2016年12月28日水曜日

ある意味みごとなエルドアンの寝返り

https://www.rt.com/news/371965-erdogan-us-coalition-isis/

トルコのエルドアン大統領:アメリカ主導の西欧連合がシリアのイスラム国とテロリストを支援していた証拠が確認された。
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イスラム国から原油を買ったり、テロリストをかくまったり、テロリストに医療支援をしていたのはトルコじゃないか。ロシア空軍機を撃墜したり、ロシア大使を暗殺したのもトルコじゃないか。それなのに、プーチンになにか耳打ちされたとたんに豹変して、昨日までの盟友アメリカにつごうの悪いことをバラすと言うエルドアン。トルコには立地のよさ以外に何もないことをいまさらながら気づいたのかな?

たしが2006年ごろから、トルコにホットマネーが流入して景気がバブルっぽくなった。トルコである理由はとくになかったのだけれど。その頃からエルドアンは「我こそアタチュルクの再来である」みたいな態度で独裁色を強めていった。そして圧倒的多数で再選。態度はでかいのだけれど、アメリカのやることに絶対ノーといわなくなった。だって西欧のホットマネーが引き上げたらトルコ経済のバブルが崩壊するからね。そうこうするうちに、イスラム国の無茶振りが世界的に報道され、それでもアメリカは「間違えた」ふりをしてイスラム国に武器供与をしたり、素通りしてイスラム国の手に渡るのを知っていて反政府武装勢力に武器や資金を供与してきた。そしてその陰で、イスラム国から原油を買って(それが自分の息子や娘婿の会社)支援してきたトルコ。最近になって、ジャーナリストを白昼堂々と暗殺したり投獄するようになった。そしてアレッポが陥落し、ロシア大使が暗殺されて態度が豹変。わかりやすいといえばわかりやすいのだけれど、これからトルコはどうなるのだろう?


2016年12月24日土曜日

バナさんは7歳。バナさんはアレッポで起こっていることを「虐殺」と書いた。

バナさんは7歳。母のファティマさんは英語教師で、9月に娘のツイッターアカウントを作成した。当時アサド軍はロシアの支援を受け蜂起勢力に支配された市東部への襲撃を開始していた。バナさんは市で起こっていることを英語で「虐殺」だと書いた。数ヶ月で彼女のフォロワーは35万人になった。

先日トルコのエルドアン大統領のソーシャルネットワークページに少女バナ・アラベドさんとその家族をアンカラの大統領宮殿で写した写真が掲載された。
以前ツイッターで父は死んだと書いていた。しかし父親は健在で、トルコに暮らしている。

少女の父親がテロリストらと写った写真。少女自身の姿もあり、やはり戦闘員らに取り巻かれている。

続きを読む: https://jp.sputniknews.com/middle_east/201612233175359

2016年12月20日火曜日

駐土アンドレイ・カルロフ大使殺害。トルコ死亡フラッグ。

 故アンドレイ・カルロフ大使


プーチンとエルドアン、カザフスタンでのシリア和平交渉継続合意
2016年12月16日付 Hurriyet紙
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=41773

これを読んだとき、おかしいと思った。なぜかというと、この記事はトルコの新聞の記事で、おまけにこの写真つき。
内容はひとことで言うと、シリア和平についてトルコはロシアの言うことをすべて聞き、実行するということです。2008年のロシア・ウクライナ間ガス戦争のとき、ウクライナが呑まされた条件を彷彿とさせます。つまりモスクワの差し出す苦汁をアンカラがすべて呑まされたということ。だから、アンドレイ・カルロフ大使殺害の背景にはアンカラ現政権の意思があると思う。でも仕返しにしてはやりすぎ。エルドアンはそもそもイスラム原理主義だし、身内の会社にイスラム国から原油を買わせているやくざだけれど、これはやりすぎ。スンニ派国家としての意地なのか、シリアと国境を接する当事者としての意思表明なのか、それともサウジに尻を蹴っとばされたのか、そのへんはよくわからないけれど、いずれにせよロシアはメッセージを確かに受け取ったはず。
 
トルコと日本はよく似ています。自動車生産の統計とか見たら工業国ですが、実は日本モデル。まず天然資源がない。石油は出ない。鉄鉱石もない。石炭はクソみたいな褐炭しかでない。伊藤忠商事が褐炭をガス化してタービンを回す発電プロジェクトをやっています。日本にあってトルコにないのは、自前の技術。日本になくてトルコにあるのは、ロシアの天然ガスを欧州に送るパイプライン。パイプラインについてロシアはトルコを経由しないノードストロームラインを作るつもりなので、そうなるとロシアにとってトルコはどうでもよくなる。ロシアは経済制裁されてたしかに苦しいけれど、でもプーチンさんに喧嘩を売ってはいけない。絶対いけない。
 
トルコはその地政学的立地から、これからの中東のジョーカーになると思っていたんだけれど、このタイミングでこの手に出ますか?ま、エルドアンが隠居したらトルコがまた元のセキュラー(世俗主義)の共和国に戻って平和になるからいいんだけど。ロシアにボコられるまえに辞めたほうがいいと思う。

2016年12月19日月曜日

モノのインターネット

カイザーレポートでコメディアンのリー・キャンプが言ってます。
「すばらしいテクノロジーだな。スマート傘が今日は雨だから傘をもっていくように教えてくれるって?傘のほうがオレより賢いんだぜ。つまりお利口な傘がアホなオレを使うんだな。オレは傘の所有物で、傘がオレを連れて町を歩くんだ。オレ達は消費するだけの猿っていうことだ。ネットがハッキングされたらどうなるんだろう?そんな社会のプライバシーはどうなるんだ?傘とかポルノだけの問題なのか?」
https://www.rt.com/shows/keiser-report/370603-episode-max-keiser-1007/

国連シリア派遣団の記者会見

前のブログでマスメディアが嘘を垂れ流していることについて書いたのだけれど、「国連がリリースしたビデオ」っていうところをざっと訳してみました。正確には、国連シリア派遣団の記者会見。質疑応答のハイライト(下に訳した部分)のリンクはこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=AisvBNXPdG8 
52分の長いバージョンはこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=ebE3GJfGhfA&t=851s

国連シリア派遣団の記者会見で独立系ジャーナリスト(パレスチナで人権運動をやってきたカナダ人)エヴァ・バートレットさんがハフィントンポスト?の記者の質問に対して答えています。
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質問の第1は、シリア国民が何を求めているか量的にどう測定するのか?調査なり何なり、ドキュメント化されたものはあるのか?第2にあなた(エヴァ・バートレットさん)はコーポレートメディア、西欧メディアが嘘をついているというが、我々西欧メディアのアジェンダについてあなたはどう解釈しているのか?なぜ我々西欧メディアや、現地に派遣された国際組織が嘘をつかなければならないのか?我々が現地で見聞きしたこと、ドキュメント化されていることについてなぜ疑義を呈するのか?現地の人たちがひどい経験をしたと語っていること、これらすべてをどうして嘘と言えるのか?

バートレットさんの答え:
メディア会社の方針そのものが妥協の産物というのは別として、多くのジャーナリストは正直で良心的です。まず第2のご質問に答えましょう。現地の国際組織とおっしゃいましたが、東アレッポに人が駐在している国際組織はありますか?
(沈黙・・・。)私が代わって答えましょう。ゼロです。あ・り・ま・せ・ん。国際組織が頼りにしているのはまずシリア人権監視団、これはイギリスのコヴェントリーに住んでいる男性がたっとひとりでやっている組織です。つぎにホワイトヘルメットのような日和見組織。
ホワイトヘルメットについてお話ししましょう。ホワイトヘルメットはイギリス軍退役軍人が2013年に創設しました。ホワイトヘルメットはいままで1億ドルをアメリカ、イギリスその他の欧州各国政府から財政援助されています。ホワイトヘルメットは東アレッポとイドリブの民間人救済を使命としていますが、東アレッポでホワイトヘルメットのことを知っている人は誰もいません。さてその東アレッポの住民の95%は解放されたのですが、武装していないはずのホワイトヘルメット隊員が武器をもって政府軍兵士の死体の横にたっていたのが目撃されています。そしてホワイトヘルメットは子供も含めた「目撃者」をリサイクルした映像を提供しています。例えばアイヤという名の女の子は、たとえば8月にも登場し、翌月にも違う場所で登場しました。ということは信頼できる情報ではありません。レスター・チャールズも信頼できません。名前を特定しない活動家も信頼できません。一度や二度の登場ならいいかもしれませんが、毎回となると信頼できません。つまりあながたがは現地の情報源を持っていない。
あなたがたのアジェンダについて答えます。あなた個人ではなくコーポレートメディアのアジェンダですが、シリアの政権交代です。今朝のニューヨークタイムズにいわく、民主主義はどうなってしまったのか?と。今日までシリアでは内戦状態で、そのなかで12月20日まで非暴力デモ?これはぜったい嘘でしょう。アレッポから解放された人々がいるというのに、政府軍が民間人を虐殺?ありえないでしょう。云々。

皆様の、じゃなくてジョージ・ソロス様のNHKなんじゃないか?という話。

「皆様の」NHKが西欧のフェイクニュースを検証なしで垂れ流し。
http://www3.nhk.or.jp/n…/html/20161219/k10010811701000.html…

そもそもシリアがどうなろうと日本の国益にはほとんど関係がない。そして同盟国アメリカの国益にも関係がないとトランプさんもはっきり言っている。そうであれば皆様の視聴料で運営しているはずのNHKが、すでに12月14日の時点でRTによりフェイクであることをすっぱぬかれているニュースをなんでいまさら、ロシア軍が撤退を発表したというのに、なんで日本語にして垂れ流すのか?
https://www.youtube.com/watch?v=jVavSHSAN48

国連がリリースしたビデオでも嘘が暴かれている。
https://www.youtube.com/watch?v=AisvBNXPdG8


流すタイミングがずれたのは、来日していたプーチンさんに遠慮したのだろう。それにしても、日本の国益にも、同盟国アメリカの国益にもならない嘘でエアータイムを浪費するNHK。いったい誰に義理立てしているのか?・・と考えたとき、ひとつ浮かぶのはジョージ・ソロス。そうか!ジョージ・ソロス様のNHKだったのだ。ジョージ・ソロスは1997年の通貨危機の時も、ポンドをぶちこわし、ついでにタイバーツやマレーシアリンギットをぶちこわし、多くの人民の犠牲のうえに富を築いた。他人のふんどしで相撲を取って殺してしまうのはソロスの常套手段。運営資金を日本国の視聴者から取り上げておいて、そのニュースで日本国民を洗脳する。(NHKにそんな影響力があれば・・という話だけれど。)

2016年12月17日土曜日

パトリック・ブキャナンによるアレッポの教訓・・・トランプ政権のために

そのうち「マスコミに載らない海外記事」のおじさんが翻訳してくれるかと思うのだけれど、とてもいい内容なのでざっと書いてしまいます。

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 Lessons of Aleppo — for Trump
http://buchanan.org/blog/lessons-aleppo-trump-126212

ヘンリー・キッシンジャーが1968年にいわく、
「いまの世界でアメリカの敵になるのは危険なことだ。」
しかしアメリカの友人になるのは致命的だ。南ベトナム人ならわかってくれると思う。
いまならアレッポがそうだ。アメリカが支援する武装勢力が人権無視のやりたい放題をやったあと、そこから間違った教訓が引き出されようとしている。
ワシントンポストいわく、
これはアメリカが介入するタイミングが遅すぎたからである、と。
いわく、
「アレッポは西欧の道徳的・政治的決意のメルトダウン・・すわなちアメリカのリーダーシップが崩壊したことを示している。」
「アサドの残虐行為に介入しなかったこと、アサドによる化学兵器使用というレッドラインを無視したことによりオバマ政権は真空地帯をつくりだし、そこにプーチンとイランの革命防衛隊が入ってきた。」云々。

そもそも介入するのがバカなのだが。アレッポの流血
は介入主義のなれの果ての姿なのだ。

2011年8月18日、オバマ大統領いわく、
「シリア国民のためアサド大統領は退任すべきだ。」
西側指導者は声を揃えていわく、
「アサド辞めろ!」

アサドはそれに応えてシリアにおける「アラブの春」を壊滅させた。エジプトではモバラクが追放されたというのに。
アメリカが反政府軍に対する支援をはじめたとき、アサドはヒズボラ、イラン、そしてロシアに支援を求めた。
アレッポ奪還はそれらアサド支援国の活躍があったからこそである。結果としてアラブとイスラム世界でのアメリカの威信は失墜した。

なぜ(アメリカは)大失敗したのか?

第一に、アサドがアメリカを攻撃したわけでも恫喝したわけでもなかったので、そのアサドに退任を求めるにあたり、アメリカは国益ではなく、民主主義をもちだした。いわく、アサドは独裁者である。すなわち独裁者は悪である。アサド辞めろ!と。
しかし誰を後任にするか、誰も考えがおよばなかった。
アサドの敵であり、西欧にとって望ましい後任はアル・ヌスラ戦線、すなわちアルカイーダつまりイスラム国のシリア支店だった。当時イスラム国はラッカのベースキャンプで人間の首を斬りまくっていた。
アメリカはアレッポで「グッド」な反政府派を支援し、ラッカで「バッド」な反政府派を爆撃し、アサドに退任を求めた。
なんとアホな外交方針なのだろう。

そのときアメリカ国民は蚊帳の外に置かれ、何も知らされなかった。

イラクとアフガンで十年以上も戦争を続けたあとなのだ。誰がシリアを統治してもアメリカの国益なぞぜんぜん関係ない。だから、イスラム国やアル・カイーダじゃなければいいじゃないか(というのが世論だった。)
そこにオバマ大統領の「レッドライン」発言。化学兵器を使ったらアメリカ軍が動くよ、という警告だった。これを止めたのが下院の決議。アメリカ軍がシリアで軍事行動を起こすのを否決した。ジョン・ケリーはアメリカ軍の空爆の可能性は「信じられないくらいすくないだろう」としか言えなかった。

2015年、アサドが形勢不利になるとプーチンが空爆を開始し、ヒズボラとイランも介入をはじめた。なぜか?ロシア、ヒズボラ、イランはアサド政権存続に大いなる国益がかかっていたからだ。
イランにとってアサドは対サウジ、対スンニの鍵であり、テヘラン、バグダッド、ダマスカス、ベイルートとつらなるシーア三日月地帯に必須の存在だった。
ロシア、ヒズボラ、イランにとってシリアは時間と金と人命を賭けるに足る存在であり、そして現時点で勝ちつつあるのだ。

さてトランプ大統領がここから教訓にすべきこととは?

それは、中東戦争に介入しないこと・・・下院が採決し、アメリカ世論が一致団結し、アメリカの国益が脅威にさらされており、かつ、いつ戦争がどういうふうに終わるのかあっきりした絵図が掛けているなら話は別だが。なぜなら、戦争はしばしば政権交代をもたらすからだ。

トルーマンの朝鮮戦争。リンドン・ジョンソンのベトナム戦争。2006年に下院で共和党が破れ、2008年に民主党オバマが就任したときはイラク戦争。ワシントンのシンクタンクやメディアの社説欄でイラン戦争が云々される(キナ臭い時代になる)と、トランプ政権の終焉が近い。トランプ大統領におかれては、2011年のウェストポイント士官学校の卒業式でボブ・ゲイツが垂れた訓示を参考にしてもらいたい:
「大規模軍をアジアもしくは中東もしくはアフリカに送るべし、と大統領に進言する国防長官がいたら、その長官の頭を検査させるべきだ、とマッカーサー将軍が遠慮がちに言いました。」と。

フェースブック「何が真実かの判断をユーザーと信頼できる第三者機関(ジョージ・ソロス)に頼りたい。」

ITメディアニュースから:
FacebookのザッカーバーグCEO、“虚偽ニュース”対策について説明
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1611/20/news017.html
いわく、
Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOが、ニュースフィードに表示される虚偽ニュース対策について再び語った。「何が真実かの判断をユーザーと信頼できる第三者に頼りたい」として、報告機能の強化や事実検証組織との協力を進めていくという。云々。
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以下ゼロヘッジから:

その第三者機関とは、ポインター(Poynter)。これはどうやらジャーナリスト養成学校みたいです。http://about.poynter.org/
ポインターの「国際事実検証基本綱領」にのっとって判断・選別されるのだという。
ポインターのスポンサーに名を連ねているのは、ジョージ・ソロスのオープンソサイエティー基金、ビル&メリンダ・ゲーツ基金、グーグル、eベイ創始者ピエール・オミダイヤのオミダイヤ・ネットワーク。
これでフェースブックが期待するような「超党派で透明な事実検証」ができるのだそうです。

たとえば、フォックスニュースが2011年に報じたところでは、ポインターはジャーナリズム教室で、ジャーナリストがテロの死亡者について書くときは、マラリアやエイズ等の死亡者数と比較し、テロの脅威について必要以上に強調しないようにすること、と指導している。
「毎日数百人が殺されているのに、ジャーナリストはジハド関連事件について書きたがります。結果的にジハドについて読者が作為的な印象を持ってしまう。ジハドの脅威について強調しすぎない文脈づくりが大切です。」
ポインターはジハドテロが40年間で16万5千人を殺したと推計し、その大部分はイラクにおいて、としています。そしてアメリカで最大のテロ犠牲者は9.11の3千人とします。
「FBIによるとアメリカで毎年1万5千人が犯罪の犠牲者となっています。またWHOによると、世界中で毎年50万人が殺されています。これらの数字と比較すると、年次ベースでジハドテロの犠牲者は犯罪犠牲者全体の平均2%以下でしかなく、1%に満たない年も多くあります。(毎年50万人が影響失調で、80万人がマラリアで、200万人がエイズで死んでいます。)」

ザッカーバーグさん、おめでとう!あなたの創設した「検閲局」のおかげでフェースブックは、自由で独立した思想をプロモートするソーシャルネットワークとして名声を高めることでしょう!

・・・・とゼロヘッジはフェースブックにエールを送りますwww。

ネタ元:
http://www.zerohedge.com/news/2016-12-16/george-soros-funding-facebooks-third-party-fact-checking-organization

2016年12月16日金曜日

村中璃子博士の「薬害でっち上げー あまりに非科学的な子宮頸がんワクチン阻止運動」

図書館に「新潮45」12月号があったので、標記を読んでみた。何を書いてあるかさっぱり理解できなかった。でっち上げだといいたいのだろうけれど、途中の説明が難しすぎてわからん。だから、村中璃子博士が言っているからでっちあげなんだろうな派と、よくわからんが任意接種だからいいじゃん派にわかれるんじゃないかな。そして任意接種という状況がいつまでたっても変わりそうにないので、璃子博士はずっとおなじことをあちこちで言い続ける。もう一年以上同じことを書いている。でも状況は変わらない。そりゃそうだ。同じ内容で、同じ主張で、同じ難解さなのだから。

子宮頸がんワクチンをつくっているのはグラクソスミスクライン(製品名サーバリックス)とメルク(製品名ガーダシル)。スポンサーもきっと困ってるのだろうな。

利上げについて


エレン婆いわく、利上げの背景として「アメリカ経済がよくなっているから。」
それで株価が上昇。生産者購買指数も過去21ヶ月で最高値。ただし国債は落ち込んだらしい。

・・・順番が違うんじゃないか?と思った。
製造業アウトプットを見ても経済はよくなっていない。雇用がマシなのは、「大卒のウェイトレスとバーテンダーが増えた」結果なのであって、統計が現実を反映していないかを示している。

それともうひとつ。

株価上昇=景気回復というのはフィクションだと思う。

じっさいに起こっているのは、大きな組織が日本の銀行から超低利で借り出した莫大な資金が国債市場やゴールド市場から株式市場や為替のドル買いに移されただけで、価格変動のスキミングで大きな組織が儲けているじゃないか。それで円安になるので、ガソリンは高くなって困るけれど、円キャリー取引はよけいやりやすくなる。そして日銀は札を刷りまくる。

だから株価上昇=景気回復、と浮かれないほうがいいと思う。98%のわれわれにとって、ただのフィクションなのだから。
そもそも株価っていうのは、ある特定の企業の業績を判断するインデックスがほかにないから、しかたなく使っているもの。しかし投機屋が日本の銀行からホットマネーを借りまくって、あるときは株式市場に、あるときは為替に、あるときはコモディティーに、あるときは原油先物に、あるときは国債に、と動かしまくっているので、「ある特定の企業のパフォーマンスを判断するインデックス」という役割は昔の話。しかもその総体であるダウ・ジョーンズが景気を判断するインデックスになる、っていうのは純然たるでっちあげ、フィクションといっていい。

マッキンゼーの日本農業効率化論その3

日本の農業の強みは、豊富な水に裏打ちされた高品質。コスト削減のためにモンサント(今はバイエル)の殺虫剤とか化学肥料なんて使わない。モンサントを使っても収量増にならないし。機械化はコスト削減のためではなく、体を痛めないようにするため。サプライチェーンの最適化といっても、種を買うのはタキイとか地元の種屋、最右翼は地元種交換プログラムに参加している。ディマンドとのマッチングは、地元の顔を知っている人が固定客でよろこんで高値で買ってくれる。いまさらPhDやマスターディグリーをもった、現場を知らないコンサルタントに説教される筋合いはない。

コスト削減とか、サプライチェーンの最適化なんかしなくても、農業というビジネスモデルはじゅうぶんに収益性が高い。たとえば我が輩は師匠(柿澤オルガニックファーム)から完全有機枚をキロあたり680円で買う。こないだ120キログラム買った。地元ではあちこちで、キロ350円くらいでうまい米を売っている。師匠の米の在庫がなくなったらキロ350円のを買っているけれど、じゅうぶんうまい。でも師匠のところからも買う。なぜか?師匠だから。土壌の菌のはなしとか、得難い体験をいろいろ対面で聴けるし、そういう人があちこちにいるのが楽しいから。

これはたとえば、甲信越でそこそこ有名なホームセンターのチェーン、綿半が800億円を売りながら経常利益が8億円、というのとぜんぜん次元が違う話であります。20万点以上を巨大な店舗に揃えて、経常利益が1%。ほんと流通はつらそうだ。しかし綿半がなければ買い物難民になる爺さん婆さんが沢山いる。つまるところ地域貢献である。すばらしい。インベスターは投資しないだろうけど。士農工商の「農工商」はリターンの大きい順番なんじゃなかろうか、とも思う。

我が輩の祖父は右田佐善という人で、和菓子屋をやっていた。我が輩は小学校のころから紋日になると店を手伝わされたのだが、あるとき佐善さんに近所の同業者の値段をスパイするようにいわれた。「あの店は餅を水増ししてる。うちはそんなことはやらん。けどな、あの店よりちょっとだけ安うするんや。」
品質で比較優位に立ち、価格でも比較優位に立つ。そしたら作ったものはぜんぶ売り切れる。品質が同等なら価格競争になる。在庫がたまる。在庫処分で損切りする。それより売り切ったほうがいいに決まっている。こんな感じのちょっとした知恵や工夫は、べつにインベスターに教えてもらうほどのことでもない。

グローバリゼーションの結果は価格競争である。日本の農業は原則、生産者と顧客のGNN(義理と人情の浪花節)でいくべきであって、その上で知恵を絞ればいい。

マッキンゼーは考えを整理するネタを提供してくれるのでありがたい。

おしまい。

マッキンゼーの日本農業効率化論その2

レポートのなかでカーギルやスタバのことがでてくる。以下引用。
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上記の内容(効率化とエンドマーケットとのコラボ)は、既に数多くのバリューチェーンや地域で活用されている。例として、開発途上国のココアやコーヒーなどの高付加価値作物、また、米国の大手ビール企業に納品する麦生産者の麦生産 が挙げられる。例えば :
ƒ スターバックスはコスタリカとルワンダに生産者支援センターを設立し、現地の生産者に生産コストの削減、真菌感染症の感染の抑制、コーヒー品質の向上、そして、プレミアムコーヒーの 生産増加のためのリソースや助言を提供している。さらに、生産サイクルにおいて生じる現金コストを負担する生産者に融資する組織に対し、資金も提供している。
ƒ カーギルは2500以上のフィールドスクールを設立し、生産者にココア生産管理および持続可能性向上のベストプラクティスを教えている。同スクールで学んだコートジボワールのココア生産者の収益は53%増加した。さらに、カーギルは Cargilll Coop AcademyというミニMBAのようなプログラムも設立し、生産者に必要なマネジメントスキルなどを教えている。

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我が輩がまずひっかかったのはここだった。

農業のアセット(資産)は、土地。他にあるか?ない。
農業のリソース(資源)は、水と土と日光と人間の介入。他にあるか?ない。肥料っていうのは、日本の高価格高品質の代表といえる完全有機農業なら、必須ではなくせいぜいのところ二次的な投入要素だ。また人間の介入手法も、日本では百花繚乱。我が輩の住む諏訪郡だけでも、「師匠」と呼ばれるランクの人たちがうじゃうじゃいる。「フィールドスクール」?「ミニMBA」??こういうのはあくまで途上国のプランテーションの話でしょう。

ここで考えなければらないのは、農業で基本的なアセットである土地に、なぜインベスターが投資しないのか?言い方を変えれば、金があるなら土地を買って自分で農業やったらええやん、ということ。テクノロジーがあるというのなら、なぜ自前で畑を耕さないのか?

・・・それは、自分が体を動かして仕事をしたくないから。他人を雇って働かせて、自分たちはマーケットに近いところでいちばんおいしい部分をスキミングしたいから。それに尽きる。

製造業なら誰でも知っている。原材料を安定して供給してほしいなら、川上にさかのぼって自前で原材料をつくる。原材料のコーヒー豆やカカオを安定供給してほしいなら、自前でやればいい。なんでそれをやらないのか?手間ひまがかかって、あんまり旨みがないから。外部条件(気候や買取価格や水)の変動に弱いから。時間あたりの報酬が安いから。

だから、顔が見えない農民にぶんなげたい。顔を知りたくない。なんでか?値段があわなくなったら切り捨てるから。しかし効率よくやってほしいので、技術を教えてあげよう。自分たちの求める値段と合ったら買ってあげてもいいけれど、そうでなかったら他から買っちゃう。自由市場だから仕方がないよね。買って欲しかったら努力しな。

「僕は君たちに武器を配りたい」の瀧本哲史さんも、とてもいいことを書いてるんだけれど、最後にひっかかったのはそこだ。なんでインベスターになるんだよ?金があるなら、自分でアセットとリソースを用意して、自分で体を動かして生産すりゃいいじゃないか。

けっきょくのところ、自分でからだを動かしたくない人はインベスターの道を歩み、自分で体を動かす人は自営業の道を歩む。そういうことなのだろうな。

そこがグローバリゼーションとローカリゼーションの境界になる、と思う。自分でからだを動かさない人はグローバル化に賛同し、自分でからだを動かす人は反グローバリゼーションになる。農業は、基本的に反グローバリゼーションなのだと思う。だからマッキンゼーみたいにグローバリゼーションの文脈で農業を論じると、コスト削減とか、サプライチェーンの最適化とか、ディマンドとのマッチングとか、アグリテックへの投資なんていうピンボケの結論しか出てこない。

つづく。

マッキンゼーの日本農業効率化論その1

日経BPでマッキンゼーの農業レポート「日本における農業の発展、生産性改善に向けて」のことを紹介してました。
本文のタイトルは「日本における農業の発展、生産性の改善に向けて」
日経BPで要領よくまとめられているし、マッキンゼーの資料もたったの33ページ。結論だけコピペするとつぎのとおり。
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ここまで述べてきたことを前提に考えると、今後、日本の農業が注力すべき方策は以下の 5つだ:
A. 高品質、安定供給、コスト優位性を実現するための、農業の上流の原材料の確保に係る戦略の策定
B. パイロットとして選ばれた地域(アグリゾーン)におけるベストプラクティスの実施を通じた、他国よりはるかに高い農業生産コストの削減
C. 海外では一般的な技術を日本で導入し、農業のサプライチェーンを最適化することによるコストの削減
D. 食品加工や流通など、農業の周辺産業との協力による国内外の消費者需要と供給のマッチングを通じたムダの削減
E. アグテックのような将来技術への国内外のバリューチェーン横断的な投資

A については、日本政府および関係の組織は、農業関連機関や国内で有力なトレイダー、インベスターなどとも連携し、農業生産の上流である資源調達を押さえに行くという動きが必要と考えられる。
一方、B、C、D、E についてはバリューチェーン全体を貫く検討が必要となる。
こうした変革を日本で実現するためには、複数地域で一斉に展開するのではなく、「段階的アプローチ・パイロット」を採用することが望ましい。具体的には、日本の農業セクターがタッグを組み、まず特定のパイロット地域を設け、「圧倒的に生産性が高いベストプラクティス」を実現させる。 いわば、21世紀の大潟村プロジェクトだ。

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話はパキスタンまでぶっとぶけれど、2年ほど前にパキスタン政府の若い人と電子政府の話をしていたとき、そのパキスタン人官僚がこういった。
「こないだマッキンゼーのコンサルタントがやってきてさ。とてもファンシーなプレゼンだったけど、何言ってるかさっぱりわかんなかったから、丁重にお帰りいただいた。それでうちの年寄り達が電子政府なんていやだ、ってなっちゃってさ。」
マッキンゼーが話の枕のジョークに使われるいい時代になったんだな、と思いました。
ちなみに「何言ってるかわからない」といったその人をはじめ、PhDとかわんさかいる役所なんだけど。

だいたい大手が途上国に話を持ち込むとき、若い人に通りいっぺんのプレゼンを持たせて送り込むことが多いのかな。マッキンゼーとかPwCとかデロイトとか、名前が通っているのでみんな出てきていちおう話は聞くんだけれど、内容が話の枕のジョークのネタになってしまう。若い人に経験を積ませる、という意味があるのはわかるけれど、そのあとオヂサンが出てきてフォローするということもないみたいなので、結局どういうことなのかよくわからない。
やっぱりマクラに使ってしまったのだが、上のマッキンゼーの農業レポートはとてもきれいにまとめられているけれど、根本のどこかでぶっとく間違えているとしか思えない。

つづく。

「日本政府が東電への無利子ローンを14兆円に拡大」

標記をカイザーレポートで見た。
よくわからないので調べてみたらこんな記事に行き当たった。そのまんま引用するので各位のご判断に任せたい。
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闇株新聞
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-977.html

2013年12月17日
ちょっと気になる東京電力

 東京電力に関し、ちょっと気になる話題がいくつかあります。水面下で有象無象が蠢いて(うごめいて)いるようですが、3つほど取り上げて解説します。

 1つ目は、東京電力の原発被害の賠償は、とりあえずは原子力損害賠償支援機構が国から5兆円の交付国債を受け取っており、これを東京電力から請求されるたびに現金化して(国から貰ってくるだけです)無利息で貸し付けています。すでに3兆円以上が現金化され東京電力に支払われています。
 この交付国債とはわかりにくいのですが、要するに国からの借用証書みたいなもので当然に返済(交付国債の償還)しなければなりません。それでは誰が返済するのかというと、東京電力ということになっています。
 まあ間違いなく踏み倒されて国民の負担になるのですが、政府はその交付国債の枠を5兆円から9~10兆円に増額する方針を決めたようです。新聞では「東京電力向け無利子融資枠を拡大」という、もっと意味のわかりにくい表現にしています。
 ところが同じ政府が原子力賠償の総額を5~6兆円と試算しており、4兆円ほどが「必要ない資金」となります。いったい誰がどこに使うつもりなんでしょうね?

 2つ目は、実施済みや計画済みの除染費用が2.5兆円と試算されており、これは政府と東京電力が分担することになっています。まあこれらの除染費用が「正しく使われているのか」「反社会勢力の資金源になっていないか」などはここでは議論しませんが、驚愕すべきことは国の負担分は国が保有する東京電力株を売却して充てるつもりでいることです。
 国が保有する東京電力株とは、昨年8月に原子力損害賠償支援機構が引き受けた1兆円の優先株のことで、普通株への転換価格が30円~300円の間で変動します。東京電力の本日(12月16日)終値は524円なので、いま転換すれば300円となりますが、それでも33.3億株も発行されます。現在の普通株の発行済みは16億株です。
 さすがに一度に売却するとはいっていませんが、それで2兆円の売却益を見込んでいるそうです。つまり900円で売却するつもりなのです。
 現在の株主の方は「参考にすべき」です。つまり900円に近付けば(近づかないと思いますが)逃げ出すことです。
 ちなみにこの優先株の取得代金である1兆円を原子力損害賠償支援機構に融資したのがみずほコーポレート銀行(現・みずほ銀行)の佐藤康博頭取です。まあこれも佐藤頭取が退任せずに済んだ理由の1つだったのかもしれません。

 3つ目は、政府とその原子力損害賠償支援機構が2016年にも東京電力の持ち株会社化を計画しているのですが、いろいろと思惑があるようです。
 計画では持ち株会社の下に、送配電、火力発電、小売り事業の各子会社を置き、水力発電、原子力発電、その他管理部門を持ち株会社に残すようです。
 ここで問題は、現在の東京電力の債務連帯保証を、火力発電、小売り事業の子会社が免除される仕組みになっていることです。何でも火力発電事業は新規算入で競争が激しくなるからとの「解説」が付けられています。

 まったくの詭弁です。

 本誌はかねてより、多少の新規参入はあるとしても完全なる地域独占で強力な価格決定力を持つ発電事業(火力発電)こそ、東京電力の利益の源泉であり、当然のように外資が大変に興味を持つところであると考えています。
 そこを外資に「格安」で売却してしまうのではないかと危惧していたのですが、まさに「その準備が進んでいる」ことになります。
 東京電力には原子力改革監視委員会という強力な経営諮問機関が「いつの間にか」設置されており、委員長が米国人(元米国原子力規制委員会委員長)、副委員長が英国人(英国原子力公社名誉会長)、委員が国籍だけ日本人の大前研一氏といった「完全な海外の利益代表」なのです。
 これは目が離せません。
 いずれにしても東京電力が自助努力で諸問題を解決することは、全く期待できないようです。

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云々。

2016年12月14日水曜日

アメリカ国連大使サマンサ・パワーがたぶん黒歴史に残ってしまう演説www


https://www.youtube.com/watch?v=tBFCRNm-zyY

 「アレッポの陥落という悲劇はシリア政府とロシアが責任を負うべきです。シリア政府とロシアが民兵に一般人を殺させたのですから。黒を白といいくるめることはできない。そしてそのことは我々すべてが知っており、恥の歴史に残ることでしょう。いまやアレッポは、邪悪の象徴として今後10年間、私たちの記憶にとどまり続けます。ファルージャ、ルワンダ、スロヴェニッツア、そしてアレッポ。」

さてCNN。「ヒューマニティーのメルトダウン」だそうです。RT経由でどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=yYlgEka2t4E

 「10万人がアレッポに閉じ込められ処刑されています。」


ニューズウィーク日本語版では;
国連が警鐘「アレッポで多数の住民が殺害されている」
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/12/post-6540.php


CNNやニューズウィークのようなメインストリームだけでなく、あちこちのブログでアレッポの悲劇が書かれているそうです。たとえば、
「銃撃から走って逃げる少女。これがシリアの現実・・。」
 しかしその画像、ミュージックビデオからのコピペだとRTにバラされてしまいます。


さて、アレックス・ジョーンズというおじさんがやっているニュースサイト INFOWARS がファイスブック経由と、グーグルクローム経由でのアクセスをブロックされたそうです。ま、フェースブックから入れないだけでYouTubeから見れるんですけどね。

ホワイトハウスが「フェイクニュース」という名のもとにつくったブラックリスト。それがグーグル、フェースブック、ツイッター、インスタグラムなんかに「共有」されて、「ヒラリー大統領当選確実!」みたいに煽っていたCNNとかMSNBC以外の独立系メディアはアクセスを制限されてしまう、というのが12月14日現在のアメリカのメディア状況です。
日本でいうと、たとえばサンデーモーニングで流された国際情勢を視聴者みんなが信じ込んでしまうような状況。ひょっとしてあり得るかもしれない。

それにしてもサマンサ・パワーさん。国連大使になったら息をするように嘘をつけないとダメなのかな。ホワイトハウス報道官のカービーさんもそうだけど。恥を知らないんだろうか。やっぱりアメリカにずっといると、よっぽどしっかりしていないと頭が変になるのだろうな。

2016年12月13日火曜日

軍備の続きの話のつづき

11月20日の自分の投稿。たぶん酔っぱらっていたんだな。何を書いているかよくわからない。マトリックスにしたらよくわかる。

だから、軍備なんて後出しジャンケンなんだから、我が国としてはいまさらローテク・ハイコストの人間の自衛隊員を南スーダンに派遣するのではなくて、ハイテク・ローコストのロボット兵士とドローンを派遣すべきなのだ。それくらいの脳みそを使えよオバハん、と言いたかったんだ。たぶん。

自衛隊を南スーダンに派遣することについて

なんども書くけれど、ヒラリーの罪は国務大臣でありながら、ベンガジで領事館が襲撃され、クリス・スティーブンス大使その他スタッフが殺されようとしているときに、特殊部隊を送り込もうとせず、私用サーバーで自分らのビジネスのメールばっかりしていたことだと思う。
クリス・スティーブンスって、ピースコー(平和部隊)の出身なんだよね。
ピースコーっていうのは、平和部隊といいながらじつは戦争の準備をさせられているようなボランティア部隊で、日本の青年海外協力隊みたいなものと思えばいい。青年海外協力隊は戦争のための情報あつめなんかしないけれど。そもそも日本は憲法が国家に戦争をすることを禁じているし。今更ながらだけど念のため。
青年海外協力隊のOBが大学院でPhDをとって、外務省に入って大使まで登りつめたと考えたらいい。
じっさいには青年海外協力隊OB・OGでPhDを取った人はいないだろうし(いたら協力隊メディアが大騒ぎするからきっとわかる)、国家公務員試験に合格して外務省に入った人もいないみたいだし、外務省もそれを採用するような気骨はないと思う。JICAに入った人はたくさんいるけれど、JICAは実施するだけの団体だから格が違う。
 それはともかく、いい悪いと好き嫌いはべつにして、子ブッシュの時代くらいまでは、アメリカの人材は見殺しにしない、っていうモラルがアメリカ全体にあったような気がする。たとえそれが戦争屋ラムズフェルドであっても、ファナティックなブッシュであっても、コーリン・パウエルであっても。しかしオバマ政権になって、アフガン増派したあたりから、自国の兵隊がばんばん殺されても平気になった。これはたぶん、ドローン・テクノロジーで遠隔殺人が可能になり、殺人がゲーム化したこととかぶさっているのだ。

クリス・スティーブンスを見殺しにしたというのは、青年海外協力隊OBで外務省に入って大使になった人を防衛大臣が見殺しにしたようなものだ。OB・OGならぜったいに許せないし、この国はいつからこんなふうに堕落してしまったのか、と嘆くにちがいない。愛国心の根っこから腐ってしまうという、国家の危機といっていい。(国破れて山河あり、というけどね。ここはとりあえず国家の立場から。)

トランプさんのインタビューで印象に残ったのは、「そいつらのことを俺ら知ってるか?知らんだろう?顔も見たことないやつらだよな?そいつらが殺されて、なんでわしらが助けに行かなあかんのじゃ?アホかい。」てな具合に、グッドガイかバッドガイか、顔を知っているか知らんのか、という人間として当たり前のことを前提にしている。こういう人が司令官だと兵隊も頑張るよね。

翻って我が国の文官の最高司令官と手下のめがねおばはん。戦闘行為を騒乱と言い換えるような言葉遊びに終始する、自衛隊の隊員のことなぞまるで他人ごと、というのを見ていると、我々一般ピープルが一人でも多く、自衛隊員と家族の気持ちにならんとあかんと思うのだ。言葉遊びに終始しているのが司令官だと、兵隊も頑張る気がなくなるんじゃないか。議論はそれからだ。

アレッポは分水嶺。

ここまで西欧と非西欧(アレッポの住民を含め)の対応の違いが際立ったことは最近なかったよね。
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1. 「皆様の」NHKのデジタル放送が無責任に垂れ流す西欧メディアのニュースによると、
「アレッポが政府軍に奪われた。反政府軍を受け入れていたとみなされ、政府軍に報復されることを住民たちは恐れている。」
・・・映像はロシア側のものだったと思うんだけど、西欧メディアがそれに勝手なキャプションをくっつけていた。NHKに目利きがいないのか、それとも確信犯なのか。

2. ロイターがアメリカ政府関係者の言葉を引用していわく、
「勝者は?プーチン、イラン、アサド。
敗者は?我々、ヨルダン、そしてサウジと湾岸諸王国。」

3. カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、英国、アメリカの各国手法が合同声明を発表。
「シリア政権および政権を支援する外国勢力、とくにロシアの人道支援妨害行為に対し非難する。」
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我が輩いわく、
  • 冷たい独裁者だったかもしれないけれど合法的な政府であるアサド政権を転覆しようとしたのは誰か?西欧と湾岸王国とトルコ。
  • アサド政権を転覆するためならなんでもオッケーと、イスラム国を直接・間接的に支援したのは誰か?西欧と湾岸王国とトルコ。
  • イスラム国から石油を購入してイスラム国を財政支援したのは誰か?エルドアンの息子と娘婿。
  • アレッポ解放前夜、移動医療機関を爆撃したのは誰か?反政府テロリストと、位置情報を供与したアメリカ。
  • アレッポ解放後、2万人といわれる避難民に避難回廊と医療サービスを提供したのは誰か?シリア政府とロシア。
  • 国境なき医療団を爆撃したのはロシアとメディアで煽っておきながら証拠を提示しなかったのは誰か?アメリカ。
  • 化学兵器を反政府テロリストに供給したのは誰か?トルコ。

・・・ロシアはカーリニングラードに移動ミサイルS400および核弾頭搭載能力のあるイスカンダルミサイルを配備。これはソ連崩壊後、存在意義をなくしたNATOがそれにもかかわらず勢力をロシア国境沿いに拡大し、ミサイル配備をやってきたことに対する対応なのだが、いまがその時、というのが気がかりなところ。
第三次世界大戦が近いということなのだろうか?

イランのプレスTVのディベート番組では識者にこう言わしめています。
「プーチンが軍拡競争の泥沼に踏みこむなんて、バカなことをはじめたもんだ。」
・・・イランはそう見ている、ということなのかな。イスラム防衛軍と、リクルートしたアフガン難民兵をシリアに送り込んでいるわりに意外と客観的。

我が国では、なんとこの期に及んで日経BPがトルコ投資特集。
副首相が「悪夢から目覚めたトルコに投資を!」
・・・首相の息子と娘婿の会社がイスラム国から石油を堂々と買い、その会社に独占権を与えるトルコ政府と翼賛議会。ジャーナリストが暗殺や投獄されるトルコはいま悪夢の最中じゃないのか?




こないだ開発の仕事で「トルコ」っていうのが出てたんだよね・・・。国際協力、か。

岩波の「世界」2017年1月号は「買わんでよし!」

発売されたばかりの岩波の「世界」2017年1月号は、期待に反してぜーんぜん「買い」じゃなかった。「買わんでよし」認定である。理由は次のとおり。書いているのは教授とかジャーナリストなんだけど、なんでこんな内容が編集デスクを通ってしまうのか理解できない。岩波さんは我が輩一家の住む諏訪郡の人だし、我が輩はむかし世界を律儀に毎月購読していたのだが、最近はご無沙汰だった。ご無沙汰でも寂しくない「世界」になったのか。先月号が「買い!」だっただけに残念だ。

巻頭からいきなりトランプさんの悪口。我が輩はべつにトランプさんを弁護するわけじゃないけど、選挙キャンペーン中の漫才の部分とそうでない部分の区別くらいはわかるつもりだ。トランプさんを信じるとか信じないというレベルじゃない。まるで下のブログのビデオのくだりみたいだけれど、トランプさんは漫才じゃない部分で意外とマトモなのだ。

アメリカではクリントン・カルトというのがあるらしく、彼ら彼女らはヒラリー無謬説、すなわち「ヒラリーは間違わない。間違っていたのは我々の運動方針だっっっっっ!」なーんて言ってるらしい。「世界」のつぎの文章のライターもひょっとしてヒラリー信者じゃないのか、と思わせるくだりがありました。
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トランプの憎悪がもたらすトランプの利益 北丸雄二
<引用>
そしてその一方で、「トランプ大統領」はロシアへの経済制裁を解除し、ミス・ユニバースの権利を20億円で売ったモスクワの不動産ブローカー、アラスとエミンのアガラロフ親子と協力してモスクワのレジャーランドや高級マンションの建設、アゼルバイジャンのトランプランドの開発を拡大させ、フロリダのトランプマンションをロシアマネーに買わせるためのロシア語宣伝を続け、中国銀行や中国商業銀行との間にある融資や賃貸契約を通して中国にも見返りを期待し、諸外国での政府認可事業でも自らの不動産会社に有利に事を運ばせ、団体交渉を拒絶している自社に対して不利な裁定をした名国労使関係委員会の欠員委員2名を自社に有利な人選で補充するのではないか、と懸念されているのだ。
それは、機密漏洩の恐れとされたクリントンの私的メールサーバー問題など比較にならない私的脅威である。引用以上。
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・・・北丸さんはアメリカ在住だそうですが、ニューヨークに通算11年暮らした我が輩の経験から言えば、アメリカに長く住んでいると考え方がおかしくなる。トランプさんを弁護する訳ではないが、大統領就任を控えて持てる株を売ってしまったし、大統領の任期を終えてトランプさんが株を買い戻す時のことを忖度して、周囲がそれなりに動くのはあるだろうけれど、それは人の世のことで仕方がない。そんなことを言ったら、ハリバートンの重役だったラムズフェルドや、石油会社とブッシュの関係はどうなるのだろう。たかだか不動産屋の取り巻きのやることじゃないか。トランプマンションをロシア人に売るためのロシア語宣伝が気に入らないというのなら、爆買い中国人を当てにした日本の百貨店の中国語案内はどうなのだろう?取り立てて言うほどのことだろうか。
それよりも我が輩は、ヒラリーのメール問題、そしてベンガジでのクリス・スティーブンス大使を見殺しにしたことのほうが、原理原則の観点から重いと思う。当時ヒラリーは国務長官で、特殊部隊を動かすことができたのに、それをせず私用メールをやっていたのだ。ロシア語宣伝と、自国の外交官を見殺しにすることのどちらが脅威なのだろう。北丸さんにはパキスタンあたりにしばらく滞在することを真剣にお勧めしたい。

ちょっといいかな・・と一瞬思ったのがつぎの佐藤学さんの文章。
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トランプの政策 佐藤学
<引用>
自由貿易主義が正しい、グローバリゼーションが必然である、という教義が否定された後、何が残るのか?この教義は、米国独り勝ちの状態で、同盟国がおこぼれを頂戴するという構造であったのが、その独り勝ちの本元が、それを否定した。管理貿易で各国が満足いくような経済が作れるのか?ソ連と共産圏は、それで潰れたのではないか?引用以上。
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・・・「教義」についてはその通りなんだけど、佐藤さんが管理貿易と中央管理経済を混同しているのは、意図的なのかそれとも勉強不足なのか?この場合、自由貿易とグローバリゼーションに対比すべきは、保護貿易とローカリゼーションなのであって、ソヴィエトの中央管理経済ではない。
さらに面白い、というか怪体なのはジェンダーのこと。
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ソーシャル・メディアに翻弄されるアメリカ 林香里
引用なし。だってジェンダーのことしか書いてないんだ。

ジェンダーについてヒラリーははじめっから動機として「女性大統領になりたかった」と言っていたけれど、「ただそれだけであって、明快なメッセージ性をもたなかった」とばっさり切られている。(切ったのは林香里さんじゃないよ、念のため。)ジェンダーイシューははじめっからイシューじゃなかったし、ジェンダー以外のイシューもヒラリーは明快なメッセージを持たなかった。だから負けた。「あんな女にだけは投票したくない」と女性たちに言わしめたヒラリーの勝ち組おっさん性。勝ち組オヤジが「わたしゃ史上初の女性大統領になりたい」というのがジェンダーイシューだとは思えないのだが。

トランプ大統領がシリアについて語った

あちこちのメディアでトランプ危険!みたいに言われていますが、我が輩おもわく、非常にマトモだと思う。つぎのリンクの内容をざっと紹介します。

https://www.youtube.com/watch?v=sx-TgSOTpAc

トランプさん
「前々から言ってきたことだけれど、アメリカ軍は世界最強であるべきだ。いまや軍隊はハイテク技術のかたまりで、その意味でアメリカ軍は世界最強だ。じゃあアメリカはシリアに介入すべきなのか?ソヴィエトはアフガンに介入して破産した。誰でも中東に介入したら破産するんだ。プーチンも同じ意見だと思う。」

インタビュワー「ロシア軍は我々が訓練した部隊を攻撃しましたよね。」

トランプ
「ロシア軍が攻撃しているのは我々が知らない、顔すら見たこともない部隊だ。2日前に将軍と話したんだけど、将軍いわく、我々がどこの誰を訓練しているのかぜんぜん知らない、という。我々は何十億ドルも使ってアサドを攻撃している。アサドはいいやつだって言ってるんじゃないよ。たぶんバッドガイだろう。でも彼のインタビューはずっと見ている。我々が介入したリビアはどうだ?ぐちゃぐちゃだわな?我々が介入したイラクのサダム・フセインは?ぐちゃぐちゃだわな?シリアも同じことになる。イラクは最悪だわな。ISISはイラクから始まった。」

インタビュワー「カダフィやサダムが生きていたほうがマシだった、と仰る?」

トランプ
「そのとおりだ。そしたらベンガジの悲劇もなかった。リビアがどうなってるか誰もわからないし、リビアが国なのかどうかもわからないじゃないか。」

インタビュワー「じゃあプーチンの介入を歓迎する、と仰る?」

トランプ
「俺はプーチンにイスラム国を徹底的に爆撃してほしいんだ。プーチンはロシアにイスラム国を入れたくないから叩くに決まっている。」

「プーチンを信頼しているわけじゃない。昨晩プーチンと1時間もいっしょにいたけどね。信頼関係云々の問題じゃない。アメリカはイラクに2兆ドルをつぎこんだ。アフガンの戦費はたぶん1兆ドルだ。それで結果は?国をぶっこわしただけだ。我々は190億ドルで(シリアを)・・・ソヴィエトはアフガンに介入してソヴィエトが崩壊したわな。」
「私ならプーチンに任せておいて、座してそれを眺める。我々はシリア人のために戦う、んだよね。でもシリアの反体制派がどんな人間なのか我々はぜんぜん知らない。ひょっとしてアサドより悪いやつらという可能性もある。シリアからアサドを追い出そうとしなければ移民問題は起こらなかった。難民が・・20万人だと?難民なんてどんな人らかぜんぜんわからないのにアメリカに入れろというわけ?そんなアホなことがあるか。わかる?プーチンを正当化しようというんじゃないんだ。見てな、プーチンはシリアに介入して大損こいて逃げ出すはずだ。中東は誰にとっても厄病神なんだ。」

「イラクには石油があるわな?誰が石油を買ってる?中国だわな?中国は犠牲を払ったか?ぜーんぜん。イラクは得をしたか?ほんのすこしだ。イラクは腐敗したやつらしかいないからな。」


・・・我が輩はとてもまともな議論だと思う。

2016年12月12日月曜日

痛っ!西欧+サウジ・カタール+トルコはアレッポで何を失ったのか?

「穏健な反政府勢力」という名のテロリストグループを支援してきた西欧+サウジ・カタール+トルコ。とりあえず軍事的観点からも支援側のメンタルな意味からも、ピヴォタルなアレッポがシリア+イラン+ロシアの手中に落ちたのは、アレッポ市民の側に立てばめでたいことです。なによりも、病院などのインフラをアメリカ軍に「誤爆」されることがない。アメリカが「穏健な」反政府軍経由でイスラム国に重火器を供与することも減るに違いない。アフガン、リビア、イラクに続くアホ外交が、オバマからトランプに政権がかわるタイミングで、シリアでいったんピリオドを打つ、そのきっかけになりそうなのだから。

今後の展開でどうなるか見通せないことを現時点で書いておきます。

1. 反政府テロリストを支援する西欧、サウジ・カタール、トルコの間で、お互いに相容れない思惑が入り乱れている。そこにイスラエルが乱入したらどうなるのかぜんぜんわからない。(実際に12月7日、イスラエル空軍がダマスカス空港を空爆しました。)

2. 武装勢力が一般難民のふりをして欧州に流入する。
通り道になるであろうトルコが武闘派難民をすんなり通すかどうか、これも上の1.が見通せない要因のひとつ。トルコは言論の自由を厳しく制限しており、西欧が人権だなんだとごちゃごちゃ言いはじめたら武闘派難民をスルーさせるでしょう。

3. トランプ大統領が中東、そして欧州を見捨てるのは既定路線なのだろうけれど、アフリカたとえば南スーダンはどうなのだろう?

トランプ。地球温暖化。気候変動。

トランプさんが地球温暖化デタラメ論を唱えていて、温暖化懐疑論のスコット・プルイトさんを環境保護局長に任命するとのことで、アメリカがパリ会議合意からいつ脱退するのか、というのが話題だそうです。ミッシュ・トークというブログでは、PwC(プライス・ウォーターハウス・クーパーズ:ビッグな監査会社)の気候・持続性部のジョナサン・グラント部長の意見を引用しています。

Global Warm-Ongering: What Happens If Trump Takes US Out Of Paris Agreement?
https://mishtalk.com/2016/12/08/global-warm-ongering-what-happens-if-trump-takes-us-out-of-paris-agreement/

"Warm-Ongering" という言葉がタイトルにはいっていますが、これは温暖化の Warm とmonger を掛け合わせ、地球温暖化論者を皮肉っています。モンガーというのは「物売り」という意味。「xxxはいらんかねー」と言ってあるく商売人のことです。たとえばマンゴー売りならマンゴーモンガー。ウォーモンガーなら戦争屋。子ブッシュとかラムズフェルドさんなんて、いかにもウォーモンガー面ですね。ヒラリー・クリントンもウォーモンガー。mの音が連続して同化するので戦争屋と同じ発音になりますが、温暖化論で商売する人:Warm monger。閑話休題。ブログの中身を見ましょう。

パリ合意はG20の国々がGDPに応じて炭素排出量を年平均で3%を削減しようとするもの。たとえアメリカが撤退しても、3%がなべて2.8%になるくらいなので、さほど大きなインパクトではない。

グラント氏は温暖化に対する自分の考えをわかりやすく列挙しています。
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1.  地球は何千年ものあいだ寒冷化・温暖化など様々な気候変動を経験してきたので、地球と太陽の位置をはじめいろんな要因が絡まっているにちがいない。地球を温めているのは二酸化炭素以外にもいろいろあるので、過去100年間の温室効果ガスだけを云々するのはナンセンス。

2.百歩譲って温暖化学者が正しいとして、「増加を抑える」だけでたとえば20年後(50年後かも)に水没するフロリダを救えるのか?メキシコのカルデロン大統領いわく、
「9兆ドルをかけて都市を集積化し、公共交通を整備し、土地利用法をかえて砂漠化を制限するべき。」なのだとか。アル・ゴアが取り上げるのは化石燃料のみ。アホですか?と。

3. 大気汚染を止めるべし、というならそう言えばいいじゃないか。なんで温暖化が出てくるんだよ。中国が炭素排出をやめるべきという意見には大賛成。中国は環境汚染でたくさんの人々を殺しているからだ。四百年後の人々の生命を憂慮するんじゃなくて、いま殺されつつある人々の生命を憂慮しようよ。温暖化を防止するなんてどうせできないんだから。

4. 官僚機構ではなく技術が世界を変える。たとえばウーバー。そして電気自動車。トラックが電気自動車になってコンボイで移動すれば燃料消費も事故も抑制できるにちがいない。なんで各国政府はウーバーを許可しないのだろうか?

官僚やポール・クルーグマンみたいなエコノミストに誰も期待していないし、彼らにまかせていたら状況は悪くなるばかり、と皆が思っている。
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なかなか説得力があると思います。トランプさんが任命するスコット・プルイト環境局長の方針もこのあたりで落ち着くんじゃないかな。
トランプさんは「地球温暖化は中国がアメリカを追い落とすための陰謀」とツイートしたけれど、これは中国じゃなくて欧州が中国を後ろ足で蹴るための陰謀だと我が輩は考えています。ISOも同じ。

世界経済のなかの日本のポジション

前回のブログでマックス・カイザーがこういったことを引用しました:

「日本からタダ同然のコストで資金を調達している。」

この指摘はじつに的を得ていると思います。我々おおくの日本人は認識していないけれど、日本はローコスト資金調達ができる国。比較的安全かつコストがタダ同然の資本を調達する(だけの)場所、ということです。
 世界に先駆けてはじめたほぼゼロ金利を20年近く続けています。経済規模は大きいけれど、失われた20年のあいだ成長はほとんどない、しかし崩壊するわけでもない。超低空飛行で均衡している安心感から、コモディティー価格の変動が予測された場合、資金が円市場に流れ込みます。その資金は日本で調達したもの。
つまり、こういうことなのかな。



2016年12月11日日曜日

これは驚き非OPECが産油削減で合意てか

12月10日の土曜日の合意だそうです。非OPECで合計日産60万バレルの減産。内訳はつぎのとおり。
•    Azerbaijan to cut 35,000 barrels a day
•    Bahrain to cut 12,000 barrels a day
•    Bolivia to cut 4,000 barrels a day
•    Brunei to cut 7,000 barrels a day
•    Equatorial Guinea to cut 12,000 barrels a day
•    Kazakhstan to cut 50,000 barrels a day
•    Malaysia to cut 35,000 barrels a day
•    Mexico to cut 100,000 barrels a day
•    Oman to cut 45,000 barrels a day
•    Russia to cut 300,000 barrels a day
•    Sudan to cut 4,000 barrels a day
•    South Sudan to cut 8,000 barrels a day
こないだのOPECの日産120万バレル減産とあわせて、ウォールストリートジャーナルによると世界の産油量の2%を削減するという歴史上なかった合意です。これを根回ししたプーチンさんってやり手だねえ。

じつのところOPECはシェアを落としていて、そのぶん非OPECのシェアがずんずん伸びてきた昨今の状況。

しかもサウジはいままでさんざん減産するといいつつ減産しなかったことについて、「ワシら嘘つきじゃけ」とアラブ人らしいカミングアウト、というか開き直り。しかし非OPEC減産合意するとなるとインパクトは大。

しかし実際に原油価格が上昇すると、アメリカのシェールオイル会社が活気づいて増産を始めます。そのへんがダークホース。アメリカのシェールオイルはサウジ増産<価格下落のあおりで多数が倒産しましたが、生き残った少数の会社は、じつは財務体質がスリム化して強靭になっているそうです。そしてトランプさんの経済政策はシェール産業に追い風。

ガソリンエンジンのみのチープな中古車に乗っている我が輩としては、ガソリン価格が気になります。しかしそれよりも、過去のバレル150ドル時代の影響でハイブリッド化がすすみ、輸送用燃料需要が激減した日本の例にならって、原油価格が閾値を超えたらハイブリッド化の波が欧州、中国、そして東南アジアに波及し、いよいよ原油需要が減るんじゃないでしょうか?

そうしたらサウジはイスラム国を支援する余裕がなくなり、イスラム国はトルコに吸収され、トルコはイスラム国傭兵をつかって原油獲得のためクルード地域を攻撃・占領・・・ということになるのかな。パレスチナをイスラエルが占領したように、トルコは北イラクや、あわよくばアゼルバイジャンも占領したりするのかな。

エルドアンならやりかねない。

トランプ経済政策:シェアホルダー資本主義からステークホルダー資本主義への転換

またまたカイザーレポート。
http://www.maxkeiser.com/2016/12/kr1004-keiser-report-trump-the-politics-of-jobs/

 ビジネスインサイダーが要領よくまとめたトランプ氏の経済政策を、マックス・カイザーとステイシー・ハバートが要領よくまとめてくれています。

要するにこれは、未だかつてアメリカ経済市場であり得なかった、シェアホルダー資本主義からステークホルダー資本主義への転換ではないか、ということです。
シェアホルダー資本主義とは、大多数の株式会社が「会社は株主のものである」という考え方のもとで経営される社会で、アメリカではふつうの考え方ですが、このせいで雇われCEOは四半期ごとの配当しか考えない異常な形態がふつうになってきました。それどころではなく、従業員ではなく株主を優先する考え方のもと、コストカットといえば工場を賃金の安い外国(たとえばメキシコ)に移して失業者を増やし、賃金の安い国からの輸入を自由化します。(TPPも目的は同じ。)結局のところ、自由貿易の旨みは1%の持てる階級が独占し、95%の労働者は仕事を失うだけ、ということになってきました。
いっぽうのステーキホルダー資本主義とは、従業員もステーキホルダーなので、仕事を賃金の安い外国に移すようなことはしない、という考え方です。

マックス・カイザーはいいます。
「ステーキホルダー資本主義はドイツがやってきたことで、そのドイツは中国にやられている。」やられている・・・というのは、中国が莫大なキャッシュでドイツのハイテク企業を買収していることをさしています。
「そして日本からタダ同然のコストで資金を調達している。」
まさにそのとおり。世界経済での日本の立ち位置というのは、比較的安全かつコストがタダ同然の資本を調達する(だけの)場所、ということです。

マックス・カイザーはつづけます。
「しかしどうかね?いままで労働者は仕事を奪われたり、安い賃金で使われてきた。政府の自由貿易政策のおかげで、中国から輸入したチープなものをウォールマートで買い、遺伝子操作で増産されたチープな食料を食べさせられてきた。トランプの経済政策で、仕事がアメリカにもどってきたら高コスト構造になるんじゃないか?」

ステイシーはいいます。
「みんながみんな資産持ちになって株に投資したいわけじゃないし、ホワイトカラーのエリートになりたいわけじゃないのよ。工場であたりまえのふつうの仕事をして、給料で家族を養い、金曜に仕事が終わったらパブでビールを楽しむ。そんなふつうの仕事がほしいだけなのよ。だからトランプに投票したんじゃないの。」

 +++++

今回のカイザーレポートには、日本にとっても大切な示唆がふくまれていると思います。


2016年12月10日土曜日

オバマケア(アメリカの国民皆保険制度)の運命

例によってカイザー・レポート 第1003回
http://www.maxkeiser.com/2016/12/kr1003-keiser-report-obamacare-helped-trump/

ファイナンシャルタイムズの記事から引用:
ノース・キャロライナ州在住のサリーという女性は障害年金を打ち切られ、毎月1400ドルで家計をやりくりしていた。健康状態がよくなく、毎月356ドルのオバマケア健康保険に加入していたが、先月それがいきなり1115ドルに値上げされた。税金控除があるのだがそれでも631ドルの負担になる。



マックス・カイザーは「標準化」と「ネットワーク」に噛みつきます。
「標準化」っていうのは産業革命時のイギリスから始まった。ボルトとかナットの規格だけじゃなくて、人間と人間に対するサービスも規格があてはめられるようになった。1980年代にシティーバンクがATMを導入したときのキーワードは「ネットワーク」と利便性。オバマケアもそうだけれど、西欧が切り開いてきた人権や自由や民主主義にことごとく逆行するような現象だ。

ネットワークというキーワードが出てきたので、ホストのふたりはノースキャロライナ大学医学部付属病院を訪れます。
UNCはハイレベルの医学部と研究機関をもつ総合大学です。この医学部付属病院は民間医療保険会社ブルークロスブルーシールドの医療保険しか受け付けません。まるでソ連のスーパーマーケットです。年間予算は24億ドルで、その25%は政府予算、つまり税金が原資です。しかしノースカロライナ州の住民であり、納税者のひとりであるサリーは、税金で運営されるオバマケアにしか加入しておらず、病気になってもこの病院に入ることはできません。

これが競争原理を導入した公共サービスのなれのはての姿です。価格が高くなり、効率が悪くなるような競争原理っていうのは最悪じゃないか。「だからトランプが当選するんだ」とサリーは言います。オバマケア医療保険は夫婦ふたりでブロンズプランなら1400ドル、ゴールドプランなら2000ドルというアホな価格になってしまいます。

ヒラリーが負けたのは「FBIのせい」「ロシアのせい」などアホなことを言っていますが、ファイナンシャルタイムズのコラムニストは「オバマケアの限界が示したのは医療保険とそのコストのみならず、複雑かつ朝令暮改の公共サービスに絡め取られたと感じた人が多かったからじゃないのか?」


後半のゲストは政治戦略家のマイケル・カーマイケル氏。JFKからバーニー・サンダースまで戦略づくりに参加しました。ヒラリーが負けた原因をカーマイケル氏が列挙します。
1.2014年にキャンペーンを始めたのは早すぎた。
2.明確なメッセージを持っていなかった。「女性大統領」っていうのはメッセージにならない。だからまず女性票を失った。TPPについても明確なメッセージはなかった。過去これほどピンボケの選挙はなかったと思う。ヒラリーはバッグ(政策)を抱えすぎたうえに、クロゼットに隠した荷物が多すぎた。

さてオバマケア=国民皆健康保険制度の将来について。カーマイケル氏はいいます。
「3つの障害がある。ひとつは下院で多数派の共和党。ふたつめは上院で多数派の共和党。みっつめはトランプ大統領。おそらくトランプ氏は大統領就寝後48〜72時間後にオバマケアを葬り去る法案を提出するだろう。」

+++++
ではアメリカの健康保険制度はどこに向かうのでしょうか?それとも現状の惨めなままでしょうか?
もし現状の惨めなままであれば、トランプ氏に投票した大衆は革命を起こすのでしょうか?
アメリカは国民皆保険制度の大先輩である日本に学ぶのでしょうか?

日本はどうなのか?我が輩は放射性重金属が降り積もる千葉県柏市から長野県に逃れてきたので呑気にブログなど書いていますが、学校の事情で、職場の事情で都会を離れられない人達の健康はどうなるのでしょうか?今日もまた放射性重金属を大気中に、太平洋に放出している東電を経産省は潰したいようですが。東電が(首都圏産業が)潰れるのが先なのか、皆が逃げ出すのが先なのか、それとも大地震が先なのか?世はまさに末法の様相を呈してまいりました。

2016年12月6日火曜日

カイザーレポート第千一回 ネオリベについて

[KR1001] Keiser Report: Neoliberalism Strikes Back
https://www.youtube.com/watch?v=9qgKhZuCyYg

まずヘッドラインの引用から。引用元はdefenddemocracy.press((民主主義を守れプレス)。
引用にいわく、世界じゅう、特に欧州のハイテク産業に対する中国による投資のせいで北京・ブリュッセル(EU)、ベルリン間の軋轢が増すなか、中国の利点は「計画性があること」。計画性についてはドイツにもEUにもない。と云々。

ステイシー・ヒューバートとマックス・カイザーのやり取りを要約すると:
こないだの選挙の経済政策の争点でもそうだったけど、経済政策と貿易、金利、投資、規制、そんなんしかない。ネオリベは計画を立てさせない。自由貿易協定は云々できても計画がない。いっぽう中国は共産党による資本家的経済運営で、5カ年計画なんて国家計画がある。

さらに引用。引用元は同情。

EUは中国による官民一体化した買収に危機感を募らせているが、できるのは政治レベルの対応のみ。EU委員会副議長ユルキ・カタイネンによると、「中国とちがってEU営企業なんてないからね。」
マックス・カイザーいわく、
「そりゃそうだ。中国は共産主義と資本主義のハイブリッド。ドイツ西欧は自由市場主義経済で、民間と政府は貿易政策とか経済政策しか話ができない。中国にとってドイツのハイテク企業なんて喰われるのをじっと待ってるカモ状態。
ウォーレン・バフェットがビルゲーツたちと組んで資本を調達してドイツ企業を買おうとしたけれど、中国に価格で負けてしまった。なぜか?中国のチェックブックのほうが分厚かったから。

さてその自由市場経済について。ドゥルイド教徒のウェブがなぜか出てきます。ま、ドゥルイドかどうかはあんまり関係なさそうだけど。


引用にいわく、
アメリカが自由貿易をしたのは歴史上で2回のみ。第1回めは1860年から1929年の大恐慌までのあいだ。結果は大恐慌。第2回めは1980年から現在にいたるまで。両方とも経済はドツボになったけれど、結果は似かよっている。それは富める者により多くの富が集中し、労働者階級が貧困化したこと。第2回めの自由貿易も第1回めと同じく経済恐慌で終わるに違い無い。云々。

マックス・カイザーいわく、ウォーレン・バフェットがビルゲーツたちと組んで資本を調達してドイツ企業を買おうとしたけれど、中国に価格で負けてしまった。なぜか?中国のチェックブックのほうが分厚かったから。ネオリベラリズムは経済にダイナミズムを導入したふりをしているが、実際のところ負債をあちらこちらに付け替えているだけなのだ。

また引用。今度はブルームバーグ。
ブルームバーグ曰く、ゴールドマンサックス曰く、「原油価格が上がれば経済は活性化する」と。なぜか?

 1970年代に原油価格が急上昇したとき、にサウジは財政支出を拡大させ、市場を活性化させ、資産時価評価額を押し上げ、消費を拡大させた。

21世紀では金融工学の進化により、原油収入の流動性が環球(=グローバル)規模で瞬時に、資産時価評価額を押し上げ、金利を低下させ、信用状況を好転させた(ということはつまり金を借りやすくなった、つまり潜在的な不良債権額がふくれあがり、バブルがどんどんおおきくなった。)
マックスいわく、
いまや経済を活性化するには金利を上げるしかないという話になっている。
アメリカとサウジ、ゴールドマンサックスと原油価格、ゼロ金利と金利上昇・・・負債の付けまわしにすぎない。
ドイツ銀行がギリシアを破産に追い込んだと思ったら、ドイツ銀行がヤバくなり、こんどは中国がドイツ企業を買いとってしまう・・・www。

++++
ネオリベラリズムがもたらしたものは、少数の富裕層の資産増大と98%の貧困化。アメリカ大統領選が示したのは、経済の観点から考えれば、それに対する大衆の拒否反応だったということもできる。
ステイシーが一瞬だけふれたけど、ものづくりで価値を創造する、という経済の基本中の基本はどこに残るのか?

2016年12月4日日曜日

「JICA首脳に会った米国のアフリカ専門のコンサルタントが内緒話」について

前回のブログで岩波の「世界」12月号の谷口長世さんの「本当の話をしよう」から次の部分を引用した:
「二年ほど前。JICA首脳に会った米国のアフリカ専門のコンサルタントが内緒話を教えてくれた。『そのJICAの人はね、日本人は未だに夢見る人なんですと、とからからと嘲笑したのだよ。』つまりこれまでの純粋に人のため、世のための日本の開発・人道援助を笑い飛ばしたのだ。この内緒話を示唆するようなインタビューを2015年秋、新しくJICA理事長に就任した北岡伸一氏が英国日刊紙で行っている。一言で要約すると、今後の日本の援助は戦略的に日本の国益にもなる案件を優先する、ということだ。だが安倍首相や北岡氏が期待するほど、援助が簡単に国益に結びつくとは限らない。南スーダンが良い例だ。」
云々。

「そのJICAの人」っていうのが北岡さんのことだと示唆されているのだけれど、たぶんその時期のJICA社内報を見る機会があった。社内報なんてたいてい記憶に残らないんだけれど、その号は記憶に残っている。歴史ドラマにでてくる坂本龍馬の言葉みたいな表現で、「とんがった人材を求む」みたいな特集だった。その時に、とんがった人材かぁ・・・という感想をもったのでよく憶えていたのだ。

北岡さんの前任のマダム緒方はいろんな意味で受けがよかったけれど、我が輩としてはピンとこなかった。マダムは重点をアフリカにシフトしたけれど、なんで遠いアフリカに?というのもあったし、アフリカは伝統的に欧州の所有・管理する狩猟フィールドで、それに中国が横入りした。欧州はそれが気に入らないので、アメリカを巻き込んで水面下(といっても独裁国家に資金供与とか、独裁国家はその資金で武器買いまくりとか)で動いていて、当然我が国政府もアフリカが遠かろうがなんであろうが西欧がそう仰せなら・・・という文脈にのっとったとした思えない。だからアフリカシフトはマダムのオリジナルな発想でもなんでもなく、世界の、すくなくとも西欧の潮流にのっとった文脈であって、それ以外のところでマダムのユニークさっていうのが、勉強不足のせいでよくわからなかったのだ。

だから北岡さんの治世になっても既定路線で、オリジナルは「とんがった人材求むぜよ」くらいなのだな、という理解だった。

「日本人は未だに夢見る人」っていうのはその通りで、JICAのなかでもそういう人は多いだろうと思うし、それは何よりも世界一ユニークな憲法第9条をもつ国で生まれ育った我々日本人としては自然な感覚だ。それを笑い(嘲笑というのは谷口さんなりの解釈)、「とんがった人材求むぜよ」と坂本龍馬の文体で訴えたのは、歴史に対する造詣と教養なのだ。坂本龍馬はグラバー氏(神戸異人館通りのグラバー邸のオーナー)を通じて資金と武器供与を受け、反政府(反幕府)武装勢力を組織したのだから、いわばいまのシリアの反アサド武装勢力のボスみたいなものだったのだから、アフリカを中国の好きにさせてたまるか!という立場からすればまさに文脈は整合するのだ。

そもそも我が輩はアフリカといえばチュニジアしか行ったことがないし、チュニジアがアフリカか?と言われれば、いや違いましたチュニジアは地中海沿岸国でした、というしかない。チーズとフランスパンとワインと料理がうまくて安い、という印象。
仕事欲しさにアフリカ案件について調べたことはあるけれど、貧しい国は貧しいなりに、富める国(ナイジェリアみたいな資源国)は富める国なりにどうしようもないことが、調べれば調べるほど出てきて、想像はいい方向に向かわない。
フランス語ができればそれなりに面白い情報を手にいれることはできるんだろうけれど、我が輩はフランス語ができない。フランス料理店なんて怖くてはいったことすらない。

ドツボな国でも仕事にありついて滞在していれば高給が取れる(アフリカは軒並み月給60万円前後!)のだし、成果らしい成果を出している人なんでほとんどないんだから、たとえ成果が出なくても言い訳はたーんとあるやん、という考えかたもあるのだろう。けれど、団塊の世代のエンジニアたちがそれこそ「世のため人のため」に開発現場で泥水すすって頑張り、日本人の名声を高めてきた、その成果を我々の世代が食いものにするのは人倫に反するんじゃないか、と内なるブシドーがつぶやく。

アフリカは遠い。欧州はアフリカや中東からの搾取で富を蓄積し、人権だISOだと勝手なルールを作り、マーケティングでブランドを確立し、その価値観を我々に押し付けてきた。欧州が移民問題で困るのは自業自得であって、そんな汚れた白い尻をなんで日本人が拭わねばならんのか、我が輩にはさっぱりわからん。現政権の顔は大アジア共栄圏みたいに見えるけれど、あんがい尻は白いのかもしれない。

岩波書店「世界」12月号は買ってよしアイテム。

しばらく、といっても噂の真相の岡留さんが引退するちょっと前、つまり1998年ごろまで「噂の真相」と「世界」は毎月書店で買って読んでいたのだが、それから16年があっというまに過ぎたわけだ。自衛隊のことについて考えていて、たまたま富士見町図書館で「世界」を手にとって読んでみたら、いい記事があった。

1.TPP関連
このところ日本語以外のメディアしか読んでいなかったので(厳密には義父が買ってくる信濃毎日は毎週土曜日だけ読んでいる)我が国に関するTPPの影響について勉強不足だったのだが、石井勇人さんの「歪んだ管理貿易協定」でTPPの背景と経緯、問題点など網羅されていて、とてもわかりやすかった。

2.南スーダンと自衛隊の駆けつけ警護関連
なんで南スーダンなのか、そもそもなんで遠いアフリカなのか、「駆けつけ警護」という言葉の欺瞞は日経BPでも小田嶋が指摘していたけれど、それらの疑問をとてもわかりやすく、かつ過激に書いているのが谷口長世さんの「本当の話をしよう」、そして谷山博史さんの「南スーダンPKOの本質と自衛隊新任務」
特に谷口さんのつぎのくだりが興味深い:
「二年ほど前。JICA首脳に会った米国のアフリカ専門のコンサルタントが内緒話を教えてくれた。『そのJICAの人はね、日本人は未だに夢見る人なんですと、とからからと嘲笑したのだよ。』つまりこれまでの純粋に人のため、世のための日本の開発・人道援助を笑い飛ばしたのだ。この内緒話を示唆するようなインタビューを2015年秋、新しくJICA理事長に就任した北岡伸一氏が英国日刊紙で行っている。一言で要約すると、今後の日本の援助は戦略的に日本の国益にもなる案件を優先する、ということだ。だが安倍首相や北岡氏が期待するほど、援助が簡単に国益に結びつくとは限らない。南スーダンが良い例だ。」

・・・てな按配で、12月号の世界は我が輩的には「買い!」アイテムであった。850円+税金。我が輩は書店に走った。

2016年12月3日土曜日

我が輩の観点について(備忘録)

我が輩の観点について整理しておきます。あくまで現時点で。

アメリカ大統領選については、ヒラリーだけは大統領になってほしくなかった。ヒラリーの私用メール問題について不利な情報をもっている人が10人以上も不審死を遂げたこと、リビアでクリス・スティーブンス大使を見殺しにしたこと、その責任を議会で追求されたときヒステリックに笑い飛ばしたこと、ボディーガードが「人が見ているときと見ていない時で性格が変わる人間」とカミングアウトしたこと、クリントン財団がハイチの災害に乗じてアメリカ企業に有利に動いたこと・・・簡単にいえば、嘘と汚職と暴力、これに尽きます。

かといってトランプ大統領はどうなのか?我が輩の判断基準は、パキスタンに暮らしていたころ、パキスタン人の同僚と空を見上げ、今日もドローンが飛来してふつうの人々が音速ミサイルで殺されている、そんな日々を終わらせる大統領なのかどうか、それが出発点です。

TPPについて。ISDS条項、つまりモンサント(いまはバイエルに買収された)が国を訴えることができて、それを企業弁護士出身の判事が裁くこと。つまりモンサントが遺伝子操作された種子を売ろうとして、ある国が遺伝子操作種子を禁じている場合、モンサントはその国を訴えて法律を変えさせることができる。これがいちばんの問題と考えています。

遺伝子操作された作物は旱魃に強いので、地球レベルの食糧危機問題の救世主なのか?
これについてはニューヨークタイムズですら、「国連のデータを分析したら特段の優位性はなかった」と報道しています。ベトナム戦争のとき枯葉剤で急成長した会社なんて誰が信じられますかね?

南スーダンの駆けつけ警護について。南スーダンの事情について無知だったのですが、岩波の「世界」の12月号を読んで、はじめて腑に落ちました。もっとよく勉強しないといけないので、あした本屋に行こう。ちなみに自衛隊については、戦場(めがねのオバはんは特段の戦闘行為は行われていないとほざいとる。指揮官たるオバハンと首相をまっさきに前線に送るべきやね)に送り込まれる隊員と家族の側にたって考えるべきだと思います。自衛隊員は命令に逆らえないから、制度とか枠組みとか、命令決定のプロセスを透明にしなければなりません。
現場レベルでも、市民レベルでも、士官レベルでも隊員レベルでも、もっと情報交流をするべきだと思う。たとえば自衛隊員を現職参加で青年海外協力隊に出すとか。協力隊は理系人材が不足していて、自衛隊は基本的に理系。そもそも憲法で戦争を禁じられた日本国として、国際協力とか開発は武力行使にかわる外交の手法だから、いいコンビネーションだと思うんだけど。

今回の大統領選で大手メディアはなんでこんなにマヌケだったのか?

そしてマヌケだったのみならず、トランプ氏を大統領にしないようにキャンペーンを張った。なぜなのか?

カールソンの番組、今回はニューヨークタイムズのコラムニスト、ニコラス・クリストフ氏がゲストです。

https://www.youtube.com/watch?v=anBayc2_1uc

ホストのカールソンさん、いきなり直球です。

「『トランプ大統領とつきあう12の方法』にはイスラム恐怖症とかセックススキャンダルとかいろいろリストアップされているけれど、13番目がないよね?なんでメディアがマヌケで予想が大はずれだったのか?っていうのが。」

「それは12番目に含まれているんだ。つまり君がクリントン派なら君の友達もクリントン派で、友達の輪のなかでトランプに投票するなんて誰もいなかった、って。だから読み間違えた。」

「ボクはオレゴンの人口千人っていう田舎町の出身なんだけど、出身地ではみんなトランプ派だった。ボクはみんな間違えてる、と思ってたんだ。彼らはまさに民主党からも共和党のエスタブリッシュメントからも見捨てられた人々だ。」と、クリストフ氏。

「でもさ、なんで君はコラムでメディアがトランプさんのことをヒットラーなみに悪く書いたわけ?そのトランプさんが多くのアメリカ人の声なき声を代弁してたのに?それにこの、収入がへったり仕事がなくなったりしている同胞のアメリカ人に対する冷たさは何なんだ?途上国の人々には温かい目線なのに。」

「君のコラムはマクロ経済の分析とか、途上国の問題とか、温暖化について事実を調べてとてもいいことを言っている。しかしトランプさんのことになるとKKKと結びつけたりして、どうしてそうなるのかな?とくにKKKの信奉者なんて絶対人口はきわめて少ない。それとトランプ氏とかトランプ支持者がどう結びつくんだ?」と、カールソン。

「ボクの出身地の人々がKKKじゃないことはわかっているし、トランプ=KKK=トランプの支持者がKKK、と書いたわけでないことはわかってほしい。」とクリストフ。

「じゃあ視聴者のみなさん、ニューヨークタイムズで彼のコラムを読んで判断してください。」

125,000部の「マダム・プレジデント」が一瞬だけ店頭にならんでから回収されたこと

フォックスニュースのタッカー・カールソンがマット・クーパー編集長を招いてインタビューしています。
https://www.youtube.com/watch?v=DepQMlY445s

「マダム・プレジデント」の内容がクリントンを天よりも高く持ち上げ、いっぽうトランプ氏に対する中傷がひどすぎることについて、

「なんじゃこりゃ?ポルノ?ソビエト?そういっていいレベルだよね。」

クーパー編集長いわく、

「特別編集号っていうのはいまや雑誌ビジネスのおおきな部分を占めている。」

「ニューズウィークはトランプ大統領版とクリントン大統領版んお両方用意していて、なぜかクリントン版がスタンドや書店にでまわっちゃった。ま、ときどきあることなんだけど。」

「特別号の内容はいつもやってくれてる下請けにぶん投げたものなんだ。」


ホストのカールソンさんいわく

「でも事前に読んでたらわかるよね?まさか読んでなかったの?」

「いやー読んでなかったね。我々の仕事と違うところを流れるんだ。信頼できる下請けだし。サイエンティフィック・アメリカ、CBS、ディズニーとか大手ともやってる。たまたま今回はチョンボしたということさ。」とクーパー編集長。

「読んでなかった・・・?でもさ、そんなのほんとにありなのか?アイフォンが不良品だったらアップルに文句言うよね。ブランドってそういうことじゃないの?」

さらにニューズウィークの記者がツイッターでトランプ大統領が神経衰弱で入院というデマを流したことに触れます。

クーパー編集長いわく、

「そのツイッターのことは知らないけど、いい記事も書いてる記者なんだ。」

「悪意と中傷しか感じられないツイッターを流しておいて、そんなメディアは信じられないじゃないか?どうしてそこまでクリントン寄りなんだ?」とカールソン。

「信じるか信じないかは読者が決めることだ。」とクーパー編集長。

「じゃマダム・プレジデントの文章もその記者が書いたんじゃないの?」とカールソン。

「それは言い過ぎだよ。おい、そこまで言うか?」とクーパー編集長。お互いに笑っておしまい。

2016年12月1日木曜日

フェイクニュースのこと

田中宇さんが的確な分析をしているので、我が輩はあんまり書くことがなくなった。
http://tanakanews.com/161201fakenews.htm
田中宇さんのキーワード「多極化」「自滅」という定番があんまり出てこないと思ったら、最後のところでやっぱり出てきた。

さてRTがフェークニュースというキーワードでBBCに喧嘩を売っています。
https://www.youtube.com/watch?v=blg9XVBUEZg
02:50 - 03:12 このあたりでBBCのニュース画像を引用し、
05:19 - 05:57 ここで傷病者がじつは元気でしたという舞台裏を暴露し、BBCの完全なヤラセだったと言っています。

大英帝国と魯助の喧嘩なので見ていて面白いのですが、朝鮮半島をはじめ世間はきなくさくなっています。それにしてもコリアの人々はどうして最悪のタイミングで騒ぎだすのだろう?