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ディーゼルこそ11月の選挙を決める数字や
2026年10月12日 ラリー・C・ジョンソン
この4年間、共和党のエネルギーに関する訴えはごっつシンプルやった。「バイデンの下では物価が高かった」っちゅうやつや。これが効いたんや。2022年夏にガソリンが5ドルになったんを有権者は覚えとったし、トランプは「下げたる」て約束したわけや。ところがイラクとの……ちゃうわ、イランとの戦争のせいで、この理屈がひっくり返ってしもた。その証拠は政府自身の価格データに出とるで。
わしはエネルギー情報局(EIA)の月次平均を、2017年からずっと全部さかのぼって見直してみた。結果はこうや。
期間 ガソリン平均 ディーゼル平均 ディーゼルの上乗せ分
バイデン政権(2021年2月~2024年12月) 3.47ドル 4.09ドル 0.62ドル
トランプ政権、イラン戦争前(2025年2月~2026年2月) 3.06ドル 3.66ドル 0.59ドル
トランプ政権、開戦後(2026年3月~9月) 4.09ドル 5.39ドル 1.31ドル
2026年9月 4.36ドル 6.29ドル 1.94ドル
出典:EIAの米国小売価格の月次平均。計算はわしや。バイデン政権の月間ピークはガソリンが4.93ドル、ディーゼルが5.75ドルで、どっちも2022年6月やった。
戦争前までは、共和党の言い分は通っとったんや。政権に戻って最初の1年は、トランプの下の燃料はバイデンの平均より安かった。ところが2月以降は話が逆さまになってしもた。ガソリンは7カ月で1ガロンあたり1.50ドルほど跳ね上がっとる。それでもまだバイデンの2022年のピークは超えてへんから、ガソリンに関しては両政権はだいたい同じくらいっちゅうとこやな。せやけどディーゼルは話が全然ちゃう。9月の6.29ドルは月間平均として過去最高で、バイデン政権で一番ひどかった月より50セントも高いんや。AAAの日次平均なんか、9月下旬に6.50ドル超えの史上最高値をつけとる。アメリカ経済を動かしとる燃料については、もうこれはバイデンの成績やなくて、トランプの成績やで。
消費者はガソリンスタンドで痛みを感じる。せやけど企業はあらゆるとこで痛みを感じとるんや。
年に1万5000マイル走って、燃費が1ガロン25マイルの車に乗っとる家庭やったら、ガソリンを年に約600ガロン使う計算や。9月の価格やと、戦争前より年に870ドルほど余計にかかる計算になる。これはキツいで。特に長距離通勤しとる働く人らにはな。けど、もっとデカい被害は、ほとんどの有権者がレシートでは見えへん方や。ディーゼルっちゅうのは、他のあらゆる値段の中に隠れとるコストやさかいな。
アメリカ人が買うもんは、ほぼ全部どっかの段階でディーゼルトラックに載って運ばれとる。ディーゼルは1年前は1ガロン3.71ドルやったのに、今は6.39ドルあたりや。ハーバード・ビジネススクールのウィリー・シーは、ディーゼル6.50ドルで荷物を大陸横断で運んだら、燃料代だけで約3000ドルかかると見積もっとる。運送業の利益率は景気のええ年でも薄いんや。最大の変動費が70%も跳ね上がったら、運送会社も吸収できるわけないやろ。FreightWavesの集計では、9月だけで大手運送会社が少なくとも8社も破産法11条を申請して、配送会社や製造業、梱包業なんかで合わせて2000人近い解雇が、わずか数週間のうちに出とる。業界の背骨になっとる個人事業の運転手(オーナー・オペレーター)らには、もう余裕なんかまったくあらへん。
農家はまた最悪のタイミングで食らっとる。秋の収穫期やからな。合同経済委員会の分析によると、今年は主要作物の作付けだけでディーゼルが14億ドル以上もコストを押し上げた。2025年から63%増や。特にイリノイ、アイオワ、ミネソタがひどい目におうとる。ミネソタやと、平均的な農家は農場の燃料タンクを満タンにするたんびに約1500ドル余計に払っとるんや。農家のジョン・ボイドは、コンバイン1台に給油するだけで約1000ドルかかる、て言うとる。こういう農家は、わしが前から書いとる肥料ショックですでに締め付けられとる連中で、しかもトランプに投票した人らが多いんやで。
ほんで、コストは川下に流れていく。運賃の割増金は荷主に転嫁されて、荷主は小売に転嫁して、小売は食料品の棚やホームセンターの値札に転嫁する。建設、鉱業、ごみ収集、スクールバス、緊急サービス、みんなディーゼルで動いとる。ディーゼルが高なるっちゅうのは、経済全体にかかる消費税みたいなもんや。しかもその税が、開戦以来およそ70%も上がったっちゅうわけや。
世論調査はガソリンスタンドの価格に連動しとる
燃料価格が上がるにつれて、トランプの支持率は下がっとる。ロイター/イプソスの調査では、2025年1月の就任直後は47%やった。戦争が始まって2週間の3月中旬には40%。その1週間後、ガソリンが1ガロンあたり約1ドル上がったあとには36%や。9月にディーゼルが記録を更新した頃には32%まで落ちて、政治家人生で最低になった。生活費への対応を評価しとるアメリカ人は、たった17%や。有権者が一番大事な争点に挙げとるのが生活費やのにな。
一番ヤバいんは、自分の党の内側の数字やで。共和党支持層のトランプ支持率が、9月のたった1週間で82%から73%に落ちた。生活費への対応については、初めて共和党支持者の中で「支持せん」が「支持する」を上回った。51%対44%や。トラックに乗っとる人や、農場を回しとる人、小さい商売やっとる人にとっては、こんなん抽象的な話ちゃうで。毎週、自分の目で見とるコストなんやから。
リッチ・バリスのビッグデータ・ポールも、同じ話をしとる。わしは、ここが一番信頼できる世論調査機関やと思っとる。そこの調査やと、6月にイランとの和平合意が発表されたあとはトランプの支持率が回復したんや。ところが、7月下旬に戦争が再開して、ガソリン価格がまた上がったら、38.7%っちゅう新しい最低を記録した。有権者の67.4%が「ガソリン1ガロン4ドル払うてまでする戦争やない」と答えて、27.6%は戦前の約3ドルより高い値段は絶対に受け入れへんて言うとる。9月中旬には、ビッグデータ・ポールはトランプの支持率を38.8%、不支持を58.5%とした。第2期で最悪の「強度スコア」や。しかも、投票に行きそうな層の下院の一般投票では、民主党が11ポイントもリードしとる。インフレと生活費でも、民主党が10ポイント以上リードしとって、それが有権者の最重要課題なんや。バリスは「共和党は11月までに情勢を改善する時間がどんどんなくなっとる」と警告しとった。
世論調査が動く理由はいろいろあるし、戦争そのものも人気がなくなってきとるのは確かや。せやけど、タイミングは見逃されへんで。ガソリンとディーゼルが上がるのに合わせてトランプの支持率が下がって、一番ガクッと落ちたんは、ディーゼルが過去最高をつけた頃やったんや。
プーチンのディーゼルでは救われへん
政権は、燃料価格が中間選挙を決めるかもしれんことをよう分かっとる。その答えが10月9日に出てきた。トランプはプーチンと電話したあと、ロシアがアメリカと世界市場にディーゼルを供給するて発表して、財務省はロシア産ディーゼルへの制裁を4月まで解除したんや。ほんで「記録的な幅で」価格は下がる、て約束した。せやけど、計算したらそんなわけあらへんで。
トランプ本人の投稿によると、「すぐに」30万トン、11月に50万トン、そのあと100万トン、さらにその後300万トン、ちゅう内訳や。合わせて約480万トン、バレルにしたらざっと3600万バレルや。ほとんどは納期の日付もなしや。アメリカは1日に約380万バレルの留出油を燃やしとるさかい、このパッケージ全部で、アメリカの需要の約9日半分にしかならへん。最初の30万トンやと1日分にも満たん。世界の中間留分の不足は、アナリストのカール・ミラーによると最低でも1日300万バレルやから、この取引全部合わせても約12日分をカバーするだけや。
アメリカの価格が高いんは、世界市場が足りてへんから決まっとるんであって、アメリカの製油所に製品がないからとちゃうねん。アメリカはもう留出油を1日約520万バレル生産しとって、160万バレルを輸出しとる。ディーゼルの先物は見出しが出たときにちょっと下がったけど、小売価格はほとんど動かへんかった。取引が発表された日は6.28ドルやったんや。トランプはさらに、アメリカのディーゼル輸出を禁止することを「考えとる」とも言うとるけど、自分とこのエネルギー長官とも内務長官ともそれを批判しとる。こんなんは、11月3日の前にニュースの見出しを狙った小細工であって、供給の問題を解決するもんとちゃうで。
イサイアス:薄い余裕を見せつけた間一髪の出来事
ほんで、ハリケーン・イサイアスがやってきた。10月9日の夜、カテゴリー2の勢力でフロリダのデスティン近くに上陸する前に、メキシコ湾では有人の371基のプラットフォームのうち129基から作業員が退避して、海上の石油生産のおよそ72%、日量約150万バレルと、天然ガス生産の59%が止まった。精製能力で約50万バレル/日分が嵐の進路かその近くにあって、先頭がミシシッピ州パスカグーラのシェブロン製油所(日量35万6000バレル)、ほかにアラバマ州のモービルやタスカルーサ近くの工場もあったんや。
アメリカは運がよかったみたいやな。進路がガリービル、バトンルージュ、ノーコっちゅうルイジアナの大型製油所より東にそれて、土曜日の時点では製油所に深刻な被害が出たっちゅう報告はない。念のために止めた海上生産は、プラットフォームやパイプラインが無事なら、普通は数日で戻る。せやけど、この嵐で、どんだけ余裕がないかがはっきりしてしもた。アメリカの留出油の在庫は、EIAが1982年に統計を取り始めて以来、10月初めとしては最低水準や。東海岸の在庫は平年より約30%少ない。嵐が近づいてくると、ディーゼル先物は1日で約26セントも跳ね上がった。製油所もなく、メキシコ湾の精製拠点とのパイプラインもないフロリダは、トラックとバージ船に頼っとる。その相手が、まさに嵐の進路上にあったアラバマとミシシッピの工場なんや。
普通の年やったら、ハリケーンがかすめるくらいは数日ニュースになるだけの話や。せやけど今の市場は、ペルシャ湾の製油所が損傷して、在庫も記録的な低さや。メキシコ湾岸の製油所が1カ所止まったら、そのままディーゼルの価格に直結してまうんや。ハリケーンシーズンは11月30日まで終わらへん。選挙の3週間後やで。
正直に言うたら、ペルシャ湾の壊れた製油所からディーゼルを魔法みたいに出せる大統領令なんかあらへんし、この不足は選挙が終わっても続くんや。長年、共和党は「ガソリンスタンドの値段は大統領のもんや」て有権者に言うてきた。政治的には、その通りやったわけや。せやから今度は、それがそっくり自分らの責任になったんや。
https://sonar21.com/a-thimble-for-a-flood-trumps-russian-diesel-deal-why-the-announced-volumes-barely-register-against-the-global-distillate-shortage/
洪水に耳かき一杯:トランプのロシア産ディーゼル取引…発表された量が世界の留出油不足にほとんど響かへんわけ
2026年10月10日 ラリー・C・ジョンソン
金曜の夜、ドナルド・トランプが、プーチンとの電話のあと、ロシアがアメリカと世界市場にディーゼルを出荷する、て発表した。財務省もすぐあとに、ロシア産ディーゼルへの制裁を2027年4月まで解除する期限付きの一般ライセンスを出したんや。大統領は、ディーゼル価格が「記録的な幅で」「早よう」下がる、て約束した。中間選挙まで3週間で、ディーゼルは1ガロン6.23ドルや。1年前の約3.67ドルから上がって、9月22日につけた過去最高の6.52ドルからちょっと下がっただけやさかい、政治的に魅力があるんは、わしにも分かるで。せやけど、この取引の数字を不足の規模と並べて見てみたら、誤差の範囲や。
発表された中身
トランプ本人の投稿によると、ロシアは「すぐに」30万トン超、11月に50万トン、「その直後に」100万トン、さらに「近いうちに」300万トンを供給するそうや。1トンあたり約7.45バレルで換算したら、こうなる。
区分 バレル数(概算) コメント
「すぐに」30万トン 220万バレル アメリカのディーゼル消費の1日分にも満たん
11月に50万トン 370万バレル 納期は不明。ホワイトハウスは貨物がいつ着くか言うてへん
その「直後」に100万トン 750万バレル 日付なし
後で300万トン 2240万バレル 条件付きで日付なし
発表分の合計 3580万バレル 何カ月にわたるんかも決まってへん
換算は概算や。フォーブスも似た係数を使って、約3550万バレルを出しとる。ロシア側から確認されとるんは、クレムリンが供給する「用意がある」ちゅう一般論だけで、トン数はトランプの投稿から出とるだけや。
穴のデカさ
カール・W・ミラーは、世界のエネルギー緊急事態の評価でわしが頼りにしとる人やけど、その彼が、中間留分(ディーゼル、軽油、ジェット燃料)の世界的な不足を、いま最低でも日量300万バレルと見とる。このギャップは、ガルフの精製施設が壊れたり傷んだりしたこと、海外の製油所への原油供給が途切れたこと、公共設備が損傷したこと、製品の輸出が塞がれたことから来とる。この割合やったら、世界は毎月9000万バレル、90日で2億7000万バレル、1年でほぼ11億バレルを、よそで生産するか、在庫から取り崩すか、無しで済ますかして、見つけなあかんことになる。ミラーは、傷んだガルフの設備を再建するのに約5年かかる、と見とるんや。
ロシアの取引をこれと比べたら、こうなる。
指標 ロシアの取引(3580万バレル)
ミラーの最低ライン 日量300万バレルのギャップで何日分か 約12日分
90日ギャップ(2億7000万バレル)に占める割合 約13%。ただし全部の分が90日以内に届いた場合
1年分のギャップ(10億9500万バレル)に占める割合 約3%
6カ月かけて出荷した場合の日量 約20万バレル/日。300万バレル/日のギャップの6.6%
日付が確定しとる分だけ(180万トン、約1340万バレル) ギャップの約4.5日分。90日必要量の5%
アメリカのディーゼル需要(日量377万バレル)の何日分か 約9.5日分
現在のアメリカの留出油輸出(日量156万バレル)の何日分か 約23日分
アメリカの数字は、2026年10月2日までの4週間平均で、ミラーが引用したもんや。日量300万バレルのギャップはミラー独自の最低推計で、彼の計算はそれが続く前提になっとる。
要するにや、パッケージ全部が、ひとつ残らず届いたとしても、世界の不足の2週間分にもならへんのや。最初の30万トンやと、約18時間分や。
ほんでこのバレルも、全部が新しい供給とは限らへんで
見出しの量だけ見たら、実際の救いより大きく見えてまうんや。理由はいくつかある。
ロシア自身が足りてへんかもしれん。モスクワは7月からディーゼルの輸出を禁止しとって、それを10月末まで延ばした。IEAは、ロシアのディーゼル生産が約30%落ちとる、て言うとる。ロシアの製油所も、何回も停止しとるんや。それがほんまやったら、ロシアが海外に出す1バレルは、自分とこの農場や軍、トラック輸送から回さなあかん1バレルやっちゅうことやな。ただ、ロシア側の情報源は、IEAのその主張に反論しとるけどな。
付け替えは生産やない。ミラーはアメリカの輸出についてこう指摘しとるけど、ロシアの輸出にもまったく同じことが言える。いま在る燃料を、ある買い手から別の買い手に動かしても、不足が別の場所に移るだけで、小さなるわけやない。戦争前、ロシアは世界で2番目に大きなディーゼル輸出国やった。トルコやブラジル、アフリカの一部みたいな従来の買い手が、限られた量を取り合うことになる。せやから、アメリカ向けのライセンスで売られる分のうち、いくらかは他の流れを押しのけるだけで、全体を増やすわけやないんや。
しかもディーゼルだけの話や。ミラーのギャップにはジェット燃料や灯油も入っとるけど、この取引は航空の方には何にも手当てしてへんねん。
アメリカは輸入が要るというより、世界が要るんや。アメリカはもう日量約520万バレルの留出油を生産して、約156万バレルを輸出しとる。アメリカの価格が高いんは、世界市場が足りてへんので決まっとるからであって、アメリカの製油所に製品がないからとちゃう。日量300万バレルの不足が決める限界価格は、ロシアの貨物が何隻かその市場に入ったところで変わらへんで。
時期と物流もまだ決まってへん。誰が燃料代を払うんか、いつ着くんか、ホワイトハウスは言うてへん。最初の2つの区分にだけ、一応それっぽい日付があるくらいや。ミラーが言うとおり、よその盆地で確保した燃料は、消費する側のネットワークに届くまでは救いにならへんのや。
市場の反応
ディーゼル先物は発表で下がったけど、わしはそれを、ファンダメンタルズの変化やなくて、見出しへの反応と見とる。ヨーロッパのある外交官は、記者に「価格に実際の影響が出る可能性はごっつ低い」と言うた。ウクライナの制裁担当のウラディスラフ・ヴラシュクかて、他の理由でこの取引に反対する理由が山ほどあるはずやのに、同じ算数を指摘しとる。アメリカは毎週約350万トンのディーゼルを燃やしとるんやから、30万トンなんか取るに足らん、てな。
ほんまの勝者:モスクワ
この取引がディーゼル不足にほとんど効かへんのやったら、ロシアにはものすごく効くんや。日量300万バレルの穴に対しては取るに足らん量でも、現金としては全然取るに足らんことあらへん。いまやディーゼルは、地球上で一番価値のある商品のひとつやからな。アメリカのディーゼル先物は、9月に約4.80ドル/ガロンで決済された。1バレルにしたら約200ドルや。ミラーが示す、仮の代替価格1バレル150?200ドルを使うたら、数字はこうなる。
量 150ドル/バレルの場合 200ドル/バレルの場合
確定分(約1340万バレル) 20億ドル 27億ドル
発表パッケージ全部(約3580万バレル) 54億ドル 72億ドル
わしの推計や。実際に手に入る価格は、値引きや運賃、引き渡し条件で変わるし、収入はまずロシアの会社が得て、税金を通して国家に入るんや。
その金が、モスクワが一番ほしいときに入ってくる。ロシアの予算は、ウラル原油59ドルで組まれとった。2026年の初めは、ウラル原油は制裁で大幅に値引きされて、40ドル台半ばから50ドル台半ばで売られとったんや。ブルームバーグの報道では、その価格やと石油とガスの収入不足で、赤字がほぼ2.2兆ルーブル、約290億ドルになるはずやった。わしの計算やと、ディーゼルのパッケージ全部だけで、その穴の約5分の1から4分の1を埋めてまうんや。
制裁解除の価値は、発表されたトン数よりもデカい。財務省の一般ライセンスは、アメリカ向けの燃料に限られてへんのや。ロシア産ディーゼルを世界市場で売ってもええことになっとって、ライセンスの有効期間中に積み込まれた貨物は、2027年4月まで米国の制裁が免除される。ちゅうことは、こうなる。
売れる分は全部が得をする。発表された区分だけやなくてや。ロシアが自分らの輸出禁止を解いたら、トランプの投稿にある量だけやなくて、全部のディーゼルを6カ月間、堂々と売れることになる。たとえロシアがその間に日量50万バレル輸出したら(これは説明のための数字にすぎへんけど)、同じ価格で約140億?180億ドル稼ぐことになるんや。
値引きが小さくなる。制裁対象のロシア産原油は、2月にブレント比で1バレルあたり約26.50ドル値引きされて売られとった。ディーゼルを主流の買い手に、普通の海運と保険で合法的に売れるんやったら、同じような値引きはせんでええ。値引きが1ドル消えたら、モスクワの取り分が1ドル増えるわけや。
制裁の壁にヒビが入る。これは、戦争が始まってから、標準の30日より長い最初のディーゼル向けライセンスや。しかも、ロシアとエネルギーを大量に取引しとる最大の買い手に最大100%の関税を求める法律に、トランプが署名してから数週間後に出たんやで。モスクワと取引先は、はっきりした結論を引き出すやろう。アメリカの制裁は交渉の余地があるし、新しい法律をほんまに執行するかも怪しなった、てな。
わしの見立て
この取引は、供給の話やなくて政治の話や。中間選挙の前にホワイトハウスにネタを与えて、モスクワには数十億ドルの外貨と、戦争が始まってからずっと求めてきた6カ月の制裁猶予をくれてやるもんや。せやけど世界のディーゼル不足には、ほとんど効かへん。ええとこ、ミラーの見立てでは、ガルフの再建中は何年も続く赤字のうち、2週間分を埋め合わせるだけや。ガソリンスタンドの値段が下がるとしたら、それは需要が潰れるか、在庫を取り崩すか、ホルムズ海峡が再開するかのどれかで、冬のあいだにチョロチョロ入ってくる3500万バレルのロシア産ディーゼルのおかげやないで。
もっとデカい代償は、戦略面にある。こんな小さい量のために制裁を緩めたら、ロシアの戦費に資金の命綱を渡してしもて、モスクワに対するテコも手放して、キーウやブリュッセルとの関係にも負担をかけることになる。しかもその見返りは、日量300万バレルの穴の騒音の中に消えてまう程度のもんなんや。
https://sonar21.com/flight-1073-the-official-story-and-a-pilots-dissent/
1073便:公式の説明と、あるパイロットの異論
2026年10月8日 ラリー・C・ジョンソン
9月30日の朝、フライドバイ航空FZ1073便、ボーイング737 MAX 8が、乗客174人(うち27人が子ども)を乗せてドバイからテルアビブに向けて飛び立った。飛行から約2時間半たったころ、副操縦士が機長のスミット・マチャールを襲った。機長はインド国籍や。機体は1?2分で約1万7000フィート急降下した。乗員は一般的な緊急事態を示すコードを出して、続けてハイジャックのコードを出して、イスラエルの戦闘機がスクランブル発進した。機体はサウジアラビア北西部のタブークに進路を変えて、無事に着陸した。乗っとった全員が助かったんや。
公式の説明は、その後の数日で固まってきた。UAEはこれをテロ攻撃やと言うて、副操縦士が操縦室に備えてある非常用工具のクラッシュアックスで機長を殴った、て言うとる。AP通信によると、関係者は、その副操縦士をハマム・アル=ハンマミと特定した。UAE生まれのオマーン国籍で、シリアに渡航したことがある男や。オマーンは、過激な思想を持つようになったんやないかと心配して、彼の乗務を禁じて、オマーン航空の事務職に異動させとったそうや。それでもフライドバイは彼を雇った。ある湾岸の外交官は、採用前の身元調査は、犯罪歴を見るもんで、過激化の兆候を探すもんやなかった、て言うとる。地域の4カ国の治安機関が、アメリカやほかの西側諸国の支援を受けて調べとる。今のところ、過激派組織とのつながりは見つかってへんて言うとるから、単独犯っちゅうことになるな。
公式に説明されとる救出の流れは、こうや。ネタニヤフ首相の報道官によると、負傷した機長が自分でコックピットのドアを開けた。そして、乗客として乗っとったフライドバイの2人のパイロット、南アフリカ人とニュージーランド人が操縦を引き継いで、乗員と乗客が犯人を取り押さえた。そのうちのひとり、ヤニヴ・ハヨウンっちゅうイスラエル人の配管工は、副操縦士を絞め技で押さえ込んで、コックピットから引きずり出した、て言うとる。ネタニヤフは、乗客がテルアビブに着いたとき、ハヨウンを抱きしめた。ほかの報道やと、客室乗務員が非常用コードを使ってコックピットに入ったらしいけど、これは確認されてへんな。
この事件は、イスラエルの選挙戦のど真ん中に飛び込んできた。イスラエルの投票日は10月27日や。事件の前日、ネタニヤフはテル・ノフ空軍基地を訪れたときに、「選挙を前に、敵がわれわれを攻撃してくる兆候がある」と警告しとった。国も標的も名指ししてへんかった。攻撃のあと、イスラエル・カッツ国防相は、その警告は情報に基づいとった、と言うて、ネタニヤフはイランとその代理勢力が、海外でイスラエル人への攻撃を強めようとしとる、と指摘した。
その主張は、すぐにイスラエルの内側から異論が出た。治安当局の関係者は、ヘブライ語のメディアに、具体的な攻撃の脅威なんか知らん、て言うた。野党党首のヤイル・ラピドは、フライトの前夜にネタニヤフから治安ブリーフィングを受けたけど、飛行機の事件に似たもんは何も出てけえへんかった、見せられた警告は2年以上前のもんで、航空機とは関係なかった、て言うとる。調査当局も、今のところ、国家や組織が攻撃を指示した兆候は見つけてへんのや。
わしは、ネタニヤフがこの事件を、選挙の見通しを良うするために使っとると思う。イスラエル人が投票に行く3週間前や。名指しせん敵について警告しとった首相の前に、ドラマチックな攻撃が起きて、抱きしめるイスラエルのヒーローが現れて、イランを指さす新しい理由ができた。自分とこの治安当局が、こんな陰謀の警告はなかった、て言うとるのにな。この政治的な計算に気づいとるんは、わしだけやない。元イスラエル政府顧問のダニエル・レヴィは、アルジャジーラに、この話は有権者の関心を国内問題からイランに移すかもしれん、て言うた。ただ、みんながそう思っとるわけやない。ロンドン大学キングス・カレッジのアーロン・ブレグマンは、この攻撃でネタニヤフもみんなと同じように不意を突かれたんやから、得するとは思えん、て言うとる。せやけど、ネタニヤフとカッツが、あの事件を自分らの警告の証拠に、あんなにすばやく仕立て上げたことで、あいつらが何を優先しとるかが、わしにははっきり見えるで。
ほんで、そもそもアル=ハンマミがどうやってフライドバイのコックピットに座れたんか、っちゅう問題があるわな。外国人のパイロットが、ふらっとUAEの航空会社に来て飛べるわけやない。雇用主がスポンサーになったUAEの居住ビザ、総合民間航空局の免許と健康診断書、それに航空会社によっては母国の無犯罪証明も要る。UAEは湾岸でもトップクラスに有能な治安機関を持っとるし、アブラハム合意以降は、イスラエルと情報や治安で密に協力してきた。それやのに、自分の国の航空会社に、過激な思想を理由に乗務を外されたはずの男が、その仕組みを通り抜けとる。CNNが伝えとるLinkedInのプロフィールによると、彼はその間にロイヤル・エア・モロッコでも飛んどった。湾岸のある外交官はAPに、採用前の調査は犯罪歴を見るもんで、過激化の兆候を探すもんやなかった、て言うとるし、オマーンが自分らの懸念を誰かに伝えたんかどうかも、まだはっきりせえへん。これは、治安に誇りを持っとる国が、ごっつい審査の失敗をやらかしたか、それとも湾岸の国同士が、まさにこういう男を止められる情報を共有してへんかのどっちかや。どっちにしても、UAEは説明する責任があるで。
イスラエル側の審査も失敗しとった。2023年の法律で、イスラエル当局は出発の最大48時間前に乗員と乗客のリストを受け取る。ハアレツ紙によると、外国の乗員のチェックは運輸省とモサドの担当や。ネタニヤフは「抜け穴」があったことを認めて、チェックを厳しくする、て約束した。
大事な疑問は、まだ答えが出てへん。母国に過激思想を理由に外された男が、どうやって旅客機の右側の席に座ったんか。外交関係のない国のパイロットは、イスラエル行きの便に乗せへんっちゅう規則を、外国の航空会社が守らなあかんはずやのに、それをどうやってすり抜けたんか(オマーンもその国のひとつや)。ほんで、動機は何やったんか。ネタニヤフ本人も、イランが関与しとったかどうか言うには早すぎる、て言うとる。
こういう穴があるさかい、ほかの説明も出てくるんや。わしのインタビューをよう聴いてくれとるパイロットが、自分の考えを手紙で送ってきた。彼は、副操縦士が黒幕に操られて攻撃したと信じとって、イスラエルが一番怪しい、と名指ししとる。彼の言うとることには、公になっとる記録と合うとるとこもある。便にはデッドヘッド(便乗)のパイロットが乗っとったし、副操縦士はすでに治安機関に知られとった。他の部分、たとえばコックピットのドアがどうやって開いたかなんかは、報じられとることを超えとるか、違うとる。しかも、彼の中心的な主張は証拠やなくて推論に基づいとる。わしは彼の手紙を書いたとおりに載せるさかい、読者が上の記録と照らして自分で判断してくれたらええ。
ラリーへ
何が起きたか、わしの推測を書くで。
まず、わしは、6、7人のDEAの潜入捜査官が、何カ月もかけて、カリブ海に住んどるアメリカ人の海外在住者と仲良くなって、そそのかした件に関わっとったんや。その男は、違法薬物を使ったことなんか一度もないし、前科もなかった。その男に、フロリダ・キーズのマラソン空港まで、薬物の積み荷を飛ばして運ばせたんや。男の高価なプライベートのターボ機には、IDを持たん6、7人のDEAの潜入捜査官と、密輸の薬物が乗っとった。わしはそこにおったんや。(ごっつい話やで、いつか聞きたかったら話したるわ)
それからずっと、9.11でも、チャーリー・カークを撃った言われとる若者でも、何か起きるたびに、それらの事件にみんな共通しとることに気ぃついたか? 法執行機関には、不思議なことに、「容疑者」がすでにファイルに入っとって、たいていは監視リストに載っとるんや。法執行機関は、事件の「前」から、その「容疑者」が誰かをいつも知っとる。ほんで、これまた不思議なことに、公衆を完全に納得させる証拠が、ちょうどええ具合に出てくるんや。「こっちを見ろ、あっちを見るな」のテーマや。捜査は終わりや、犯人はつかまえた、これ以上調べる必要はない、ちゅうわけや。
こういう人間は全員、前もって何かをやらされるか、身代わりにされるように仕組まれとる。誰かを説得して事件を起こさせて、責めを別の場所に押しつけて、完璧な刑事事件を前もって用意して、事件を演出するのに、数週間、ひょっとしたら何カ月もかかるかもしれん。わしは皮肉屋なんかもしれんけど、あのDEAの件に関わったんや。
せやから……わしは、フライドバイの事件で機長を襲った副操縦士は、仕組まれたもんやったと、ぜったいに信じとる。あの男がたまたま、すでに治安機関のレーダーに載っとったやろ? えらい都合ええやんか! しかも、たまたま余分なパイロットが乗っとった。これもえらい都合ええやんか! その控えのパイロットらは、この事件の仲間やなかった可能性があるし、たぶんそうやろ。仲間が少ないほど、情報が漏れる可能性は低なるからな。イスラエル(ほかに誰がおるねん?)は、あの副操縦士をやらせるまでに、どれくらいかけて仕込んだんやろ? 数週間か? 数カ月か? 副操縦士は、自分がイスラエルに仕組まれたことにすら、たぶん気づいてへんで。
わしが想像する、この芝居の流れはこうや。副操縦士は(黒幕の助けを借りて)、その便で攻撃するように計画しとった。そしたら、控えのパイロットが、たまたま同じ便に乗り合わせる(おそらく、これから起きることは何も知らんと)。機長が襲われたら、痛みで悲鳴を上げて、助けを呼ぶやろ。機体の騒音があっても、その大声の悲鳴と助けを呼ぶ声は、鍵のかかったコックピットのドア越しに客室乗務員に聞こえるはずや。上級の客室乗務員は、緊急時にコックピットのドアを開ける、秘密の6桁のコードを知っとる。その緊急コードを入力したら、警告灯が点滅して警報音が鳴り響いて、乗務員に、誰かが緊急手順でコックピットに入ろうとしとると知らせる。その点滅とブザーは30秒続く。その30秒がたったら、ドアのロックが5秒間外れて、誰かがドアを開ける時間ができるんや。
その30秒のあいだに、客室乗務員は控えのパイロットを前に連れてくることができる。客室乗務員は、他のパイロットが便に乗っとることを、いつも知っとるんや。なぜかというと、乗員は乗客とは別のカテゴリーで登録されとるからや(パイロットは、よその場所への移動や、自分が乗務する便を拾いに行くために、いつもタダで乗るやろ)。せやから、客室乗務員は、どの便でも、デッドヘッドで乗っとる乗員が誰かを、全員知っとるんや。客室乗務員は、機体の前の方に座っとる屈強な男も選ぶやろな(ひょっとしたら、その男は、コックピットのドアの近くに座るように席を割り当てられたんかもしれん? たぶん、これから起こることは何も知らんと)。
機長が襲われる。痛みで叫んで、助けを呼ぶ。客室乗務員が緊急の6桁コードを入力して、他の客室乗務員が、前の方におる強そうな男と、1人か2人のデッドヘッドのパイロットを捕まえて、機体の前に連れてくる。30秒がたったら、すぐに客室乗務員がロックの外れたコックピットのドアを開ける。ごつい体のイスラエル人(そいつはイスラエル人でなあかんのや……)が、1?2人のデッドヘッドのパイロットと一緒にコックピットに入る。襲撃犯は取り押さえられて、控えの乗員が機体の操縦を引き継ぐ。
機長は、襲撃を防ぎながらも、ずっと座席にベルトで固定されとった。副操縦士、つまり襲撃犯は、たぶん機長を襲う前に、シートベルトと肩のベルトを外しとって、動きやすくしとったんやろ。襲撃が始まってから、たぶん席を離れて攻撃を続けて、機長は必死で止めようとして、操縦桿を前に叩きつけて、襲撃犯のバランスを崩したんやろ。バランスを崩したり、床に倒したりするのに、そんなに大きな急降下は要らんかったはずや。降下の激しさによっては、襲撃犯を上に放り上げて、天井のパネルにぶつけたかもしれん。そのおかげで、機長は助けが来るまでの貴重な数秒間、反撃できたんや。
ほんで、これや。あの便の誰も、襲撃犯本人でさえも、ほんまに何が起きたんか、これっぽっちも分かってへんのや。ほんで飛行機がイスラエルに着いたら、あのサタンの息子が、イスラエル人の配管工を、国民的英雄みたいに扱うんや……ほんで、まさにそれが、あいつの選挙を救ったわけや(刑務所に行かんで済むようにな)。
ま、わしは皮肉屋なんやろな。わしは賭け事をする人間やないけど……自分の金を賭けてもええ、これがほんまに起きたことやと。
https://sonar21.com/sulfur-and-urea-their-role-in-the-global-economy-and-who-is-hurt-most-by-the-persian-gulf-cutoff/
硫黄と尿素:世界経済での役割と、ペルシャ湾の遮断で一番ひどい目におうとるのは誰か
2026年10月6日 ラリー・C・ジョンソン
ホルムズ海峡の閉鎖が世界経済に与える被害は、ほとんどの政策担当者に、ちゃんと理解されてへんのや。ホルムズ海峡の閉鎖をめぐる世間や政策の議論は、原油にばっかり集中してきた。タンカーの数やブレント価格、戦略石油備蓄ばっかりや。そうなるのは分かるけど、それやと被害の大部分を見落としてしまうんや。ペルシャ湾は、液化天然ガス(LNG)、尿素、硫黄、ヘリウムの世界最大級の供給源でもある。それぞれが世界経済の別の部分を支えとる。電力と産業用ガス、食料生産、リン酸肥料と金属精錬、半導体と医療用画像診断や。しかも、原油みたいに緊急備蓄を取り崩して埋め合わせることはできへんのや。こういう流れが失われたことには、原油に向けられた注目のほんの一部しか向けられてへん。輸入に頼っとる国々にとっては、むしろこっちの方が深刻なショックやのにな。
この論文では、そのうち、見過ごされとる2つの商品、硫黄と尿素を取り上げる。なんで世界経済にとって大事なんか、湾岸諸国がどれくらい生産しとるか、この遮断で一番悪い影響を受けとる国はどこか、を整理する。LNGは、肥料の生産に関わるところだけで出てくる。ヘリウムは、この論文の範囲外や。
尿素と硫黄は、安い大量取引の商品で、世界で最も大事な2つの生産システムの土台になっとる。食料と金属や。尿素は、世界の主要な窒素肥料や。硫黄は、硫酸に変えられて、リン酸肥料や、銅、ニッケル、コバルトの浸出に欠かせへん原料になる。ペルシャ湾は、そのどっちについても世界最大の輸出元で、2026年2月28日からのホルムズ海峡の実質的な閉鎖で、その供給の大半が世界市場から消えてしもた。
被害は均等に出とるわけやない。一番ひどくやられとる国には、共通点が3つある。湾岸産品への輸入依存が高いこと、代わりになる国内の調達先がほとんどないこと、備蓄が薄いこと、や。そう見ると、一番悪い影響を受けとるのは、南アジアのインド、バングラデシュ、パキスタン、スリランカ、ネパール。大きな農産物輸出国のブラジルとオーストラリア。硫黄から金属につながる側のインドネシア、コンゴ民主共和国、ザンビア、チリ。リン酸の生産国のモロッコと中国。ほんで、WTOの分析が一番影響を受けやすいと指摘しとる、東アフリカと南部アフリカの低所得の輸入国のグループやで。
尿素の価格は、中国の輸出枠と需要の弱さのおかげで、4月の急騰からだいぶ戻した。硫黄は戻ってへん。副産物やから、すぐに代わりが見つからへんし、ロシアと中国が同時に自分らの輸出を制限しとるさかいや。せやから、硫黄ショックの方が長引くし、あんまり理解されてへんのや。
尿素がなんで大事か
尿素(窒素46%)は、世界で一番広く取引されとる窒素肥料で、コメ、小麦、トウモロコシみたいな穀物に窒素を与える一番安い方法や。天然ガスからアンモニアを作って、そのアンモニアを二酸化炭素と反応させて作る。ガスは現金コストのだいたい4分の3以上を占めるから、この産業は、ガスが一番安い場所に集まってきたんや。湾岸、ロシア、北アフリカ、ほんで国内向けの中国やな。
窒素は、1シーズン抜いたら収量が落ちるから、短期の需要は伸び縮みせえへん。尿素が高すぎて買えんくなったら、貧しい国の農家は使う量を減らして、次の収穫で収量が落ちる。せやから、食料価格への影響は、遅れて出てくるんや。農業以外にも、尿素は、トラック用のディーゼル排気液、木質パネル用の尿素ホルムアルデヒド樹脂、家畜の飼料にも使われとる。
尿素貿易での湾岸の重み
湾岸のシェアの推計は、定義によってばらつく(生産か輸出か、中東全体かホルムズ依存だけか、海上貿易か貿易全体か)。せやけど、どれも、この地域が最大の供給源やっちゅう点では一致しとる。
Argusは、中東の尿素輸出を年間約2000万トン、海上貿易の約35%と見とって、そのうち1700万トン強が、ホルムズの内側で積み込まれるか、イラン産やと見とる。
RaboResearchは、世界の尿素の約30%が、普段はホルムズ海峡を通る、と推計しとる。NDSUは、海上輸出の尿素の約43%が湾岸産やと言うとる。farmdoc dailyのシナリオ論文は、世界で取引される尿素の約40%という数字を使っとる。
IFAは、年間約1200万トンの尿素がホルムズを通る、と推計しとる。
硫黄がなんで大事か
硫黄がほぼ全面的に大事なんは、硫酸のためや。硫酸は、世界で一番たくさん生産される工業用化学品や。最大の用途は、リン鉱石を酸で処理してリン酸を作って、そこからDAP、MAP、TSPっちゅう肥料を作ることや。2番目の戦略的な用途は湿式冶金、つまり、銅鉱石のヒープ浸出や攪拌浸出(SX-EW)、ほんでニッケルとコバルトのラテライト鉱の高圧酸浸出(HPAL)で、これはインドネシアの電池用金属産業の背骨や。硫酸は、石油精製、二酸化チタン顔料、ビスコース、紙、水処理にも使われる。
硫黄のショックが特にひどくなる理由は2つある。まず、元素硫黄はほとんど全部が、サワーガスや原油から硫化水素を取り除く過程の副産物やから、価格が上がったからといって、どの生産者も生産を増やせへん。それから、金属を処理しとる消費者は、部分的な稼働率で動かせへんことが多い。ケプラーは、HPALの工場は事実上「動くか止まるか」や、て指摘しとる。
金属が受ける影響の規模
SX-EWは、世界の銅カソード生産の約15%で、コンゴ民主共和国、チリ、アメリカに集中しとる。酸の使用量は、鉱石の品位によって、銅1トンあたり約3トンから20トン超まで幅がある(ケプラー)。
HPALのニッケルは、ニッケル1トンあたり約10トンの硫黄が要るから、硫黄が1トン100ドル上がるたびに、ニッケルのコストが1トンあたり約1000ドル上がる(S&Pグローバル経由のレッド・ドア・リサーチ)。
ある業界の推計では、硫酸がなかったら、ニッケル処理の約30%、銅処理の50%、コバルト処理の70%が止まる、とされとる(SunSirs)。これは目安として見といてや。
硫黄貿易での湾岸の重み
中東は世界の硫黄の約4分の1を生産しとるけど、海上貿易の約45%を供給しとる(SMM)。IFAは、世界の硫黄貿易の49%、つまりホルムズ経由で年間約1500万トンと見とる。S&Pグローバルは、年間約2000万トン、取引される供給の半分と言うとる。湾岸諸国は、回収した硫黄を自分らではほとんど消費せえへんから、ほぼ全量が輸出されるんや。
湾岸の生産状況の概観
硫黄(USGS MCS 2026、全形態、単位は千メートルトン)
国 2024年 2025年(推定) 2025年の世界シェア
サウジアラビア 7,200 7,200 8.6%
アラブ首長国連邦 6,300 6,300 7.5%
カタール 3,000 3,100 3.7%
イラン 2,000 2,100 2.5%
クウェート 1,300 1,300 1.5%
イラク、バーレーン、オマーン 個別の報告なし ? 小さい
世界合計 83,900 84,000 100%
シェアはUSGSの数字から計算した。イラク、バーレーン、オマーンはUSGSでは個別に出てへん。生産量は小さいと思われとる(オマーンが数十万トン、バーレーンとイラクはそれ以下)けど、これは推計であって、出典のある数字やない。
尿素(能力または生産量、単位は年間百万メートルトン)
国 主な生産者 百万トン/年 根拠
イラン パルディス、シラーズ、ケルマンシャー、ホラーサーン、ラージーなど 約9(うち約5が輸出か?) Argus
カタール QAFCO、メサイード 約6 カタールエナジー
サウジアラビア SABICアグリ・ニュートリエンツ、ジュベイル 4.8(SABIC) CRU
オマーン オミフコ(スール)、SIUCI(ソハール) オミフコの2025年生産量が2.07、それにSIUCI Argus
UAE ファーティグローブ・ファーティル、ルワイス 約2 Argus(オミフコと同程度)
バーレーン GPIC 約0.7 推計
クウェート PICの尿素は停止(2017年ごろ) 約0 推計
イラク 国営の工場、稼働は断続的 わずか 推計
商用データベースの中には、バーレーンの尿素生産が600万トン超、イランが1100万トン超と報告しとるもんもあるけど、どっちも分かっとるプラント能力を超えとるから、当てにしたらあかん。オマーンの2つの工場は海峡の外にあって、出荷を続けとるんや。
2026年の遮断と、積み重なった複合ショック
2026年2月28日に始まった米国・イラン戦争で、ホルムズ海峡を通る商業用のばら積み貨物船の航行が止まった。その後、さらにいくつかのショックが重なったんや。
物理的な損傷。カタールエナジーは3月、ラス・ラファンとメサイードの施設が攻撃を受けたあと、生産を止めた。メサイードはQAFCOの本拠地や。SMMは、カタールとUAEの損傷したガスと精製の設備のせいで、輸出は中期的に戦前の水準を下回る、と見とって、それが回収硫黄を直接制約しとる。
輸入国の自前の工場へのガス遮断。カタールのLNGがなくなったせいで、南アジアの尿素工場が止まって、輸入の問題が国内生産の問題に変わってしもた。ロイターは、バングラデシュが5つの尿素工場のうち4つを止めた、と報じとる。
中国の硫酸輸出禁止。4月10日、中国は酸の輸出枠を、8月までの全面禁止に置き換えた。主な買い手は、チリ、インドネシア、サウジアラビアやった(ケプラー)。
ロシアの硫黄輸出禁止。6月25日に2026年12月31日まで延長されて、もうひとつの主要な調整役の供給元もなくなったんや(SMM)。
実際に測られた影響
国際貿易センターは、2026年4月のホルムズ依存国の尿素輸出が、2025年4月と比べて数量で83%落ちたこと、そして代わりの供給元が、失われた尿素や硫黄を埋められてへんことを確認した。
RaboResearchは、この閉鎖で、世界市場から週に約200万トンの肥料が消えとると推計して、農場の肥料コストは戦争が始まってから30?40%上がったと見とる。
WTOのホルムズ追跡では、尿素価格が中国の枠の放出で戦前に近い水準(1トン約386ドル)まで戻したのに、9月になっても海峡を通る肥料の出荷はほぼゼロのままやった。
硫黄は高いままや。ADNOCは7月の公式販売価格をFOBで1トン1000ドルに引き上げて、インドネシアの着値は1000ドルを超えた(SMM、CRU)。中国の5月の硫黄輸入は、前年比66%減やった。
一番ひどい影響を受けとる国
下の順位は、3つの要因を重ねて見たもんや。供給に占める湾岸の割合、代わりの調達のしやすさ(国内生産、別の供給元、備蓄)、経済や食料安全保障への影響の大きさや。国は、ショックが届く経路ごとに分けとる。
国 経路 影響度 深刻度
インド 尿素、アンモニア、硫黄、LNG 窒素肥料の輸入の約3分の2が湾岸産(WTO)。アンモニア供給の81%が湾岸に依存(farmdoc)。2024年の肥料輸入全体の約54%(NDSU)。LNGが失われたことで国内の尿素生産も落ちとる。 非常に高い
バングラデシュ LNG、尿素 ガス不足で5つの尿素工場のうち4つが停止。備蓄は限られとる(ロイター)。 非常に高い
パキスタン LNG、尿素 ガスで動く肥料工場が操業を絞られとる。ロイターとラボバンクが、ひどくやられとって備蓄も薄い、と名指ししとる。 高い
スリランカ、ネパール 尿素 WTOが、最も影響を受けやすい輸入国に挙げとる。市場が小さくて完全に輸入依存で、財政にも制約がある。 高い
ブラジル 尿素、リン酸 尿素はほぼ全面的に輸入依存で、その約40%が湾岸産。モロッコが硫黄を持たへんから、代わりのモロッコ産リン酸も失う(NDSU、ロイター)。 非常に高い
オーストラリア 尿素 尿素の68?72%が湾岸産で、大きな生産国の中では最も高い割合。現地で不足が報告されとる(NDSU、farmdoc、ロイター)。 高い
タイ 尿素 窒素肥料の輸入のほぼ半分が湾岸産(WTO)。 中?高
インドネシア 硫黄(ニッケル、リン酸) 2025年に硫黄を500?530万トン輸入、その約75%が中東産。HPALのニッケル生産者は、コスト曲線の一番下から一番上に移った。第1四半期の硫黄輸入は30%減。減産が検討されとる(S&Pグローバル、CRU)。 非常に高い
コンゴ民主共和国とザンビア 硫黄(銅、コバルト) アフリカのカッパーベルトは、硫黄の約90%を湾岸から調達しとる(CRU)。コンゴ民主共和国は2025年に130?140万トン輸入。ザンビアは3月27日に酸の輸出許可制を導入した。 高い
チリ 硫酸(銅) 酸を年間約900万トン消費して、そのうち400万トンが輸入。中国の輸出禁止で年間約150万トンを失った(S&Pグローバル経由のトラフィギュラ)。ある貿易筋は、上半期の銅生産が6%落ちたと報告しとる(未確認)。 高い
モロッコ 硫黄(リン酸) 世界最大のリン酸輸出国OCPは、輸入硫黄に頼っとる。IFAとNDSUが、最も影響を受けたサプライチェーンのひとつに挙げとる。 高い
中国 硫黄(リン酸) リン酸向けに硫黄を大量に輸入しとる。対応として酸の輸出を禁止したから、痛みがチリとインドネシアに移ってしもた。 中程度
東アフリカと南部アフリカ 尿素、リン酸 ケニア、マラウイ、モザンビーク、ルワンダ、南アフリカ、タンザニア、ウガンダ、ジンバブエ(WTO)、それにソマリア(ロイター)。備蓄が少のうて、通貨も弱い。最も影響を受けやすい国の中に、後発開発途上国が7つ入っとる。 高い(食料安全保障)
アメリカ 尿素、リン酸 尿素とDAP/MAPの供給の約3分の2は国産で、残りも一部が湾岸産。価格への影響は本物やけど、供給は守られとる(farmdoc)。 中程度
主なケースについての補足
インドは、絶対額では最大の敗者や。3方向から同時にやられとる。輸入の尿素とアンモニア、リン酸工場向けの輸入硫黄、自前の尿素工場向けの輸入LNGや。政府は約45億ドルの栄養素ベースの補助金プログラムを見直して、肥料向けのガスを優先しとるけど、それでコストがなくなるわけやなくて、予算の方に付け替えられるだけや。
ブラジルは、大きな農産物輸出国の中で一番影響を受けやすい。窒素をほぼ全部、リン酸の大半を輸入しとって、しかも硫黄の遮断のせいでモロッコがリン酸を供給する力も縛られとるから、ブラジルは直接の調達先も、代わりの調達先も、両方失うんや。この結果は、世界の大豆とトウモロコシの供給に響くし、ほんなら中国の飼料輸入にも響いてくる。
インドネシアは、硫黄の経路が工業経済に届く、一番はっきりした例や。世界のニッケル生産の半分以上を握っとって、HPALの設備が湾岸の硫黄に頼っとるから、ショックはステンレス鋼と電池の正極材のサプライチェーンまで波及する。CRUは、銅が1トン約1万3000ドルっちゅう記録的な高値をつけるなか、ニッケル価格も上がっとる、と報じた。
アフリカのカッパーベルトは、自給の価値を示しとる。ザンビアのファースト・クアンタムや、コンゴ民主共和国のカモア・カクラの酸プラントみたいに、自前の酸を持っとる事業者は、影響が限定的やったと報告しとる。一方、輸入した湾岸の硫黄に頼っとる浸出の操業は、減産に直面しとるんや。
相殺要因と、相対的な勝者
海峡の外の生産者。オマーンのオミフコとSIUCI、紅海の港経由のサウジアラビア。SABICは、ジュベイルからヤンブーまで尿素を陸路でトラック輸送したけど、規模は小さい(Fertilizer Daily)。
中国は尿素の輸出枠を放出して、尿素価格を戻すのに大きく貢献した。ロシアは尿素では得しとるけど、硫黄は国内に抑えとくことにした。
国内にガスと自前の酸を持っとる生産者、特にアメリカ、カナダ、製錬所の酸と一体になった銅の事業は、比較的守られとる。
見通しと注視すべき指標
尿素は、船が動き出したら、一番先に正常に戻るやろう。損傷してへん湾岸の工場はすぐ再稼働できるし、他の輸出国には余力もあるからな。硫黄は遅れる。回復がカタールとUAEのガスと製油所の稼働に左右されるからで、そのうちには損傷しとるもんもあるし、ロシアと中国の輸出制限も、少なくとも年末までは続くからや。注視すべき指標はこうや。ホルムズのばら積み船の週ごとの通過数、カタールエナジーとADNOCの硫黄の公式販売価格、インドネシアのHPALの稼働率、インドの尿素入札の量と価格、中国の輸出枠の判断、ほんでロシアが2026年12月31日以降も硫黄の禁止を延長するかどうか、や。