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フーシ派の言い分をそのまま受け取ってみる:サウジアラビアが読みとうない請求書
2026年11月1日 ラリー・C・ジョンソン
リヤドには、フーシ派の主張に対するシンプルなやり方がある。「防空システムが何かを迎撃した」と発表して、ほかのことは一切ゆわんと、世界が話題を変えてくれるのを祈るんや。四半期決算を小数点まで公表しとるアラムコが、「製油所が燃えとるんちゃうか」と聞かれた途端に、急に沈黙の誓いを立てよる。
せやから、ちょっと違うことをやってみるわ。このコラムの間だけ、サウジ政府とアラムコの言い分はぜんぶ無視して、アンサール・アッラーの軍事報道官、ヤヒヤ・サリー准将の言葉をそのまま受け取る。サリーが正確さの鑑やからとちゃうで。軍の報道官っちゅうもんは、ワシントンも含めてどこの国でも、戦果を盛るもんや。やってみる理由は、このやり方で、フーシ派が自分らは何をやっとると思うとるか、何を狙うとるか、そしてその半分でも本当やったらサウジアラビアが何を失うか、が見えてくるからや。10月10日以降の答えは、「かなりぎょうさん」や。
標的リスト
10月10日から29日の間に、サリーは王国内への攻撃を主張する声明を少なくとも8本出しとる。まとめて読んだら、パターンが浮き上がってくるで。これは行き当たりばったりの嫌がらせとちゃう。標的は三つ、首都、石油の輸出ルート、ほんでイエメンでの戦争を回しとる空軍基地や。
リヤドのキング・ハーリド国際空港は、10月10日、11日、12日、19日、24日、26日、29日の、そのうち7本の声明に出てくる。サリーはこの空港を「軍事目標」やと宣言して、航空会社と旅行者に近づかんようにと呼びかけた。フーシ派はほかにも、ダンマームのキング・ファハド国際空港、アブハ空港を3回、ナジュラーン空港を3回、攻撃したと主張しとる。
エネルギー面では、アラムコのヤンブー・コンプレックスを3回、東西パイプラインとその中継ポンプ場を2回、ラス・タヌーラ製油所を2回、ラービグ製油所を2回、ほんでアブカイクの処理施設、シャイバ油田、ダハランのアラムコ本社をそれぞれ1回ずつ叩いたと主張しとる。世界最大の油田、ガワールも、10月10日のリストに載っとったらしいわ。
軍事面やと、ハミース・ムシャイトのキング・ハーリド空軍基地を4回、ナジュラーンの軍司令部、ナジュラーン空港の輸送機、「サウジ海軍任務部隊の野営地」、ジャバル・アル=ヒスン、ジャバル・アル=ラフマ、ビル・アスカルのレーダー施設、ほんで、リヤドのサウジ国防省を2回、攻撃したと主張しとる。この最後のやつ、もう一回よう読んでみ。サウジのイエメン戦争を指揮しとる建物を、フーシ派が2回叩いたと言うとるんや。
鎖の輪っかを、ぜんぶ
ここからが、サウジの石油大臣らを夜も眠れんようにするはずの部分や。エネルギー関連の標的を地図に置いてみたら、フーシ派は石油施設をただ叩いとるんとちゃうと気づく。サウジアラビアに残された唯一のサプライチェーンの、輪っかを一個残らず叩いたと主張しとるんや。
ホルムズ海峡が通常の航行に対して閉まっとるいま、王国の輸出は一本のルートに頼っとる。原油はガワールとシャイバの東部から出てくる。それがアブカイクで処理される。アブカイクは日量700万バレルの処理能力があって、サウジの石油システム全体の心臓部や。ほんで東西パイプラインに乗って、一連のポンプ場に押されながら、砂漠を1200キロ西へ運ばれる。このパイプラインは3月からずっとフル稼働の日量700万バレルで動いとった。最後に紅海のヤンブーでタンカーに積まれる。ヤンブーは日量約500万バレルの原油を出荷しとった。
フーシ派は、最初の油田、処理の段階のアブカイク、途中のポンプ場、出口のヤンブーと、叩いたと主張しとる。それは標的リストとちゃうで。フローチャートや。この地域の動きをよう見とるわしの友人のカール・ミラーが、何週間も前に教えてくれたんやけど、あのパイプラインの11か所のポンプ場のうち4か所はひどく損傷して、動いてへんそうや。フーシ派の最新の主張を見ると、仕上げまでやる気やな。
数字で見てみよか
ほな、これがなんぼの価値になるか。ブレントは10月28日、フーシ派がラス・タヌーラを攻撃したと主張した翌日に、1バレル115ドル近辺で取引されとった。ちょっと計算してみよか。
主張されとるパイプライン、ポンプ場、ヤンブーへの攻撃で紅海からの輸出が半分に減っとったら、サウジアラビアは日量およそ250万バレルを失っとることになる。115ドルやと、1日約2億9000万ドル、1か月でざっと86億ドルや。ヤンブーが完全に止まったら、損失は1日約5億7500万ドル、1か月で170億ドル超になる。気まぐれでサッカークラブを買うような国やとしても、誤差の範囲とちゃうで。
次に製油所を足そか。ラス・タヌーラの処理能力は日量約55万バレル。ラービグは約40万バレルや。ヤンブーにはさらに三つある。額面通りに受け取ったら、フーシ派は日量100万バレルをはるかに超える精製能力のプラントを叩いたことになる。これはアラムコの売上が減るっちゅうだけの話とちゃう。すでにどれも不足しとる世界が、サウジアラビアから買えへんようになる軽油、ジェット燃料、ガソリンの話で、しかもサウジ自身が輸入せなあかんようになるかもしれん。石油国家が海外から精製品を買う。パン屋がスーパーでパンを買うのと、エネルギーでは同じこっちゃ。
ほんでアブカイクや。この映画はもう見たことあるやろ。2019年9月、アブカイクとフライスへのドローンとミサイルの攻撃で、一晩にして日量570万バレル、サウジの生産の半分が吹っ飛んだ。フーシ派の10月29日のアブカイクへの主張が一部でも本当やったら、ほかには何も叩く必要がない。アブカイクは、チョークポイントの中のチョークポイントなんや。
ほんまのダメージは政治や
石油の損失は深刻やけど、一時的なもんや。パイプは溶接し直せる。製油所は再稼働できる。ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子への政治的ダメージのほうが、直すのがずっと難しいで。
MBSはビジョン2030にすべてを賭けとる。サウジアラビアが、ビジネス、観光、スポーツ、投資の世界的なハブになるという約束や。そのどれもが、一つのことに懸かっとる。王国は安全やという認識や。フーシ派はその認識をまともに攻撃しとって、せやから首都の空港が、彼らのリストでいちばん頻繁に出てくる名前なんや。フーシ派が世界の航空会社に「着陸するな」と言うとるときに、リヤドを「明日のドバイ」として売り込むんは無理やで。キング・ハーリド空港は10月11日から18日まで閉鎖された。再開した翌日、サウジアラビアは、ブラックロックのラリー・フィンクやJPモルガンのジェイミー・ダイモンが出席するはずやった「砂漠のダボス会議」、未来投資イニシアチブを、2027年に延期した。旗艦のビジネス会議を中止にするぐらい、「商売お待ちしとります」から遠い話もないな。
ほんで軍事面の主張や。サウジアラビアは2025年5月に、ワシントンと史上最大の1420億ドルの武器パッケージに署名した。何十年も買い続けてきたパトリオットやF-15や、カネで買えるあらゆるものの上に、さらに積んどるんやで。サリーが信用できるなら、アラブ世界でいちばん貧しい国を支配しとる運動体のフーシ派が、南の主要な空軍基地、彼らの接近を見張るはずのレーダー網、首都の国防省を、繰り返し叩いたことになる。どんなPRを使うても隠せん屈辱や。ほんで、湾岸諸国の首都という首都で、気まずい疑問が出てくる。あれだけのカネで、いったい何を買うたんや、と。
これは、わしが先週書いた外交の駆け込み劇の説明にもなっとる。リヤドの新しい同盟国のパキスタンとトルコは、イエメンには入らんとはっきりさせた。サウジの国防大臣はテヘランに飛んだ。リヤドは確認してへんけど、静けさを買うための10億ドルの頭金があったという報道もある。戦争に勝っとる国は、相手の後ろ盾のとこへ、小切手帳持って国防大臣を送ったりせえへんで。
細かい字の部分
公平を期すと、わしはサリーの言葉をそのまま受け取ると言うた。ほんで、彼の言葉には変わった特徴がある。10月31日、サウジ主導の連合軍がメディナ上空でフーシ派のドローンを撃墜したと発表した後、サリーは憤然とそれを否定した。フーシ派は「サウジ内陸部に向けた作戦は一切行っとらん」と言うたんや。つまり、アンサール・アッラーは国防省もアブカイクもリヤドの空港も喜んで自分らの手柄と主張するけど、聖地には線を引くっちゅうことや。それは謙虚さとちゃうで。メッセージの規律や。フーシ派は、イスラム世界に、イスラムの最も神聖な場所との戦争とちゃう、サウド家との戦争を見てほしいんや。
ほんで結論や。サリーが半分に誇張しとったとしても、それはあり得るけど、サウジアラビアはいま、地上では勝てへん、空からは止められへん、ガソリンスタンドの損失にはもう耐えられへん戦争を戦うとる。フーシ派はアラムコを破壊する必要はないんや。世界の航空会社、保険会社、投資家に、王国は戦争地帯やと納得させるだけでええ。いまの証拠を見る限り、なかなかうまいことやっとるで。
リヤドのどこかで、アラムコの報道官が、また何も言わん声明を起草しとる。サナアでは、ヤヒヤ・サリーが、また新しい標的リストを起草しとる。わしやったら、どっちを先に読むか、分かりきっとるわ。
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ポーランドは症状や、ほんで患者はヨーロッパ全体や
2026年11月1日
ポーランドの憲法裁判所で真夜中に起きた大乱闘は、ポーランドだけの問題とちゃうねん。ヨーロッパ大陸ぜんぶを蝕んどる病気が、たまたまここで噴き出しただけや。ヨーロッパ中どこでも、有権者が「間違った」候補者を選んだら、エスタブリッシュメントは裁判官やら情報機関やらEUの小切手帳やらに手ぇ伸ばして、その結果を「民主主義を守っとる」てゆうとる。『ジャーナル・オブ・デモクラシー』がその教科書を書いて、ワルシャワが教育病院になっとるっちゅうわけや。
問題の論文
2023年12月、ドナルド・トゥスクの連立政権が「法と正義」(PiS)を政権から追い出して2か月たった頃や。『クルトゥーラ・リベラルナ』のヤロスワフ・クイシュとカロリナ・ヴィグラが、『ジャーナル・オブ・デモクラシー』にハウツーガイドを載せたんや。タイトルを見たらぜんぶ分かるで。「非リベラル民主主義の解体の仕方」や。
出どころをよう考えてみ。当時この『ジャーナル』は、全米民主主義基金(NED)の看板雑誌やった。NEDっちゅうのは、CIAが昔、夜中にやっとったことを昼間に堂々とやっとる組織や。今年、DOGEが2025年にNEDの資金を止めたせいでNEDとは切り離されて、今はスタンフォードのCDDRLと組んで独立しとる。けど2023年の時点では、民主主義推進の本丸がワルシャワに向かって「大掃除のやり方」を指南しとったわけや。
脚注を取っ払って、主張をまとめるとこうなる。
ポーランドには、PiSの「法の支配の侵害」に対処するための「第二波」の移行期正義が要る。
漠然とした反逆罪での起訴は避けること。2015年の憲法裁判所の人事、2020年の全面郵便投票での大統領選の試み、2023年のビザ・フォー・キャッシュ(金で査証を売った)スキャンダルみたいな、具体的な行為を訴追せえ。
ヤロスワフ・カチンスキに責任はあるけど、有罪にするのは難しいやろ。
議会の調査委員会が主な道具になる。
PiS寄りの大統領府、最高裁、国家法廷からの抵抗を覚悟しとけ。
体制を壊さんと安定させること。
著者らは最後に、額に入れて飾りたいくらいの但し書きを添えとる。「明確なロードマップはない…せやから奇跡を期待したらあかん」やて。
わしの批判
民主主義の守り手が、民主主義の解体マニュアルを書いてしもたんや。ほんで本人らはその皮肉に気づいてへん。この論文でいちばん勉強になるんは、そこやな。
まず「非リベラル(illiberal)」ちゅう言葉からしてや。これは法的なカテゴリーとちゃう。会議の予算をたっぷり持っとる連中が、気に食わん政府に貼るレッテルや。PiSは2015年も2019年も議会選挙で単独過半数を取って勝っとる。せやのに論文は、PiSの役人を、負けた政党っちゅうより、1989年の共産党のノーメンクラトゥーラみたいに扱うて、「移行期正義」のプロセスが要るとゆうとる。
ただ、クイシュとヴィグラの名誉のためにゆうとくと、この二人は自分らの大義よりは慎重やで。見せしめ裁判はあかんとか、漠然とした罪状はあかんとか注意しとるし、誰もやり方を知らんことも認めとる。けどな、マニュアルちゅうもんは但し書きのために読まれるんとちゃうねん。政治家は脚注を飛ばして、道具の章へ一直線や。
ここに核心の矛盾があるんや。PiSは裁判所を乗っ取って、判決を無視して、忠実な身内で機関を固めたと責められとる。ほんで処方箋はなんやと。裁判所を粛清して、判決を無視して、「正しい」身内を据えることや。罪やったもんが、「正しい人間」がやったら聖なる儀式になってまうねん。
3年後のポーランド:マニュアルが現実になった
今週、そのマニュアルが図書館を飛び出して、機動隊に守られてワルシャワの街に出てきた。
2023年以降、トゥスク政権は憲法裁判所を認めへんで、その判決を無視し続けとる。3月から、議会が新しい判事を8人選んだ。ところがカロル・ナヴロツキ大統領が、うち5人の宣誓を拒否したんや。ほしたら5人は自分らで宣誓式をやって、宣誓書を大統領官邸に郵送しよった。中欧の基準でも、これは前代未聞やで。
ほんで10月30日や。『ノーツ・フロム・ポーランド』と『プロトテマ』によると、こうなっとる。
アンナ・コルヴィン=ピオトロフスカ判事が、ボグダン・シフィェンチコフスキ長官を職務停止にして、自分が長官代行やと宣言した。
ヴァルデマル・ジュレク法務大臣が、シフィェンチコフスキの免責特権を剥奪する手続きに動いた。
機動隊が、シフィェンチコフスキを自分の裁判所に入れんように阻んだ。支持者らは電動工具でフェンスを切り開いた。
ナヴロツキはセネガルに向かう途中で飛行機をUターンさせて、午前1時ごろ、判事らを押しのけて建物に入った。双方とも、相手が暴力を振るたと非難しとる。外の抗議者らは「クーデターや」ゆうとった。
トゥスクの反応は、『ユーロニュース』によると「ある事柄については妥協の余地はない」や。ロシアのボットにも警告しとったで。ヨーロッパの危機っちゅうたら、ロシアのボットが出てこな始まらんからな。
連立の中も全員が拍手しとるわけちゃう。シモン・ホウォヴニャは、ポーランドは恥を知るべきやし、無理やり直そうとしたら衰退が深まるだけやとゆうた。ホウォヴニャとPSLは、今ナヴロツキの協議に出席しとる。身内の連立パートナーが向こう側と会談を始めたら、そのロードマップには穴ぼこがあるっちゅうこっちゃ。
クイシュとヴィグラは「奇跡を期待したらあかん」とゆうた。これは奇跡とちゃうで。鏡や。
症状やのうて病気そのもの
ポーランドは、たまたま患者がいちばん激しく暴れとるケースっちゅうだけや。病棟のほかを見渡したら、おんなじ病理があちこちに出とる。選挙は参考意見くらいの扱いで、最終決定権は誰も投票してへん機関が持っとる、ちゅうやつや。
ルーマニア。 2024年12月6日、憲法裁判所が大統領選の第1回投票を無効にした。支持率ひと桁やった部外者のカリン・ジョルジェスクが1位になったからや。理由は、「ロシアによる攻撃的なハイブリッド攻撃」に関する機密解除された情報と、違法な選挙資金の疑いやった。2025年3月には、選管がやり直し選挙からジョルジェスクを排除した。当時「どの世論調査でも本命」やった男をや。裁判所も全会一致でこれを認めた。選挙をやり直して、勝った人だけ外す。これも選挙の「直し方」の一つなんやろな。
フランス。 2025年3月、パリの裁判所がマリーヌ・ル・ペンをEU議会の資金横領で有罪にして、5年間の公職停止を即時発効で言い渡した。2027年の大統領選の最有力候補が、小槌の一撃で消されたんや。7月には控訴審が有罪は支持したけど、停止期間は45か月に短縮して、うち30か月は執行猶予にした。せやから結局出馬できることになった。裁判官が与えて、裁判官が取り上げる。どっちにしても決めるんは裁判官や。
ドイツ。 2025年5月、ドイツの国内情報機関BfVが、AfDを「確定的な右翼過激派」政党に指定した。AfDの支持率は24?26パーセントや。2月にケルンの裁判所がその指定を停止して、「その条件は満たされてへん」と判断した。それでも議員らは、憲法裁判所に党を丸ごと禁止させようと動き続けとる。有権者の4分の1が支持しとる党を禁止する。議論に勝つ方法としては、確かに一つの手やな。わしのおった昔の商売やったら、諜報機関が最大野党を監視しとる状態は別の名前で呼んどったで。
ブリュッセルの小切手帳。 欧州委員会は、PiS政権下のポーランド向けに約1370億ユーロを凍結しとった。ほんで2024年2月29日、トゥスクが就任して11週間後に、その金を解除した。委員会の職員本人が「だからといって、法の支配が完全に回復して万事OKということやない」と認めて、改革計画は「まだ草案段階の野心」やとゆうとった。法の支配は、首相官邸に誰が座っとるかで測られる、ちゅうことやな。ハンガリーも同じ扱いを受けた。新首相のペーテル・マジャルは、「EU資金を解除してもらうために」ブリュッセルに行くと約束しとる。ブダペストにはメッセージがちゃんと届いとるわ。
事例を並べて見たら、症状がはっきりしとるで。裁判所が、投票用紙に載る選択肢を取り消したり絞ったりする。情報機関が、どの政党が競争するのにふさわしいか格付けする。ブリュッセルが、「ええ行い」、つまり「正しい政府」にカネを払う。ぜんぶ「投票した人間から民主主義を守る」ちゅう名目でや。
せやから、クイシュとヴィグラの論文はポーランドを超えて意味があるんや。ポーランドの政策文書とちゃう。「間違って投票する有権者」を治療するための臨床プロトコルで、「有権者に鍵を預けたらあかん」と結論づけたヨーロッパのエリートに向けて書かれとる。トゥスクは、麻酔なしでそれを試した最初の外科医っちゅうだけや。
NATOにとって何を意味するか
同盟っちゅうもんは、「うん」とゆわなあかん各国政府の強さ以上には強うならへん。今、NATOの主要なヨーロッパ加盟国のいくつかは、自国の有権者や裁判所や大統領との戦いに手一杯で、対外的な冒険なんかできる状態とちゃう。場合によっては、やろうとしてもできへんやろな。
まずポーランドや。ワシントンがNATOの模範生やと持ち上げて、ベラルーシとウクライナに面した最前線の国や。ポーランド憲法では、大統領が軍の最高司令官や。そのポーランドの大統領と首相が、今お互いに「クーデターや」と非難し合うとる。こんな状況で、誰が展開命令を出すんや。ほんなら、ポーランドの兵士は誰の命令に従たらええか分かるんか。憲法裁判所が二つあって、最高司令官が午前1時に判事を押しのけとる国は、戦力を投射する準備なんかしてへんで。自分らをまとめとくのに必死なんや。
ほかの病棟も、似たり寄ったりや。
ドイツは、有権者の4分の1が支持して、ロシアとの戦争には一切関わりとうないゆうとる野党を禁止するかどうか議論しとる。東へ兵を送るドイツ政府があったら、それがそのままAfDに次の選挙を献上することになる。
フランスは、2027年の大統領選を控えとる。NATOの統合軍事機構にずっと懐疑的やった党のル・ペンが、また投票用紙に戻ってきとる。この選挙を前にして、海外の冒険に賭けるフランス大統領はおらんで。
ルーマニアは、黒海沿岸のミハイル・コガルニチャヌにNATOの基地があるけど、自国の裁判所が取り消した選挙の影がいまだに政治にかかっとる。政治階級に正統性の問題があるんやから、戦争でそれを悪化させる余裕はないわ。
NATOは合意で動く。これらの政府はどれも今、対外派兵を、自分らが説得するんやのうて管理することに何年も費やしてきた国内の有権者と天秤にかけとる。国内でのエリートの支配が、裁判所と情報機関とブリュッセルのカネに頼っとるとき、「息子らを東へ送ってくれ」と有権者に頼むんは、いちばん冒せへん頼みごとなんや。有権者を敵扱いしたツケは、遅かれ早かれ回ってくるで。
皮肉は見逃しようがないな。このプロジェクトは、「門前の野蛮人から民主主義を守る」ちゅうて売り込まれとった。ほんで出来上がったんは、自国の有権者とすら折り合えん、ましてや加盟国同士でも折り合えん同盟や。モスクワは指一本動かす必要もなかったんや。ヨーロッパの「民主主義の守り手」が、勝手にその仕事をやってくれとる。
グローバリストは消えへん
「法の支配」や「移行期正義」ちゅう言葉を剥ぎ取ったら、出てくるんはポーランドのナショナリズムそのものを狙うたプロジェクトや。PiSの本当の罪は、裁判所に人を詰め込んだことやない。裁判所に人を詰め込む政府なんぞなんぼでもあるわ。罪は、ポーランドの主権とカトリックのアイデンティティと国民国家を、ブリュッセルより上に置いたことなんや。
記録を見たら一貫しとる。ポーランドは2015年のEUの移民再配置の割当を拒否して、2020年4月に欧州司法裁判所が、ポーランド、ハンガリー、チェコは拒否によってEU法に違反したと判決した。その7月、欧州委員会は、「LGBTイデオロギー・フリー」決議を出したポーランドの6つの町への姉妹都市交流補助金を拒否した。ほんで1370億ユーロの凍結や。ブリュッセルのメッセージは、いっこもブレとらん。国のアイデンティティは民俗芸能としては歓迎するけど、政策としてはお断り、っちゅうこっちゃ。
西側エスタブリッシュメントのグローバリスト派、つまりNEDやブリュッセルや、その周りを回っとる財団やシンクタンクにとっては、ナショナリズムは議論する意見とちゃう、治療すべき病気なんや。何を信じるか、誰を受け入れるか、自分とこの裁判所をどう運営するか、それを自分らで決めると言い張る国は、定義からして「非リベラル」になる。クイシュとヴィグラは、その態度に法的な手続きを与えただけや。
ほんで東を見てみ。同じ連中が、ロシアにも同じ態度をとっとる。礼儀はもっと少ないけどな。NEDは何十年もロシアの市民社会団体に資金を出してきて、せやからモスクワは2015年の法律で、NEDを最初の「望ましくない組織」に指定したんや。2022年6月には、米国のヘルシンキ委員会が「ロシアの脱植民地化:道義的かつ戦略的な至上命題」ちゅう題の説明会を開いた。このタイトルを見たらあとはお察しや。ロシアのナショナリズムも、ポーランドのナショナリズムと同じで、向き合うべき事実とは扱われへん。制裁や体制転換で、あるいは講演会サーキットの連中の思い通りになったら分割で、治したらなあかん病理として扱われとるんや。
わしがいちばん痛快やと思う皮肉はこれや。ワシントンとブリュッセルは、ポーランドのナショナリズムがモスクワに向いとった間は、何年も拍手喝采しとった。ポーランドのロシア嫌いは、同盟のお気に入りの資産やった。ところが同じナショナリズムをブリュッセルに向けた途端、急に民主主義への脅威になって、機動隊が要るようになる。ポーランドの愛国心は、信念として尊重されるもんやない、向きを定めて使う武器やったんや。ポーランド人は気づいたほうがええで。ロシアの国民意識を解体したがっとる連中が、自分らの国民意識も解体しようとしとる連中と同じやっちゅうことにな。
これはわしの見立てで、論文の主張とちゃう。クイシュとヴィグラは、ぜんぶ法の支配の回復として語っとって、始めたんはPiSやと言い張っとる。PiSの2015年の憲法裁判所人事は権力の奪取やったし、2021年のクセロ・フロール判決で欧州人権裁判所は、不適切に任命された判事を含む法廷は公正な裁判を受ける権利を侵害すると認定しとる。
ナヴロツキが新しい判事の宣誓を拒否したんも、これまた強硬策や。両陣営とも、ちゃんとした法的な言い分を持っとる。せやからこそ、真夜中の機動隊は、これを決着させる方法としては間違うとるんや。
動機をまるごと脇に置いたとしても、悪い結果で判断したらええ。憲法裁判所が二つ張り合うて、大統領が暗闇で判事を押しのける国が出来上がったんや。
NATOについては、一言つけとくで。国内の混乱のせいで、攻撃的な作戦や遠征の冒険はずっとやりにくなるけど、これらの国が自国の領土の防衛まで拒否するっちゅう意味とちゃう。ワルシャワの両陣営とも、防衛費の大幅増には賛成しとるし、加盟国への直接攻撃があったら、いちばん割れとる議会でもまとまりがちや。わしの議論は冒険に対する意欲の話で、国境で戦う意志の話とちゃうで。
そやけど、こういう但し書きがあっても、中心の論点は変わらへん。ワルシャワで起きとる争いは、ほんまは判事の話とちゃうんや。ヨーロッパの国が、今でも自分で自分を定義してええんか、それとも、その権利はもうブリュッセルとNEDと、「民主主義の解体マニュアル」を書く連中のもんになったんか、っちゅう話や。モスクワはその答えを何年も前に知っとった。ワルシャワは今、それを知らされとるとこや。