2015年9月11日金曜日

日本の原油輸入の75%がナフサ

司馬遼太郎の「坂の上の雲」を再読してから戦略について考えています。
いまのところの結論は、戦略とは誰かがいつも真剣に考えつづけることだと思います。
経営学のほうでは「戦略ではなく方策である」なんちゅうて、自分とこのリソースを洗い出すことからはじめてチャート式に解説しているものもありますが、戦略がチャートになってみんなが真似したら意味がない。やはり情報をあつめ、考えつづけることが大切です。

さてイランの経済制裁がどうやら12月ごろ解除される見通しとなり、商社はじめ民間企業がテヘランにどんどん人を送り込んでいます。官は国家ファンディングを除いてそろそろ撤退の準備をはじめるべきでしょう。しかしそのまえに、国としてイランとどうつきあうか、という点で戦略的な方向性を示しておくべきじゃないのかと思います。

世界で生産される原油のうち57%(あやふやな記憶なので間違っていたらごめん)がガソリンやケロシンなど「移動用燃料」になっているらしい。フランスは原油消費の19%(間違っていたらごめん)、ドイツは33%(間違っていたらごめん)が移動用燃料。我が国はなんと5.57%(間違っていたらごめん)にすぎない。我が国の原油輸入のうち75%(間違っていたらごめん)がナフサ。

そしてここにコンデンセートという強力な商品が登場します。成分組成はナフサとほぼどうとうだけれど、コストが圧倒的に安い。コンデンセートは天然ガスが噴き出すときいっしょに出てくる副産物をそれなりの方法でそれなりのプラントで精製したもの。天然ガスが屁としたら、いっしょに出てくる下痢便みたいなもんですな。それを精製すると、我が国が高い金をはらって輸入しているナフサと同等のものが圧倒的な安さで手に入る、っちゅうことです。

だから我が国は、ガソリンなど移動用燃料の精製プラントに対する投資はドイツやフランスのエネルギー企業にまかせておいて、エネルギー投資はコンデンセート精製に特化したらええんじゃないか。それが戦略っていうもんじゃないのか、と思います。

商社の人いわく、ドイツのジーメンスという会社は革命前からイランに投資していて、イランでMEPNAというローカル会社を作って、そこに技術移転してきた、と。イランでは経済制裁下でもそのローカル会社がジーメンスのタービンのスペアパーツを営々と作り続け、地面すのタービンは働きつづけました。経済制裁が解除されたら、義理人情に篤いイラン人は、とうぜんジーメンスの新しいタービンを買うよね、っていう話。

さすが戦略の本家ドイツだけのことはあります。