2017年4月22日土曜日

カイザーリポート 第1058回 ゼロ金利時代の若い世代へのアドバイス

Keiser Report_ Horrible Advice for Generation X (E1058)
https://www.youtube.com/watch?v=b9gH5tB1ip0

マックス「ちょっと前のニュースだけど、天から降ってきたのが LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)を他ならぬイングランド銀行が操作していましたとさ。」
ステイシー「じつは今回は別の話題を準備していたんだけど、そのときにこの事件が起きて、考えていた話題とぴったりだから取り上げることにしたの。」

記事
LIBOR:イングランド銀行の関与が隠し録音で明らかに。

ステイシー「バークリーの誰かがピーター・ジョンソンと彼のボス、マーク・デュロフの会話を録音していたということ。ピーター・ジョンソンはバークリーのLIBOR金利を決める担当で、LIBOR金利操作の罪で収監中。録音によると、マーク・デュロフがピーター・ジョンソンに『金利を下げろ』って命令している。ピーター・ジョンソンが『そんなことできません。違法ですから。』デュロフいわく『政府もイングランド銀行もそれを望んでいるんだ。』ピーター・ジョンソンが指示通りにしたら有罪・収監。」

マックス「市場はあきらかに操作されている。そもそも市場っていうのは需要と供給があって、多様なプレイヤーが参加して価格がなりたっている。この事件の場合は市場がまったく動いていなかったから誰かが操作したのは明らか。我々はそれを取り上げたんだけど、BBCはじめマスコミはいっさい書かない。『市場は複雑すぎて理解不能!専門家はいないのか?』ってね。ここにきて操作されていたこと、意図的に金利を低く抑えることでポンジ詐欺同様のことが行われていることが明らかになった。それでいて金融機関救済がふつうに行われ、資産バブルが演出され、さてつぎはどうなるんだろうね?」

ステイシー「イングランド銀行のポール・タッカーとバークリーCEO(当時)のボブ・ダイアモンドが議会で証言。アメリカ議会みたいに宣誓するかどうかは知らないけれど、『LIBOR金利操作なんて聞いたことがありませぬ』と供述。LIBORっていうのは世界中の何兆ドルもの取引がそれにもとづいて行われていて、どこの地方自治体も資金運用をしているデリバティブもこの影響を受ける。ということは世界中の地方自治体の財政がこれにより破産・・みたいな影響をまぬがれない。」

マックス「スコットランド銀行の子会社のグローバル・リストラグループのスキャンダルを思い出したぞ。ある中小企のための銀行が破綻しそうだっていうときにそこの別部門が入ってきて資産を売り飛ばしたもんだから、取引のあった中小企業が軒並み倒産した。今回は環球規模になって、いわゆる『スワップのための担保』が金利に連動していて、金利が一定の動きをしたときにそれがトリガーになって、今回の場合はLIBORが操作されて金利が下がり、予定されていたシナリオが発動。世界中の地方自治体財政が影響を受けたり破産する人がでた。破産専門の弁護士や銀行は大儲け、っていうまったくの詐欺なんだ。道路ぎわに置かれていた地雷が爆発してアメリカやイギリスの兵隊を殺傷するみたいに、銀行がファイナンス・ハイウェイに設置した爆弾が炸裂した。これは侵略行為だから銀行は罰せられなければならない。イギリスはテロリストを逮捕するくせに・・」

ステイシー「金利が操作されていることもそうだし、中央銀行が特定の階層のために有意に介入して資産バブルを演出しているのも同じ。ここセントラルパークを取り巻く高層ビル群のなかにもそういう物件があって、多くは中国人の所有。このうしろの双子のビルの最上階の半分はボノのもちもの。あと半分はデミー・ム・・・」

マックス「ありゃゴールド萬作の本社だな。」

ステイシー「ここで問いたいのは、一般の人たちにどう説明するのかっていうこと。イングランド銀行や連銀やアメリカ政府やイギリス政府みたいな権力をもたないふつうの人たちに対して、この金利操作をどう説明するんだろう?たとえば私もそうだけど、ジェネレーションXの人たちはどう考えるんだろう。すずめの涙みたいな金をコツコツと積み立てた退職年金が6万9000ドル・・なんて言われて。」

記事
ジェネレーションX:退職に備えろ

ステイシー「なぜこうなるかっていうと、いわく月額550ドル積み立てて金利7%だとしたら退職時に6万9000ドルになる、と(政府は)いう。でもイングランド銀行がLIBORを操作して金利を低くしているこの時代に、どうしたら7%なんて言えるのか?ってことだよ。」

マックス「だから年金が破綻する。預かった金を返さなきゃいけないのにこの低金利なんだから。銀行がLIBOR操作と同じ金利操作をした結果、年金破綻だ。そこそこの金利を前提にかき集めた大量のマネーがぜんぜん利得を生まない。そのうえ金利操作が白日のもとに晒されてしまった。そのマネーは銀行の救済に使われ、その銀行の金が回りまわってセントラルパーク周辺の高層ビルに行き、でもビルは空き家状態なので死に金っていうやつだ。」

ステイシー「それでジェネレーションXはこう言われる。『キミたち仕事を変えなよ』って。ジェネレーションXは今のことしか考えないっていわれてるから。」

記事
時と場所を選ばないと言われるギグ・エコノミー(ネット経由の単発仕事)はジェネレーションXのあいだで人気があるが、退職を想定したキャリア形成には不利かもしれない。

ステイシー「ギグ・エコノミーだからウーバーで働くんだっ!っていう若者に『公務員とか学校の仕事についたら?』ってアドバイスしてるわけよ。」

マックス「公務員もドローンを使うんだぞ。多重債務に陥るのがオチだな。学資ローンを抱えて大学を出ても仕事がないから返済できない。公務員になってドローンを操縦してアフガンの子供を爆撃するんだ。」

ステイシー「それだけじゃなくて連邦でも地方自治体とかで税務署の仕事もあるでしょうよ。ちょっと前のカイザーリポートでも語ったけれど、民間企業が厚生年金を削っている。厚生年金にはそれなりのルールがあるからそれを満たさなきゃならない。でも公務員年金制度は『8%の金利を前提にしておりまして』なんていいつつ退職者には金を払う。それで法規の定めるところにより税率をあげる。例えば不動産所有者に『1%だった固定資産税が今年から上がって15%になりました』って。」

マックス「政府の仕事なんていわゆる死手譲渡ってやつだ。ソビエト経済みたいなもんだ。役所の半端仕事なんて死んだ人間の手で経済成長をつかむようなもんだ。立派な仕事じゃないか?」

ステイシー「ジェネレーションXのもうひとつの特徴は借金を背負っていること。例えば学資ローン。ひどい話があるのよ。」

記事
ローン制度はそもそも設計ミス:ナヴィエントは学生を食い物にしている、と政府は言う。

ステイシー「ナヴィエントっていうのはサリー・メイの子会社。サリー・メイっていうのはファニー・メイとかフレディー・マックと同じく準国営企業だけど今は民営化されて株式公開されている。」

記事
30年前に国営企業として発足したサリー・メイは政府保証つき債権を回収する会社。ところが2005年ごろ営利企業となり株式公開されたにもかかわらず、主要業務としてあいかわらず政府保証つき債権回収を行なっている。

ステイシー「いまやナヴィエントそのものが不良債権。ところで学資ローンっていうのは政府保証つき。大学は民間学資ローンを利用する学生の割合を1割と決められている。この学生の50%から92%が返済不能で破産している。たとえばオレゴン在住の33歳の女性。写真の学位をとるために15万ドルを借り入れたんだけど、その学校がそもそもフェイク。彼女は毎月1300ドルを返済に充てている。9年間も払い続けて原資は1000ドルしか減っていないんだって。」

マックス「この20年間で悪質な銀行の存在があきらかになって、そのたびにCEOが減給になって株価が下がる。そういう銀行も含めて連銀のバランスシートにのっていて、連銀としては債務者がどうなろうと金を回し続けるために金利をLIBORみたいに低く抑えてる。」

ステイシー「と、ここまで言ったところでジェネレーションXへのアドバイス。公務員になって税率を上げて貯金しないあなた自身を救いましょう。サリー・メイについては・・」

記事
この(学資ローン)のようなサブプライム・ローンはサリー・メイにとって大学との関係を続け、学生がもっと金を借りるようにするための必要経費みたいなもの。目的は連邦政府の保証つきローン。不良債権は政府が補填することになっている。

ステイシー「私の記憶では学資ローンは破産すらできない。この女性の写真学位とかトランプ大学の場合、あらかじめ訴訟除外規定があって、教育内容は訴訟の対象にならない。でもいまは検事総長がそういういい加減な大学を訴えているんだけど。」

マックス「それでも政府は金利操作で低金利をやめないだろうな。」

前半のおしまい。

2017年4月20日木曜日

北朝鮮とアメリカが戦争をはじめたらどうなるのだろうか?

What A War With North Korea Would Probably Look Like
Apr 19, 2017 11:33 PM
Authored by Brandon Smith via Alt-Market.com

北朝鮮とアメリカが戦争するとどうなるかについてブランドン・スミス氏が Alt-Market.com に投稿しています。
それほど長い文章でもないのですが、他に読むものもいっぱいあるので太字部分を中心に見ていきましょう。

外国の挑発に対するアメリカ軍の動きは過去にも似たような例がありましたが、今回の対北朝鮮のケースはいままでと違う感じがするそうです。
海軍を派遣すること自体が問題なのではなく、ベトナム戦争のきっかけになったトンキン湾事件がアメリカ側のでっちあげであったこと、つまり海軍を派遣すること自体が戦争への危険性を孕んだものである、と。
以下、ポイントごとに見ていきます。

  • まず北朝鮮の防空体制
北朝鮮の対空ミサイルは地下に格納されているので、アメリカ軍が北朝鮮を叩こうとするなら上陸作戦がもっとも効果的です。

  • その地下施設
地下施設は空爆では破壊できないので、地上軍を投入するしかありません。

  • 迎え撃つ北朝鮮の歩兵隊
北朝鮮の歩兵は95万人プラス800万人の予備兵。うち20万人は高度に訓練されています。アメリカ軍はアフガンと同じような山岳地帯で空からの援護なしの戦いを覚悟するべきでしょう。

  • 核オプション
北朝鮮にとって核を先制行使するのは自殺行為。いっぽうでアメリカ軍が上陸してしまったら、アメリカ側が核を使うわけにいかなくなる、と同時に北朝鮮にとって核を使うことが有効なカードになります。侵略された側だし。

  • 中国オプション
アメリカ軍が北朝鮮に上陸したら中国と直接対峙することになる。米中の経済関係は破綻する。つまりアメリカが北朝鮮と戦争するというのはそれだけですまない。

戦争を始めるとき将軍たちはかならずといっていいほど「電撃速攻で勝敗をつける」というのだが、実際にそうなった例はない。本当にこの戦争はやる価値があるのかどうか問い直してもらいたい。云々。

2017年4月19日水曜日

カイザーレポート 第1059回 なんで金が有り余っているのに小売業が撤退するのか

Keiser Report_ High Rent Blight (E 1059)
https://www.youtube.com/watch?v=mXPOimCIXz4

マックス「今日は爆弾でもいろいろあるなかで経済爆弾や富裕爆弾について語ろう。」

ステイシー「今日我々はニューヨークのソーホーからです。給水塔やエンパイヤステートビル、そしてフリーダムタワーも見えます。マックス、あなたは70年代から80年代にここで過ごして、破産や胴枯れの時代を見て来たよね?小売店がつぎつぎと閉店してニューヨーク市は財政破綻。それがいまや経済は活況で家賃は急上昇。金が有り余っているというのに状況は昔とおなじ胴枯れ状態。」

マックス「小売店舗が空き家状態っていうのはふつう不況のときなんだけど、いまは金が有り余っているから空き家が増加している。中央銀行が紙幣を刷りまくるもんだから誰もリース契約を結びたがらない。つまりリース契約が有利にはたらかない。誰もリースで借りたがらないし、家主も貸したがらないから小売店舗が空き家状態なんだ。金が有り余っているのに空き家が増えるっていう矛盾した状態が、アメリカのみならず世界中で起きている。紙幣を刷りまくって無能な統治者の手にまかせたらぜんぜんいいほうにならないっていうことだ。」

ステイシー「ここで70年代と今の状況を比べてみましょ。70年代は新聞が第一面で『ありえないニューヨーク市財政破綻』って書いた。連邦政府が世界の金融センターを見捨てたっていうこと。いっぽう今の状況は連邦政府がニューヨークの銀行資本に対する救済措置をやめることができない。」

マックス「救済をやめることができない。昔は見捨てたっていうのに。ゲロみたいに救済を開陳している。まるでキャッシュの消火栓状態だ。犯罪者みたいな銀行がトランプさん、イエレンさんお願い・・っていうだけでゲロのように金が吐き出される。コストゼロの金がポケットにどんどんはいる。これはモラル的判断力の問題だ。昔はモラルがあったはずの銀行がいまや犯罪者だ。」

ステイシー「あなたはさっき富っていう言葉を使ったけど、いまの状況は富じゃなくてマネーが多すぎるといいたい。70年代、貧困の胴枯れと言われた時代でも、99.99%の人たちの賃金はいまよりずっと価値があった。いまは金余りの状況で賃金は最低レベル。他の統計数字との関連でいえば、70年代に(ニューヨークの)殺人件数は年間3,000件。いまはソーシャルメディアで『なんてことかしら!1年に300人も殺されるなんて!』ってそりゃ昔の1ヶ月の件数でしょ。いっぽう今じゃ中年の自殺率がとんでもなく高くなっている。麻薬の乱用と自殺を含めて寿命が短くなっている。昔は金があったけれど殺人件数が多い。今はカネ余りで自殺が多い。」

マックス「金が有り余っているからウェストサイドで飛び降りるんじゃないかな。銀行家がゼロコストのマネーを手にいれて、マネー中毒症状でどうしていいかわからないから自殺するんだろう。」

ステイシー「ところでここソーホーは家賃の高騰がいちばんひどいところなんだけど、小売業のハイエンドとローエンドの話をしましょうか。ハイエンドといえばラルフ・ローレン。ローエンドがペイレス・シューズ。両方とも店をしめちゃった。ペイレス・シューズは家賃が高くなりすぎたから。ラルフ・ローレンは5番街の店を閉めちゃった。」

ブルームバーグ記事
アメリカ小売業の閉店スピードは過去最速。
クレディ・スイスによると小売業の閉店は前年比ベースですでに前回不況時の(そしてローコストマネーが出回り始めた)2008年を上回っている。2016年の1153件上回る2880件の閉鎖が公表されている。

マックス「フリーマネー(訳注:ゼロコストのマネー)をジハド主義の金融テロリストに与えたら、っていう隠喩でいうと、ハーバードとかイエールみたいなマドラッサで札銀技術を学んだテロリストたちが処女たち(フリーマネー)を手にいれる。倫理的には金を借りたら金利を払わなければならない。10%とか10%とか30%だな。2000%っていうのもありだ。世界はふたつの陣営にわかれる。金利を払うゲットー住民とトランプ一派のフリーマネー住民だ。我々はもちろん高金利ゲットーのほうだ。」

ステイシー「フリーマネーが資産バブルを招いた。バブルは膨れるいっぽうで、社債や国際だけじゃなくて不動産まで膨らんだ。家賃高騰がいかにして都市を殺すかをみてみましょう。これがソーホーの地図。赤い地点が空き家小売スペース。家賃が高すぎるのが一因。リースするほうは家賃を下げたくない。空き家だったら家賃を下げるっていう常識に従う必要がない。1年2年3年くらい空き家状態でもかまわない。80年代なら、物件を担保にして金を借りているから、8年間も空き家なんて耐えられなかった。」

マックス「つまりこういうことなんだ。家主の貸借表には物件が載っている。それを担保に金を借りる。ローンは金利ゼロだ。その借りた金を、ビルは空き家のままどっかの国の国際やらシティバンクの金融商品に投資する。ファンドは3%とか4%を保証する。運営はロボティックスがおこなう。その物件はテナントがはいるだけの価値があるという仮定のもとに担保にされているんだけど、じっさいにローンをコールしたとたんに破綻する。だから物件を空き家状態にしておくことで、ゼロ金利のまま経済が回っているというファンタジーに加担することができる。それを演出しているのがゴールド萬作でありJPモルガンのようなテロリストたちなんだ。ウェストミンスターでテロリストに誰かが殺されたなんて記事になるけれど、イングランド銀行の殺人はもっとあっさりと行われている。」

ステイシー「ここソーホーの家賃高騰について語りましょう。ソーホーはウェストヴィレッジに近い。食肉市場エリアの一部はニューヨーク市の公共事業できれいになっていまや観光地だけど、70年代や80年代は怖くて誰も近づかなかった。ヘルズキッチンと言われたとおりだったよね。」

マックス「食肉市場だから昼間は商業活動が行われているけれど、活動時間以外はそんな感じだった。」

ステイシー「2015年のニューヨーカーいわく・・・」

記事
なぜウェストヴィレッジで小売店舗がシャッター街になったのか?
小売店舗が空き家なのは不況とか犯罪率が高いということだったのだが、ウェストヴィレッジでは不況も犯罪もない。ここでは家賃が高すぎるため、「家賃高騰の胴枯れ」といわれている。つまり物件価値が高くなりすぎて地域経済に貢献しないという、じぇーん・ジェイコブズが書いた The Death and Life of Great American Cities どおりの現象があらわれている。

ステイシー「店が閉鎖されたら麻薬中毒者が入り口に住みついてゴミをちらかす。胴枯れするとガラスが割られ・・」

マックス「そのうちアーチストが住むようになってヒップといわれ、ファンドマネージャーが住みはじめ・・とサイクルになる。クリストファーストリートなんてゲイの街じゃなくてハーバード卒のファンドマネージャーしか住んでいない。まったくアホな話だ。」

ステイシー「オーナーには優遇税制もあるよね。トランプもデベロッパーだけど、多大な損害を被ったら税金を払わないでいい。」

記事
家主にとって投機目的で店舗を空き家にしておくほうがいい。将来的に銀行のように破格の家賃を払ってくれるテナントがはいるのであれば、短期間の家賃ロスは問題ではない。ローカルのカフェに貸して月々5000ドルや1万ドルのはした金を稼ぐより、チェイス銀行に2万ドルとか5万ドルで貸したほうがいいに決まっている。

ステイシー「チェイス・マンハッタンはフリーマネーを享受しているほうだから。」

マックス「いつか高い家賃を払ってくれるテナントを待つっていう意味の投機じゃなくて、じっさいのはなし、安いテナントをいれることができない。そんなテナントを入れたらポンジ詐欺システム全体が崩壊するからだ。低金利で金利システムを運営するしかないという罠に(システムそのものが)はまってしまっている。だからイングランド銀行もリボ金利を抑えるしかない。テロリストに加担してるんだ。」

前半おしまい。

2017年4月5日水曜日

サウジの原油、中国の鉄、オーストラリアの不動産。

Rig Count Continues To Threaten Oil Price Recovery, Saudis Cut Prices To Asia (Again)
Mar 31, 2017 1:05 PM
http://oilprice.com/Energy/Oil-Prices/Saudis-To-Cut-Crude-Prices-To-Asia-Again.html
アメリカのシェールオイルのリグ数が上昇 =>=> 原油価格上昇が困難に。サウジは中国向け原油価格を再度値下げ。
アメリカのシェールオイルのリグ数が11週連続で増加し、いまや662。これは2015年9月以来で最高の数字。いっときの原油価格急落の影響で、穴を穿っただけの状態で放置された油井はまだまだ数千あるそうな。なにかと話題になるパーミアン油田の油井がフル稼働したら日産30万バレルになるという。
シェア低下でパニック状態のサウジはこの5月にもアジア(=中国)向けアラブライト価格を下げるとの噂。サウジは3月末に4月出荷分価格を値下げしたばかり。アジア市場でライトオイルはミディアム・ヘヴィーに比べ在庫が潤沢なので価格下げ圧力が強いとのこと。
スポット市場も弱く、ディスカウントで売られている。イラン、クェート、イラクの価格もサウジに続くのが通例なので、今後しばらく原油価格はあがりそうにない。

China's Record Iron Ore Glut: Enough To Build 13,000 Eiffel Towers
Mar 31, 2017 12:50 PM
http://www.zerohedge.com/news/2017-03-31/chinas-historic-iron-ore-glut-enough-build-13000-eiffel-towers
ちょっと前に「中国鉄鋼業界は減産する、と中国が嘘をついたのがバレて鉄鉱石価格が急落」というのを書いたばかりなのだが、中国もOPECも鉄と石油の違いはあれ、減産していると嘘をいいつつ増産しているのは同じ穴の狢。
中国が嘘をつくのは珍しいことではなく、GDP、金保有高、資本流出、借金についての嘘はバレたばかり。しかしながら鉄の場合ちょっと事情が異なり、減産=>鉄市場がタイト=>鉄鉱石価格が2倍に上昇=>「環球経済回復!」=>ハウジングバブル再過熱、となったので罪が重い。
ロイターによると中国の鉄鋼石在庫は過去最高レベルでエッフェル塔が1万3千コ以上つくれる量なのだとか。
中国各地の主要港でキャパ限界まで溜め込まれている多くは良質鉄鋼石なのだが、中国政府はそれにもかかわらずオーストラリアのフォーテスキューメタル(業界第4位で中・低質鉄鋼石が主流)から書い続けている。(訳注:そのへんの政治的背景については誰も何も書いていないけれど。)
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嘘がバレて鉄鋼石価格が急落したら、それがバブル崩壊のきっかけになるんじゃないか・・・というのがロイターの紙背のメッセージです。

Australia Has The World's Worst Money-Laundering Property Market
Apr 1, 2017 8:13 PM
https://www.macrobusiness.com.au/2017/03/report-australia-worlds-worst-money-laundering-property-market/
トランスペアレンシー・インターナショナルによるとオーストラリアの不動産市場はマネーロンダリングとの結びつきで世界最悪なのだとか。
名指しされているのはオーストラリアのみならずカナダ、イギリス、アメリカ。以下、国際透明レポート( Doors Wide Open: Corruption and Real Estate in Four Key Markets )からの引用。
マネーロンダリングのうち不動産を仲介にして行われているのが30%。(2011-2013年実績)その取引の多くはペーパーカンパニーやトラスト名義で行われ、デューディリジェンスはほぼゼロ。なんで犯罪者がそんな簡単に不動産を買うことができるのかという理由トップ10はつぎのとおり:

1.「これはマネーロンダリングです」という基準が不適切。
2. 法制度の不備
3. 外国企業が簡単に不動産を買える。
4. 金融機関がデューディリジェンス重視のあまりキャッシュ取引に注意を払わない。
5. マネーロンダリングの疑いがある取引を通報するシステムが不十分。
6. 有名政治家関係者ならフリーパス同然。
7. 不動産屋の資格制度がない。
8. マネーロンダリングがどういう結果になるか誰もわかっちゃいない。
9. 監視が長続きしない。
10. 罰則がない。

そもそもオーストラリアでは不動産取引業がマネーロンダリング取締法やカウンターテロリズム法(2006年)の対象とされていない(ついでながら弁護士も公認会計士も対象にはいっておらん)のでいかなる書類も提出する必要がない。そしてこれはオーストラリアに限らずカナダもアメリカもそうなのだが、キャッシュトランザクションについて金融機関がぜんぜんチェックしておらん。ちなみにオーストラリアの場合、中国人バイヤーの7割がキャッシュで支払う。
てなことを10年も前からファイナンシャル・アクション・タスクフォースなるフランスの組織が申し立ててきたのだが、政治家は無関心らしく、オーストラリアの不動産に中華マネーは蓄積されてきたのであった。
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蓋し、中国がオーストラリアから中・低品位鉄鉱石を買い続けるのはそのためだったのか!?

ドローンによる殺戮をリアルタイムで知らせるアプリをアップルストアが却下。

Apple Censors US-Drone-Strike-Tracking App
Apr 1, 2017 7:45 PM
http://www.zerohedge.com/news/2017-04-01/apple-censors-us-drone-strike-tracking-app

ジョシュ・ベグリー氏の開発した Metadata+ というiPhoneソフトをアップルストアが取り扱いを止めたのだそうな。理由は「残酷な内容を含む」から。
このソフトはアメリカのドローンがアフガンとかパキスタンとかイエメンで爆撃をするたびにリアルタイムで場所や犠牲者の有無を知らせるだけのもの。画像は出ない。
ベグリー氏がアップルと交渉をつづけてきたのだが、アップルは出したり引っ込めたり。ついに取り下げてしまいました。ベグリー氏もこれ以上アップルと交渉する気はなさそうで、それはなぜかというと、ドローンを使って世界のどこかでアメリカ国家が殺戮を続けているということに対し一般市民が何をすべきなのか、その根本のところに立ち返って活動を続けるからだそうです。
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国民の税金を原資として行われる「残虐な」殺戮について、政府は国民に知らせたくないし、アップルも政府に加担する。蓋し“Stay foolish”と言ったスティーブン・ジョブズならどう判断しただろうか?

日本の国会でビットコインが承認されたので価格が100ドル上昇。

Bitcoin Tops $1100 As Japanese Payments Law Goes Into Effect
Apr 2, 2017 2:00 PM
http://www.zerohedge.com/news/2017-04-02/bitcoin-tops-1100-japanese-payments-law-goes-effect

日本の国会でビットコインが承認されたので価格が100ドル上昇。
発効は4月1日ながら銀行法や証券取引法と整合させる作業はこれから。
ビットコインを含めバーチャル通貨がプリペイド手法のひとつとして認められたということ。
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蓋し、ファイナンスの将来を大きく変えるような法案が通過したのにマスメディアがぜんぜん報道しないというのはどういうことか?穿った見方をすれば、0.01%のド畜生どもが安値のうちに買いまくり、一段落してからメディアが報道。庶民(のうちFXなんかでかつかつの生活費を捻出している階層)は高値をつかませられるということなのかな?それとも環球経済大崩壊が近いということか。
ちなみに上級官僚が腐敗汚職で溜めこんだ資産の海外逃避が喫緊の中国において、ビットコインはすでに承認済み。じつはビットコインの取引場はいまのところ中国にしかござらぬ。