大のLNG輸出補給地)を爆撃したことで、天然ガスから作られる肥料が供給止まっとる。日本、韓国、フィリピンといったアメリカの同盟国はみんな危機や。台湾の半導体産業に必要なヘリウムや電力も止まっとる。アメリカがIT支配の鍵にしようとしてた半導体が作れへんようになって、計画はガタガタや。
北半球はこれから植え付けのシーズンやけど、肥料代が上がりすぎて農家が「赤字でやってられん」と悲鳴を上げとる。これが農業危機、食料危機につながる。一番しわ寄せが来るんは、南半球の貧しい国々や。彼らは石油代を払うか、ドルの借金を返すか、究極の選択を迫られる。デフォルト(債務不履行)が連鎖するやろう。
欧州でも政治危機が起きる。「暖房代が払えん、生活できん」となったら暴動が起きるし、次の選挙で親米政権は全部負けるやろう。韓国はトランプに3,500億ドル(約50兆円)、日本は6,500億ドル(約100兆円)払うと約束させられたけど、石油もガスもなくて輸出ができへんのに、どうやってそんな金払うんや?
トランプが無理やり結ばせたこれらのディールは、全部崩壊していくことになるやろうな。
ベン・ノートン:残念やけど、この戦争は続きそうやな
ハドソン:また次を楽しみにしてるでな。


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