2026年2月5日木曜日

マイケル・ハドソン:ドル支配の終わり

https://michael-hudson.com/2026/02/the-end-of-dollar-discipline/

January 24, 2026

レナ・ペトロワ(以下、レナ): 今日はようこそお越しくださいました。ポッドキャスト「World Affairs in Context」のレナ・ペトロワです。今日は光栄なことに、マイケル・ハドソン教授をお迎えしております。 皆さん、教授のサイト「michael-hudson.com」をぜひチェックしてください。最近のインタビューの文字起こしや、今の出来事についての記事が山ほどあります。教授、番組へようこそ。ホンマにお会いできて嬉しいですわ。

マイケル・ハドソン(以下、ハドソン): おお、おおきに。サイトのアドレスな、「michael-hudson.com」やで。みんなよう間違えるから気をつけなあかん。

レナ: あ、失礼しました。訂正おおきに。概要欄にリンク貼っとくから、皆さんも見てな。経済と政治の教科書みたいなサイトで、ホンマにすごいですわ。 さて教授、1月の初めからえらい騒がしいですな。アメリカの国家債務が38.5兆ドルっちゅう新記録に迫ってて、利払いだけで年間1兆ドル超えてしもた。インフレも再燃して景気も冷え込んできとる。 それだけやない。ワシントンはこの3週間でベネズエラに軍事介入して大統領を拉致して、「西半球は全部アメリカの支配下や!」って宣言した。イランの政権転覆に加担したり、ロシアのタンカー差し押さえたり、「イキり隊(Board of Peace)」を作ったり、イランへの軍事介入も考えてるみたいや。経済の視点から見て、教授はこの状況どない見てはります?

ハドソン: まあ、国家債務がどないな問題を起こすかっちゅう点については、みんなえらい混乱しとるな。政府はいつでも金刷れるし、連邦準備制度(FRB)が赤字を埋めるための金をなんぼでも作れるんや。せやから、そこ自体は何の問題もない。利払いに1兆ドル必要やったら、また刷ればええだけの話や。債券持ってる奴らが金持ちになるだけで、そのために誰かが増税される必要もない。これが現代貨幣理論(MMT)の基本や。

ホンマの問題は、国家債務そのもんやなくて「国際収支」やねん。なんでアメリカの国際収支がずっと赤字なんか? 朝鮮戦争から始まって50年代、60年代、70年代、そして今もやけど、原因は全部「海外での軍事支出」や。この数十年の赤字の正体は、海外でばら撒いた軍事費なんや。

ドルが海外で使われて戻ってけえへんとなると、ドルの価値が下がるやろ? それを防ぐために、アメリカは他国に「自分らを助けろ」って強制してきたわけや。「ソ連が攻めてくるぞ、今はロシアと中国が攻めてくるぞ、守ってやるから金出せ」っちゅう神話を作り上げてな。

アメリカの莫大な軍事予算を外国に払わせるための方便や。「世界中に800も基地作って支配したいから」とは言わんと、「守ってやってるんや」っちゅう建前や。この嘘のおかげでNATOができ、ヨーロッパを支配し、他国に金(ゴールド)やなくてドルで外貨準備を持たせることができたんやな。

けど、そのシステムが今、崩れ始めてる。特にダボスでの出来事以降な。アメリカはもう貿易黒字もないし、産業は空洞化して、世界最大の「債権国」から「債務国」に転落した。そんな国が、どないして軍事や政治の支配を続けていくんかっちゅう話や。

第二次大戦後は、アメリカが工業も金融も軍事もトップやった。今はもうちゃう。今、アメリカが他国に提示できるんは「言うこと聞かんかったらお前らの経済めちゃくちゃにしたるぞ」っちゅう脅しだけや。トランプの関税の脅しなんか、まさに「みかじめ料」の要求や。

これにヨーロッパも気づき始めた。「なんでアメリカの利益を最優先して、自分らの経済を犠牲にせなあかんのや?」とな。ロシアや中国の脅威なんて嘘やってバレてきてる。侵略の恐れがないんやったら、なんで制裁して、高いアメリカの天然ガス買わされて、福祉を削ってまで軍拡せなあかんのやって話や。

今起きてるんは「知的な戦争」や。文明とか法律、権力についての考え方を捻じ曲げようとしとる。アメリカは自分らを「文明」やと言い、他所を「野蛮人」と呼ぶ。そうやってウエストファリア条約以来の国際法の基本である「国家主権」と「内政不干渉」をうやむやにしとるんや。

トランプが国連関連の機関から抜けて、「イキり隊(Board of Peace)」みたいな代わりの組織を作って多国間ルールを拒否しとるのは、数世紀続いた国際秩序との決別やな。象徴としては滑稽やけど、影響は深刻やで。

レナ: 数世紀かけて築いてきたもんが、この1年、特にここ数ヶ月で壊されていくんは衝撃的です。アメリカが国際組織から次々抜けるんは、脅しと覇権の再構築に向かってるサインですよね。 教授は最近のエッセイで「今のアメリカの政策の目的は、他国がアメリカ支配の経済圏から抜けるんを阻止して、ユーラシア中心の経済圏ができるんを邪魔することや」って書いてはりました。ワシントンが強硬になればなるほど、世界はドル離れを加速させてるんと違いますか? 制裁、関税、脅し……アメリカに残された力は、もうこの「破壊的なレバレッジ」だけなんですか?

ハドソン: まあ、もうアメリカ市場には魅力がないからな。トランプは関税で国内産業を復活させられると思っとるみたいやけど、やり方がむちゃくちゃや。かつて19世紀のアメリカやドイツが工業化した時の関税とはワケが違う。 トランプは鉄鋼やアルミみたいな「原材料」に関税をかけた。これ、鉄鋼組合や支援者のアルミ会社は喜ぶかもしれんけど、それを使った製品のコストが全部上がるだけや。

彼は「関税だけで経済が強くなる」と勘違いしとる。工業化に成功した国はどこも、政府がインフラに強い役割を果たしてたんや。19世紀のアメリカ、ペンシルベニア大学のウォートン・スクールの最初の教授も言うてた。「労働、資本、土地だけやない。公共インフラこそが、国の競争力を決める一番大事な要素や」とな。

公共インフラは利益を追わん。目的はコストを下げることや。教育、医療、それに交通や通信みたいな自然独占部門を補助金で安く提供して、労働者がボッタクリ価格を払わんで済むようにする。けど、今のアメリカはどうや? 交通も通信も、電気も電話も、全部民営化されてボッタクリの温床になっとる。

インフラを民営化して銀行や金融セクターが支配するようになれば、コストは跳ね上がるわな。トランプはアメリカを世界一コストの高い経済にしようとしとるし、実際成功してもうた。GDPの20%近くが医療費に消えとる。他国の社会主義的な医療よりずっと高い。

教育かてタダやない。年間5万ドルもかかる。学生は社会に出る時から借金まみれや。高い医療費と教育費を払うために、高い給料を要求せなあかんようになる。これがネオリベラル(新自由主義)モデルの末路や。「価格」は高いけど「価値」がない経済やな。

アダム・スミスやミル、それにマルクスまで立ち返らなあかん。「価値」っちゅうのは作るのにかかったコストやけど、「価格」はそれより高い。その差額が「経済的レント(地代)」や。土地は自然のものでコストなんかかかってへんのに、地主クラスが市場から絞り取れるだけ絞り取れば、リカードが言うた通り、食料や家賃が上がって利益の出る余地がのうなってまう。

この話は1810年代にリカードが説明し、マルクスが『資本論』第3巻で詳しく書いとる。地主や債券持ちは寝てる間に稼ぐ「搾取」やけど、資本家(工業家)はちゃう。資本家は寝てへん。事業を立ち上げ、原材料を調達し、労働者を雇い、市場を開拓し、コストを下げるために生産性を上げようとする。マルクスは、この産業資本主義のダイナミズムを維持するには、公共投資を増やし、地代や独占利得に課税して価格を抑える必要があると説いた。

金融を中国みたいに「公共事業」として維持すれば、銀行は経済を借金漬けにするんやなくて、新しい工場や雇用を作るためにクレジット(信用)を誘導できる。これが産業資本主義の力や。

マルクスは、資本主義は自然と社会主義へ進化していくと考えた。けど、現実は違った。レント生活者(地主や銀行家)が逆襲したんや。「経済的レントなんて存在せえへん。価値と価格に差はない。稼いでる奴はみんな生産的や」っちゅう嘘を広めたんやな。 そうやって「不労所得で搾取してる奴ら」の存在を人々の頭から消せば、コストの低い豊かな経済を目指そうっちゅう政治運動も起きひんようになる。

結局、不動産やクレジットの価値だけが上がって、ピラミッドの頂点にいる金融家や独占企業だけが肥え太る。残りの人間は借金まみれの店借人、消費者や。トランプや今のアメリカの哲学は、かつてイギリスやアメリカを大国にした産業資本主義のダイナミズムとは真逆やねん。 今のままで、産業を海外に放り出したアメリカがどうやって競うんや? 「うちらから石油買った利益は、全部ドル建ての米国債で持っとけよ」っちゅうて他国の貯蓄を吸い上げるだけのモデルは、もう限界や。

だからみんなドルを売って、金(ゴールド)や銀、他国の通貨を買い始めてる。第一次大戦後から勢いづいた産業資本主義への「逆革命」が終わろうとしとるんや。ネオリベラルの連中は「政府の規制は隷属への道や」とか抜かしとるけど、今うちらが歩いとる道こそが「新封建主義への道」やっちゅうことに気づいてへん。 ダボス会議のニュースを見とったら、参加者たちの目隠しが外れたみたいやな。「ルールに基づいた秩序」なんて全部神話やったと。カナダのマーク・カーニーなんか、そのパレードの先頭に立って「あれは嘘やった」って言うて喝采を浴びとる。

トランプはそれにブチギレとるやろうし、カナダに仕返しするつもりやろな。マクロンが同じようなこと言うた時も、シャンパンに200%の関税かけるって脅してたしな。やってることはガキの使いみたいやけど、起きてることは文明の方向性を変える構造的な大転換やねん。

アメリカは単にイギリス帝国を飲み込みたかっただけやない。2022年にはな、「ヨーロッパを完全にひざまずかせたい」って本音が出とった。 どないすれば、ドイツの化学メーカーのBASFや自動車メーカーが、自分勝手な真似(中国への投資)をやめるように追い込めるか? 中国の工業技術を育てるような投資はさせとうないんや。「アメリカに投資せえ」と言いたいわけやな。せやから、「ドイツの産業をめちゃくちゃにしたれ」っちゅう話になった。

具体的に何をしたか? 北海のパイプライン、ノルドストリームを爆破しただけやない。まだ動いとるパイプラインも全部止めてもうたんや。それでヨーロッパ諸国にこう言わせた。「うちら、ロシアの安い天然ガスや石油なんかいりまへん。アメリカに4倍の値段払わせてください! だってうちらの給料、アメリカから出てるんですもん」……まあ、最後の方は口には出さんけど、そういうことや。

アメリカを守るために、ロシアから自分らを守ってもらう(という名目の)ために、ドイツやフランスの産業をぶっ壊してもええと思っとるんやな。それでロシアを攻撃して、ロシアが自衛のために反撃せなあかんように仕向けとる。ロシア側に侵略する気なんてさらさらないのにな。

今の戦争で、どこかの国をホンマに「侵略」して占領しようなんて国はおらへん。爆撃するだけや。どこの国も、歩兵を動かして他国を占領し続けるなんてコスト、払えるわけないからな。せやからアメリカは、中東でもどこでも「代理軍隊(プロキシ)」を使う。アフリカや南米でも、誰か他の奴らに戦わせようとしとるんや。

レナ: その「水平線の向こうからの攻撃(遠隔攻撃)」のせいで、戦争から人間味がのうなって、アメリカの国民からは戦争の現実が見えんようになってしまいましたね。何が起きてるんか、ホンマのところは誰もわかってへん。

ハドソン: そうやって「搾取」を透明化しとるんや。「武器を輸出して儲けてる」なんて言うとるけど、実際にはその武器、まともに動けへんのにな。

もしその武器がホンマに動いて、ヨーロッパ諸国がウクライナの枠を超えてもっとロシアを爆撃しようなんてしたら、ロシアはどうするか。プーチンが言うた通りや。「次ホンマに攻撃してきたら、戦いが始まった次の日には、もう交渉する相手(人間)自体がこの世におらんで」と。これが何を意味しとるか、猿でもわかる話や。

レナ: ええ、ホンマにその通りです。 ハドソン教授、今日はホンマに刺激的なお話、おおきにでした。またすぐこの続きをお聞きしたいです。お時間をいただき、ありがとうございました。ぜひまた次のエピソードにも来てくださいね。

ハドソン: こちらこそ、ええポイントを突いてくれておおきに。今の時期にぴったりの話やったな。

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