2017年3月29日水曜日

インド、イラン産原油輸入代金を非課税に

http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=42370

2017年03月12日付 Hamshahri紙

 インド税務当局(CBDT)は、インド=イラン間の商業取引拡大に向けてイラン産原油輸入代金を非課税扱いとした。

 イラン学生通信(ISNA)によると、この決定は、イランへの制裁解除から1年少々経って実施された。その間に民間銀行のインダス・インド銀行は、イランと関わる全取引の簡略化に向けた準備が整ったことを発表している。

 インド税務当局は2月23日付の公告で、イラン石油会社[訳注:国営]がルピー建てでインド企業から原油代金として受け取る所得は、2016年8月16日以降、課税対象外であると発表した。

 インド輸出機関連合(FIEO, Federation of Indian Export Organisation)のCEOアジャイ・サハイ氏によると、イラン石油会社に課せられた税が免税を進めることで、同社がインドへの石油輸出によって受け得る資金の一部をインド国内に残し、同社のルピー支払いシステム上に有する預金を積み増しできるようになる。なぜならば、現状においてこの預金は、急速に減少しているからである。この措置は、インドの輸出業社の利益となるであろう。というのも、イランとの自由な通貨取引は、準備が整ったと宣言している限られた銀行を通さなければならず、未だに不安定であるからだ。

 彼は、「自由為替取引とルピー建て決裁の仕組みによって、インドの輸出業者とイランの輸入業者に、より広範な選択肢が提供されることになる。特にイランの為替[リアル]レートが激しい変動に晒される時期は、猶更である」と続けた。

 これ以前に、イランの核開発に対する国際的な経済制裁後に、2カ国はインドがイランに支払う石油輸入代金の45%を、米国あるいはEUのどちらでも投資活動を行っていなかった、インドのUCO銀行に預けることで合意していた。イラン側は、インドからの輸入代金の決済にこの預金を利用していた。ルピーでの預金水準は、イランへの輸出代金3ヶ月分に満たない金額であると言われている。

 2016会計年度のインド=イラン間の貿易取引は総額90億ドルで、その内63億ドルが、45億ドルの石油代金を含むイランからの輸入であるのに対し、インドからの輸出は27億ドルしかなかった。2カ国間の貿易水準は、2011年から2012年に記録した162億ドルを下回っており、同期間のインドの輸出額は24億ドル、イランからの輸入額は138億ドルであった。

 インドの通信社の報道によると、インド輸出機関連合はインド=イラン間の貿易を促進するため、2016年12月、インド中銀に対して、ペルシア国際銀行(Persia International Bank)やパールスィヤーン銀行(Parsian Bank)、パールサールガード銀行(Parsargad Bank)、メラット銀行(Bank Mellat)、サーマーン銀行(Saman Bank)などのイランの銀行にインド国内に支店を開設させるよう求めている。また同時にインドの各銀行もイランに支店を開設すべきであると要求した。

ゼロヘッジ 3月27・28日 その1

Billionaire Slashes Asking Price For Beverly Hills Mega- Mansion By A Third, Or $66 Million
Mar 28, 2017 7:27 PM
http://www.zerohedge.com/news/2017-03-28/billionaire-slashes-asking-price-beverly-hills-mega-mansion-third-or-66-million
ビバリーヒルズの豪邸を大金持ちが1/3の66百万ドルに値切りました。全米で不動産価格が急落しています。

The Robots Win: Blackrock Bets On Computers Over Human Stock Pickers, Fires Dozens
Mar 28, 2017 6:53 PM
http://www.zerohedge.com/news/2017-03-28/robots-win-blackrock-bets-computers-over-human-stock-pickers-fires-dozens
投資会社ブラックロックで人間トレーダーとロボットトレーダーが競争した結果、人間が負けて数十人がクビになったとな。

Equity Research Faces "Major Disruption" As Study Finds "Less Than 1%" Of Reports Are Actually Read
Mar 28, 2017 6:30 PM
http://www.zerohedge.com/news/2017-03-28/equity-research-faces-major-disruption-study-finds-less-1-reports-are-actually-read
社債リサーチ会社によるとレポートが1%も読まれていないそうです。じつはその1%というのも甘めの見積もりです。トップ15投資銀行が毎週4万通のレポートを出しているそうなので無理もありません。トレーダーのなかにはレポートをゴミ呼ばわりする人もいて、そんなレポートで顧客から何万ドルももらっているというビジネスモデルがいつまでつづくのやら。

Trump Signs Executive Order Rolling Back Obama's Climate Policies: Who Benefits The Most?
Mar 28, 2017 5:02 PM
http://www.zerohedge.com/news/2017-03-28/trump-signs-executive-order-rolling-back-obamas-climate-policies
トランプがオバマの温暖化政策を撤回する大統領令:エネルギー独立令にサイン。さて誰が徳をするのやら?
トランプさんは大統領令にサインする前に炭鉱関係者に「さて仕事に戻ってもらおうか」と言ったそうな。

And Now Fake Consumer Confidence Too: Gallup Says Confidence In The Economy "Tumbled"
Mar 28, 2017 4:53 PM
http://www.zerohedge.com/news/2017-03-28/and-now-fake-consumer-confidence-too-gallup-says-confidence-economy-tumbled
近頃の株の暴落で消費者信頼感指数が株価指数などと整合性がなくなってきたので、じつはいままでの消費者信頼感指数そのものがフェイクだったんじゃないかという疑いが出てきています。

Top Turkish Banker Arrested At JFK Airport Over Massive Gold Money-Laundering Scheme
Mar 28, 2017 3:41 PM
http://www.zerohedge.com/news/2017-03-28/top-turkish-banker-arrested-jfk-airport-over-massive-gold-money-laundering-scheme
トルコ有数の国営銀行の重役がイランの経済制裁回避に融通をはかったということでニューヨークのJFK空港で逮捕されました。

House Committee Passes Bill To "Audit The Fed"
Mar 28, 2017 3:34 PM
http://www.zerohedge.com/news/2017-03-28/house-committee-passes-bill-audit-fed
連邦準備銀行を監査するという法案が下院を通過しました。オバマ政権時代にも同様の法案が提出されましたが、まず上院で否決され、もし上院を通ったとしても大統領が拒否権を発動することは確実でした。トランプさんが法案通過に積極的なのでまた浮上したということです。

4 Factors Driving Oil Prices This Summer
Mar 28, 2017 3:13 PM
http://oilprice.com/Energy/Oil-Prices/4-Factors-Driving-Oil-Prices-This-Summer.html
夏の原油消費ピークシーズンが近づいています。今年の夏はつぎの4要素が原油価格を決定するという話です。
OilPrice.com の投稿記事から。
1.在庫とアメリカのシェールオイルのリグ数
2.OPEC原産が継続するかどうか
3.夏の走行距離
4.油田開発・生産プロジェクト

Modern Day Snake Oil - Is 2% Growth As Good As It Gets?
Mar 27, 2017 5:40 PM
http://www.zerohedge.com/news/2017-03-27/modern-day-snake-oil-2-growth-good-it-gets
現代のガマの油?2%成長が最高といえるのか?
1949年以来、不況と好況のサイクルが11回繰り返されましたが、いまの上昇サイクルは史上最遅だそうです。
連銀が「かつてなく好調」といったのにウォール・ストリートジャーナルが食いついて、「こんなんで最高と言えるのか?」と問うています。連銀の根拠はオークンの法則
【ウィキから:経済学において、オークンの法則(Okun's law)とは、一国の産出量と失業の間に経験的に観測される安定的な負の相関関係のことである。 この法則の「乖離形式」(gap version)は、一国の国内総生産(GDP)が潜在産出量より1%小さくなる度に(米国の場合)失業率が約0.55%上昇することを述べる。】
連銀の根拠はオークンの法則ですが、WSJは百歩譲ってオークンの法則は他の経済学の法則と同じくクソだと断言します。
さらにWSJは Acting Man Blog のピーター・テネブララムを引用し、
「経済の先行き見通しはサイエンスではないし、経済の先行き見通しをすることは経済学的サイエンスの仕事ですらない。見通しは歴史家の仕事であり、投機屋のことをマイズは「未来の歴史家」と呼んでいる・・・」
さらに、数学モデルは完璧にクソであり、現代のガマの油である・・と言います。
いまのGDP予測と株価の乖離を見ればさもありなん、ということです。

Shell's New Permian Play Profitable At $20 A Barrel
Mar 27, 2017 6:30 PM
http://www.zerohedge.com/news/2017-03-27/shells-new-permian-play-profitable-20-barrel
シェルの新パルミア油田はバレル20ドルで採算が取れるそうです。

Why Foreign Robots Are The Real U.S. Job Killer
Mar 27, 2017 6:55 PM
http://www.zerohedge.com/news/2017-03-27/why-foreign-robots-are-real-us-job-killer
トランプさんが大統領になってから自動車など製造工場をアメリカに戻すというのが話題になっていますが、工場が戻ってきたとしてもそこで働くロボットはドイツ製か日本製だそうです。商務省の統計によると「フレキシブルな製造機器」のカテゴリーでアメリカは対日本、EU、スイスと合計41億ドルの貿易赤字。

Iron Ore Tumbles As China Steel-Producing Hub Found Lying About Production Cuts
Mar 27, 2017 7:16 PM
http://www.zerohedge.com/news/2017-03-27/iron-ore-tumbles-china-steel-producing-hub-found-lying-about-production-cuts
中国の巨大製鉄会社が原産といいつつ原産なんてやってなかったので鉄鉱石価格が下落
OPECの減産と同じく、鉄業界も中国の唐山の製鉄会社が「減産」と言ったので価格が上がりました。しかしそれが嘘だったのがバレたので鉄鉱石の先物価格が急落。

"Couldn't Hit An Elephant" - Over-Confident NATO Generals & Russian Retaliation
Mar 27, 2017 7:20 PM
http://www.zerohedge.com/news/2017-03-27/couldnt-hit-elephant-over-confident-nato-generals-russian-retaliation
「この距離では象は打てまい」
と言ったのはジョン・セジョゥイック将軍。1864年、バージニア州スポットシルバニアの戦いのこと。
「軍など派遣せずともフリゲート艦が4〜5艘あればよかろう」
と言ったのはイギリスのノース首相。1774年にアメリカ植民地が反乱をおこしたときのこと。
「枯葉が落ちる前に(戦いを終えて)家に帰れるぞ」
と言ったのはウィルヘルム2世。1914年8月。
さて、ポーランドに戦車を60台派遣したベン・ホッジ中将いわく、
「訓練ではござらぬ。モスクワに対する我々の、NATO加盟国の国境を守るという決意表明だ。ロシアは思い知るだろう」
短期決戦がおもいのほか長期化したのが歴史の常。士官学校の優等生が勇ましい言葉を吐く。敵はそれに備える。ささいなきっかけで戦争になる。人民が犠牲になる。退くなら今だと思うのだが。

NY Fed: "Oil Prices Fell Due To Weakening Demand"
Mar 27, 2017 8:35 PM
http://www.zerohedge.com/news/2017-03-27/ny-fed-oil-prices-fell-due-weakening-demand
ニューヨーク連銀いわく、需要が弱いので原油価格が下落した、と。

今日はこれまで。続きは明日。

2017年3月28日火曜日

カイザーリポート 第1048回 世界は戦争に向かう

[KR1048] Keiser Report: Heading for Global War
Posted on March 23, 2017 by Stacy Herbert
https://www.youtube.com/watch?v=lWQLxSfFrmA

マックス「これから戦争になりそうな雲行きだ。働かないで利益を得ようとするやつらが柄のない牢獄に武器を供給している。CNN!戦争を煽れ!金儲けには戦争が最高だ!殺せ殺せ殺せ!」
ステイシー「どの戦争のことかしら?イエメン、シリア、ソマリア、イラク、パキスタン、チィラーソン国務長官は北朝鮮っていってるし、南シナ海もあるよね?どのことかな?」
マックス「そりゃ小競り合いだ。俺が言うのは第三次世界大戦だよ。」

ステイシー「今回はアレン・ギンズバーグの引用から:戦争はいいビジネスだ。あなたの息子を投資しよう・・・。ま、最近は女性も戦争にいく時代だけど。次の引用は、じつはアレン・ギンズバーグよりも前の時代だけど、スメドレー・バトラー。海兵隊の英雄で34年間も国に尽くした最高位の軍人。いわく:戦争はやくざな仕事だ・・・これは1933年の下院議会での発言。その時FDR(フランクリン・デラノ・ルーズベルト)の反対派の銀行資本なんかが連合してニューディールを潰そうと画策していた時代。国民は誰もがクーデターの匂いを嗅ぎ取っていて、CIAが情報をリークした今と同じような時代状況。『戦争はやくざ仕事』っていうのは、政府のやりかたを大企業が気に入らないときにどうするかっていう意味で今と同じ・・興味深いよね。」

マックス「戦争は利幅が大きいからね。しかも簡単だから怠け者に向いてるんだ。自動車メーカーだったら説明責任っていうのがある。製造者責任とかね。廃棄物も適切に処理しなきゃならない。車を買ってもらうにはね。でも戦争ビジネスは爆弾をつくって法外な値段で政府に売りつけ、兵士や市民を殺す。そこには説明責任もないしコスト説明もいらない。落とした爆弾を始末することもない。しかも儲かる。財務的訓練を受けていないリコースもやらなくていい最悪のやつらにクレジットを上限なしで与え、やりたいほうだいやらせた結果がこれだ。やつら怠惰の極地が大量殺戮するんだ。トランプはカジノ屋だから怠惰の極地だ。座っているだけで金がころがりこんでくるからな。麻薬とかアルコールと同じ社会の病気なんだ。悪徳を売っているんだ。」

ステイシー「いま屈辱の極致にいるのがヒラリー・クリントン。独立系メディアが基本的に民主党は誤りを認めたくない時に戦争を起こすと言われているけれど、そのメディアは『ヒラリーはどうしてウィスコンシンに行かなかったのか?』って問うてる。そうだよね。リアリティーテレビショーみたいな選挙でたった一万票差で負けた。『なんで行かなかったのか?』っていうのはいい質問だよね。そもそもヒラリーはなんで自分の勝利を疑わなかったんだろう?メディアが勝つって言ったから?NYタイムズは99%の勝率って書いていた。」


記事
10億ドルの利益?そのとおり。大統領選はCNNにとって油田噴出と同じだった。


記事
メディア調査会社SNLケイガンによるとフォックスは2016年までに10億ドルの利益を出していた。2016年夏、創業者会長のロジャー・エイルズが辞めさせられたにもかかわらず利益は過去最高の16億7千ドル。

ステイシー「CNNは10億ドル、CBSもトランプはメディアビジネスに有利っていう。この記事もそう言っている。だから50億ドル相当の露出を無料でやった。10億ドルも儲けたんだからトランプからカメラを外せないよね。」
マックス「儲かってるくせにRTと競争できないって泣き言を言っている。政府に助けれくれと泣きつく。政府とメディアは結託して戦争を煽る。『意思の勝利』っていうヒトラー映画の世界だ。メディアが政府から金をもらう。ヒトラーは600万だか1000万だか1200万人を殺す。金をもらえればそんなこと気にしない。」
ステウシー「MSNBCはオバマ政権時代にフォックスの正反対だったけど、フォックスは陰謀っていうのをさかんに取り上げて、特にベンガジのことを取り上げて、中東を舞台にしたロシアの陰謀たら言っていた。いまMSNBCは・・」


記事
3番手のMSNBCは2億7960万ドルの利益。2強よりも成長率では高い。

マックス「加工済みニュースっていうのは加工済み食品と同じで安いんだ。チープな加工食品っていうのはチープでフェイクな製品、ライフスタイル、株式、株価、フェイクマネーと同じで、フェイクニュースもそうなんだ。俺はメキシコプレス協会から表彰状をもらったんだ。『検証可能なデータに基づく分析』って。俺のはオルガニックでリアルなジャーナリズムなんだ。こんなのCNNはぜったいもらえないぜ。合成加工品ばっかりリサイクルしている戦争屋だからな。こんなのばっかり見てたら外でフェイクフードを喰うようになっちまう。」
ステイシー「もう時間がないからヘッドラインに戻りましょう。10月16日の記事。」


記事
イギリスは世界第2位の武器ディーラー。
2010年以来イギリスの武器の2/3は中東へ売られた。

ステイシー「戦争はいろいろやっているけれど、武器市場は飽和状態のはず。サウジは原油価格下落でこれ以上武器を買えないと思うけれど。飽和状態なら市場を他にも止めないといけない。武器ディーラーは上場企業だからね。イギリスは中東を所有していたけれどそこが飽和しちゃった。そこでBBCいわく、」


記事
「ロシアの侵略」を確かめるためイギリスはエストニアに部隊を派遣。

ステイシー「で、800人のイギリス部隊がエストニアに進駐。マイケル・ファーレン国防大臣は『ロシアによる侵略』って言ったのをメディアが何度も何度も繰り返す。そうじゃないっていう人の意見は聞かないし、スメドレー・バトラーの『戦争はやくざビジネス』っていうのも考えすらしない。」
マックス「それはそれとしてピアス・モルガンのことを思い出すね。」
ステイシー「彼はアメリカの銃政策に反対だったよね・」
マックス「それがいまや大量殺戮犯罪者だ。」
ステイシー「この記事の2日前に当のBBCはロシアが軍事費を25%削減ってヘッドラインに書いたばっかり。」
マックス「そうだ!25%カットだった!」
ステイシー「あんまり侵略的って思えないんだけれど。マイケル・ファーレンはもちろんそのことに触れなかった。だからみなさんは自分でニュースを検証してほしいんだ。」

前半のおしまい。

2017年3月22日水曜日

富の大移動(翻訳)

The Coming Great Wealth Transfer
Mar 4, 2017 11:41 AM
Via Charles Hugh-Smith of PeakProsperity.com
http://www.zerohedge.com/news/2017-03-04/coming-great-wealth-transfer

富の第移動というのは、国家のリーダーが腐敗して、通貨システムを借金ベースにしてしまった時代の末期にかならず現れる特徴だ。
グリーンスパン、バーナンキ、イエレンなど通貨政策のリーダーたちは自分たちが腐敗しているという認識はないだろう。しかし彼ら彼女らの政策が何億人もの生活に深刻な影響を与えているのは事実だ。彼らは貧乏人(=1%じゃない人々)から富を奪って金持ちにばらまく。逆ロビンフッドだ。ここではどうしてそうなるのかということを理解してもらおう。それが理解できれば自己防衛の方法も見当がつくはずだ。

そもそも富の大移動とはなんぞや?

富の大移動の最初の段階でファイナンシャル・リプレッション(訳注;金融抑圧という訳が横行しているようだが、これじゃ意味がわからない。マネー統制管理としたほうがいい)がなされる。この極悪非道なやりかたは、政府の借金が膨らみすぎたときの常套手段である。政府が個人の貯金を借金の穴埋めに使うのだ。やり方はつぎのとおり。

その1.政府(あるいは国)が大きな借金を抱える。
その2.まじめに返済したり破産させたりするという手法は国民に受けいれられないので、政府は中央銀行と結託して実質マイナス金利政策を実施する。インフレ率より金利のほうが低くなる。たとえば預金金利がゼロで、物価は5%上昇する。ふつうの人々にとって金がどんどんなくなるということだ。
その3.マイナス金利ならいっそ預金をどっか他の場所に移そうという人たちが続出する。そこで政府は資本管理をはじめたり、金利ベースで運用される金融商品の締め付けを行う。個人の資産を監視するためのマイナンバー制度を徹底させ、箪笥預金を把握しようとしたり、場合によってはキャッシュそのものを禁止することもある。キャッシュ戦争(インドが現にやっている)とか、シャッシュレス社会っていうことの本質はこのマネー管理統制だ。
その4.購買力(=貨幣の価値)が貯金を持っている人々から金を借りているほうに徐々に移動する。マイナス金利にすると政府の借金コストがへるだけでなく借金そのものの価値が減じる。別の言いかたをすれば、政府はやりたい放題やった結果の借金から逃れるために、貨幣の価値を減らすのだ。働いて金を稼いだ我々人民こそいい迷惑だ。

これは最高権力による窃盗行為だ。多くの人々から合意なしに奪うのだから窃盗行為に他ならない。マイナス金利を実施するために国民投票も合意も何も必要としない。こっそりと行われるのが通例だ。ご隠居たちが貯金で食っていけないとか、働き盛りの人たちが家を買えないとか、ジャネット・イエレンと通貨管理委員会はそんなことは気にもかけない。

被害を受けた人々がじっさいにたくさんいること、そして資産バブルがかつてないほど膨張すること、これは事実として無視することができない。政府がやりたい放題の支出を続け、銀行と富裕層が貨幣を貯め続けるかぎりこのバブルは膨らんでいく。

さてこのマネー統制が富の大移動の第1幕だ。これは現在進行中であり、バブルがはじけて経済が崩壊するか、あるいは人民が革命を起こすまで続けられることだろう。中産階級の富は一滴一滴こぼれ落ちるようになくなっていく。トランプ大統領の当選や、欧州各国の選挙で起こっていることはこれと密接に関係している。人民の怒りはどこかで噴出せざるを得ない。しかしそれでもまだ第1幕なのだ。このマネー統制は覚醒の時を送らせているにすぎない。覚醒の時が遅くなればなるほど、屋上屋を重ねた体制の崩壊は派手にならざるを得ない。

世界は有限なのだが(ほんとうの意味で生産している企業、農地、地下資源、森林、ビル、鉄道、水路などは有限だ)、借金が膨らむほどにリアルで有限な資産に対する抵当権も膨らんでいく。借金証書はたまるいっぽうなのだが、リアルな抵当物件は有限である。ある時点で、株式、国債、ローン、デリバティブ、そして貨幣の価値は急激に、そして大きく毀損されざるを得ない。そのときにどうすれば生き残ることができるのか?

・・・続きは登録しないと読めないのだが、けっきょく不動産みたいなリアルな資産をもて、ということのようだ。

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政府はいかにして貨幣を利用してインフレを作り出すか(翻訳)

HOW GOVERNMENT MANIPULATES MONEY AND PRODUCES INFLATION
by Edward W. Younkins
http://www.quebecoislibre.org/001028-11.htm

貨幣は商業の血液である。市場を機能させるためには安定したインフレのない通貨が必要だ。インフレはつねに市場を混乱させるのだが、その影響は立場により異なる。インフレは企業の生産計画や人員配置計画、すなわち資源の配分を狂わせる。インフレになると貨幣の価値が減るので、計画的な経済という考えかたが通用しなくなる。
インフレが起こるのは、通貨を刷りすぎるからだ。政府の通貨政策というのはこれをいかに管理するかということなのだが、ケインズ経済学は財政支出をすすめ、金本位制をなくすという思想なので、インフレのほうを向いている。
政府が通貨を自由に発行できないようにすればいい。政府が均衡財政をめざして借金を減らすように、我々有権者が要求すればいいのだ。政府が収入の範囲内で支出すれば借金をしないですむはずだ。インフレという形の目に見えない税金を排除するなら金本位制にすればいい。そうすれば政府が借金を貨幣という形に転換したり、準備高を悪用したりすることがなく、インフレは起こり得ない。

インフレとは何か

貨幣というのはコモディティーの一種で、交換媒体としてのみ価値をもつ。そもそも貨幣は市場システムが生み出したものだ。物々交換には限界があったので初期の貨幣(ゴールド)はさらに使いやすい形に進化し、交換レート(=価格)という考え方が確立された。そのうちにコモディティー(ゴールド)を貨幣とするよりも、その代用品(=紙幣)が通用するようになった。まっとうな紙幣はゴールドのようなコモディティーと交換できるはずなのだ。
インフレというのは貨幣につきものの現象だが、貨幣と信用が増大するということでもあり、その結果モノの値段が上がるという症状を呈する。インフレは貨幣の量が増えてリアルなモノの生産量よりも多くなるときに起きる。つまり貨幣の供給量がモノやサービスの供給量を上回ったときに起きるのがインフレだ。
インフレを構成するのはリアルな貨幣(=ゴールド)プラス(政府が保証する)信用貨幣である。貨幣が増えすぎると貨幣1単位の購買力が低下し、貨幣1単位で買えるモノやサービスの量が減る。政府が紙幣を大量に発行すると、貨幣の価値(購買力)が低下して物価が上がる。経済全体に紙幣が大量供給されても、リアルな財(モノやサービス)の生産量はぜんぜん変わらない。リアルなモノやサービスの量が変わらないのに紙幣が増えると物価が上がる。ちなみにアメリカでは連銀、日本では日銀だけが紙幣を刷ることができる。

なぜ政府はインフレを起こすのか?

インフレというのは政府がばらまく金額を減らしたくない政治家が悪用する、不誠実で確信犯的な政策である。政府は使いすぎた金の穴埋めのために紙幣を刷る。財政不均衡に陥った政府は紙幣を刷るということだ。税率を上げても収入が足りないとき、政府は紙幣を刷る。インフレというのは基本的に政府が使う金を減らしたくなくて、税金をこれ以上あげることができないし、人民からこれ以上(国債というかたちで)借金できないというときに起こされる。
政治家は金をばらまきたいけれど税金はあげたくない。税金を上げた政治家は再選されないからだ。そして借金を抱えた政府はインフレを起こす。政府が紙幣を増刷しても税金があがるわけじゃないのだが、いずれそのうちにみんなが紙幣の価値が下がったのを実感する。これはつまり、政府が人民から吸い上げた富をばらまくという構図だ。政府が紙幣を増刷してモノやサービスの価格を上げるというのは基本的に偽札づくりとなんら変わりはないのだが。
政府が富の再配分、すなわち格差をなくそうとするときに途方もない金をばらまくことが多い。福祉国家ではインフレが起こりやすいのだ。まじめで理性的な政治家が国の資源をしっかりと掌握して国を成長させようとし、経済的な不平等をなくそうとする。そして紙幣を増刷し、政府支出を増やし、生産性があまりない人たちを助けようとする。
インフレというのは金を貸しているほうから金を借りているほうに富を移動する。金を借りている最大の存在は政府だ。金を借りている政府が、金を借りた時点より価値が減った紙幣で借金を返すのだから、実質的に借金そのものを減らすことになる。

インフレの起こしかた

政府が通貨量を増大させるときに、いくつかの方法がある。公開市場操作というのがそのひとつで、貨幣ストックを増やし、政府の借金をマネタイズ(現金化=紙幣を刷ること)し、市中銀行がより多くの金を民間企業に貸し出せるように信用を拡大するという手法だ。
アメリカでは連邦準備銀行(日本では日本銀行)が兌換性のない(ゴールドと交換できない)貨幣の発行を管理している。金本位制のもと、国が保有するゴールドに裏打ちされた、政府が認める唯一の通貨だった。ところがいまアメリカ政府はアメリカ国民がドル紙幣とゴールドを交換する権利を否定している。税収以上の金を使いたくて、政府が保証した(というだけの根拠しかない)紙幣を連銀に命じて発行させるようになったので、ドルはゴールドと交換されなくなった。ゴールドの裏付けのない紙幣の量は雪だるま式にふくれあがる。通貨供給量が制限されるのは、たまに市中銀行に準備預金を求める場合か、下院で借金の上限が決められるときしかない。
連銀が政府から国債を直接買い付けることはめったにない。連銀は政府が国債市場で売り出した国債を市場で買うのがふつうである。結局おなじことなのだが、市場を経由したほうがプロセスが見えにくくなるのだ。
連銀が政府国債を公開市場で買い付けると、通貨供給量と信用を増やすという意味だ。連銀は自分で振り出した現金手形で国債を買う。売り手(政府)はその手形を市中銀行に預金する。市中銀行の預金高が増え、預金の何倍もの金を貸し出すことができる。市中銀行が預金準備高を増やすやりかたは、仕訳帳の貸方ページに借り手の名前と金額を記帳し、同じ金額の預け入れレシートを発行して借方に計上するのだ。(金は動かないけれど金額が左から右に移動するだけで)市中銀行は資金を調達し、預金高の数倍もの金を貸し出すことができる。準備預金をこういうふうに運用するのは、じっさいには存在しない不動産を担保に金を貸すのとおなじ詐欺的手法なのだが。

紙幣は本来100パーセント交換可能なゴールドが裏付けとしてなければならない。政府が借金を現金化できなかったり準備預金高を悪用できないなら、インフレを導入するしかない。金本位制であればインフレが起こることはほとんどない。なぜなら価格は保有するゴールドの量に依存するからだ。(より多くのゴールドを入手できない限り)紙幣の量は増やすことができないのだから、政府財務省にも連邦準備銀行にもインフレを起こすことはできない。

勝者と敗者

インフレというのはモノやサービスを購入するすべての人々にとって、ちょっとずつ値段が上がるという意味で消費税とおなじである。金をもっていても金をかりていても平等に割り当てられる税金である。そしてインフレは税金とおなじく、価格を操作し、生産パターンを変化させ、富を預金者の手から奪って浪費家に手渡し、預金する気や投資する気をなくさせ、起業する意欲を削ぐ。
数ある税金システムのなかでインフレという名の税金が悪質なのは、累進性がないところだ。収入や財産とはまったく関係なしに取り立てられる。ふつうの税金はどこで働いているのか、異なったコモディティーがもつそれぞれの需要弾性、財産や借金のタイプや有無により異なる。ところが国家が紙幣を増刷したり信用を創出するときに万民に平等に・・というわけにいかない。政府が通貨供給量を上げたその瞬間から得をする人と損をする人が出てくる。
一般的な話をすれば、給与のような固定収入で暮らす人、国債を買った人、ローンを抱えている人、貯金をしている人は損をする。いっぽい金を借りている人や地主は得をする。なかには増刷された紙幣に誰よりも早くアクセスできる人がいる。収入以上のものを買ったり、欲しいモノやサービスに対し他の人より高い値段で支払った人だ。そういう人たちは早くアクセスできるだけなく、遅れて来る人たちから毟りとっているのだが。彼らは所得が高いのでモノやサービスをインフレがひどくなる前に比較的安い値段で買うことができる。遅れてきた人は高く買わなければならない。
新しい紙幣にアクセスできる人たちはモノやサービスに高値をつけるので、モノやサービスを提供する側は値段が高くてもかまわないと考える。所得や富は紙幣が増刷された時に移動しはじめる。予想もしなかった高値でモノやサービスを売った人たちはインフレで得をしたことになる。彼らは現金資産(貨幣でカウントできる資産)をもつ人たちから「棚ぼた」的利益を得たのだ。
紙幣を増刷すると、それにいち早くアクセスできる人たちだけが昨日の値段でモノやサービスを買うことができる。いっぽうで、ずっと遅れてアクセスする人たちもいて、そういう人たちは生活に必要なモノやサービスを予想以上の高値でしか買えなくなる。そういう人たちはこれまで雇用を創出してきたタイプの人が多い。また普通は、経費より売値のほうが早く上がるのだが、それはインフレが予期できなかった場合に限られる。インフレが予期できた場合、売値に合うような形でコストを調整することができる。製品価格を上げる前に賃金・金利・原材料価格が上がってしまえば利幅が減り、利益は幻のごとく消えてしまう。
紙幣が増刷され、その紙幣が経済システムのなかを流れていくと、紙幣を増刷した意味が薄れていく。その波が最後に到達する人たちにとって、モノやサービスの価格があがったというだけの話となる。

インフレは偽の市場シグナルを生む

インフレが起きると経済の先行きを計算したり、経理係が利益を計算したりすることができなくなり、ビジネスは失敗だらけになる。インフレが起きると生産計画がめちゃめちゃになるので稀少な資源が間違った使われかたをすることもある。利益が幻のように消え、生産ミスや投資ミスがつづき、生産計画なんて意味がなくなる。儲かるはずが儲からず、値段が上がり、賃金は上がらず、偽の市場シグナルに基づいた意思決定が大きく間違えた結果につながる。
インフレが起きると、儲けを貯蓄して生産設備に投資しようという考えがアホに思えてくる。そして生産がはかどらなくなる。生産がはかどらないと消費すべきモノが出回らないし、貯蓄も投資も減退する。投資が減退すると生産も減退し、悪循環になる。先行き不透明になると、インフレで儲かった利益よりも投資・雇用・生産が減退するほうが大きくなる。
政府がみずからの借金をまかなうため、そして経済を活性化するために紙幣を増刷すると、モノの値段が上がる。人々の財布には紙幣が増えるが、紙幣そのものの購買力が減衰する。インフレになると紙幣の価値が減り、その減った分で政府は借金を帳消しにする。通貨当局がインフレを起こして貨幣価値を毀損すると、人々はそれを受け入れざるを得ない。紙幣の価値を毀損して大いに得をするのは大きな借金を背負った政府だ。貨幣価値が毀損すると、金を貸したほうが購買力を失って損をし、金を借りたほう(政府)が同じ額を手にする。借金を偽札で支払われたら貸したほうが倒産する。累進課税がインフレ調整されなければ、額面だけ膨れあがった賃金やしさんに対する高率の税金を納めなければならなくなる。累進課税をインフレ調整しなければ政府の法人税収が増える。減価償却や製造経費が過少申告され、利益が過大申告されたら税金が高くなる。
政府が景気刺激策を考えるとき、中央銀行(連銀)に金利を低くしてくれと頼む。そのために中央銀行は貨幣流通量を増やさなければならない。金利低下は貸し出し可能な資金を増やすことで引き下げられる。つまり中央銀行に国債を買い入れさせたり、あるいは借金を直接マネタイズする(=紙幣を増刷する)ということだ。通貨当局が通貨量や信用量を増やすとまず金利が下がる。資金を借りやすくなるので企業は業務拡大の方向に誘導され、土地、労働力、資本が積みあげられる。そうなると貸し手がリアルなリターンを求めてくる。増刷した紙幣が経済システム全体に行き渡るころ、金利がもとに戻り、間違いが表面化する。
インフレになると貯蓄や投資への意欲が挫け、貯蓄以外の方法を探すようになる。手持ちの現金の価値が下がるのがわかっているのに一所懸命働き、金を貯めて投資するやつがいるだろうか?みなレアメタルやダイアモンドや不動産や機械設備、なかにはレアもの切手、アンティーク家具、美術品、レアもの書籍、コイン、銃器などに投資するようになる。財産や現金がその価値(=購買力)を減じることがない限り、貯蓄や投資はしない。
こういう理屈をわかっていない政治家はインフレを民間セクターのせいにしたり、価格統制をしようなどと言う。価格統制なんてやってもインフレは止められない。価格統制をしたところで利幅が減るだけなので生産意欲が削がれ、モノ不足になるだけだ。さらに重要なことは、価格統制は自由経済と相入れないということだ。

本当の通貨政策リフォーム

なにがあっても価値がほとんど変わらないものに紙幣をリンクさせる制度として、金本位制こそが何よりだ。これがあれば政府官僚の気まぐれに右往左往しないで済む。その政府官僚が通貨制度を独占支配しているのだが。それはともかく金本位制のもとでは通貨供給量は、政府官僚や政治家がなんと言おうと一定している。ゴールドが貨幣の価値を決めるのだから。金本位制なら政府官僚や政治家にやりたい放題させることはあり得ない。
ゴールドとの兌換性、金本位制こそが政府の権限を制限し、一般大衆が貨幣を信頼し、市場原理を復活させ、インフレという名の税金から市民を守るのだ。
金本位制であれば市場ベースの安定した通貨を提供できるので人々は働いて得た成果を交換したり貯蓄することができる。安定した通貨であれば通貨の評価を下げるようなことは政府でもできない。インフレ政策などできないし、均衡財政のために福祉政策を犠牲にしなければならない。金本位制なら税収を増やした分しか使うことはできない。
金本位制のもとで貨幣は完全にゴールドと交換可能となる。貨幣と信用を増大させようにも、それじゃあ紙幣をドルに換えてくれと言われた途端にそんな政策はストップしてしまう。紙幣をゴールドの形で償還するようになれば政府は紙幣の増刷やばらまき財政を止めざるを得ない。
金本位制のもとで銀行は、預金のうち貸し出しに割り当てられた分以上の金を貸し出すことはできない。同じ金を同時に複数の人に貸すことはできない。ゴールドはその本来もつ性質と稀少性から交換経済の理想的な媒介物とされてきた。ゴールドの供給量はぼちぼちながら増えているが、金本位制のもとでのインフレは無視できる程度である。ゴールドの供給増加といっても1年あたりで1.5〜3パーセントにすぎない。ゴールドの保有量は増えこそすれ減ることはない。もし貨幣がゴールドなら、ゴールドがより多く採掘され、精錬され、成型されたとして、そのほとんどはマネー市場ではなく製造業や歯医者や装飾品に使われるだろう。
世界貿易の決済手段としてゴールドは適切だろうか?確かにゴールドの価値は経済成長のスピードの追いつかないかもしれないが、問題はない。いま流通している貨幣の量はいま行われている交易の量に比べて十分なのだから。デフレが起こるかもしれないが、それは物価が下がるということだ。

2017年3月20日月曜日

アメリカのシェールオイル企業の損益分岐点はいまや36ドル

Has OPEC Underestimated US Shale Once Again?
Mar 16, 2017 10:00 AM
OilPrice.com から Tsvetana Paraskova の投稿です。

アメリカのシェールオイル企業の損益分岐点が3下がっています。パーミアン・ミッドランドの損益分岐点は2104年に71ドルだったのが2016年には49%さがって36ドルになったとのこと。だからOPECが減産して価格が上がるとよろこんで増産し、増産で価格が多少下がっても以前のように赤字倒産ということもなさそうです。

3月4日の記事「自動車の平均走行距離が過去2年間で下がっている件」
The US Motorist Is Unwell: Miles Driven Suffer Biggest Slowdown In Over 2 Years
Mar 4, 2017 3:34 PM

この記事でもシェール企業の損益分岐点が下がっていること、そしてガソリン価格がさほど上がっていないのに自動車の走行距離が下がっていることがグラフとともに紹介されています。


 仮説として著者は不況が原因と提示しています。

+++++
じゃあ好況になったら走行距離が伸びてガソリン消費が増えるのか?そもそも株価が上がっている今は好況じゃないのか?
蓋し、中央銀行が増刷した紙幣は銀行に入り、そこから中小企業などの投資には回らず、ヘッジファンドの投機やグローバル企業の自社株買い資金になっている。だからこそ企業の業績がまったく上がらないのに株価だけが上昇するという異常な事態になっている。
貨幣の増刷は格差とバブルの拡大しかもたらしていない。モノがさっぱり動かないので、ガソリンも消費されない。
不況先進国の日本の石油消費について言えば、ガソリンエンジンの燃費向上、ハイブリッドの普及でいまや原油輸入の3/4がナフサ。移動用燃料が輸入原油に占める割合はおそらく世界一低い。これから西欧各国が日本不況パターンを辿るとすれば、景気が多少戻ったとして(おそらくそれより先に世界バブル崩壊がくるだろうけれど)走行距離が多少伸びたとしてもガソリン消費はさほど伸びない。伸びるどころか減少する。

40年も前から化石燃料の枯渇が叫ばれているけれど、枯渇するどころか確認埋蔵量はどんどん増え、価格もなかなか上がらない。石油が戦略物資だったのは1970年から2006年までの36年間。じつに短い期間だけのはなしで、これから石油・天然ガスはふつうのコモディティーとして取引される。日本とロシアのように、エネルギーは外交関係を決定する重要なファクターであり続けるだろうけれど、それは穀物や海産物も同様であって、エネルギーだけが特別視されることはないんじゃないか。

1990年代からこのかた、貨幣の集積スピードが幾何級数的に早くなっている。ザッカーバーグ(フェイスブック)やベゾス(アマゾン)はあっというまに世界的な富豪になったので、ビル・ゲーツのスピードが亀のように見えるくらいだ。FXでも株トレードでも取引の回転スピードは人間の情報収集能力をはるかに超え、コンピューターのアルゴリズムでしか対応できない。国家も中央銀行もそれを押しとどめるどころか応援しているとしか思えない。

そんな世の中で、原油などコモディティーの取引スピードも幾何級数的に増大するのだろうか?我が輩はそう思わない。いくら地球が寒冷化しても、燃やすガスの量には限りがある。だいいちガスを燃やすにはそれなりの酸素が必要で、酸素も含めた環境資源は有限なのだから。

2017年3月18日土曜日

カイザーリポート 第1043回 後半 wolfstreet.com

https://www.youtube.com/watch?v=PaPaCJ2RH_8

後半はカイザーリポートでしばしば引用されるウォルフ・ストリート.com のウォルフ・リヒターの登場です。

マックス「株価は高値更新、連銀は当面のところ金利を上げない、つまり我々は新しい高みに達した。しかし君はつぎの経済危機は前3回、つまり1987年、2008年、そのつぎはいつなのか知らないけれど、それよりもひどいと予言する。いったい君は何者なんだ?異教徒か?」

ウォルフ「あはは、異教徒かもね。ダウジョーンズ30社の2016年収入合計が2.7兆円、これは2011年とおなじ金額だ、ということはダウ30社の収入は増えていない。S&Pの過去6四半期を見ても結果は似たようなものだが、こちらでは収入が低下している。ただし2016年に入って直近の2四半期だけは多少好転しているけれど、結局2011年の水準に戻したかたちだ。でも同じ時期にS&P500社の株価は86%上昇した。つまり収益と株価のPEレシオ(株価収益率)が2012年の14.9から今の20.7までほぼ倍増した。PEレシオは循環するので倍々レンジの拡張器のあと圧縮期にはいり、つぎにクラッシュがそのうちやってくるということなんだ。さっきもいったように過去3回、こんな拡張期があった。とくに2000年のクラッシュ前は40ヶ月のあいだ拡張期がつづいた。さて今、拡張期は58ヶ月めにはいった。データをみると市場が調整期にとっくにはいっていいはずなんだが、そうなっていない。なぜだろう?世界的な異常な通貨政策、ゼロ金利、QE、トランプ株価などいままでと全く違う世界に突入したんだ。でも言えることは、倍々拡張期のあとにはクラッシュがやってくる。サイクルだからね。」

マックス「ウーバーみたいに上場していないけれど巨額の金を集めた企業がたくさんある。そういう企業を含めたら2001年頃のドットコムブームに似てるんだろうか?あるいはハイテク株があつまるNASDAQのPEは40倍とか45倍っていうのもある。こういうのも要素にはいるんだろうか?」

ウォルフ「(そういうハイテク企業のなかには)起業上場して300億ドル集め、赤字を出したけれど4億ドルの広告収入で助けられ、金は残っていないけれど評価額は300億ドル・・っていうのもあった。こういう場合PEは無限倍になる。だからこういのがはいってるかどうかはわからないけれど。」

マックス「アマゾンなんて4000億ドル企業だけれどつい最近まで利益をだしていなかったよな。ジェフ・ベゾスは税金を払うことに比べたらウォール街の評判なんてどうでもいい、って再投資にぜんぶ回して、とにかくシェア取りと参入障壁を高くすることに邁進する。独占企業になってはじめて収入を上げる。これがひとつのビジネスモデルとして成立した、っていうことなんだろうか?」

ウォルフ「フェースブックとか急成長した企業はいろいろあるけれど、アマゾンがビジネスモデルを革新したのは確かだね。株価が上がり続けているから利益を出さないでも誰にも文句をいわせず、価格も上げず配送料無料でシェア追求ができた。」

マックス「マクロに目を転じると、さっき君がいったような循環があって、倍々で拡張したら収縮期がやってくる。いま金利がそのうち上がるといわれているけれど、いっぽうで市場では金利上昇に対する大きな圧力が存在する。第1にベネズエラのように国家経済が崩壊するという要因がある。第2にロボットの導入。弁護士、運転手などが失業したら莫大なデフレ圧力がかかる。だから金利はゼロにしなきゃいかん、と。でも金利がゼロで金が借りれるからいいじゃないか?どうして倍々拡張が不吉の前兆なんだろう?」

ウォルフ「不景気が何年か続いているブラジルでは2ケタレベルのインフレが亢進したから中銀が昨年金利を14%まで上げ、今年になって13%に下げた。需要がないからデフレになるわけじゃないし、それが消費者資産インデックスに反映されるわけでもない。ブラジルの場合はいろんな要素が絡み合っているけれど、不景気でインフレになった。いまアメリカでは需要がないけれどインフレが進んでいる。貨幣が(増刷されすぎて)インフレが進んでいる。同時に消費者はモノを買う金がない。アメリカ連銀はインフレに気づいている。欧州でも日本でもインフレが進んでいるけれど中銀は何もしていない。」

マックス「ブラジルの場合、資本逃避があったよね。それがアメリカ国債に流入して金利下げ圧力になった。あと30秒しかないんだけど、これからどこに注視すべきなんだろう?どこがきな臭いんだろう?』

ウォルフ「株式市場、そして住宅市場だろう。金利が1ポイントあがるだけで住宅市場は崩壊するだろうからね。いまや投機市場だから。そして自動車ローン。」

後半のおしまい。


カイザーリポート 第1043回 マシンの台頭

Keiser Report_ Rise of the Machines (E1043)


記事
ロボットの到来はエコノミスト達の予想より早いかもしれない。


記事
JPモルガンによると弁護士が36万時間を費やした仕事をソフトウエアなら数秒でできる。
記事
COIN(契約インテリジェンス)というソフトが6月に登場した。これは商業ローン契約を翻訳するソフトで、いままで弁護士と銀行員が36万時間かけていた仕事を数秒でレビューすることができる。人間のようなミスがなくバケーションも要求しない。

ステイシーによるとCOINを導入して弁護士費用180百万ドルを節約した例があるそうです。

前半のおしまい。

2017年3月17日金曜日

ゼロヘッジ 3月9日

Is The Oil Price Plunge A Turning Point?
Mar 10, 2017 1:53 PM
原油価格下落はターニングポイントか?
下落のきっかけはアメリカの過剰在庫ですが、この種の過剰反応はよくあることで、じつは2015年からこのかた原油価格が55ドルを超えたことはなく、在庫もめちゃめちゃ増減したわけではありません。在庫が減らなくても価格が上がるだろうというのは業界の勝手な希望的観測で、そのうち市場は目覚めるにちがいない、と著者はいいます。

How The Black Market Is Saving Two Countries From Their Governments
Mar 10, 2017 7:30 PM
ベネズエラとギリシャのブラックマーケットについて。

Nobel Prize Winning Economist Blasts America's "Rent-Seeking" Economy
Mar 10, 2017 12:00 PM
(訳注:レントシーキングというのは余剰利益を追求すること)
ノーベル賞受賞学者がアメリカ経済は「レントシーキング」経済と喝破しました。

Caught On Video: Radioactive Wild Boar Roam Fukushima
Mar 10, 2017 5:40 AM
福島で放射能汚染されたイノシシの捕獲頭数が2011年の3千頭から1万3千頭になったそうです。

Japan's Demographic Time Bomb Keeps Ticking
Mar 9, 2017 7:45 PM
日本はつぎのギリシャだ、と著者はいいます。まず消費税が大失敗だったこと。これはIMFのいいなりになった政府が悪い。そしてそれよりも怖いのは少子化。西暦3766年8月16日に日本の人口はひとりになるそうです。

Bond Blooodbath - Treasuries Haven't Seen A Longer Losing-Streak Than This In 43 Years
Mar 9, 2017 5:33 PM
国債市場が過去43年間経験しなかったひどいありさまです。

ゼロヘッジ 3月8日

"Shit's Starting To Break" - Stock Slide Escalates Amid Copper, Credit, & Crude Carnage
Mar 7, 2017 4:03 PM
銅、クレジット、原油、そして株が下落

Why OPEC Is Colluding With Hedge Funds
Mar 7, 2017 1:44 PM
なんでOPECと原油先物を扱うヘッジファンドの中が悪いかというと、OPECは減産といいながらほとんど減産したためしがなく、ヘッジファンドはそれを知っていて相場を張っているから。OPECはヘッジファンドのことを原油相場のジョーカーで、値段がどうなるかわからんようになるから嫌っている。

America's Desperate Mall Owners Turn To Grocers, Doctors & High Schools To Fill Empty Space
Mar 7, 2017 12:55 PM
マサチューセッツ州のナティックモールからJCペニーが抜けた後ウェグマンというスーパーマーケットが入った。
インディアナ州のカレッジモールはホールフーズを入れる予定。
てな按配だけどじつはスーパーマーケットがはいっても集客力はあまり増えないらしい。
なぜか?食料品のバッグをもってルイ・ヴィトンに行かないから。だからファッションと食品はそぐわない。
モールが狙っているのはクリニック、公共図書館、高校という話。

Vacant Homes Are A Global Epidemic (And Paris Is Fighting It With A 60% Tax)
Mar 7, 2017 11:55 AM
空き家がふえているのは環球的兆候。
投資目的で都市不動産が買われまくると誰も住まないから空洞化がおきる。パリは不在所有者に60%の税金を課したらしいけれどそれでも効果はない。ル・モンドによるとパリの空き家は10万7千軒。そのうち4万軒は電気すら引いていない。ちなみにニューヨーク市は31万8831軒。シドニーは11万8499軒。ロンドンは「たったの」2万2千軒。

OECD Warns There Is A "Disconnect" Between Markets And The Global Economy
Mar 7, 2017 10:34 AM
OECDが市場と環球経済は連環していないと警告。
レポートはこちら
http://www.oecd.org/eco/outlook/Will-risks-derail-the-modest-recovery-OECD-Interim-Economic-Outlook-March-2017.pdf
もうちょっとくわしく引用すると、
「金融市場とファンダメンタル、潜在的な市場のボラティリティー、ファイナンスの脆弱性、政策の不確実性が連環していないゆえに順当な回復が遅れている。」
「消費、投資、通称、生産性はすべて弱く、経済成長は過去の水準に比べ遅く、格差は大きい。」

Ukraine Has Lost Billions On The Trade Agreement With The EU In Year One
Mar 7, 2017 3:30 AM
ウクライナがEUとの貿易協定(DCFTA:深くてわかりやすい自由貿易協定:なんじゃこりゃ?)のせいでたった1年で10億ユーロ失った。ていうかウクライナの貿易赤字が12億ユーロから34.3億ユーロに増えたんだと。
いっぽうモルドバは自由貿易協定を活用して貿易赤字を半減させた。つまりウクライナ政府がアホやったということなのか。

Russia Invites NATO To Take Part In Moscow Security Conference
Mar 7, 2017 2:00 AM
ロシアがモスクワで開催される安全保障会議にNATOを招待した。

Prisoners Explain Why A Pack Of Mackerel Is The Gold Standard Of Currencies In America's Prisons
アメリカの刑務所ではツナ缶ならぬツナパックが通貨として流通している。
このビデオはとっても面白いのでおすすめ。
https://www.youtube.com/watch?v=2du_M8zSe3U

"It's A Declaration Of War": South Africa's President Calls For Confiscation Of White Land
Mar 5, 2017 10:55 PM
南アフリカのヅマ大統領が格差是正のため白人オーナーから土地を接収すると先月発表した。被害を受ける人たちはいきなりの「宣戦布告」だと言っている。

The Most (And Least) Worthwhile Degrees
Mar 5, 2017 9:45 PM
アメリカでいま一番後悔がなかった学位は化学と自然科学。選択して後悔した学位は心理学。
授業料に見合うのが電子・コミュニケーション技術。下位5位は動物学、ソーシャルワーク、小児発達心理学、論理学と神学、人間開発。石油化学と動物学では就職後のサラリーが3倍違う。

Retired Russian Colonel Warns Trump: "We're Seeding The US Shoreline With Nuclear Mole Missiles"
Mar 8, 2017 5:18 PM
ロシアはアメリカの沿岸に草の根核爆弾をばらまいていたとロシア軍退役大佐が言ったそうです。

Whose Banks Are Riskiest: A Surprising Answer From The BIS
Mar 8, 2017 6:33 PM 
BISが公表した地域別危険な銀行リストによるとカナダがやばいそうです。

Trump May Deploy 1,000 Troops To Kuwait To Fight ISIS
Mar 8, 2017 6:07 PM
トランプさんはイスラム国との戦いのためクエートに1000人規模の派遣をするかもしれないとのこと。

A Third Of All Shopping Malls Are Projected To Close As 'Space Available' Signs Go Up All Over America
Mar 7, 2017 9:05 PM
アメリカのショッピングモールの1/3は閉めるかもしれないそうです。

Manhattan Retail Vacancies Soar
Mar 8, 2017 12:46 PM
マンハッタンの商業空き物件が増加しています。

Meet The Singapore Futures Trader Who Has Bought 3,000 Swimming Pools Worth Of Sugar
Mar 7, 2017 7:50 PM
シンガポールの先物トレーダーがプール3000ぶんの砂糖を買いました。


ゼロヘッジ 3月14日ごろのエネルギー記事

Oil Jumps After Saudis "Explain" Production Surge
Mar 14, 2017 11:24 AM
減産しているはずのサウジが中国向け積み出し量が増えていたことについて「説明」したら原油価格が上昇したそうです。

Oil Plunge Accelerates After EIA Forecasts Spike In April Shale Output
Mar 14, 2017 10:11 AM
EIAがアメリカのシェールオイル生産が増大する見込みと発表したら原油価格が下がりました。

Oil-Trader Andurand Loses $130 Million In First Two Months... And Then Prices Plunged
Mar 14, 2017 9:53 AM
原油ヘッジファンドのアンデュランが年度はじめの2ヶ月で130百万ドルの損失を出したそうです。

How Shale Is Reshaping The World: Three New Wars
Mar 14, 2017 2:00 AM
「シェールが世界を変える:3つの戦争」という刺激的なタイトルです。内容はピーター・ジーハンの著作「スーパーパワー不在:シェール革命とアメリカ不在の世界」“The Absent Superpower: The Shale Revolution and a World without America.”という本について。
3つの戦争とは、第1にロシア対ヨーロッパ。第2にイラン対サウジ、第3にアジアのタンカー戦争。
ロシアが欧州を圧迫し、イランがサウジを圧迫したらアジアに回すだけの原油がたらなくなるという仮説です。そうなると海軍力の差、と。著者は “The Accidental Superpower”を書いた人です。

Huge Oil Find Could Save Alaska's Oil Sector
Mar 13, 2017 10:35 AM
アラスカで油田がみつかったのでアラスカの石油業界が助かるそうです。12億バレル。

Oil Tumbles Below $48 As JPM Warns Of Possible Commodity Liquidations
Mar 12, 2017 8:15 PM
JPモルガンが「コモディティーの流動化」といったとたん原油価格が48ドルをきったそうです。

What Does OPEC Do Next?
Mar 12, 2017 5:30 PM
OPECの次の手は?
OPECが打つ手のタイミングをはずしまくるのはテクノロジーのインパクトを理解していなかったからだ、と。原油価格帯ごとにアメリカのシェール業界がどう動くか、っていうのをシミュレーションしたことないんじゃないか?そんなことすらせず、産油量の増減だけで価格を云々しようというのが間違ってたんじゃん、という話みたいです。

Saudi King Arrives In Japan: 10 Aircraft, 500 Limos, 500 Tons Of Luggage, 12,000 Hotel Rooms, 2 Golden Escalators
Mar 14, 2017 10:33 PM

サウジ王が日本を訪問するのに飛行機10機、リムジン500台、荷物500トン、ホテル12000部屋、黄金のエスカレーター2基、だったそうです。随行団は1500名とな。




ゼロヘッジ 3月14日ごろのぶん

Balance Of Student Loans In Default Soars To Over $137 Billion
Mar 14, 2017 7:15 PM
アメリカの学資ローンの不良債権額が1370億ドルになったそうです。昨年比14%の増加。1人あたりの平均借金額は26300
ドル。

EU Bans Islamic Headscarf, Sparking Angry Protest From Soros-Funded Group
Mar 14, 2017 8:28 AM
EUがヘジャーブを禁止したのでジョージ・ソロスが金を出しているグループが怒りの抗議行動をしています。

Is Turkey Lost To The West?
Mar 14, 2017 6:30 AM
何かと話題の多いトルコについて、「トルコは西欧に負けたのか?」というタイトルです。中身はいままでの経緯のレビューでした。

BOE Deputy Governor Resigns After Failing To Disclose Her Brother Works For Barclays
Mar 14, 2017 6:03 AM
イングランド銀行の総裁が辞任しました。弟くんがバークレイに勤めていたのでルールに抵触したそうです。規制するほうの弟が規制されるほうの上級職だったら問題になるよね。

US Delta Force, SEAL Team 6 Prepare To Take Out Kim Jong-Un, Practice Tactical North Korea "Infiltration"
Mar 14, 2017 4:45 AM
アメリカの特殊部隊が北朝鮮に侵入して金正恩を殺す訓練をしているそうです。

China Prepares Countermeasures Against South Korea Missile Shield
Mar 13, 2017 9:48 PM
アメリカが南朝鮮で配備を進めているミサイルに対抗して中国がミサイル防衛網を整備しているそうです。

This Is What Happens When Private Equity Firms Run Out Of Things To Buy
Mar 13, 2017 9:05 PM
ファンドが買う金融商品がなくなったら、昔買った金融商品を買い付けるのに金を使っているそうです。

Raising Interest Rates Can't End Well
Mar 13, 2017 5:45 PM
金利を上げるとどうなるか?第1に政府は金利上昇を前提に予算を組んでおり、第2にGDPをあげるためのゼロ金利だったこと、第3に前回の金利上昇の結果がひどかったこと、特にエネルギー価格が高騰したこと、第4に連銀は1981年モデル(金利を上げたらエネルギー価格が下がった)を想定しているらしいこと、第5に量的緩和(要するに紙幣大増刷)がエネルギー価格の下落をもたらしたこと(過去形)、第6に貸し出しが活発で景気がよさげにみえるのだけれど、じつは先物に使われているのであって、現時点での財やサービスに金が向かうのに時差があること、第7にアメリカ国民が抱える借金が多すぎること、第8に賃金上昇が借金とエネルギー消費に基づくので、金利上昇の成果が出るまでの時差が痛いこと、第9にエネルギー価格が高くなると経済成長を阻害すること、第10に中国の成長が鈍化していることから、金利上昇の成果はひどいことになると著者は言います。

Feds: "We Come Across Real Estate Being Purchased With Illicit Funds Once Every Other Case"
Mar 13, 2017 1:16 PM
規制当局いわくアメリカの不動産取引の半分は非合法のファンドによるものだそうです。

Up To 15% Of Twitter Accounts Are Fake, Study Finds
Mar 13, 2017 4:31 AM
ツイッターのアカウントの15%はフェイクだという研究成果が出たそうです。

16 Reasons Not To Live In California
Mar 13, 2017 3:58 AM
昔は憧れの地だったカリフォルニアがいまはひどいことになっています。カリフォルニアに住んではいけな理由が16挙げられています。
1.地震帯である。時限爆弾の上に誰が住むか?
2.起業家にとってアメリカのなかで条件が最悪である。
3.収税が高い。
4.州議会がクレイジーだ。たとえば健康保険議案。
5.年交通渋滞がひどすぎる。
6.格差、たとえばシリコンバレーとその他みたいに格差がひどすぎる。
7.非合法移民が多いせいか犯罪が多い。
8.訴訟が多い。50州のうち47位。
9.山林火災と干ばつがひどい。
10.住宅価格がアホみたいに高い。クロゼットの家賃が月1400ドル。
11.社会インフラがボロボロ。
12.福島が垂れ流す放射能の直接的影響を受けている。
13.違法麻薬がおおい。
14.ロシアが西海岸沿岸に草の根核爆弾を配置している。
15.北朝鮮が弾道ミサイルを発射したらまずカリフォルニアが標的になる。
16.次の地震はカリフォルニアにちがいない。そしたら津波がくる。

Nassim Taleb's One Word Answer To What Trump Can Learn From Professional Economists
Mar 12, 2017 3:30 PM
ナシム・タリーブいわく、トランプ大統領がエコノミストから学ぶべきことは何もない、と。

Hedge Funds Covered The Most S&P Shorts Since The Election, Sold Most USDJPY In Three Years
Mar 12, 2017 2:57 PM
大統領選挙以来、ヘッジファンドは大企業株を売って円ドル為替を買ったそうです。

Manhattan Luxury Housing In Freefall: J.Crew CEO Slashes Tribeca Loft Price By Over 40%
Mar 11, 2017 9:01 PM
マンハッタンの商業物件価格が自由落下状態。J.クルーのCEOはトライベッカのロフトの価格を4割下げたとか。

Monsanto Colluded With EPA, Was Unable To Prove Roundup Does Not Cause Cancer, Unsealed Court Docs Reveal
Mar 15, 2017 4:35 AM
モンサント(いまやバイエル)が環境保護局を相手に喧嘩したものの、除草剤ラウンドアップの発がん性についてついに否定できなかった(訳注:ラウンドアップは日本のホームセンターでも売っている)というのが法廷文書でわかったそうです。


2017年3月8日水曜日

ゼロヘッジ 3月3日分

Soros-Backed Group Organizes Massive Coal Blockade In UkraineMar 3, 2017 5:00 AM
ウクライナの大規模炭鉱ストライキに金を出していたジョージ・ソロス
ウクライナはつぎの欧州問題の発火点になるに違いない。ジョン・マケイン、リンゼイ・グラハム両上院議員、そして国務省とビクトリア・ヌーランドの起こした政権転覆の目的はウクライナをNATOとIMF管理下におくこと。それに資金提供してきたソロスの目的は天然資源をただ同然で手に入れウクライナ資産をすべて剝ぎ取ること。
いまストライキのせいで輸出できない石炭は推定800万トン。これが長引けばそれでなくとも僅少な外貨準備高が減り、石炭業界で30万人規模の失業が発生する可能性があり、GDPの12%を占める石炭産業が稼働しなくなる。東部では暴力騒動にやっぱりあのソロス派暴力団が出動しているという。

Indian Economy Collapses As 'Demonetization' Crushes Small BusinessMar 3, 2017 4:15 AM
キャッシュ禁止令はインド経済に壊滅的打撃を与えた
インドの販売者指数(SMI)が過去3年で最低レベルの60.2となった。グラフをみると2012年6月、2013年10月はさらにドツボだったけれど、こんかいは落ちかたがハンパない。原因はキャッシュ禁止令で小規模ビジネスが壊滅したから。その証拠に販売成長インデックスが急落している。同時に価格指標が急上昇。つまりインフレだ。これが通貨政策で引き起こされた結果。

McDonald's Cunning Plan To Recover Millions In Lost Customers: Home DeliveryMar 1, 2017 9:52 PM
マクドが失われた数百万顧客を挽回する手法:宅配
業績回復のためM&Aでもやるのかと思ったら、「株主の日」に発表されたのは地味に宅配。それも含めて経営方針は:
1.クソまずいハンバーガーをなんとかするらしい。客が競合の味に目覚めたという仮説だ。具体的には調理法見直しと地域限定生肉使用のふたつだけ言及。他は秘密。
2.コーヒーをプッシュする。ま、第1をクリアしてからだな。
3.全米二万店で宅配をはじめる。
4.世界で2500店舗を未来レストランに改装する。要するにATMみたいなキオスクでオーダーしてセルフで喰わせるってことだ。人件費が浮く。
宅配というのはピッツア業界でやっている。マクドいわく客の75%が店から半径5kmに住んでいて、10億人が店から5〜10分の距離なんだと。
マクドの客は低所得層。低所得層がマクドに貢献するだけの可処分所得がもうないんじゃないか?っていうのは株主の誰も尋ねなかったみたいだ。





カイザーリポート 第1040回 アメリカ株式市場の認知不協和

Keiser Report: Cognitive Dissonance in US Stock Markets (E1040)
https://www.youtube.com/watch?v=Y0NlD1iBrkU
二人が農場の傍を歩きながら話しています。
ステイシー「あなたがイギリスに行くたびに農園に行ったかどうか尋ねるのは手足口病があるからよ。」
マックス「狂牛病?」
ステイシー「手足口病だって。ウォールストリートも銀行はあちこちに手も口も突っ込むから手足口病になるのよ。ゴールド萬作いわく、チャートによると認知的不協和が現れている。」
チャートと記事
ゴールド萬作:アメリカ株式市場に認知的不協和が存在する。

ステイシー「市場には認知的不協和がつきものだよね。自分が買った株に関する悪いニュースなんて誰も信じない。」

マックス「認知的不協和を説明すると、市場にはリスクがつきもの。30年くらい前まではリスクが褒賞がモダンオプションボラティリティー数式と利得ということでたて分けられていた。だからみなリスクなしで借りた金を投資して利得を上げることができた。そこにゼロ金利とゴールド萬作みたいな高頻度取引トレーダーが登場。何ヶ月も何ヶ月も毎日毎日ぜったい損をしない取引をする。これが認知的不協和であり、破壊された市場っていうんだ。ゴールド萬作がこれを30年も続けられたのは資源と金融工学のおかげ。これがウォール街を舞台にした認知的不協和だ。これが俺の第1のポイント。」

ステイシー「あはは。ふつうは続けて第2のポイントっていうもんだけど(ぜんぶ言っちゃったんだ)。チャートに戻ると、薄い青線がS&P500インデックス。これはトランプ当選以来右肩上がり。いっぽうで収益は下がって崖から転落。収益が下がっているのに株価は上がる。」

マックス「目の前にあるものを見ないっていうのが認知的不協和なんだ。ホログラムとか影とか繰り人形を見ている状態。収益が下がっている。収益は最後の岩盤なんだ。市場価値は収益で決まる。それが崩壊しているのに株価があがる。なぜか?ゴールド萬作が金融工学を使うから。ギリシャは帳簿上ではユーロ圏に加入できそうだったのに崩壊。ゴールド萬作はギリシャ崩壊で儲けた。ジョン・ポールソン他人の資産を崩壊に向かうとき買ったんだ。当然ながら崩壊。」

ステイシー「ところでいきなりゴールド萬作の連帯保証臭くなってきたじゃない?」
マックス「ゴールド萬作は牛糞を買い付けて、牛糞連帯保証付き金融商品をネブラスカかアイオワかどっかの農家年金基金に売った。けれどそんなの崩壊するわいな。そんなこと、みんな初めから判っていたんだけど、業績が上がる、株価も上がる、ウォーレン・バフェットが動く、こりゃ大正解ってみんな騒ぐ・・・我こそは神、市場は神の手・・・わけがわからなくなってきたぞ。」

ステイシー「ところで私のシャツには蛇がいるの。」
マックス「ちょっと見せてみな。」
ステイシー「やめてよ。ゴールド萬作は」
マックス「俺たち結婚してたよな?」
ステイシー「ゴールド萬作が収益をあげたのは顧客の反対に張っていたから。つまり・・・」
記事
ゴールド萬作のデイビッド・コスティンいわく「アメリカ株式市場には認知的不協和がある。アナリストは(収益が佐賀がっているから)売り時、と言っているのにS&P500は大統領選以来10%あがっている。」

ステイシー「ゼロヘッジはずっと追っかけているけれど、ゴールド萬作は『ゴールド買い時!』『原油買い時!』と言いつつ萬作自身は逆張りをしている。」

マックス「ウォール街はいつでもそうなんだ。逆を言う。」
ステイシー「だから言ったじゃないか!収益が低下したときは売れ!って・・て思わない?」

マックス「萬作たちは自己防衛したいだけなんだ。詐欺が横行しているからな。萬作が演出した詐欺なんだけど。ところでトランプは電気椅子を買うかと思ったらそうじゃなくて武器を大量に買ったよな。ウォール街を飛び交うCEOたちは(トランプの政策についていちいち)あれはいい、これはダメ、ロイ・ブラウンスタインなんかもこれはいい、これはダメなんて言っているけれど、ダメだしした瞬間に電気椅子で蒸発させたらいいんじゃないか。プラスマイナス的にこいつら悪魔どもを処刑したらいいんだ。」

ステイシー「トランプは国防予算を540億ドル増額したよね。外交政策園ではオバマ・クリントン時代よりタカ派色が薄れているのに。憶えてる?国防省の金槌が数千ドルするっていう件について語ったよね?今こそハンマー産業に投資して売り逃げたら数千株で10億ドル即儲けじゃない。」

マックス「国防省が金を使うのは国を守るため。環境庁が牛糞を片付けなかったら環境的ホロコーストになってしまうように。ロイ・ブラウンスタインは環境ホロコーストをどうするんだろう?そうか、ロイは環境制約条件付きホロコースト社債商品を開発してるに違いない。ありがとう、ロイ!ごくろうさま、ゴールド萬作!」

ステイシー「誰かのツイートによるといまや中国のふつうの労働者はブラジルとかメキシコ並みの収入。同時に中国は破壊された環境をなんとかしようと金をつかっている。ま、そこまで上がってこれたのも環境を破壊するくらい働いたから。水も地下水もどうしようもなく汚染されてる。共産党幹部たちの豪邸にはプールがあるみたいだけど。」



マックス「中国どころかイギリスは産業革命時代に50年も100年も環境汚染を続けて世界経済の牽引力になり、世界帝国をつくりあげたんだ。だから世代がくだって鉛中毒、有害物質中毒が蔓延している。議会を見たらわかるじゃないか?デイビッド・キャメロンなんて何を言ってるかさっぱりわからない。テリサ・メイは経済なんて無視してブレキジットを主張する。これが鉛中毒のなれの果て、環境汚染なんだ。中国に言いたい。将来中国版テリサ・メイを生み出したくないんだならいますぐ環境破壊をやめなさい!」

ステイシー「中国もキャッシュで汚染されているよね。昨年が4.5兆ドル、今年が3.3兆ドルだっけ?市場介入して資本逃避を抑えようとしてきた。ニューヨーク、トロント、バンクーバーの不動産投資に逃げてしまった。トロントなんて28%の高騰。ファイナンスも経済も汚染された姿だよね。」
記事
いったいどれくらいの金が不動産市場でローンダリングされたのだろう?大量だ。
記事
アメリカ財務省の金融犯罪特捜チームによると同チームは任期を180日延長することとした。2016年1月に発足した同チームはペーパーカンパニー名義で不動産を購入したり「その他不透明なやりかた」でのマネーロンダリング摘発を使命とする。

ステイシー「その結果、ニューヨークでの200万ドル以上、マイアミなら100万ドル以上の物件取引の30%がマネーロンダリングだった。」

マックス「腐敗し汚れたマネーマシーンの排気ガスだな。排気ガスがキャッシュなんだ。それが経済を有害汚染して市場機能不全を引き起こす。ウォーレン・バフェットが数十億ドル投資するっていうのは、独居老婆が猫とゴミ屋敷に住んでるようなもんだ。老婆は雑誌を捨てることができない。廃棄物:ゴミなのに。キャッシュはゴールド萬作が製造したマシーンの廃棄物で、それがほんの数人のところに蓄積される。それが環境を汚染する。まるでスクルージ・マクダックの世界だ・・・えっとなんでいまスクルージ・マクダックが出てきたんだろう。フランス語でしか出てこないぞ。なんかパリの思い出がフラッシュバックしたんだ。」

ステイシー「それは臭いのせいよ。あなたのうしろに牛糞の山があるから。」
マックス「それだ。フランス人はうんこの匂いをプロヴァンスの香りっていうんだ。これは純度が高いぞ。」
ステイシー「お昼時の視聴者に悪いからその話はやめましょ。」
マックス「イギリスのスラリー(糞尿混合物)ってあったよな。」

ステイシー「時間がないのでまとめると、不動産市場も株式と同じく高値更新。ブラックストーンみたいな機関投資家は家主っていうわけじゃないから買い量を10%カットした。それで市場シェアはたったの10%。じゃあ高止まり市場価格で買っているのは誰なのか?じつはふつうの人々。マネーロンダリングで検挙されるぞ、暴落するぞ、っていうときにふつうの人たちが買いに入ってる。農場を買って自己防衛するときよね。」

マックス「そう!5時に起きてステイシーは乳搾りに出かけるんだ。そしてチックタック。」
ステイシー「歯にフロスをかけてるの?」

前半のおしまい。
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後半は前回にひきつづきクリス・マーテンセン。

マックス「さて前回からのつづき。繁栄ピークについて君が書いた。エネルギーもピークだ。これで思い出すのはハワード・コンストローなんだけど、読んだことある?長すぎる緊急事態とか環境問題とか、つまり経済活動は環境資源のうえで成り立つんだけど、資源がなくなるとエコロジーも成立しない。同時に登場したのがバーチャル・リアリティー・人々の無意識層をデータマイニングしている、と。前回、(証券)トレードのほとんどはコンピューターがやっているって言ってたよね。ロボットっていうかアルゴリズムっていうか。で我々が突然死んだ後もロボットトレードを続けるだろう、って。ソーラーパネルがあるからなあ。バーチャル・エコノミーに人間は必要ないっていうことだよね。」

クリス「不幸なことにそのとおりなんだ。繁栄という点でこれからの20年はいままでの20年と正反対になる。テクノロジーにはいい面も悪い面もあって、今まではいい面が強調されていたんだけど、同時に今までの繁栄は幾何級数的に増加するエネルギー消費、銅・石炭、ボーキサイトなどの資源が(消費されて)枯渇寸前なんだ。カナダのサンドオイルを絞り出すころには石油資源が枯渇しきっているだろう。でも誰もがみなパーティーはこれまでどおり続けられるふりをしている。いっぽうで技術には可能性もある。NASAが百周年を迎える。1917年に創立されたんだ。そのとき百年後どうなるかって考えていた人がいたんだ。いまでこそロボットが走って滑るとかドアを開けるのに苦労するとか動画をみて笑っていられるけど、将来われわれ人間がやっている作業はロボットのほうが上手にできるようになる。ほとんどの作業がそうなる。法律相談も医療相談も。マッサージくらいかな、人間に残されるのは。でもそこまで行くには莫大な高カロリー化石燃料が必要なんだ。これがプランAとしたら、じつは我々はプランBをもっていない。ということはプランAも基本的にだめなんだ。

マックス「マッサージは人間でしかできないっていうけど日本のセックスロボットはバカ売れ。今後のバーチャルリアリティー世界でセックスは大きな要素になるだろうね。さて低金利のことについて話したいんだけど、低金利は環境に悪い。なぜかというと環境はリニアだけどファイナンスは幾何級数的に増加する。両者は必ずどこかで衝突する。原油先物は将来の6万バレル対いまの1バレルくらいのレートで取引されている。これもどこかで衝突する。さらに格差も持続不能だ。ローコスト資金にアクセスできるやつらは、たとえ失敗しても政府救済される。ジャネット・イエレンと連銀がやってる犯罪行為は環境破壊であり格差の拡大である、っていう話を前回した。残された道はだたひとつ、金利を上げること。金利をあげないならイエレンはハーグ人権裁判所で裁かれるべきだ。人権侵害犯罪者なんだから。俺は言い過ぎかな、クリス?」

クリス「まさに連銀っていう顔のない組織の責任を問わないといけない。グリーンスパン、バーナンキ、イエレンがやってきた壮大な社会的実験の責任のことだ。紙幣っていうのは教科書上の存在じゃなくてリアルの存在なんだけど、これは基本的に人々の間の合意の産物なんだ。連銀はその合意を根底レベルで裏切った。イエレンもそのことを知っている。数年前に格差のことを問うた時、イエレンは犠牲者を責めたんだ。いわく、『リッチな親のもとに生まれなかったのが悪い。』『起業家精神がないのが悪い。』『貯金がないのが悪い。』それが格差のいいわけかい?ジャネット、恥を知れ!2008年の本:クラッシュコースにも書いたけれど、プルタルコスの時代に共和制で貧富の格差が最大にひろがった。なぜか?紙幣を印刷したからだ。部屋に座ってるだけの僕だって知っている。ジャネット・イエレンはじめ連銀幹部は全員それを知っている。イエレンは(紙幣増刷が格差拡大を生むことを)よーく知っていながら、みんなの金をブラックストーン、ゴールド萬作、JPモルガンに流したんだ。なぜか?そいつらに大金を流すだけの価値があると考えたからだ。」

マックス「人は成功ではなく失敗で判断されるべきだ、っていうよね。でもこの大失敗はどの世代も経験したことがない。長く続いた国債市場の活況も、社会構成員ひとりひとりの、それぞれがトイレも教育も必要なのに、(そういう人々が置き去りにされ)特性も摩擦もない社会になり果て、モラルも語られなくなった。これは事実として指摘しておかなえければならない。ウォール街はファイナンシャル・テロリズムを実行し、環境的ホロコーストを生み出した。俺自身は自己防衛するしかない。いっぽう、この退廃的な恥知らずのベクトルの流れのなかでファイナンスの巨人たちはこれからどう動くんだろう?」

クリス「僕はミツバチの例えを出すんだ。NASAでもどこでも、まずミツバチの話からはじめて貨幣政策とかそういう話に移って、それからまたミツバチに戻る。なぜかっていうと、アメリカミツバチは絶滅危惧種だからだ。87%がすでに絶滅して13%が危機に瀕している。ミツバチの味方のロビイストはアメリカ農業局しかない。殺虫剤は農業を助けるけれどミツバチを殺す。ミツバチは農業にとっていいことをする。この話は心ある人にとってとても痛ましい話なんだけど、ミツバチを絶滅させてはいけない。ミツバチなくしてレモンもトマトもないんだ。農業局が訴えるポイントは何ドルかの出費で絶滅を防ぐことができるという点。マネー壺のような世間でウォール街の巨人たちが金を儲ける?いいじゃないか(って我々は思ってきた。)でもそう考えてきた我々団塊の世代は、ミツバチの話のなかでは悪者なんだ。自殺に向かって突っ走る悪者だ。我々はマネーデスカルトの構成員で、イエレンは教祖様だ。誰が悪いのでもない、我々ひとりひとりが過去と決別しなければならない。それが僕の著作のすべてだ。それを語るためにどこでも出て行く。」

マックス「ミツバチが死ねば人類が死ぬ。あと数年しかない。絶滅経済といえば日本ではマグロ漁業で行われていて、クロマグロは1匹数千ドルで取引されている。これは絶滅経済の一例だ。さてもう時間がない。君のウェブ peakprosperity.com にはすべての階級が解放されなければならないとあるね?」

クリス「天候とかコントロール不可避の不公平要素があるなかで、これから誰も予想していないような不公平:格差の拡大があるだろう。僕の予言はシンプルだ:階級間闘争が拡大する。たとえば警官がデモ隊を殺す。殺し合いがはじまる。」

おしまい。

ご参考までに:
認知的不協和(にんちてきふきょうわ、英: cognitive dissonance)とは、人が自身の中で矛盾する認知を同時に抱えた状態、またそのときに覚える不快感を表す社会心理学用語。アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーによって提唱された。人はこれを解消するために、自身の態度や行動を変更すると考えられている。
有名な例として、イソップ物語のキツネとすっぱい葡萄の逸話が知られる。





2017年3月7日火曜日

カイザーリポート 第1039回 アメリカのファイナンシャル中毒症

eiser Report: Financial Toxicity in the US (E1039)
 https://www.youtube.com/watch?v=D7_5lyGAs2E

ステイシー「いま全米の市役所前でデモが行なわれている。おもしろいのは茶会(ティー・パーティー)のときと似ていること。茶会って2006年〜2009年ごろだったっけ?今のデモは民主党がオバマケア:手の届く健康保険法案を止めるな、っていう。今日紹介するのはオバマケアを続けろっていう主張がなんでアホなのか?そしてオバマがメディケア(老人健康保険制度)をすべての人に拡大するかどうかという議論を、いつのまにかヘリテージ基金による右翼政策に換骨奪胎してしまったことを紹介した記事。数ヶ月前のヘッドラインから。」
記事
ヘルスケアと製薬会社の経営者たちの報酬はすべての業界のなかでトップ。
グラフ
どのセクターの経営者の報酬が高いか(あるいは低いか)

ステイシー「ヘルスケアの経営者の報酬は最速最高なのに提供されるサービスはといえば・・・」
記事
オバマケアの2017年政府補助金は100億ドル
記事
ACA (Affordable Care Act:医療保険改革法案)のもとで医療費破産が止まらない

ステイシー「これってどういうことよ?」
マックス「医療費破産が止まらない・・とな」
ステイシー「すこしはマシになったけれど、未だに数十万人が医療費のせいで破産している。」

マックス「人は病気になるわな。それで病気になるととんでもない費用を請求される。経済法則も規制監督当局もバイパスして国と契約したヘルスサービスプロバイダーが、こいつら吸血鬼なんだ。アメリカはエコノミック・ヴァンパイヤの住むトランシルバニアだ。こいつらが政府にロビー活動をして、アダム・スミス以来築き上げてきた成果をぜんぶひっくり返すような自由市場主義的法案を通させる。病人からきっちり利益を上げるような独占体制をつくって、吸血鬼というか常駐というか寄生虫がありったけの金を吸い上げた。それがすごくうまくいっている。これはヘルスケアじゃないし、何の関係もないところで行なわれている。」

ステイシー「いまやヘルスケア市場はアメリカのGDPの17.8%を占める。これをグローバルレベルで比較すると、ガソリンスタンドに行列ができるロシアのエネルギー業界はロシアGDPの16%。アメリカでは病院に行列ができて17.8%。2015年にみんなが病院、薬、麻酔薬とかに並んだ結果の数字。」
マックス「イギリスじゃ(医療保険制度は)国営化して14%くらいだ。」
ステイシー「いやいや、たしか9%を切っていたはず。メディケアだったら10%程度だった、っていうのは上限が決められていたから。いまや医療費の34%が政府補助金。」

マックス「国家としての非常事態だな。待ち時間が倍になったら監獄なみだ。みすぼらしい格好で緊急医療室でスパゲティ状態にされたら、コネチカットに住む医療企業の社長が数百万ドルの報酬を得るってわけだ。まるでプランテーションじゃないか。コットンプランテーションで働いたら肌が荒れるよな。怪我をするかもしれない。いっぽうでコネチカットやらニュージャージー(の高級住宅街)に住む農園主がいる。フェースブックなんて人民を飼っているようなもんだ。ヘドが出るぜ。」

ステイシー「コネチカットのハートフォードね。住んだことがあるから、4千万ドルの豪邸を見たことがある。政府はメディケアとメディケイドを通じて医療費の34%を支払っている。当初は目ディケイドを無保険の1700万人にまで拡大するっていう話だったから、いまになって何が問題なのかわからない。」

マックス「GDPの34%?」
ステイシー「GDPの17.8%。」
マックス「えーと、GDPは3.2兆ドル。それならアメリカ成人男性全員が看護婦を雇えるっていうことだな。」
ステイシー「男にはメイドが必要ってか?ニール・ヤングのハーベスト・ムーン。」
記事
吐き気やむかつきだけじゃない。癌治療医はファイナンス中毒を憂慮
記事
癌ジャーナルによると元癌患者9千人と癌歴のない12万6千人を対象とした調査の結果、若年癌患者の3人に1人が経済的困窮から処方薬を服用していない。

ステイシー「特に白血病が問題。白血病は薬で9割完治するけれど、薬を飲まなければほぼ死ぬ。この調査のポイントは『若年癌患者』っていうところ。老人なら死亡率も下がるし破産もしない。メディケアがあるから。制度はすでにあるんだ。オバマケアとか民間健康保険にくらべて破産する確率も死ぬ確率も低い、っていうことになる。」

マックス「デディス・キャシディが満面の笑顔でワン・ペイ・プランっていってたよな。バーニー・サンダースはバーモントかどっかに住んでいて改革派を気取っているけれど中身は身売り転向者だ。」

ステイシー「数百万人の民主党支持者がオバマの説得に応じて、政府補助が出ない分を自分で負担しなきゃならないのに、その人たちの多くはメディケイドじゃないし、若いからメディケア対象者じゃないのに路上でデモをしている。シアトルのフレッド・ハッシュスト癌研究所の調査では、癌患者で破産した人は79%の確率で死亡する、と。」

マックス「古い制度でメディケイドとかオバマケアで補助金を受け取っていた医療機関のトップどもは泥棒。いわば、財産がいっぱいある家に忍び込もうとするんだけどセキュリティーがしっかりしているから忍び込めなかった。でも中には家財道具を盗まれてしまう無防備な家もあった。アメリカはコネチカットに住んでいるファイナンス市場の泥棒たちに補助金を出していて、やつらはオバマとかクセネッジとかサンダースみたいな腐敗した政治家とつるんで盗みを働いている。これは窃盗であり犯罪である。銀行業界ではごくふつうに最大化っていうのをやっている。つまり年金をヘッジファンドマネージャーに運用させるんだ。これは他人の金をコネチカット州スタンフォードに住むやつらに送るというシステムなんだ。道理でコネチカット州が豊かなわけだ。大泥棒の人口密度が高いんだからな。」

ステイシー「南部はイリノイに次いで破産状態だよ。ヘッジファンドとか保険会社の大金持ちが税金を払わないから。さて癌統計にもどると、最初の1200ドルは自己負担という患者の破産率=死亡率が高い。オバマケアのゴールドプランでは自己負担学が1500ドル。つまり破産一直線。」

マックス「年間12000ドルたらを医療保険に支払っている身として、いちど病気になってみないといけないな。コネチカットは炭鉱法でもっともクリーンだそうだから。ハービー・マンのフルートみたいにクリーンなんだ。」

ステイシー「オバマケアを守れってデモをしてる民主党支持者のことだけど。」
記事
ACAの初期、2011年から2014年でわかったこととして、オバマケアは癌患者に対し救済策を提供していないことがある。65歳以上の癌患者はメディケア対象であるが、癌でない患者と比べて処方薬を買わない割合が非常に高い。

マックス「保険会社にプレミアムをかけてみんなで金を取りに行くべきなんだ。不幸なことにちかごろはそうもいかないが。不幸なことだ。」
ステイシー「今日はこれまで。」

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後半のゲストはクリス・マーテンセン。経済関係の本をたくさん書いている。

マックス「議論の基本について確認したいんだけど、繁栄ピークっていうのがまるで信用ピークやらエネルギーのピークみたいに出てきて、要するに地球も人間も過去におこなったこと、今後行おうとすることについてピークを迎えている、っていうことだけど、これは今を形容するにぴったりなのかな?」

クリス「ほぼピーク、じゃなくてピークそのものだな。我々の時代は資源が豊かで幸せだったけれど、この有限な地球の資源をうまく使っていかなければいけないということでもある。今ピークなのでこれからのマネジメント次第ということだと思う。」

マックス「地球の資源は有限だけれどネオリベは紙幣は無限に印刷することができるという。これこそがバブルの母であり、トップにいる人間たちが紙幣大増刷と一心同体だ。」

クリス「それは人間の本性なんだ。ローマのアウレリアヌスもドイツのワイマール時代もベネズエラもそれで困ったことになったんだ。フリーランチ:他人のおごりで昼飯ってやつだ。つまり、繁栄を印刷することはできない。みんな中銀が貨幣をどんどん刷れると思っているけれど、じつのところ繁栄は印刷できない。年金ファンドマネージャーがなんで悩んでいるかというと、ゼロ金利だから。(ゼロ金利も)連銀がやるから各国中銀がみんなやる。それでパーティーを長引かそうとしているんだ。これが諸悪の根源だ。70年台後半からずっと同じことをやってきた。つまり、信用拡大を景気拡大の2倍の率で永遠にやりつづける、っていう。小学校6年生だってできるそんなの無理なのがわかる。裸の王様状態なんだ。」

マックス「紙幣増刷。信用創出。流動性倍倍増。これでGDPを増やす。これがじつは破滅への一直線なんだけど、別の観点から考えれば、君も言っていたような窃盗行為が行なわれている。年金(運用)はふつうな5%とか6%の利率で満足してるんだけれど、連銀がゼロ金利政策をとっているので、(利率で稼げないから)その金をウォール街の投機屋にまかせてバブルがさらに脹れる。さらにギリシャみたいな国が標的にされて資産が盗まれまたバブルが脹れる。これはどう思う?」

クリス「第1のポイントがとても重要だけれど、誰も語っていないところだ。連銀は繁栄を印刷することはできない。オックスファムによると、上位62人が下位35億人の総量と同じ富をもっている。今年はそのトップの人数が8人になった。なんでそうなったかというと、ふつうの働く人たちの貯金を、連銀や各国中銀が金を移動させたんだ。さっきもいったように中銀は繁栄を印刷することはできないけれど、動かすことはできたんだ。いいかい?つまり労働者、退職者、おばあちゃんの貯金をメガバンクや投機屋に移動させたんだ。連銀・中銀はいいアイデアと思ったんだろうけれど、こんなひどいことはない。ジャネット・エレンは地球上でもっとも有害なクソババアだ。」

マックス「経済学者は経済モデルやら金利について、過去のいろんな厖大な本を参照しつつ語る。同時に銀行システムで、アメリカで、世界中で犯罪が横行している。たとえばHSBCのドラッグマネーのローンダリング。イギリスでもアメリカでも詐欺が横行していて、JPモルガンは数十億ドルを罰金として支払った。詐欺のコストが下がっているよね。JPモルガンなんて再々犯だ。政府は詐欺行為・非合法行為をやめろといいつつ金利を下げる。(金利が低いから低コストの)詐欺資金がまた手に入る。つまり詐欺ビジネスモデルが成立しているんだ。それで(銀行の)本来業務がどうでもよくなる。」

クリス「詐欺そのものも、詐欺っぽいっていうのも含めて、つまり元手をかけずに利益を得る行為と定義できる。じつは私の祖先が銀行家だったんだ。6代くらい前かな。北部ニューヨーク州でビーバーの毛皮で大儲けして銀行を作った。だから言うんだけれど、銀行ビジネスはリスクがあるのに報酬は少なかった。だから経済全体の4%くらいしか占めなかった。それがいまや40%を占めている。オバマ政権になってから銀行は大きすぎて潰せないといわれるようになった。同じように、詐欺的行為も大きすぎてやめられないし、詐欺をやらなければシステムそのものが機能しなくなった。詐欺列車を誰も止めることができない。大衆はそれに気づいているからこそ、マリー・ル・ペンが支持される。ギリシャでもそう。イタリアもじきにそうなる。そしてトランプ当選。99.99%の人々は感づいているからね。経済的な意味での酸欠状態だから。もうこれ以上の拡大はできない。だいいち資源がない。これからの将来はいままでと全然違う。私はそれをひとりでも多くの人々に気づいてほしいんだ。資源がなくなったのに詐欺的行為だけはいままでどおり続けられている。それが深刻な政治的を生んでいる。」

マックス「詐欺っていうのが副産物じゃなくてシステムそのものになってしまった。ウディ・アレンの古いジョークであるよね。『先生、弟が自分は鶏になったと言うんです。』医者が『とりあえず薬を処方しよう。』『いや、薬じゃなくて卵が欲しいんですけど。』っていうやつ。妄想がふつうになるとどうなるかっていう話だけど、ファイナンスで天然資源を担保にしたポンジ・スキーム(訳注:「チャールズ・ポンジ」をググってください)がふつうになっている。その天然資源がなくなったら銀行屋たちは我々の無意識界を担保にしようとしているんじゃないか?フェースブックとかソーシャルネットワークは人民を飼っているようなもんだ。大衆はフェースブックに参加して情報を書き込む。フェースブックはそれを転売してあっというまに4千億円企業になる。フェースブックは人々の考えを売って広告収入を得ている。リアルなモノじゃなくてバーチャルなものを取引する。そこにゴールド萬作がやってきてバーチャルリアリティー連帯保証つき社債を売る。人間は死んでもコンピューターシステムのどこかにミーム(訳注:遺伝子以外の習慣や技能や物語といった遺伝情報)が伝えられて生きて行く。どう思う?」

クリス「そうだね。ある日中性子爆弾が破裂して人間が全員死んでもコンピューターがフェースブックの株をトレードして株価を上げるんだろうな。3ヶ月ほどまえに『世界がプレイされている』という本を書いたんだけど、1928年のエドワード・バーネットのはなしにさかのぼる。いかに有効な広告を打つか?っていうのがテーマなんだ。1928年、すでに大衆に何を考えさせるかについて、さっき君がミームといったけれど、君が本当だと思ったことを人に語ったら本当だと思わせることができる。でもロシアが大統領選に介入したなんて話は、どこを探っても真実なんて出てこないのに本当だとおもわれている。フェースブックがあろうとなかろうと、それがすでに1928年に考えられているんだ。『世界がプレイされてきた』っていうのは、我々は自動車を売るように「アイデア」を売っている。これなら売れるぞっていうのを売るんだ。そして我々は消費するのが得意ときている。(フェイクニューズが流通していることの)希望的側面として、若い人たちが『そんなんありえない』って考えはじめている。古い考えが疑われ、捨て去られるけれど、それに代わる新しい考えがまだ出てきていない。でもそのうち必ず出てくるからね。(そこに希望がある)」

マックス「バーネットの話だけど、説得手法が近代宣伝手法になった。そこにはノーム・チョムスキーのモデルがいうように装置が必要だよね。マスメディアのような。フェースブックのような。データマイニングする無意識領域に、人々が自発的に個人情報やらインタラクションを提供している。それを無料でデータマイニングしている。まるで消火ホースの水を飲むようなもんだ。この流れを絶つことはできるのだろうか?」

クリス「絶対できるさ。」

第1040回につづく。

2017年3月6日月曜日

ゼロヘッジ抜粋3月1日分

Have The Majors Given Up On Canada's Oil Sands?
Feb 27, 2017 1:11 PM
メジャーはカナダのoil sandを見捨てたのか?
推定埋蔵量は数十億バレルなのだが経費が世界最高レベル。損益分岐点が85ドル〜95ドル。しかも品質が悪く立地が遠距離。オイルサンド開発は数十億ドル規模プロジェクトで10年以上かかるといわれている。コノコフィリップスが11.5億バレルの資産を下方修正したすぐのタイミングでエクソンが33億バレルの下方修正。エクソンいわく、「経済効率の観点から埋蔵させたままのほうがいい」と云々。環境保護派が求めている「埋蔵させたまま」という措置が経済効率の観点から実現するとは皮肉ではなかろうか。

Saudi Arabia Offers To Deploy Special Forces In Syria To Fight ISIS

Feb 27, 2017 12:31 PM
サウジがイスラム国と戦うため特殊部隊をシリアに派遣、とサウジの外務大臣がバグダッドを訪問して言ったそうな。
さてアメリカの反応は?と楽しみにしておきましょう、とのこと。

Former IMF Chief Sent To Jail As Spain Prosecutes 65 Elite Bankers In Enormous Corruption ScandalFeb 27, 2017 12:15 PM
スペインが銀行トップ65人を汚職で謙虚。そのひとりが前IMFトップ。
アメリカではありえないけれど他の国では銀行家が汚職で逮捕されることはよくあるが、前IMFトップのロドリゴ・ラトが4年6ヶ月の懲役というのは特筆に価する。不正が行われたのは経済危機で銀行に対し公的資金が注入されていた時期なので世論は騒然。

Man In Hiding After Confessing To Illegal Fundraising For The Clintons: "Fears Untimely Death"Feb 25, 2017 11:55 PM
クリントン基金で違法ファンドレイジングをやっていた人物が「不自然な死」を恐れて遁走。中国に潜んでいるという。その人物はジョニー鐘。中華系アメリカ人である。彼の一件はクリントン基金にまつわる氷山の一角といわれている。

6 Things That Will Happen If Our Power Grid Goes DownMar 1, 2017 3:30 AM
停電したらどうなるのか?
1.商業活動が停止。停電が長く続くようなら物々交換に戻るしかない。
2.コミュニケーションが停止。
3.エネルギーの流通が停止。
4.農業用水も生活用水も止まる。
5.食料品も医薬品も手に入らない。
6.GPSが効かない。紙の地図に戻るしかない。

This Chart Signals China's Housing Bubble May Burst SoonFeb 28, 2017 10:10 PM
このチャートを見れば中国のハウジングバブルは破裂寸前というのがわかる。
不動産価格の下落がはじまると不良債権が増大する。公式発表の不良債権は1.75%。嘘である。BMIリサーチという会社は独自調査の結果20%が不良債権という。
チャートを見ると銀行が住宅ローンに金を貸せば貸すほど利益率が低下しているのがわかる。政府は銀行を潰すわけにいかないので信用を拡大させるしかない。そして住宅価格が上昇しバブルが膨れる。信用収縮となれば住宅市場にデフレが発生し経済成長が停滞する。銀行が流動性不足になるのがバブル崩壊の予兆である。

What's So Bad About Globalism? (Spoiler Alert: Everything)

Feb 28, 2017 7:45 PM
ジム・ゴードの投稿
グローバリズムの何が悪いのか?(ネタバレ注意:ぜんぶ悪い。)
(左:これがグローバリズムと教えられたのに 右:ほんとうはこれ)
グローバリズムっていうのは富裕層が労働者階級と中産階級を破壊することである、と断言しておこう。
さて「富裕層」を憎み「帝国主義」に反対し「労働者階級」を助けつつ国境を開放し世界政府をつくろう、というのは矛盾していないか?そもそも世界政府っていうのがグローバリズムじゃないのか?
偉そうにしている富裕層を見て日々の暮らしに汲々としている人たちが「文化」とか「人間性」とか言うたびに人間的な共感を覚えるだろうか
グローバリズムの世の中では第1世界の労働者が「人種差別主義者」よばわりされ、クビになって第3世界の労働者、現代の黒人奴隷が仕事につく。ホワイトハウス報道官のスティーブ・バノンの表現によると;
グローバリストはアメリカの労働者をドブに捨ててアジアに中産階級をつくる。問題はアメリカ人がクソ扱いされてたまるか、ってことだ。
しかしながら、クソ扱いされてたまるか、って言ったとたんに君はナチとか反ユダヤとか白人優越主義者とか歯抜けのDQNと言われ、お前を使うくらいならもっと低給でよく働くやつがたくさんいるんだと言われる。
もっと大事なことは、グローバリズムの世の中は平和になるどころか、国々が競争し、絶えざる戦争状態に陥るということだ。

Deep State War? Russian Officials Keep Dying UnexpectedlyFeb 27, 2017 6:09 PM
それにしてもロシア高官の暗殺とか不審死が多すぎやしないか?ロシア政権内部のディープステート(陰謀勢力)なのか?

ゼロヘッジ2月25日

Chinese Import Data Suggests OPEC Is Lying About A Production CutFeb 24, 2017 1:33 PM
中国の原油輸入量統計を見たらOPECが嘘つきなのがわかったという話。
IEAいわくOPEC遵守率が90%である、と。OPECの11加盟国は前年比28%、日産1.2百万バレルの減産を約束した。遵守されると1月時点で日産4.6百万バレルまで減少する。これは中国の輸入量の57%に相当する。ところが中国の輸入量は2016年12月から4%増えている。要点を列挙すると、
・OPEC加盟国のうちサウジ、アンゴラ、イランが中国に対し輸出量を増やしている。対中輸出でサウジは前年比19%増、前月比41%増で1.19百万バレル/日、アンゴラは前年比63%増、前月比46%増で1.17百万バレル/日、イランは前年比43%増、前月比12%増で0.83百万バレル/日。
・非OPECではロシアとオマーンが増産。対中輸出でロシアは前年比36%増、前月比で9%減ながら1.09百万バレル/日、オマーンは前年比47%増、前月比で5%減ながら842千バレル/日。
つまり対中輸出は過去最高量にまで増えている。

Oil To $70? Or Down To $30?Feb 23, 2017 9:40 AM
原油価格は70ドルになるのか、それとも30ドルになるのか?
尋ねる相手によって答えが違うのはわかるけれど、差が大きすぎやしないか?
シティバンクは70ドル派。供給がタイトだから、という。しかしこの後に及んでそこまで強気ってありか?
石油関係者は悲観的で30ドル派。ガソリン在庫が史上最高レベルだから。
ウォールストリートジャーナルはJPモルガンの分析を採用している。つまり、今後2〜3週間の在庫が今のままなら5〜10ドルの値下がりは避けられないという。

China Prepares For "Regime Collapse" In North KoreaFeb 23, 2017 5:11 PM
中国が朝鮮民主主義人民共和國の崩壊に備えているそうです。根拠は中国の国防幹部・任国強がそう言ったから。

As Bitcoin Surges To Record High, China Prepares Its Own Digital CurrencyFeb 24, 2017 9:40 PM
ビットコインが1200ドルを突破。中国も独自のデジタル通貨を開発しているようです。なぜか?ビットコインで資本が国外流出しているから。もし中国が独自デジタル通貨を発行してビットコインを禁止したらどうなるのか?
1.政府が通貨総量をリアルタイムで把握できる。
2.政府がトランザクションをリアルタイムで把握できる。
3.すべての収入が捕捉される。
4.消費税や付加価値税の収税が一瞬でできる。
5.ゼロ金利でもマイナス金利でも政府のやりたい放題。

California, Nestle, And DecentralizationFeb 24, 2017 8:00 PM
ネスレが本社をカリフォルニアのグレンデールからバージニア州のロスリンに移転するそうな。カリフォルニアは2008年からこのかた1690社と中産階級が転出。理由は税金、規制、意識高い系エリートたち。企業と中産階級を戻すには地方分権と自由が必要、というのが著者の意見。

2017年3月5日日曜日

カイザーリポート 第1038回 リベラルイデオロギーの崩壊

Keiser Report: Breakdown in Liberal Ideology (E1038)
https://www.youtube.com/watch?v=M8jk28qdprU&t=758s

マックス「幽霊を取引できるって知ってた?」
ステイシー「ファニーメイとフレディーマックのことよね?」
マックス「かもね。」
ステイシー「国営住宅金融公庫?みたいなふりをしていたファニーメイとフレディーマックは2008年に死亡。社債は中国に買われていきました。『アメリカ政府が経営していたわけではございません。破産しても責任は負いません』てな按配で、株価の現状がこれ。ドップーン。ちょっと、あぶないんじゃない?」
ステイシー「見出しがこれ。ファニーメイとフレディーマックの株価が急落。司法がヘッジファンドの訴えを退けたため。」


記事
国営化された住宅金融2社の株価が30%急落。きっかけは2012年に政府が2社を救済したあとの利益数十億ドルについてヘッジファンドは政府を訴えることができないとの司法判断。
記事の続き
サブプライムショックで経営が傾いた2社を政府が救済したのが2013年1月。注入された税金は1870億ドル。2016年の時点で純資産は560億ドル。ちなみにこれには財務省による持ち株清算分は含まれていない。

ステイシー「純資産の一層っていうやつ。ヘッジファンドは裁判でこれをてにいれることができたらいいかな、って思ってたわけ。」

マックス「アルゼンチンでポール・シンガーが政府資産を摂取するたらいってたのと同じ発想だな。でもここで言いたいのは大きな資本の流れだ。この件もそうだけどいろんな臭い事件に大きな金が絡んでいる。規模が大きいのでゼロ金利で金を借りることができるようなヘッジファンドのことだ。つまり巨額の金が流れているのに、それが雇用増大とか再投資という形で循環しない。それでいて金融資本が困ったら救済される。資本が循環していないんだ。資本のほとんどは年金とかプライベート・エクイティーみたいなリッチなやつらに流れる。」

ステイシー「今回はメディアを使って『政府はファニーメイからもフレディーマックからも手を引きなさい』てなキャンペーンをしかけた。ポール・ジンガーはたまたまアルゼンチンの件で裁判所から好意的な判断を引き出したけれど、あいつらみたいなプライベート・エキュティー屋は海軍をひっぱりだすようなことはもうできない。同時にアイルランドやギリシャは国としてノーっていえない。」
マックス「契約があるからノーって言えないんだ。ボールがソフトでもハードでも負け続けている。」
ステイシー「フランスもドイツもEU合州国をつくりたい。でもアイルランドとかギリシャをいじめることはできない。だから『借りたものは返してね』的な立場。いっぽうアメリカは『ヘッジファンドさんですか。お引き取りください」って。差し上げるお金はありません』と。」
マックス「ギリシャの場合ジョン・ポールソンみたいな、もちろんゴールド萬作出身の盗賊と政治家どもが国家の独立性と借金をはかりにかけて尊厳を売りに出しているようなもんだ。」
ステイシー「こないだのふたつのニュースヘッドラインについて。ひとつめは学資ローン。ほぼ全部の学資ローンに政府保証がついているということ。つまりお金はヘッジファンドに流入してヘッジファンドが賭けに負け続けていること。もうひとつのヘッドラインはドイツ銀行によるトランプ・ロシアンコネクション。」
記事:
トランプ大統領とロシアのコネクション

ステイシー「でもそのときトランプは大統領じゃなかったよね。」
記事
2008年11月、ドイツ銀行がトランプ氏を訴えた。トランプ氏がドイツ銀行から借りた640百万ドルのうち40百万ドルを返さなかったため。
ステイシー「ほんとうにおもしろいのはここから。トランプはドイツ銀行に300百万円の借金があったんだけれど、」

記事
トランプが逆素封。世界不況はドイツ  のせいなので、不動産価格下落もドイツ銀行の責任。てな按配で30億ドルの損害賠償請求。

ステイシー「トランプは一個人なのにドイツ銀行相手に妥協に持ち込んだ。訴えられたら逆訴訟。それで和解。和解内容は公開されていないけど。」
マックス「ウォール街の格言に大きく出れば家に帰れる、っていうのがある。ブラックライブズマターっていう黒人運動でも黒人を奴隷にしたということで政府を訴えるといっていた。訴訟学は3兆とか5兆ドル規模。ヘッジファンドを巻き込んでもし訴訟に勝ったらリターンが大きいぞ・・なんて大きく出たらよかったんだけどそこまで考えなかった、トランプとかヘッジファンドの連中みたいに大きく出たらよかったんだ。銃の打ち合いにナイフを出してもしょうがない。」
ステイシー「私が引用した記事は小さな埋もれた記事だったんだけど、おもしろそうって思ったんだ。さてつぎに言いたいのは学資ローンのこと。95%に政府が債務保証をつけているとか。」

記事
2016年の奇妙な事件。株式は13%上昇していたのに大学寄付基金運用はマイナス2%。ハーバードなど有名大学が名を連ねている。ハーバードは20億ドル、5%の減少。上位40位の寄付基金のうち35基金が資産を減らした。

マックス「これが資産マネジメントたらインデックスファンドマネジメントの問題なんだ。フィーなしで運営できますっていうやつ。ハーバードの場合、ラリー・サマーズの名前がある。寄付基金の理事長のトモダチなんだ。大儲けしたブルックリン時代に知り合った仲だ。似たようなやつらが大学だけじゃなくてアメリカ経済全体をだめにした。」
ステイシー「ヘッジファンドのトップ5が10億ドルとかの報酬をもらってこの有様なんだから何万ドルもの授業料を払っている学生は呆れるしかないよね。」
記事
寄付基金は1977年から2012年の35年間で7倍増。研究機関をもつ8大学・・コロンビア、ハーバード、プリンストン、スタンフォード、イエール、シカゴ。ロチェスター、MIT・・・の寄付基金は1977年時点で10億ドルを超えていた。

ステイシー「つまりこの8大学は独自のヘッジファンドで運用していた。80年代はじめごろまでは5%くらいの利率、国債運用でやっていたのに、いまやすべての大学がヘッジファンドに参入して、ファンドマネージャーをヘッドハンティング。その莫大な報酬のために授業料を上げざるをえなくなった。」
マックス「大学とヘッジファンドがロビー活動をして学資ローンをノンリコースにして学生を借金で縛った。いっぽう寄付基金はヘッジファンドに。悪循環だな。」

というところでおしまい。 



日本の非正規労働者は台湾と中国の中間のポジション。

2016年度 アジア・オセアニア進出日系企業実態調査
時給800円なら月収933ドル。非正規だとボーナスがないので年収11,200ドル。
台湾はボーナスが3ヶ月なので製造業ラインで年収15,765ドル、サービス業なら19,320ドル。
つまり日本の労働者の40%(非正規の率)は台湾と中国の中間のポジション。正規雇用のマネージャーで台湾と同等かな?
日本の労働基準法はアジア地域では途上レベルなので、時給800円で人手不足倒産するような企業はゾンビ企業と呼ぶべきだろう。働き方改革がもし実施されて最低時給が1200円になったらさらに倒産が増える。これから伸びる国は新興国といわれるけれど、沈む日本をなんと呼べばいいのだろう?


ミャンマーのワーカーの年間実負担額は非製造業で5,236ドル、製造業で2,167ドル。
我が国の非正規雇用の負担額を15,680ドルと試算すれば、非製造業では3倍の開きでしかない。 ミャンマーのマンダレーのイオンモールで働く人と日本のイオンモールで働く人の給与の差は3倍ということ。生活費の差はどれくらいなのか、こんど調べてみよう。おそらく10倍くらいかな?

 極端な話、ミャンマーの賃金がタイランドみたいに10年間で112パーセント伸びて、我が国の給与が10年間でさらに16.2パーセント縮んだらどうなるのか?タイランド並みの伸び率として2025年で同等、控えめにホーチミン並みとすれば2052年に同等。
 立て!飢えたるものよ。今ぞ日は近し。

2月21日のゼロヘッジ

US Shale Production To Soar By 3.5 Million Barrels/Day Over Next Five Years: BofA Explains Why
Feb 20, 2017 5:28 PM
2年前にサウジがシェールオイルを潰しにかかった。原油価格が急落してシェール業者は破産があいつぎ投資も激減。成功といえば成功だったのだけれどシェールの損益分岐点を高く見積もり過ぎていたことはすでに書いたとおり。
バンカメがなんで損益分岐点が低くなったのか、どのへんで均衡するのか、そして今後のシェール増産があり得るのか、OPECは増産に転じるのかを書いている。特に注目すべきは今後5年間でシェールが3.5百万バレルの増産をするだろうというくだり。
根拠はつぎのとおり:石油会社は原油価格下落を受けて損益分岐点を下げた。
では増産に転じるのはいつどこなのか?・・・アメリカのシェール企業が2022年までに増産する。
アメリカのシェール企業の損益分岐点は現時点でバレル55ドル。バンカメは長期的に60ドルから70ドルの油価を想定してそれがコスト改善につながると仮定していることは留保すべきだろう。
もし2022年まで40ドル台がつづけば増産は24万バレル程度にとどまる。60ドルで70万、70ドルで95万バレルというのが当方の想定。
バンカメは非OPEC生産量の84%がアメリカンシェール由来になると言う。アメリカ以外の非OPECが減産するとの過程である。産油量を選ぶのか油価を選ぶのか?
いろいろ考えるとバンカメの予想が当たるのかどうかわからなくなる。追い詰められたサウジはシェール潰しを再開するかもしれず、そうなるとOPEC合意はまた破られることになる。そして油価は自由落下・・・。

Hedge Funds Have Never Been This Long Crude OilFeb 20, 2017 4:42 PM
いまだかつてなかったヘッジの原油ロングポジション
ガソリンがかつてない在庫量だというのにヘッジファンドがロングポジション。それでもって原油価格上昇に100万バレル張っている。なぜか?
「OPEC減産が期待よりちょっとだけ多かったし、増産に転じることはなさそうだから。」
さらに
「OPEC減産がつづけば在庫が減る。と同時に2017年後半になると需要が増えるだろう。」
しかしほんとうにそうなのか?
油価が今の水準から25ドルあがればシェール革命が再発し油価は下落するにちがいないと思う。
原油市場の投機が絶えないのはなぜかといえば、80年代、トレンドが3とか4だったときに原油は7。それが15年も20年も続いたからポジションが大きいということ。

Why Its Big Bet On Westinghouse Nuclear Is Bankrupting ToshibaFeb 20, 2017 3:00 PM
東芝がウェスチングハウスに賭けて大負けした理由
マイケル・シェレンバーガーの寄稿
80年の歴史を誇る東芝が破産しそうだ。
そうなればウェスチングハウスの手がける核電建設すべてがストップする。
なぜ破産が取り沙汰されるのか?それは現在進行中の核電建設がいつ終わるか、費用がどれほど超過するか誰もわからないからだ。
まず核電需要が減った。日本でも42基の核電のうちあ道中は2基のみ。核電業界の希望の星インドですら抵抗は強い。ベトナムはコンセンサスに20年かけて計画を白紙撤回した。核電オペレーター業界大手のエンターギーが核電からの撤退を表明。
標準化はどうなるのか?
中国でもアメリカでもAP-1000の核電建設は遅れている。ウェスチングハウスはデザインステージは終わったと言っていたけれど終わってすらいなかった。そこをつっこまれても弁解らしい弁解ができていない。
核電建設が進まない理由は?
「航空機規制に対して今までとはまったく異なる建設技術が必要だが、そんなもん誰も開発してないし、ましてや試験も検査も承認もまだまだの段階。」
つまり需要減と規制強化が核電建設遅れの原因なのか?
「オーダーを固めてもコスト上昇は避けられない。将来の市場が見込めないから遅れてるとか技術がないとか言われても気にしない。」
「日本人がこういったらしい:核電は安全です。日本ではつくらないけれど、って。こりゃだめだわな。」
なんで中国とかロシアじゃなくて韓国が落札するのか?
過去のデザインと決別した業界ではごく小資本でスタートアップできる可能性がある。インターネットのように。
しかし核電業界では安全面でそれが裏目にでるかもしれない。

Visualizing The Stunning Truth About How Students Are Spending Loan CashFeb 19, 2017 8:50 PM
いまどきの学生による学資ローンの使いみち
学資ローンの41.3%は家賃とスマホ。14.9%がファッション。12.8%が外食も含めた食費。2.5%がドラッグとアルコール。
過去15年間学卒サラリーマンの初任給は4千ドル低下した。しかし学資ローンの借金総額は急上昇している。卒業時点の借金が37,000ドル(444万円)なのに仕事は最低賃金以下。学資ローンを背負う6割がどうして返済していいかわからないという。それに加えて家賃上昇。
そもそも借りるほうの学生も家計をちゃんと管理すべきなのだ。毎週金曜の夜にピッツアを食べたら4年間の総額は1800ドル。金利付きなら2291ドル。飲み代が3000ドル。金利付きで3818ドル。春休みコンパが4000ドル。金利付きで5091ドル。
学資ローンには破産条項がない。だから早く返すにこしたことはない。できれば在学中に返しはじめてリスケをしたほうがいい。滞納はペナルティーが高くつくので自動引き落としも効果的だ。

Government Knows Best - Junk Food Ban Goes GlobalFeb 20, 2017 9:30 PM
ジャンクフード禁止の国家が増える。
肥満はとくに南太平洋の島国で問題視されている。対象諸島国17カ国のうち16カ国では大人の半分が肥満。うち11カ国では肥満率が75%。(世銀統計)
てなわけでバヌアツがジャンクフード禁止令の先鞭をつけた。トーバは政府関連ディナーとツーリスト向け外食で輸入食糧提供を禁止。しかしながらWHOの博士は「課税や禁止措置で肥満が減ることはありえない」と冷たい。しかしグローバル化で市場どころか健康まで脅かされるというのはどうかね。

2月22日のゼロヘッジ抜粋

Donald Trump, Saudi Arabia, And The Petrodollar
Feb 22, 2017 8:30 PM

ニック・ジャンブルーの寄稿「トランプ、サウジ、ペトロダラー」
オバマが拒否権発動したのが8年間で12回。下院が再審議で拒否権を却下したのはたったの1度。それで9.11の犠牲者家族がサウジを訴える法的根拠が成立した。このままではサウジの在米資産が抑えられる可能性があるため、サウジは急いで資産を売却した。それまではアメリカ側が恐れる側だったのだ。サウジがペトロダラー協定をやめればドルは世界の基軸通貨としての立場を失うのだから。
オバマと違いトランプはサウジのアル・ワリード・ビン・タラールを名指しで批判した。サウジがクリントン基金に10〜25百万ドルといわれる寄付をしたからだ。サウジはヒラリーに賭けた最大のルーザーと言える。
サウジがトランプを嫌うのは、シリアの「穏健派」から手を引くと言ったからだ。つまりオバマがサウジの穏健派テロリストを支援していたのはペトロダラー協定ゆえだったのだ。トランプ政権はペトロダラーの終わりの始まりだ。
バーナード・ルイスのようなネオコンの言い草を引用するのはいやなのだが、壊れた時計でも1日2回は正しい時を刻むというではないか。
「KKKがテキサスを支配して産油権を手に入れ、その金でキリスト教原理主義の学校をあちこちに建てたとしよう。
サウジはワハビズムについて同じことをやっている。サウジがなければワハビズムなんてド田舎の狂信集団だったにすぎない。」
ワハビズムについてこれほど的確は描写はない。それがイスラム国、アルカイーダ、タリバンなどすべての過激派の信条ととなったのだから。いわばサウジはイスラム国が現実の国家制度という形をとったものなのだ。「サウジがイスラム国をつくった」というのは比喩でもなんでもない。
アラビアに3年間暮らしてわかったことだが、当地の人々はワハビズムなんて誰も信じていない。ところが世界規模となるとそれをよりどころにする人々が多いのだ。ひとつにはシーアのイランに対するものとしてサウジ・西欧がワハビズムを利用したということもある。
時あたかもスーチンはチェチェニアでスンニ派宗教指導者大会を開いて非ワハビー派を結集し、「ワハビズムはイスラムの危険なデフォルメである」との声明を出させることができた。その大会にはエジプトのアル・アズハルモスクのイマームの参加している。プーチンはスンニ世界でサウジをはみごにしようとしたのだ。それはサウジとアメリカの支援するムジャヒディーンのせいでソヴィエト軍がアフガンから追い出されたからなのかもしれないし、チェチェンのテロリストをサウジが支援していたからなのかもしれない。
この会議について報じた西側ジャーナリストは私の知る限りイギリスのロバート・フィスクひとりだが、彼いわく、
「もしスンニ世界ではみごにされたらサウジはどうなるだろう?」
同じように、もしサウジがはみごにされたらペトロダラーはどうなるのだろう?
私の見立てによると、サウジがどうなろうとペトロダラーはいずれ死ぬ運命なのだ。だから2017年の最大のブラックスワンはペトロダラーの死と言いたい。インデックスはゴールドの国際価格だろう。ドルに賭けないことをお勧めする。
もうひとつ、ひどいインフレになるだろう。
アメリカ人はドルが基軸通貨であるがゆえに何をしても食ってこれた。しかしそのステータスがなくなったらどうなるだろう?アメリカ政府はあらゆる資産を国有化しようとするかもしれない。個人の私有財産も含めて。どうなるかは誰にもわからない。私がアドバイスできるのはペトロダラーの崩壊に備え自己防衛をしておいたほうがいいということだ。

Exxon Cuts Reserves By A Record 3.3 Bilion Barrels As Oil Crash Finally Takes TollFeb 22, 2017 6:29 PM
原油価格が上がらないのでエクソンモービルが置換率を変更 => 確認埋蔵量が33億バレル減少

昨年9月にも書いたのだけれど、原油価格が崩壊して2年もたったのにエクソンモービルがなぜか総資産額を下方修正しなかった。それは世界トップ40の上場エネルギー企業のうちなんとかまともに操業している(当時の社長レックス・ティラーソンはいまや国務長官)から、とニューヨーク州司法長官が裁定したから、という話だった。
たしかにシェブロン、ロイヤルダッチシェル、トータル、BPなどが軒並み資産価値下方修正せざるをえなかった2014年にエクソンだけは大丈夫だった。ティラーソンはいったもんだ:
「下方修正なんてしないよ。下方修正なんかで救済されたつもりになるな、と業界全員に言いたい。」
ところがティラーソン氏が会社を辞めたこともあるのだろうけれど、今日(2月22日)にエクソン史上最大、33億バレルの下方修正。現行価格では5年で減価償却できない油田、ということだ。

Biggest Gasoline Glut In 27 Years Could Crash Oil MarketsFeb 21, 2017 3:53 PM
原油史上で過去27年最大のガソリン在庫

OPEC合意で原油価格がちょっとはマシなレベルに落ち着いていますが、(アメリカの)ガソリン在庫が過去27年間(ということはEIAが在庫統計をはじめた1990年以来)最大量だそうです。たとえば原油在庫が多いのであれば製油所がリハビリゆえ操業停止しているなどの理由があるかもしれないので、ガソリン在庫の場合とは異なります。ガソリン在庫は259百万バレル。在庫の理由のひとつは生産過多。なんで生産過多かといえば、そんなけ需要があったから。いまになって需要が急落したということです。落ち込み量は1月で8.2百万バレル。前年同月比で4%の販売減。
さて製油所が減産となるとこんどは原油が余ります。原油が余ると価格が下がります。原油価格が下がるとシェール業者が汲み出しをやめる・・・。

Bitcoin Soars Above $1100, Near Record Highs As Chinese Bypass CrackdownFeb 21, 2017 12:31 PM
ビットコインが1100ドルをつけたそうです。ご存じビットコイン市場は(現状)中国にしかなく、その中国では当の規制により取引をやめたばかり。しかしさすがチャイニーズ。ピア2ピアで取引をやっているそうです。

Satyajit Das Warns Financial Engineering "Has Masked The Global Economy's Precarious Health"Feb 21, 2017 10:31 AM
サティアジット・ダスいわく金融工学はグローバル経済の不安定さを覆い隠すと云々。
市場が活性化すると金融工学が出てくる。超低金利で資金が手に入ると社債市場はさや取りと節税目的の売買ばかりになる。企業が「価値」を創出する手段はM&Aとリストラ。つまり金は大企業、銀行、コンサルの間を往来するだけになる。
自社株買取による増配も借金をして株高を演出しているにすぎない。リーマンショック前の2008年1月、アメリカ企業はキャッシュフローの40%を自社株買取に使っていた。今の状況とそっくりだ。
世界各国に会社をもつグローバル企業は法人税のさや抜きもやっている。アイルランドはその舞台のひとつだ。
原油会社は資源市場での投機で儲けている。価格が上がろうが下がろうがどっちにせよボラティリティーなるものが儲けのネタになるので、原油を汲み出しても汲み出さなくても儲かる仕組みになっている。
賢人ウォーレン・バフェットだって金融工学を使っている。バークシャーの手法はフリーフロートなる保険を使う。同社は国際株価指標を使ったオプション、アメリカ企業のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)、そして地方自治体債権保険を売って投資資金を膨らませた。いずれも将来のコンティンジェンシー(予測不可能な事態)の際に補償金を出すかわりにキャッシュを前金でもらうというやり方。バークシャーはリスクに対し連帯責任を問われないし、リスクそのものは出てくるかどうか見えない。リスクが顕在化しないまま契約満期になったときだけ金を支払えばいい。
つまりリーマン前と状況はまったく同じなのだ。
政府ですら金融工学を使う。以前の財政方針は景気浮揚が目的だったのだが、いまやゼロ金利が富の偏在と階級格差を助長している。
そろそろ政財界そろって本当の問題、つまり借金、停滞、スタグネーション、低い生産性、老人大国化、格差、リソース偏在、環境などに取り組むべきじゃないのか。

Richard Breslow: "How Much Central Bank Money Has Poured Into The S&P 500?"  Feb 21, 2017 9:46 AM
いったいどれくらいの金が中銀からS&P500社に流入したのか?ゼロ金利が特定巨大企業のため以外の何の役に立ったのか検証すべき時じゃなかろうか?

Philadelphia Soda Tax Leads To 30-50% Plunge In Sales, Mass LayoffsFeb 22, 2017 4:15 PM
2016年夏にフィラデルフィア市が「ソーダ税」を導入して以来ソーダの売り上げが3割から5割減り、カナダドライ社の従業員の2割が解雇された。清涼飲料水10パックなら税率は51%。それ以外に収消費税6%、市消費税2%があったので、6ドル47セントだったソーダが9ドル75セントになった。ソーダ税が課されたので消費者は課税されないところまで出かけてソーダを買うようになった。ソーダの売り上げがゼロになったところもあったとのこと。

Taiwan Joins Global War On Cash: Plans To Ban Purchases Of Houses, Cars, & JewelryFeb 22, 2017 8:55 PM
台湾も対キャッシュ環球戦争に突入。不動産、自動車、宝石は売買禁止になるかもしれない。いわゆるマネーローンダリング対策。
この対キャッシュ戦争は西欧にはじまり、トランザクションの68%がキャッシュといわれるインドに波及。それがついに台湾に上陸。現状では50万元(72千ドル=864万円)を超える取引はレシート保管が義務付けられるというだけで対価支払い方法に特段の制限はない。今後はどうなりそうかというと、フェーズ1として
1. 大量のキャッシュが動くとテロ認定される。
2. 当局への申告なしに動かせる金額が制限される。
3. 金額の寡多にかかわらず銀行カードでの支払いが望まれる。
4. 不必要なキャッシュを蓄えると疑われる。

以上。