2017年7月26日水曜日

カイザーリポート 第1101回 サマーソリューションシリーズ

Keiser Report: Making Politics Great Again? (E1101)
https://www.youtube.com/watch?v=hTFXYc_GXy0

前半のゲストはノースキャロライナ州ピッツボロのランディ・ボルター市長(民主党)。馴染みの友達らしく、マックス・カイザーは言いたい放題です。
後半は弁護士で映画監督のジョン・ティタス。"All the plenary's men"という映画で、麻薬マフィアやテロリストの資金洗浄をしていたHSBC(香港上海銀行)がなぜ事実上の無罪放免になったのか、なぜ経営陣の誰も臭い飯を喰わされなかったのかを追求したドキュメンタリー。字幕はないけどぜひ見るべき映画です。
https://www.youtube.com/watch?v=2gK3s5j7PgA&t=96s

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今回、どっちのゲストの主張か忘れたけれど、「議員定数を5倍くらいに増やしたら民主主義が活性化する」という意見が刺激的でした。
日本も議員に対する資金補助を1/4にして、議員定数を3倍くらいに増やしたらいい。
そしたら小選挙区制の弊害(与党が勝ちまくる)が除去できるし、議員ひとりひとりが選挙区に近くなる。

後半でマックス・カイザーの「この映画を見て政治がなにも変わらなかったらどうすればいいだろう?」との問いに対しジョン・ティタスいわく、
「革命を起こせばいい。」
と言います。それがアメリカの建国だったんだと。
英国王にどいてもらうことについて憲法がなにも書いていないのは、当時それが自明のことであり、また急を要することだったからとティタス氏はいいます。銀行資本や腐敗政治家がどかないのなら革命。それが自明の理ということです。

いいね。

2017年7月20日木曜日

7月20日のゼロヘッジ


トルコ政府がメディアを通じて在シリアのアメリカ軍基地と兵力を詳細に公表したのでアメリカ激おこ。NATOぼろぼろやん。

オバマが密かに進めていたCIAによるイスラム国支援プログラムをトランプさんたらやめちゃったらしい。

サウジ王子がいかに競争相手を蹴落としてきたかをニューヨークタイムズが書いているみたいだが、あんまり興味がない。

ベネスエラが石油産業の国有化を検討しているそうな。ベネスエラは原油が220ドルちかくの値段で財政支出がようやく均衡する国。いまでも汲みだす石油の半分がたが外資とのJVなのだが、国有化なんて言いだすと誰が投資するかね?しかも国有化したとしても在庫過剰と需要激減がどうなるわけでもなし。

7月19日のゼロヘッジ


ヨルダンでアメリカ軍のグリーンベレー3人が殺されたことがきっかけで、CIAがシリア政府打倒のためジョルダンでもイスラム国兵士を訓練したり新鋭武器を供給していたことがバレました。

ブレンダン・ブラウン氏が日銀の金融緩和について起こりうる3つの危機を解説します。
1. 2%のインフレ目標」を言い訳に際限なく続けられる金融緩和についてアメリカ政府がそろそろ怒るんじゃないか?
2. アメリカの景気後退期にはいり国債利回りがいよいよ不利になる。
3. 日銀がゼロ金利をやめたらそろそろ弾けそうな不動産バブルがかんたんに弾ける。

ホールフーズを買収したアマゾンのジェフ・ベゾスをナポレオンになぞらえて、「ホールフーズはアマゾンのワーテルローになるかもしれない」というおじさんのブログです。
なぜおじさんがそんなことを言うのか?
「(アマゾンは)価格、マネジメント、ロジスティックス(のどれで勝負をかけるのか)?どれもこれも食肉産業にそぐわないのに。」とのことです。

イタリアで非合法移民を進めていたジョージ・ソロスのネットワークが暴露されました。

ハイチでのクリントン基金の悪行を暴こうとしていたハイチ政府のクラウス・エベルワイン氏が殺されました。享年50歳。

「安倍政権は来年までもたない」とドイツバンクが過去データを引き合いに出して論じました。

フェースブックのマーク・ザッカーバーグがノース・ダコタのウィリストンという街を訪問して、なぜ(彼が支援したヒラリーが負けて)トランプが勝ったのか悟ったそうです。
シェールオイルを産出するウィリストンでは高卒で年収10万ドル稼ぐことができるので、あちこちから男たちが集まってきて住民の男女比が10:1になっているそうですが、それでも最盛期の30:1よりマシなのだとか。

OPEC加盟国のエクアドルが「昨今の危機的国家財政状況に鑑みて、OPECの減産になんかつきあってられるか」とのこと。

東電が放射性汚染水を海に放流することを住民に「決定したので通知」したことについて書かれています。

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日本の電力関係者は「核電を潰すと日本が潰れる」と言っているようですが、原油といい石炭といいここまで価格が下落しているのに何を言っているのだか。
「我々の既得権益のためにあなたの故郷に放射性重金属をばら撒きます。」と言えばいいのにね。

2017年7月19日水曜日

カイザーリポート 第1098回 ゾンビ経済の悲哀

[KR1098] Keiser Report: Zombie Economic Woes
Posted on July 18, 2017
http://www.maxkeiser.com/

前半のゲストはスティーブ・キーン博士。来りくる恐慌について博士は人間の心臓病に例えます。
マックス・カイザーは恐慌でより多くの富を蓄える階級がいるであろうことに言及。
博士は第1に1929年の恐慌時にくらべ現在の政府支出は割合で5倍になること、
第2に政治家が金融業界と同衾している状況を指摘し、軍産コンプレックスならぬ政治金融コンプレックスが形成されているといいます。
マックス・カイザーいわく、2大国の中央銀行が同衾しているのが現状だとジョークを飛ばします。
さらにマックスは、同じ政治家たちが大衆の生活最低保障額をきめることに対し「モラルハザード」といい、同じ口で金融業界の救済を訴えることについて、「モラルハザード」の2重基準が存在するといいます。
そういう状況の中で人々が逃げる隙間があるとすればビットコインはその選択肢になるだろうか?とマックスは問います。
キーン博士はグラス・スティーガル法がなくなり銀行業務と投機の障壁がなくなり、大手金融企業が住宅ローンからデリバティブまで手がける状況について、多様性を失ったモノカルチャーの農業にたとえ、アイルランドのポテト飢饉のような状況になるのではないかといいます。
マックスはこの状況を「競争が消滅した時代」と形容します。博士は競争こそがいわゆる資本主義社会の変化を促してきたといい、ふたたび多様性がなくなった状況であるといいます。

後半のゲストはカール・デニンガー。話題はおもにアメリカの医療保険制度について。
カールはアメリカの医療制度について、ガソリンスタンドが値段を明示しないで、『おたくはどんな自動車保険にはいっているのか?』と尋ね、保険の種類により価格を変えるだけでなく、1日の仕事がおわったら同業者がみんな集まって談合している。これが犯罪行為とされない政治を異常だといいます。
またカールは、医者の数がたいして増えていないのに、患者といっさい関わらない医療アドミニの人数が何倍にも増えてきたこと、その経費が月額8億ドルになること、さらにアメリカで7万ドルする医薬品がカナダやイギリスでは500ドルで売っていることを紹介します。
これはあきらかに独占禁止法違反であり、病人を人質に取った犯罪行為であるにもかかわらず、政府や議会の誰も問題にしないことを指摘します。
30年前に医療費はGDPの数パーセントだったのがいまや20%で、医療保険の負担費用はどんどん増大しています。このままでは国家の危機であり、どうにかして止めなければならないといいます。

2017年7月5日水曜日

カイザーリポート 第1092回 マネーの理性化

[KR1092] Keiser Report: Rationing of Money
Posted on July 4, 2017
http://www.maxkeiser.com/2017/07/kr1092-keiser-report-rationing-of-money/

マックス・カイザーがウォール街で働きはじめた80年代にデリバティブなど「金融工学」にもとづく新しい金融商品が出てきました。それらはぜんぶが証券取引委員会の規制にひっかかるものだったのですが、それらが生み出す巨大な市場の圧力で法律がつぎつぎと改訂された・・・という歴史をマックスが振りかえります。
つまりマネーの理性化、というか規制するルールはつねに市場と価格により変えられてきたのである、という話です。

つぎの話題はオバマケアと、オバマケアにかわってトランプ政権が提出した健康保険法案AHCAについて。「健康保険にかかることができない830人に1人が死亡する」という統計があるらしく、それにもとづいてオバマケアとAHCAを比較したグラフが提示されます。

そして、こんな大切なことを報道せずに、コマーシャルの間のきわめて限られたエアータイムをロシアが選挙に介入した云々のフェイクニュースにしか使っていないマスメディアを批判します。

後半は前回につづきメキシコの経済学者アレハンドロ・ナダル氏。いわく、
1982年にNAFTA(北米自由貿易協定)が発足して以来、メキシコ政府はいわゆる「バランスのとれた財政」を実現すべく、インフレ圧縮のために給与と政府支出を圧縮してきた。その結果、自由化された農業は壊滅し、国の経済はぜんぜんよくなっていない。増えたのは借金だけだ。(貿易のパイが大きかった時代には)WTOの存在感があったけれど、いまはファイナンスがばかでかくなって、貿易は相対的に縮小してしまった、と。
マックス・カイザーは問いかけます。
「インフレ率っていうのは給与は含まれているのか、それとも含まれていないのか?」

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そういえば・・・。
我が輩が2年間いたパキスタンでも、IMFとか世銀の受け売りでJICA(国際協力機構)は「パキスタン政府はバランスのとれた財政を実現すべし」と言っていました。(日本もそうだけど)政府の最高権力者が腐敗している国パキスタンでは、財政バランスなんてどうでもよくて、そんな政府からIMFもJICAも借金を取り立てようとしています。金を返す能力がない人に金を貸すのは悪徳金融業者なのですが、国を相手にIMFも世銀もJICAもおなじことをやっています。返せないことがわかっていて金を貸すというサブプライム行為がリーマンショックを引き起こしたのですが。
パキスタンには豊かな大地と奴隷労働力と、あとは石炭くらいしかありません。石炭は「地球温暖化だからダメ」とJICAはいいます。農業は旱魃と洪水を繰り返すのをなんとかしなければならないのですが、その原因は川上のネパール。
ネパールが無数の小規模ダム(要するにため池)と小水力発電をつくればネパールの水とエネルギーの問題解決になるのみならず、川下のパキスタンがおおいに助かるのです。しかしJICAは「ダム作るなら効率性の観点から大規模ダムでしょう」という。そりゃため池と小規模発電だったらゼネコンが儲からないからね。
(日本の政治家もそうですが)ちかごろは恥ずかしい姿を傍目にさらして平気な人(組織)が増えてきました。
イエローストーンの神サンが怒るんとちゃうやろか。

2017年7月3日月曜日

カイザーリポート 第1091回 寡頭独裁制のアメリカ

[KR1091] Keiser Report: ‘Oligarchic America’
Posted on July 2, 2017
http://www.maxkeiser.com/2017/07/kr1091-keiser-report-oligarchic-america/

 前半はアマゾンがホールフーズを買収し、巨大倉庫からドローンで配達することによりおそらく数千人のレジ係と品出し係とトラック運転手が失業し、資本の集中と独占、そしてオバマケアのおかげで医療費が300パーセント高騰したこともあって、格差がますます拡大するであろうこと、アメリカはすでに社会福祉と格差の点から二流国であることが語られます。

白眉は後半。メキシコの経済学者アレハンドロ・ナダルがゲストです。
トランプが「シリアについで世界で二番目に危険な国」といわれたメキシコです。
マックス・カイザーが煽ります。
「麻薬戦争で65000人が殺された。麻薬カルテルに資金を供給したHSBCが無罪放免なんだ。だからアメリカがメキシコの暴力を云々できる立場じゃない。」 ナダルいわく、
「NAFTAは貿易協定なんかじゃなくて、メキシコをネオリベ政治のパッケージに縛り付けるためのものなんだ。」
「この品目は税金がどうのこうのとか細目はネゴできるかもしれないけれど、取り引きできるようなレベルじゃないし、結局はいいなりになる。」
「いわばアメリカに本拠を置くグローバル企業のバリューチェーンに組み込まれ、安い労働力だけを提供し、利益はオフショアに移されるから税金はたいして入ってこない。」
「だからメキシコの格差も暴力も今のままだろう。」

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各位ご存知かどうか、先般メキシコは年間自動車生産量300万台を突破しました。我が国の税金で運営されるJICA(国際協力機構)もサプライチェーンの中小企業技術向上のために専門家チームを派遣してすでに5年ほど経ちました。いまの理事長になってからのJICAはなりふりかまわず、グローバル企業の利益のためのプロジェクトを推進しています。なんせテロ支援国家サウジアラビアにも企画調査員を派遣するつもりみたいだし、
http://partner.jica.go.jp/recruitdetailsubscription?id=a0T5F00000PZczcUAD&mode=DETAIL
対アメリカの窓口が細く開いたばかりのキューバにさっそく医療関連案件の派遣。
http://partner.jica.go.jp/recruitdetailsubscription?id=a0T5F00000PZOsGUAX&mode=DETAIL
いまこそ開発業界の日本人は Confession of Economic Hitman を読むべきなんじゃないか。