2017年5月26日金曜日

日本石油連盟が何を言っているのかさっぱりわからないのはなぜか?

日本語メディアの原油報道はOPEC減産合意がどーたらこーたらと供給側の事情ばっかり言っていて、肝心の「需要が激減している」ということを言わない。需要が激減しているので在庫がだぶつき、いくら減産しても価格があがるわけはない。
日本でガソリンがなかなか値下がりしないのは、石油会社がカルテルをつくって値段をさげないから。買い入れ価格はさがっているので、儲けが大きくなる。そのためのカルテルなんだけど、公正取引委員会はいつ動くのかな?
なんで需要が激減したのか?労働者の4割が非正規でミャンマーのサービス業労働者の3倍の給料で働いている。クルマなんて買えないし、買わない。車を買う人は恐ろしく燃料効率のいいガソリン車かハイブリッドを買う。ゼロ金利で借りた金で製造業はロボットを導入する。いよいよ雇用は悪化する。
「アベノミクスは失敗」というのは非日本語メディアでは常識。現政権は汚職と腐敗が蔓延している。21世紀はたった17年ですでに世紀末なのか。

マンチェスターのテロの情報をアメリカメディアが報道したからとイギリスが激おこ。

なんで激おこかっていうと、要するにテロ実行犯とされたサルマンくんのオヤジはイギリス製のテロリストとしてカダフィを殺すためにリビアに送り込まれた人だった。サルマンくんはオヤジとテロ仲間たちに囲まれて育ったので、しぜんにテロリストになった。イギリスはカダフィを殺すために飼っていたテロリストの息子に手を噛まれたわけで、ひょっとして爆弾もイギリスがテロリストに供与したパーツが使われていたのかもしれないな。

だから激おこ。それって逆ギレじゃないのか?

蓋し、イギリスはいままでよくもまあテロを抑えてきたもんだ。世界中を暴力で植民地にして搾取・弾圧・抑圧しまくった国家なのだから、恨みを買って当然なのだが。

ところでトランプがサウジに3500億円相当の武器を供与するらしいのだが、それはイエメンに使われるだけじゃなくて、まわりまわってパキスタンからアフガンに行ってアメリカ兵を殺し、さらにまわりまわってアメリカでのテロに使われるのだろう。

西欧の指導者たちは戦争を外交ツールのひとつだと考えているようだ。困ったもんだ。

2017年5月24日水曜日

カイザーリポート 第1073回の後半

[KR1073] Keiser Report: Debt & Taxes in the Age of Trump
May 20, 2017   

前半はアメリカの株式市場でS&P500企業のうちFAANG(フェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグル)の5社の株だけが買われていて、あとは沈んでいるという話です。マックスはこの5社のほとんどがソフト企業であることを危惧しています。
さて後半のゲストはマイケル・ペント。マックスとふたりで言いたい放題です。

最初のテーマはFAANG株への集中について。
ペント「マネジメント方針がアクティブじゃなくてパッシブになっていて、大量のマネーがETF(Exchange Trade Funds)に流れ込んでいる。扇風機に糞が当たって飛び散ったら目も当てられない。」
カイザー「俺がウォール街で働きはじめた1987年ごろ、ポートフォリオっていうのが流行って、デリバティブの時代になった。同じようなかんじで誰もがETFだ。どう思う?」
ペント「株で儲からなくなったから皆がETFに投資する。ETFが下がったらみんないっしょに下水道に流されるんだ。」
カイザー「ヘッジファンドのブラックロックがETFを裏書きしているよな。」
ペント「(ブラックロックどころか)連銀も日本(の年金機構もゆうちょ)もETFを買っているんだ。トランプがFBI長官を更迭しても、6期連続で業績が悪化しても誰も気にしない。第1四半期のGDP成長率が0.7%でも、小売業が壊滅しても誰も気にしない。なんでだと思う?ローコストの簿外資金が流れ込むからなんだ。こんなヤバい時代は俺の人生でかつてなかったな。国債も暴落する運命だ。なぜか?アメリカは史上最大の負債を抱えている。GDPの300%、230兆ドルだ。そして連銀の公定歩合は過去100ヶ月間1%を上回ったことがない。つまりこれが原因なんだ。不動産市場が崩壊したときですら、金利が1%未満だった期間はたったの1年だった。それを考えたら、いまの100ヶ月連続超低金利っていうヤバさがわかるだろう?アメリカだけじゃなくて日本も欧州も同じだ。それでいてインフレ2%を目標にするっていう。こんなおかしい話はない。」
カイザー「枯れ草の上に寝ている状況っていうのは今にはじまったことじゃないよな。」
ペント「中央銀行がインフレを演出するっていうのはどういうことなんだろう?例を出そう。連銀の金利が1%。10年もの国債が2.3%。連銀のアホどもは2017年に金利を3倍増、2018年に4倍増させるっていう。つまり2.3%くらいにするつもりだ。いっぽう10年もの国債が2.3%。金貸しにとって逆ざやだわな?銀行が金を貸せなくなる。そして政府は借金ベースの財政方針。これでマネーが流れこまなくなったらどうなる?不動産市場が最初に崩壊する。バブルの崩壊だ。」
カイザー「それも今にはじまったことじゃないわな。俺はこう思う。S&P500社のうち400人の社長が企業買収で更迭された。アメリカ企業社会が私有化された。ブラックロックやウォーレン・バフェットがオーナーになったんだ。」
ペント「連銀は4.5兆ドルの株式をもっているんだ。いまのアメリカに自由市場なんてどこをさがしてもないんだよ。」
カイザー「つぎのテーマはどこの国の中央銀行も最後の砦じゃなくていまや最初のバイヤーになった。スイス銀行は世界細田のアップル株保有者だ。日本の年金やゆうちょもETFを買いまくっている。どこに緩衝帯があるんだ?」
ペント「日本についていうと、10年もの国債がほぼゼロ金利でインフレ目標が2%だ。金を投資しても絶対かえってこない時代にどうすればいいんだ?アメリカはこれから10兆ドル借金がふえるっていう。誰がこの借金を買うんだ?』
カイザー「ドラギいわく、それで400万人の雇用を生んだんだ!と。」
ペント「これまで汗かいて働いて年金を貯めたじいさんばあさんはどうなるんだ?」
カイザー「それでも雇用を生んだんだぜ。」
ペント「ウォールマートで働く最低賃金労働者のことだな?そもそも中央銀行の存在意義は何なんだ?銀行を救済して銀行の資産価値を上げて、銀行が市場で博打をするのを助けている。中銀の存在意義って何なんだ?」

次回に続きます。

蛇足ながらひとこと。
超低金利で国債を買ったとしてもインフレで資産は目減りします。同時に、超低金利なので誰も銀行に金を預けない。大企業や機関投資家は超低金利(=ローコスト)の金を借りて自社株やら不動産を書いまくる。家賃を高く設定するので商業物件から小売業が逃げ出す。テナントが逃げ出しても、そもそも家賃収入をあてにして買った物件じゃないのであまり気にしない。バブルがはじける前に売り逃げして差益を出したらいいと誰もが考えるから。カイザー・リポートでは今のこの経済システムを問題視しています。

2017年5月13日土曜日

カイザーリポート 第1070回 医療保険制度について

Episode 1070
Published time: 13 May, 2017 08:26 
https://www.rt.com/shows/keiser-report/388217-episode-max-keiser-1070/

マックスとステイシーがアメリカの医療保険問題についてあっさりと斬っています。
医療保険問題は医療とはなんの関係もない、ファイナンス(保険)業界の問題であって、医者や看護師など医療従事者のあずかり知らぬところで議論が行われている、と。
このチャートがすべてを物語ります。
1970年から2009年まで内科医の人数はあんまり増えていないのに、医療アドミニ、つまりあれこれのペーパーを作ったり受け取ったり手渡したりする人たちの人数が1992年ごろから急増します。ふつうのお店だったら、注文を受ける人、サービスなり商品を提供する人、請求書を出す人、お金を受け取る人、レシートを出す人は同じ担当者であることがふつうですが、医療の場合はその常識が通用しません。そんな特殊な医療業界の経費が莫大になり国家財政を圧迫しているっていうのがおかしくないか?それはつまりファイナンス業界が「医療」を人質にとって国民を脅しているのだろう、という洞察です。

これまでマックスカイザーの洞察をいろいろ紹介してきましたが、アメリカで現出している状況は遠からず日本でもまったく同じ状況になると思うからです。

2017年5月11日木曜日

カイザーリポート 第1067回と第1068回の要約

[KR1067] Keiser Report: Shareholders Getting Leftovers
http://www.maxkeiser.com/
アメリカン航空が利益を株主ではなく従業員に還元したことが批判されています。「働かざるもの喰うべからず」という原則に立ち戻ったアメリカン航空。「株主が残飯を喰わされる」ことのどこがおかしいのでしょうか?

マックスいわく、いまの状況はゼロ金利で得た資金をオリガーキーどもが製造業などまともな投資もせず雇用もせず不動産に投資している。企業が利益を従業員に還元すれば景気が拡大する・・というのは資本家的自由経済社会の法則だったはず。しかしいまや多くの大企業は投資も従業員も必要としていない・・・というのが今回のマックスの名言です。
 ステイシーいわく。ボトムの50%の人間は必要とされていない。そして「アメリカ人の40%が収入の半分を借金返済に使っている」という調査結果を引用します。

マックスは極端なはなし、金が欲しくなったら石油を汲みだせばいいので、国民など必要としていない、というサウジアラビアを引き合いにだします。
これはアメリカ政府も同じことで、石油じゃなくてドルを刷りまくってきた国として、製造業も雇用も必要なく、税金すら必要なく、600兆ドルのデリバティブのバブルを膨らませるだけ膨らましてきました。マックスいわく、それにくらべて3兆ドルの税収など鼻クソみたいなもの。銀行資本は「もっと金を剃らないと景気が悪くなるぞ」と連銀を脅している、と。

ところでアメリカ人のおよそ半数が25000ドル(350万円)の借金を抱えていて、国民ぜんぶの借金平均額は(なんと住宅ローンをのぞいて)37000ドル(550万円)だそうです。このように借金から逃れるのは不可能な状況をマックス・カイザーは「金利アパルトヘイト」と呼びます。銀行資本は銃もなにも使わず「金利を上げる」ことで人民を脅しています。借金漬けになった人民には金利上昇が最大の脅しになるからです。基本的にガンをつきつけて「金を出せ」という銀行強盗となんら違いはありません。

トランプに投票したのはそういう借金を抱えている人たちのはずです。カイロでもベネズエラでもそういう人たちは徳政令に期待してポピュリストに投票し、裏切られる、とステイシーは言います。

カナダのローン会社ホームキャピタルグループ(HCG)が経営危機に陥り、20億ドルの緊急支援をしようというある筋は22.5%の金利を求めました。この「ある筋」というのはオンタリオ医療者健康保険組合。つまりオンタリオの医療従事者たちが自分たちの年金を守るためにローン企業から22.5%の金利を毟り取るということです。要すれば他人よりいかに早く毟り、撮り逃げするか、犬が犬を喰う社会になっています。

[KR1068] Keiser Report: Never-ending Greek bailout
プエルト・リコが破産宣言という話からはじまって話題はビットコインが資本逃避に使われているという話になりました。
こないだ日本はこっそりビットコイン(クリプト通貨)を承認しましたが、日本政府始めメガバンクがビットコインを戦略的巡撫通過にするのも遠い将来の話ではなさそう。アップルの資産が8000億ドルなのだからビットコインが2000億ドル程度にとどまるわけはない、とマックス・カイザーは言います。FXの世界では毎日6兆ドルが流れているのだから、ビットコインのボラティリティーもこれから大きくなるに決まっています。

さて今回の主題は自転車操業のギリシャ。IMFはじめトロイカから注入されたマネーはことごとくがメガバンクのアカウントに入り、ギリシャ人民には届いていません。IMFはギリシャについてGDPの179パーセントにのぼる借金は持続性がまったくないといいつつ、ではどうするかと聞かれれば、港湾や空港や道路やトンネルや造船業など国家の資産を接収して売り飛ばすしかありません。消費者金融が債務者の身ぐるみを剥ぐやりかたとまったく同じです。つまり金を返せないのなら国家として独立した政策などすべて剥ぎ取られるということになります。